著者
澤田 隆介 岩田 通夫 梅崎 雅人 臼井 義比古 小林 敏一 窪野 孝貴 林 周作 門脇 真 山西 芳裕
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2B01, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
2

漢方薬(漢方方剤と呼ばれる葛根湯など)による医療は日本の独創的かつ伝統的な治療体系である。その有用性は、欧米でも注目されている。本研究では、富山大学和漢医薬学総合研究所が長年に渡り蓄積してきた莫大な漢方医薬情報を、統合的に解析するための情報技術を開発し、漢方薬の作用機序の科学的考察や、漢方薬の新規効能予測を行うアルゴリズムやデータベースを開発した。漢方薬、その構成生薬及び成分化合物と標的タンパク質の階層的関係から、漢方薬が生体に薬理学的効果を及ぼすメカニズムの考察を可能にするだけでなく、in silico結合シミュレーションや機械学習の手法を用いて、漢方関連ビッグデータを解析することにより、漢方薬の新しい適応可能疾患の予測(漢方薬リポジショニング)も可能にした。本研究で構築したデータベース「KampoDB」は、web上で公開している(http://wakanmoview.inm.u-toyama.ac.jp/kampo/)。
著者
小林 周平 陳 昱儒 井手 一茂 花里 真道 辻 大士 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.235-242, 2023-04-15 (Released:2023-04-25)
参考文献数
37

目的 高齢者の歩行量を維持・増加させることには多くの健康上望ましい効果が期待できる。しかし,健康日本21(第二次)中間評価では,高齢者の歩数が目標値まで達成できなかったことが報告されている。そのため,従来とは異なるアプローチに建造環境(街路ネットワーク,施設や居住密度,土地利用など人工的に造られる環境)を通じた身体活動量や歩数の維持・増加をもたらすゼロ次予防が注目されている。本研究では,建造環境の1つである生鮮食料品店の変化と歩行時間の変化との関連を明らかにすることを目的とした。方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が27市町の要介護認定を受けていない65歳以上を対象に実施した自記式郵送調査データを用いた2016・2019年度の2時点での縦断パネル研究である。目的変数は,歩行時間の2時点の変化(増加あり・なし)とし,説明変数は追跡前後の徒歩圏内にある生鮮食料品(肉,魚,野菜,果物など)が手に入る生鮮食料品店の有無の2時点の変化を5群にカテゴリー化(なし・なし:参照群,なしとわからない・あり,あり・あり,あり・なしとわからない,その他)したものである。調整変数は2016年度の人口統計学的要因,健康行動要因,環境要因,健康要因の計14変数とした。統計分析は,ロバスト標準誤差を用いたポアソン回帰分析(有意水準5%)で歩行時間の増加なしに対する歩行時間の増加ありとなる累積発生率比(cumulative incidence rate ratio:CIRR)と95%信頼区間(confidence interval:CI)を算出した。分析に使用する全数のうち,無回答者などを欠測として多重代入法で補完した。結果 歩行時間の増加ありが13,400人(20.4%)だった。追跡前後で徒歩圏内の生鮮食料品店の有無の変化が「なし・なし」(6,577人,10.0%)と比較した場合,「なしとわからない・あり」(5,311人,8.1%)のCIRRは1.12(95%CI:1.03-1.21)だった。結論 徒歩圏内の生鮮食料品店が増加していた者で,高齢者の歩行時間が増加した者の発生が12%多かった。暮らしているだけで歩行量が増える建造環境の社会実装を目指す手がかりを得られたと考える。
著者
林 周 山下 洋 川口 弘一 石井 丈夫
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.997-1000, 1989
被引用文献数
7 43

Japanese sardine larvae <i>Sardinops melanostictus</i> hatched out from field-collected eggs, were successfully reared for 30 days with the survival rate of 13% of initial egg number. The relation between rearing days (<i>D</i>) and number of sagittal otolith rings (<i>N</i>) was expressed by the linear regression of <i>N=0.99D</i>-1.88 based on the 31 reared larvae, and the slope is not significantly different from 1(<i>p</i>>0.05). It is proved that ring on the otolith is formed daily. The first ring is formed mainly 3 (2-5) days after hatching which coincides with the first feeding.
著者
宮代 彰一 林 周吾 安村 健 石川 剛 平尾 敏博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.866-879, 1997
被引用文献数
1 1

文献が何年くらい引用されるかで,その実効寿命を定義する。この値により,その分野の研究開発の動向が推察でき,かつ遡及調査での指針がえられる。本論文では,まず電子デバイス分野につき,IEEEの論文誌,Trans. on Electron Devicesでこれを調べた。最近(1995)では5.3年さかのぼれば,結果的にみて必要な論文の50%を調べたことになる。過去30余年にわたってみると,この値は年を追って長くなる。寿命の短いことは研究開発の始まりやその速さを示し,長いことはその積み重ねや成熟を示すであろう。次に他の分野,すなわち理工学,医学での多数の学会誌(1995)について調べた。いろいろな長さの寿命値をえたが,各分野の性格を表すものと推測した。
著者
山本 武 林 周作
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

