著者
菊地 真人 山本 英子 吉田 光男 岡部 正幸 梅村 恭司
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D = The IEICE Transactions on Electronics (Japanese Edition) (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.4, pp.544-555, 2017-04-01

本論文では,観測頻度から条件付き確率を推定するという問題に取り組む.条件付き確率の推定は,データマイニングや実際の応用における基本的な操作であり,その推定方法によって手法の正確さが左右されることがある.一般に,確率推定では最ゆう推定値が用いられるが,低頻度に弱いという問題がある.この問題に対処するため,ベイズの枠組みがよく用いられる.ベイズの枠組みでは,データについての事前分布を推定し,事後分布の期待値を用いる.しかし,データをもとに事前分布を推定することは容易ではない.そこで,本論文では,事前分布として何らかの分布を仮定して事後分布の信頼区間を求め,その下限値を用いる手法を提案する.期待値は偏りのない推定値となる一方で,信頼区間の下限値は条件付き確率を保守的に見積もった推定値となる.実験によって,提案手法が低頻度に頑強であることを示す.更に,提案手法は事前分布として一様分布を用いた場合,ベイズの枠組みを用いた手法とほぼ同じ性能を獲得しうることを示す.
著者
松本 良央 加藤 守 中村 隆顕 郡 光則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第71回, no.データベースとメディア, pp.487-488, 2009-03-10
著者
座間 翔 篠埜 功
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2017-GI-37, no.7, pp.1-12, 2017-02-28

問題集などに掲載される数独の問題は,初期配置の数字が図や模様を描くように配置されているものがある.本研究ではそのような視覚的なデザインを考慮した問題制作を支援するため,初期配置の位置を問題制作者に指定させ,それに従って問題を自動生成する手法を提案する.この手法では,指定されたマスへの数字配置と配置した数字の変更によって問題を生成する.その際,マスに入る数字の可能性を絞り込むような数字配置手法や,解探索で解の求まらないマスを減らす数字変更基準を設け,唯一解を持つ問題生成の成功率を高める.また,唯一解の探索は人間が通常用いる解法を実装した解探索アルゴリズムにより行う.さらに,制作者による問題の難易度設定の補助として,より難易度の高い問題を自動生成する手法を考案し,実装した.
著者
義久 智樹 原 隆浩
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.898-907, 2017-04-15

センサなどのモノがインターネットに接続される流行は,IoT(Internet of Things)と呼ばれ,近年非常に注目されている.これらのモノから継続的に発生するデータを入力として,あらかじめ登録された問合せ(連続問合せ)を実行するストリーミング処理技術が研究されている.これらの研究では,データが入力されてから連続問合せの結果を得るまでのストリーミング処理にかかる時間を短縮している.近年のIoT環境の普及により,高頻度なデータの発生源が分散してインターネットに接続されており,さらなるストリーミング処理時間の短縮が求められている.そこで本研究では,IoT環境におけるストリーミング処理時間短縮手法を提案する.提案手法では,センサが接続された処理サーバが分散していると想定したうえで,各連続問合せを個別に処理できるいくつかの部分条件に分割してストリーミング処理を行う.評価の結果,提案手法は従来手法よりも最大通信ホップ数と平均通信量を削減でき,ストリーミング処理時間を短縮できることを確認した.
著者
仁枝 元良 吉田 敦 片岡 通明 有馬 政登 鳴海 馨 成田 久雄 笹崎 郁雄 宮城島 実香
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第41回, no.人工知能及び認知科学, pp.85-86, 1990-09-04

AI開発環境として開発される多くのツールは,従来開発に利用されてきたシステム構築のためのツールや技法とは異なった文化を背景としており,知識処理システムは従来のシステムと独立して開発される場合が多かった.そのためにエキスパートシステム(以降ESという)開発ではLISP,PROLOGベースで固有のモデルを構築するため以下の問題が発生していた.・省資源,高性能の知識処理システムの構築が難しい.・データベース,ネットワークなどの既存システムとの融合が難しい.これらの問題を解決するために,COBOLベースのES構築支援ソフトウェアーYPS/KR(YacII Programming System/Knowledge Representation)を開発し,既存システムとESの自然な融合を実現した.YPS/KRのシステム構成は以下のとおりである.・WS上でのモデル編集/構築を行う開発環境・ホスト上で実行するために知識表現形式をCOBOLに変換するYPS/KRであり,COBOLのプリプロセッサである.本論文ではオブジェクト指向とイベント駆動型推論を中心にYPS/KRの概要について述べる.
著者
梶 晴美 高波 千代子
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学北方圏学術情報センター年報 = Bulletin of the Northern Regions Academic Information Center, Hokusho University (ISSN:21853096)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.5-14, 2012

