著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.49, pp.29-42, 2017 (Released:2017-11-13)
参考文献数
19

本論文は,現代日本語の存在動詞イルの成立史とシテイル形式の文法化が緊密に関連していることを明らかにする。現代日本語のイルは,典型的な状態動詞の一つであるが,イルの語源を形成するヰルは,状態動詞ではなくむしろ起立状態から着座状態への態勢変化を意味する主体変化動詞であったと考えられており,イルは,主体変化動詞ヰルではなく,むしろヰルの主体変化結果状態を表現するヰタリから発達してきたと推定されている(金水,2006)。本論文で検討した歴史的なデータは,ヰタリから存在動詞イルへと至る意味変化とテイルの文法化が相互に関連していることを示している。すなわち,近世におけるアスペクト形式としてのシテイル形の確立には,存在動詞イルの成立が反映されていると考えられる。このような議論にもとづき,本論文は,シテイル形が,イルの意味的漂白化(semantic bleaching)に加え,テ形節とイルを述語とする主節からなる複文構造(biclausal structure)が単文化することによって確立すると主張する。
著者
高木 桂蔵
出版者
新潮社
雑誌
新潮45
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.60-68, 1997-02
著者
ぎょうせい 編
出版者
ぎょうせい
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, 1949-05
著者
寺沢 なお子 荒納 百恵
出版者
金沢大学人間社会研究域人間科学系
雑誌
金沢大学人間科学系研究紀要 (ISSN:18835368)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-13, 2011-03-31

市販の緑葉野菜の硝酸および遊離シュウ酸含有量における,栽培方法(有機栽培・慣行栽培)による違い,および茹で処理による硝酸・シュウ酸の減少率の違いについて検討した。その結果,硝酸含有量についてはホウレンソウで有機栽培が慣行栽培の約2倍の硝酸イオンを含んでおり,有意に高かったが,それ以外の野菜では大差なかった。また茹で処理による減少率には栽培方法による差異はなかった。ホウレンソウの遊離シュウ酸含有量については,有機栽培が平均で慣行栽培の1.5倍の量を含有していたが,有意差は認められなかった。茹で処理後のシュウ酸含有量は有機栽培・慣行栽培ともに同程度となった。一方,輸入冷凍ホウレンソウの硝酸含有量についても調べた結果,商品によって3倍近い差が認められたが,いずれも国産ホウレンソウの生および1分間茹で・水さらしなしの試料の硝酸イオン量よりも低かった。また近年,健康のために青汁を飲む人も多いことから,青汁の硝酸含有量についても調べた。その結果,製品当たりの硝酸イオン量は0.6~220mgと大差が認められ,粉末製品よりも液体製品で多い傾向にあった。The difference in contents of nitrate and oxalic acid of commercial fresh green-leaf vegetables according to the cultivation method (organic cultivation and conventional cultivation) and after boiling was examined. The nitrate content of spinach cultivated by organic cultivation was significantly high, being 2 times greater than that by conventional cultivation. The nitrate content of other vegetables was no different according to the cultivation method. There was also no difference in the decrease of nitrate content by boiling according to the cultivation method. The oxalic acid content of spinach cultivated by organic cultivation was 1.5 times greater than that by conventional cultivation, although the difference was not significant. There was no effect of cultivation method on the oxalic acid content of spinach after boiling. The nitrate content of imported frozen spinach showed a difference of about 3 times among the samples, although the nitrate content of all imported samples was lower than that of raw spinach or spinach boiled for 1 min and not soaked in water that had been cultivated in Japan. The nitrate content of aojiru, the juice of young leaves of barley, kale, etc. that is currently considered as a health drink, was 0.6-220 mg/pack, the content of the liquid product tending to be greater than that of the powder product.
著者
菊田 周 近藤 健二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

新生嗅細胞の分化・成熟過程に、嗅覚入力がどのような影響を及ぼすのかを検討した。嗅上皮障害後の再生過程を観察すると、障害後14日以降で、鼻閉側の嗅上皮が薄く、嗅細胞数や成熟嗅細胞数も開放側と比較して減少していた。さらに新生細胞の成熟は、嗅覚入力期間ではなく、障害後7-14日の嗅覚入力に依存することを明らかにした。閉塞後再開放側の嗅球背側領域の匂い刺激に対する神経活動は、開放側と比較して低下しており、嗅覚入力遮断による嗅上皮障害後の組織学的な不完全再生は、嗅覚機能面にも影響を及ぼすことが明らかした。
著者
岡田 理香
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学共通課程研究論叢 (ISSN:09167706)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.49-62, 2008