食物アレルギーの患者数は急増しているが、未だ有効な治療方法がない疾患である。申請者は、病態モデルマウスを用いた検討により、漢方薬の葛根湯が食物アレルギーの発症を抑制することを明らかにしている。近年、腸管粘膜免疫系が食物アレルギーの発症に関与することが明らかになってきた。そこで本研究では、葛根湯による腸管粘膜免疫系に対する効果の検討を行い、葛根湯が腸管に制御性T細胞を誘導し、腸管粘膜免疫系を制御することにより治療効果を示すことを明らかにした。
著者
小林 周平 陳 昱儒 井手 一茂 花里 真道 辻 大士 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
pp.22-065, (Released:2022-12-23)
参考文献数
37

目的 高齢者の歩行量を維持・増加させることには多くの健康上望ましい効果が期待できる。しかし,健康日本21(第二次)中間評価では,高齢者の歩数が目標値まで達成できなかったことが報告されている。そのため,従来とは異なるアプローチに建造環境(街路ネットワーク,施設や居住密度,土地利用など人工的に造られる環境)を通じた身体活動量や歩数の維持・増加をもたらすゼロ次予防が注目されている。本研究では,建造環境の1つである生鮮食料品店の変化と歩行時間の変化との関連を明らかにすることを目的とした。方法 日本老年学的評価研究(JAGES)が27市町の要介護認定を受けていない65歳以上を対象に実施した自記式郵送調査データを用いた2016・2019年度の2時点での縦断パネル研究である。目的変数は,歩行時間の2時点の変化(増加あり・なし)とし,説明変数は追跡前後の徒歩圏内にある生鮮食料品(肉,魚,野菜,果物など)が手に入る生鮮食料品店の有無の2時点の変化を5群にカテゴリー化(なし・なし:参照群,なしとわからない・あり,あり・あり,あり・なしとわからない,その他)したものである。調整変数は2016年度の人口統計学的要因,健康行動要因,環境要因,健康要因の計14変数とした。統計分析は,ロバスト標準誤差を用いたポアソン回帰分析(有意水準5%)で歩行時間の増加なしに対する歩行時間の増加ありとなる累積発生率比(cumulative incidence rate ratio:CIRR)と95%信頼区間(confidence interval:CI)を算出した。分析に使用する全数のうち,無回答者などを欠測として多重代入法で補完した。結果 歩行時間の増加ありが13,400人(20.4%)だった。追跡前後で徒歩圏内の生鮮食料品店の有無の変化が「なし・なし」(6,577人,10.0%)と比較した場合,「なしとわからない・あり」(5,311人,8.1%)のCIRRは1.12(95%CI:1.03-1.21)だった。結論 徒歩圏内の生鮮食料品店が増加していた者で,高齢者の歩行時間が増加した者の発生が12%多かった。暮らしているだけで歩行量が増える建造環境の社会実装を目指す手がかりを得られたと考える。
著者
黄 彩実 來間 愛里 和形 麻衣子 山本 瑠美子 川口 晴菜 山本 亮 林 周作 石井 桂介
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.84-90, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
21

目的:一絨毛膜二羊膜(MCDA)双胎のSelective intrauterine growth restriction,Type Iの予後不良例の頻度と臨床的特徴を検討する. 方法:妊娠26週未満のType Iを対象とした後方視的コホート研究である.主要評価項目は妊娠あたりの予後不良(死亡[流産,胎児・新生児死亡])の頻度とした.副次評価項目は,急速遂娩を要する胎児機能不全,予期せぬ胎児死亡,MCDA双胎特有の合併症の頻度とした. 結果:40例において,予後不良は両児新生児死亡1例,smaller twinの胎内死亡3例の計4例(10%)であった.胎児機能不全,予期せぬ胎児死亡,およびMCDA双胎特有の合併症は,それぞれ10例(25%),1例(2.5%),17例(42.5%)であった. 結論:Type Iの予後不良は10%であり,さらに全体の約半数は特別な管理を要した.
著者
小林 周
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.205, pp.205_94-205_107, 2022-02-04 (Released:2022-03-31)
参考文献数
38

