著者
Apasheev Alexey
出版者
新潟大学大学院現代社会文化研究科
雑誌
現代社会文化研究 (ISSN:13458485)
巻号頁・発行日
no.39, pp.125-141, 2007-07

企業のマーケティングであれば、「企業の価値の増大」が、商品のマーケティングであれば、「ブランドカの向上」や「売上・利益増」などが目標になる。政党のマーケティングであれば、「政策の現実」や「選挙でひとつでも多くの議席を獲得する」ことが目標になる(Hiroshige Seko)。確かに、日本では、学問的に政治マーケティングの概念がまだ本格的に開発されてはいないが、政治家または政党は実際には、マーケティングのアイディアやテクニックなどをますます利用するようになってきた。ある研究者によると、ほとんどの政治家はマーケティングのテクニックと観念を利用するが、そのことを公共的には認めないだけなのである(G.Mauser)。現代日本の政治家で一番効果的に政治マーケティングを使っていたのは小泉元首相であろう。ただし、それは事前に確定された戦略に基づいていたか否かは疑問である。むしろ、彼は自分の直感による政治マーケティングを展開したのではないだろうか。
著者
吉田 重方 松本 博紀 トルン ブイチ 佳山 良正
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.358-361, 1985-10-30 (Released:2017-07-07)

非マメ科植物根における生物窒素固定能についての調査は主にC_4植物を多く含むイネ科植物を対象として行われており,数種のイネ科植物根やその根圏において半共生的な窒素固定(associative nitrogen fixation)が明らかに存在することが報告されている。さらに,イネ科植物のほかにもトクサ科のスギナやトクサおよびシソ科のStachys sylvaticaなどの根圏にも窒素固定能の存在が報告されている。それらはいずれも窒素固定能の間接的検出法であるアセチレン還元法によったものである。同手法は検出感度が高く,かつ低廉,迅速に窒素固定能を測定し得るために未知の窒素固定系を見い出そうとする場合には有力な手段となる。一方,草地における生物窒素固定の主体は言うまでもなく混生するマメ科牧草による共生窒素固定であるが,著者の1人は草地表面に被覆するランソウ(Nostoc sp.)によってもかなりの窒素固定が行われていることを前報で報告した。本報では,草地における上記以外の生物窒素固定系の存在を検索することを目的とし,各種草地雑草根のアセチレン還元能を調査した。
著者
佐賀 一郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.53-62, 2009-07-31 (Released:2017-06-29)
参考文献数
31

明治初期に登場した近代的新聞は,1869(明治2)年から1870(明治3)年にかけてに上海美華書館からもたらされた活版印刷技術の技術的発達を牽引した。本稿では,近代的日刊新聞としてはじめて鉛活字を全面的に使用した『東京日日新聞』(1872〔明治5〕年2月21日創刊)を対象にその内容と意義を検討する。『東京日日新聞』の創業者らは,近代的新聞の発行の条件のひとつに活版印刷を数え,上海美華書館から輸入した五号相当の鉛活字を使用したが,必要字種の不足,活字の形状の問題等によって,ごく短期間で頓挫した。本稿では同紙の印刷面を確認し,その内容と,この経験が後にどのような影響を与えたのかを検討する。上海美華書館の印刷技師からもたらされた外来技術である活版印刷技術は,特に草創期においては,これをいかにして実地に利用するかが問題とされていた。短期間に終わったとはいえ,『東京日日新聞』において行われた鉛活字の使用は,競合紙と同様の自家印刷環境の整備を促しただけでなく,後に多くの新聞が追随して使用した五号活字を基準とした紙面体裁の整備を促した。
著者
山田美妙 著
出版者
青木嵩山堂
巻号頁・発行日
1905
著者
谷口 奈央 廣藤 卓雄 中野 善夫
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

喫煙は、タバコのタールの臭いの他に、喫煙によって引き起こされる唾液分泌減少、舌苔付着促進、歯周疾患などにより、口臭に関係すると考えられる。口臭は主に舌苔に棲息する細菌によるアミノ酸代謝過程で発生し、舌苔はタバコの煙に直接曝露されるため、喫煙により舌苔細菌叢が受ける影響も口臭に関係すると推測される。本研究では、喫煙が唾液と舌苔の細菌叢に与える影響を、臨床的に健康な口腔環境を持つ若者を対象として調べた。福岡歯科大学口腔歯学部6年生50名(喫煙18名、非喫煙32名)を対象に唾液と舌苔を採取し、サンプルより抽出した細菌DNAから16S rRNA遺伝子をPCRによって増幅し、高速シーケンス解析法を用いて細菌叢解析をおこなった。その結果、菌叢の多様性解析では喫煙群と非喫煙群との間に有意な違いはみられなかった。一方、属レベルで比較解析をおこなったところ、喫煙群ではDialister属、Atopobium属など、口腔内の病的状態と関係する細菌が高い割合でみられた。ブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)との相関分析では、Selenomonas属、Bifidobacterium属が正の相関を示した。Selenomoas属は歯周炎など病的状態で多く分離される運動性桿菌である。Bifidobacterium属はタバコの主流煙が酸性であることから酸性環境下に強い菌の割合が多くなった可能性が示唆される。本研究で得た成果を国内の複数の学会で発表した。また、論文執筆ために過去の喫煙と口腔細菌叢に関する研究報告を収集したものを総説にまとめ投稿した。