J. R. R. トールキンの『ロード・オブ・ザ・リング』は、出版当初あまりよく売れない本だった。しかし年を経ていくうちに多くの人に読まれるようになり、今ではこの作品を知らない人はほとんどいない。今世紀の映画化によって、『ロード・オブ・ザ・リング』は世界中にその名を知らしめることとなった。 トールキンの作品は様々な要素を豊かに含んでいる。彼はミドルアースの歴史を作り、独自の言語を作り、登場人物たちの背景についても詳細に渡るまで書いた。さらにトールキンは伝説や神話、そして聖書などの要素を取り入れてこの作品を書き上げた。トールキン自身はこの作品にアレゴリーはないと述べているが、作者がカトリックの信者であったことから、作品の中に聖書的意味を見出すことは可能なものと思われる。例えば善と悪の戦い、登場人物の成長などが挙げられる。登場人物たちはそれぞれが役割を持ちながら、時折キリト的な性質に変わる。ガンダルフは戦いの後に蘇生して白のガンダルフへと生まれ変わり、フロドは他の人が負うことのできない重荷 --指輪-- を負ってモルドールへ向かう。アルゴルンはリーダーであり王でもある。サムはフロドの良き理解者であり、助け手でもある。また、最後に登場人物が別世界へ旅立つという点においては、著者が別世界The Kingdom of Heavenへ憧れていたことを示している。 トールキンはこの作品に、聖書に見られる人の賜物やキリストの姿、そして永遠の命を表わした。作品の中に深い意味を探ることは、作品を味わうという点でも、知識の幅を広げる点でも有益である。意味を知ることでより奥深い鑑賞ができ、それを共有することで、知恵も知識も深まっていくものと思われる。

2 0 0 0 OA 宇津保物語

出版者
巻号頁・発行日
vol.巻20,

2 0 0 0 OA 義経記 8巻

出版者
吉野屋惣兵衛
巻号頁・発行日
vol.[4], 1670
著者
林 周 山下 洋 川口 弘一 石井 丈夫
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.997-1000, 1989
被引用文献数
7 43

Japanese sardine larvae <i>Sardinops melanostictus</i> hatched out from field-collected eggs, were successfully reared for 30 days with the survival rate of 13% of initial egg number. The relation between rearing days (<i>D</i>) and number of sagittal otolith rings (<i>N</i>) was expressed by the linear regression of <i>N=0.99D</i>-1.88 based on the 31 reared larvae, and the slope is not significantly different from 1(<i>p</i>>0.05). It is proved that ring on the otolith is formed daily. The first ring is formed mainly 3 (2-5) days after hatching which coincides with the first feeding.
著者
グエン・ティ・タイン・トゥイ
出版者
一橋大学国際教育センター
雑誌
一橋大学国際教育センター紀要 (ISSN:21856745)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.69-80, 2017-07-31

日本語オノマトペが日本語学習者にとって習得が難しいことは、多くの先行研究で指摘されている。世界言語にはオノマトペが豊富な言語とそうでない言語があるがベトナム語は後者である。オノマトペに日常的に触れているベトナム語母語話者はオノマトペに対する馴染みがあり、日本語オノマトペの習得に強みを有すると予想される。しかし、本当に強みを有するのか、有するとしたらどのような点で強みを有するのかを明らかにするには、日本語オノマトペの習得方法や母語のオノマトペの使用状況の考察が必要である。本論文では、独自に制作したアニメーションを学習者に視聴させ、オノマトペの使用を誘出する特定の場面を日越両言語で描写してもらった。その上で、習得方法についてのアンケートも実施した。その結果、同じ場面において使用するオノマトペには日越両言語間に対応関係にある語が多く存在し、学習者はベトナム語訳で意味を覚えていることが判明し、その点で日本語オノマトペの習得に強みを有するという示唆を得た。
著者
プラガットウティサーン チュティア
出版者
国際基督教大学
雑誌
Gender and sexuality : journal of Center for Gender Studies, ICU (ISSN:18804764)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.29-50, 2005