The paper analyzes Middle Eastern countries’ foreign aid and military activities in African countries through the lens of Economic Statecraft (ES), the art of employing economic means to exert influence over other countries and thereby pursue geopolitical and strategic goals. Due to changes in the strategic environment, such as the United States’ withdrawal from the Middle East and the escalation of intra-regional conflicts, Middle Eastern countries have pursued foreign and security policies that place greater emphasis on their national interests. Arab states in the Gulf and Turkey are upping their foreign aid to Africa and establishing military bases at geopolitical chokepoints to expand their spheres of influence. The economic and military expansion of Middle Eastern countries into Africa also intensifies competition among various state and non-state actors.There have been studies on foreign aid to African countries and on the establishment of military bases by Middle Eastern countries. By examining these regional dynamics from the perspective of ES, this paper seeks to decipher the complex and multi-dimensional competition, confrontation, and cooperation. Additionally, the paper investigates the effectiveness of the ES as practiced by non-major powers, which is often overlooked, the impact of ES on regional politics and security, and the linkage with international order and international security.ES is frequently discussed in the context of great power politics and strategic competition, such as the US-China rivalry. However, the same is true for regional and middle powers that use economic means to pursue their geopolitical objectives. The distinction is that great powers such as the US, China, and Russia are exceptional in the scale of their military and economic clout in international politics. Therefore, to better understand ES, it is necessary to focus on tactics being employed at the regional level and the geopolitical shifts that arise. This paper outlines the debate on ES in/towards/from the Middle East and examines the trends and background of the pursuit of geopolitical goals linked to foreign aid, which has accelerated in recent years. Then, as a case study, this paper focuses on the Middle Eastern countries’ intervention in Sudan and the Horn of Africa region, as well as the competition among the regional countries. The intervention of Middle Eastern countries in Somalia and Libya is also analyzed to demonstrate that ES involves various actors, including unrecognized states and non-state actors.
著者
山本 瑠美子 林 周作 光田 信明 石井 桂介
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.257-262, 2021 (Released:2021-09-06)
参考文献数
10

目的:分娩直前の遷延一過性徐脈または胎児徐脈(以下,直前徐脈と呼称)の新生児アシデミアに対する診断特性を明らかにし,胎児心拍数陣痛図所見の付加による診断特性の変化を検討する. 方法:当院2年間の正期産単胎症例を対象とし,分娩30分前までの直前徐脈の新生児アシデミア(臍帯血pH<7.2)に対する診断特性を算出した.さらに多変量ロジスティック回帰分析で新生児アシデミアに関連する胎児心拍数陣痛図所見を抽出し,その所見を加えた場合の診断特性も算出した. 結果:解析対象2,480例中362例に直前徐脈を認め,直前徐脈の新生児アシデミアに対する陽性的中率は17.7%だった.直前徐脈前の頻脈とレベル≧4,直前徐脈の時間≧6分と細変動減少が新生児アシデミアと関連し,これらの付加により陽性的中率は上昇した. 結語:直前徐脈の新生児アシデミアに対する陽性的中率は胎児心拍数陣痛図所見を加えることにより向上した.
著者
吉野 愛 金川 武司 林 周作 石井 桂介 光田 信明
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1051-1055, 2017-08-01

稽留流産の治療として待機的管理または外科的治療が行われている。当センターでも治療法の選択肢として外科的治療だけでなく待機的管理も選択肢として提示している。しかし,各治療成績についてのわが国の報告はまだない。そこで,当センターでの各治療法の成績を比較・検討した。対象は2011 年1 月〜2015 年12 月に当センターで稽留流産と診断した症例とした。診断時の患者希望により,待機的管理群(待機群),外科的治療(D & C)群に分け,各治療法の入院・追加処置を要する合併症発生率の比較,待機群で診断から14・21・28 日目までの胎囊排出率を求めた。対象となった稽留流産は326 例で,待機群は184 例,D & C 群は142 例であった。合併症発生率は,待機群で8%,D & C 群で6%に認め,有意差はなかった(P=0.51)。待機群での,14・21・28 日目までの胎囊排出率は,それぞれ68%・80%・86%であり,診断から21 日目までに大部分の症例で排出していたことがわかった。
著者
鈴木 康秋 伊藤 啓太 上原 聡人 上原 恭子 久野木 健仁 藤林 周吾 芹川 真哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.923-930, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

68歳,男性.肝障害精査にて当科受診.トランスフェリン飽和度,血清フェリチンが高値のため,鉄過剰症が疑われた.肝MRI(magnetic resonance imaging)IDEAL(Iterative Decomposition of water and fat with Echo Asymmetry and Least-squares estimation)IQのR2*MapによるR2*値が著明に高く,高度の肝内鉄沈着所見を呈した.肝組織生検の鉄染色では,肝実質細胞内に高度の鉄沈着をびまん性に認め,肝ヘモクロマトーシスの診断となった.MRI IDEAL IQによる新たな鉄測定法は,ヘモクロマトーシスの非侵襲的検査法として有用である.
著者
林 周作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.820, 2017 (Released:2017-08-01)
参考文献数
3

潰瘍性大腸炎は,大腸粘膜にびらんや潰瘍を形成する原因不明の慢性炎症性疾患であり,近年急速に患者数が増加している一方で,既存の治療薬に対して抵抗性を示すことが多く,新規で有用な治療薬の創出が求められている.青黛は,リュウキュウアイやホソバタイセイ等の植物から得られる生薬で,国内では藍染めの染料として用いられている.中国では以前から,潰瘍性大腸炎患者に対して青黛を含む中医薬が処方されており,我が国で行われた臨床試験においてもその有効性が示されている.そこで本稿では,これまで十分に解明されていない青黛の潰瘍性大腸炎に対する有効性メカニズムに関して,Kawaiらが行った最近の研究成果について紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Sugimoto S. et al., J. Gastroenterol., 51, 853-861(2016).2) Kawai S. et al., J. Gastroenterol., in press.3) Medina-Contreras O. et al., J. Immunol., 196, 34-38(2016).