本稿は,フィンランドのパーソナル・アシスタンス(PA)制度の制定経緯とそれに対する当事者運動のかかわり,および2008年12月に改正されたフィンランドの障害者のためのサービス及び援助法について,新PA制度の内容,特に改正による障害者,行政,ソーシャルワーカーへの影響について,2011年1月に実施した現地での聞き取り調査をもとに検討した。1987年の障害者のためのサービス及び援助法制定時も2008年の法改正にも障害者団体の運動が強く影響していると考えられた。特に,最初の法制定時は障害者団体が単体で運動していたものが,2005年以降複数の種別の異なる障害者団体がネットワークを築いたことが,2008年の法改正,PA 制度義務化への大きな原動力になったと思われる。改正法での新PA 制度は,理念として障害者の自己決定権をより強く打ち出しているものの,実際には雇用者モデル以外では自己決定権が十分保障されているとは言い難く,雇用者としての義務と責任を果たすことが難しい人への支援策も十分ではないと思われた。国民性の違いを考慮すると一概には言えないが,雇用者の義務と責任を第三者がどのように支援すれば,雇用者モデルでPA を利用できるようになるのかを検討することに意義はあるだろう。また,新PA で課せられたサービス計画の策定は,ソーシャルワーカーがゲートキーパーとなり自治体の支出をコントロールする重要な役割を負っている反面,ワーカーにとっては非常に負荷の大きい作業であり,策定後のモニタリング不足などの課題があることが示唆された。
著者
Tsung-Che Wei
雑誌
AGI Working Paper Series = AGI Working Paper Series
巻号頁・発行日
vol.2017-06, pp.1-26, 2017-02

Taiwanese SMEs (small and medium enterprises) have been the source of creativity and the key driving force of economic growth early on in the 1960s, key partners in supply chain and industry clusters later, and recently focal point of local economy, social value, and dreams for young generation. However, based on the “White Paper on Small and Medium Enterprises in Taiwan,” in recent five years, share of SMEs in existence over 20 years was in the range of 21% to 23%, far below the average 35% of large enterprises. This shows the business succession / transition remains a major challenge to SMEs as going concerns. Further, compared to large enterprises, SMEs in existence over 20 years suffered significant sales decline and “the crisis of the elderly age” as their firstgeneration entrepreneurs got into old age and lost their vitality and creativity. It has become an important issue for sustainable development of SMEs to reactivate the entrepreneurial spirit, combined with sound “second-generation succession” and business transformation strategy. In this paper, we use the two key factors of succession and business transformation to analyze how the Taiwanese SMEs to reactivate the entrepreneurial Spirit. The research results provide some policy implications for Succession and transformation of Taiwanese SMEs. These points are suggested as: (1) promote market-oriented business management courses in colleges and universities to cultivate curiosity and creative thinking of potential new generation of successors;(2) form professional succession team in response to new business opportunities; (3) integrate existing knowledge exchange platforms for succession to provide customized mechanisms of knowledge sharing and exchange services required for different types of succession; (4) provide succession planning adviser or match professional managers to succession needs for SMEs' sustainable development as going concerns; (5) encourage new generation successors of SMEs to obtain innovation awards that could reactivate the entrepreneurial spirit; (6) grasp the opportunity of succession and transformation to guide SMEs towards institutionalized management; (7) establish SME succession and transformation follow-up service mechanism linking research institutions, universities and private sector professional consulting companies to meet long term counseling needs for SME succession and transformation; (8) strengthen cross-industry cooperation mechanism for SMEs’ sustainable development in order to guide the SME succession and transformation toward the direction of “professionalism,” “branding,” and “internationalization.”
著者
福地 佳代子 濱田 淑子
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 = Tohoku Fukushi University Serizawa Keisuke Art and Craft Museum annual report
巻号頁・発行日
vol.3, pp.67-84, 2012-06-23