性的虐待が文学研究で取り上げられるようになったのは最近の現象である。しかし,性的虐待の物語の稀少さはタイ社会で性的虐待がほとんど起きていないことを意味するものではない。性的虐待の語りの最も重要なテーマの一つは,虐待の体験者たちが見せる,自らの物語を語ることへの欲望と,その物語を語り得ないことに対する無念さとの狭間の緊張である。性的虐待の問題は,それを表現する媒体としてだけでなく,虐待の意味性を構築し挑戦する役割を果たすものとしての言語の問題と切り離すことはできないのだ。重要になるのは,語りと事実の間の呼応関係ではなく,ある歴史的状況のもとに物語が生産され消費される,その文化的枠組みの中に虐待の語りを位置付け考えることだろう。文化的現象としての性的虐待の語りの登場は,体験者の声と支配的言説の間に緊張を生み出し,そこにおいて私たちは体験者の役割と支配的文化における治癒力を考察することができる。この研究では,性的暴力がタイ社会で声を奪われていた理由を,SEA 賞の受賞者であるアンチャンの最新小説であるOn the Mouth of the World(2003)におけるレイプの表象を通じて考えたい。この小説は性の問題を正面から取り上げた数少ない文学作品の一つである。前書きの中で作者は執筆意図をタイ社会に置いてタブーとされてきた性の問題に光を当てることだと明言している。この小説は,アンという名の女性の物語が男性のナレーターのジョンによって語られる。ジョンによれば,アンは上流家庭に生まれた若く美しい,性的魅力のある女性である。彼女は反伝統主義者であり,ジョンを含む数え切れないほどの男性と遊びまわり関係を持つことで性差の既成概念を超越している。物語の転換点は彼女が妊娠に気付いた時点である。自分が父親かもしれないと考えたジョンは,彼女を助けようと考え結婚して家族を持とうと彼女に申し出る。しかし,彼女はその申し出を断り,代わりに子供時代に体験し現在のセックスに対する中毒を招くこととなった,義父や祖母付の運転手,自分の教師との性体験を告白する。アンの語りを聞いたジョンは彼女から離れる決意をする。彼は自分の語りを,おそらく変質的な性的欲望によって引き起こされたであろう彼女の悲劇的な死の報告と,ニーという女性との結婚から生まれた女の子をアンと名づけたことで締めくくる。この小説はタイ社会における性的虐待の典型的な受容と理解を表現した模範的なテクストとして読み解くことができる。アンについての物語であるが,彼女の物語の書き手となり自らの視点から彼女を解釈し評価するのは,男性の語り手であるジョンである。彼の語りにおいてジョンはアンを善良な少女か悪い少女のどちらかとして捉え,彼女のセクシュアリティに対する不安と,それを従属させたいという自らの欲望をその2 項対立に反映させる。自らの物語を語ることを押し通し父権的社会からは容認されていない役割を身に着けることで,アンは困難な状況にある女性を助け出す英雄というジョンのロマン主義的概念を打ち壊し,彼の物語が直線的な語りと整った結末を達成することを妨げる。アンの死は,既存文化の語りに自らの物語をはめ込むことを拒否する女性への父権の暴力を象徴していると言えるだろう。フェミニスト批評がもたらした解釈戦略によって,アンの物語を読み直し,男性的な語りの中に埋め込まれた女性のプロットを再発見することが可能になった。知識生産の状況に注目することによって女性の物語を発掘することができるのだ。奇妙に近しさのある虐待体験の世界から響くアンの声は,変質的な性的嗜好を持つ堕落した少女というよりは,無力で怯えた性暴力の被害者の物語を語る。この小説における真の悲劇は,アンの語りを読み理解することができず,結果として彼女を救うことに失敗するジョンにある。性にまつわる物語を語ることは簡単ではなく,リスクと期待が共に伴う。明白にレイプの証言であるアンのジョンに対する告白は,彼女が自分自身を誘惑の対象ではなく誘惑者であると主張する,ねじれた結末がある。一般的には物語の虚構性の証明と見なされるこのような矛盾は,被害者が自らの体験に意味性を与えようとする苦悩を表わしているのだ。ここに見られるのは,体験を乗り越え生き残るための被害者の関与と戦略だけではなく,虐待側が無垢を主張し虐待された側が恥と罪悪感を背負うというレイプの神話を被害者自身が内在化するという,複雑な過程である。つまり,学者や専門家が沈黙の打破を抵抗の現われとして称揚するのに対し,アンの告白から浮かび上がることは,レイプの言葉と男女間関係性の支配的構造が女性の抵抗を通じて自らを語り続けているということである。

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1938年09月07日, 1938-09-07

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1931年07月18日, 1931-07-18

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年02月14日, 1947-02-14