昭和35(1960)年6月22日〜12月12日にかけて朝日新聞に連載された佐藤春夫の小説「極楽から来た」で、芹沢銈介は挿絵を型絵染の技法で表現するという初の試みに挑戦した。新聞連載「極楽から来た」は好評を博し、翌年2月に単行本が刊行、7月には挿絵のみを独立させた芹沢銈介作「極楽から来た挿絵集」が頒布されたが、その都度一部の挿絵には改変が加えられた。「極楽から来た」の制作において、芹沢と佐藤との間をとりもった明石・無量光寺の住職小川龍彦師は、連載の開始前から終了後まで、約130通の書簡を芹沢に送っており、その中には佐藤春夫の意向を受けた改変依頼をはじめ、図様の誤りや出版社による掲載順の間違いなど、重要な指摘がある。小川師書簡の精査を通して、「極楽から来た」制作のいきさつと、芹沢の試行の跡をたどる。
著者
愛知大学図書館
出版者
愛知大学図書館
雑誌
韋編:愛知大学図書館報
巻号頁・発行日
no.42, 2016-02-18
著者
多田 圭吾 岡村 亮吾 山西 良典 加藤 昇平
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-91, no.12, pp.1-6, 2011-07-20

近年,Desktop Music(DTM) 関連機器やソフトウエアなどの発展・普及により,音楽を嗜む一環として作曲が注目されているが,作曲は高度な知識や経験を必要とする.そこで本研究では,楽譜コンテキストのベイジアンマイニングに基づく自動伴奏付与システムを提案する.提案システムでは,音楽の時間的変動を楽譜コンテキストとして扱い,ベイジアンマイニングを用いて学習曲における音楽構成要素間の因果関係を学習する.提案システムは,ユーザの音楽経験の有無に関わらず,任意のニュアンスが付与された伴奏を生成する.伴奏生成実験および主観評価実験によって,入力されたメロディに応じて学習曲のジャンル的ニュアンス,および,印象的ニュアンスが付与された伴奏が生成されることを確認し,また既存システムとの比較実験により提案システムの高い有用性を確認した.
著者
青木 輝勝 細越澤 仁 大山 義仁 ウィドヨクスタルト 米田 進 安田 浩
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.89(2000-AVM-030), pp.49-54, 2000-09-22

近年、インターネットにおけるQoS保証方式に関する研究が盛んに行われているが、QoSに関する諸問題は、ネットワーク、プロトコル、アプリケーション等多くの要因に依存するため、いまだに多くの解決すべき課題が残されている。特に、ネットワークQoSをユーザが感じるネットワーク品質(ユーザQoS)との関係を明確にすることはネットワーク設計を進めるうえで極めて大切である。本稿では、対戦型ゲームを用いたネットワーク実験を行うことにより、ネットワークQoSがユーザQoSに与える影響を考察する。
著者
加藤 弘之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.310-317, 2017-03-15
著者
鄧 紅
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.12, pp.103-126, 2014-03

この論文は、六節に分けて、日中両国における「儒教」、「国教」、「化」という概念を検討することを通じて、日本で四十年以上も続いてきた儒教国教化論争の歴史を回顧し、いわゆる「福井再検討」の問題点を指摘し批判するものである。
著者
西 基
出版者
北海道医療大学看護福祉学部学会
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部学会誌 = Journal of School of Nursing and social Services, Health Sciences University of Hokkaido (ISSN:13498967)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.3-7, 2014-03-31

看護学を学ぶ男子学生は,しばしば学生生活上の困難を経験することから,「政府統計の窓口」に公表されている資料を元に,最近数年間の大学・短期大学3年課程・看護師3年課程それぞれにおいて,入学者がストレートで卒業する割合などを,男女別に推定した.いずれにおいても,卒業者およびストレートで卒業した者における男子学生の割合は有意に少なく,卒業延期者や前年度卒業延期者においては,男子学生の割合は有意に多かった.男子学生のストレート卒業率は,大学で87.1%,短期大学3年課程では79.3%,看護師3年課程では77.7%で,いずれも女子学生より有意に低かった.男子学生に対しては,教員や職員の様々な支援が必要であると考えられた.