著者
李 哲権
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.41, pp.219-230, 2010-03-31

漱石文学の研究には、一つの系譜をなすものとして〈水の女〉がある。従来の研究は、このイメージを主に世紀末のデカダンスやラファエル前派の絵画との結びつきで論じてきた。そのために「西洋一辺倒」にならざるをえなかった。拙論は、それとはまったく異なるイメージとして〈水の属性を生きる女〉という解読格子を設け、それを主に老子の水の哲学や中国の「巫山の女」の神話との関連で考察する。
著者
松下 勇夫 川嶋 稔夫
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.105(2005-CH-068), pp.41-48, 2005-10-28

本研究では、出所が明確でなく付加情報が少ない写真資料に基づいたディジタルアーカイブを設計するにあたって、コミュニティサイトとGPS携帯電話を連動させたハコログシステム(HAKO-LOG system)を開発し、注釈や位置情報、それらの信頼性情報の収集・蓄積を行ってきた。本稿では、ハコログシステムの仕組みとこれまでにハコログを利用して地域の市民と取り組んできた情報収集の試みについて報告する。
著者
渡邊 純一郎 望月有人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3899-3907, 2008-12-15

さまざまな情報端末を用いて膨大な情報にアクセスすることが可能になってきているが,それらのユーザインタフェースはコンテンツの検索性という点において複雑さを増している.本研究では,複雑な操作を必要とせず所望のページにアクセスできる「本」という情報メディアに着目し,パラパラとページをめくる操作をメタファとしたブラウジングインタフェースを試作した.薄いシート状のデバイスを曲げる操作により,曲げによる弾力を手や指にフィードバックとして与えることで,実世界の本のページを自在にめくる感覚でデジタルコンテンツのブラウジングを行うことができる.このインタフェースは既存の情報端末向けのタンジブルな操作デバイスとしてだけでなく,技術開発が進んでいるフレキシブルディスプレイ向けのインタフェースとしての応用を視野に入れている.
著者
SURAJAYA I Ketut
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
アジア太平洋地域におけるグローバリゼイション、ローカリゼイションと日本文化 Volume 1
巻号頁・発行日
pp.245-257, 2010-03-19

Globalization, Localization, and Japanese Studies in the Asia-Pacific Region : Past, Present, Future, シドニー大学, 2003年11月10日-13日
著者
岸本 章宏
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.1-8, 2004-11-12

将棋では別手順によって同一局面に至ることがあるために,詰将棋解答プログラムはハッシュ表を用いるのが普通である.ハッシュ表の利用によって,探索に必要な空間を大幅に減らすことができるのだが,将棋には元の局面に戻る手順が存在するために詰将棋プログラムでは,詰む問題を不詰めと間違えるGHI(Graph History Interaction)問題を引き起こすことがある.本論文では[8]の手法を利用してGHI問題に対する正当でかつ効率のよい解決策を提案する.さらに本手法を詰将棋プログラムに実装した結果,詰みの性能を保持しつつ,難解な不詰の問題を解くことに成功した.
著者
市野 順子 磯田 和生 上田 哲也 佐藤 玲美
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.1162-1173, 2015-04-15

本稿では,インタラクティブディスプレイの角度(0°・20°・45°・90°)が人々の社会的な行動に与える影響を探る.フィールドスタディでは,約4カ月間にわたり合計900人以上の来場者の量的および質的データを収集した.本研究から以下のことが明らかになった:(1)知的好奇心の高い来場者の注意を誘うには水平に近いディスプレイが効果的である.しかしディスプレイ空間にすでに人がいる状況では垂直が効果的である.(2)タッチジェスチャータイプのインタラクティブ展示を,時間をかけて体験してもらいたい場合は水平あるいは垂直が効果的である.特にルーペ機能を含む場合は垂直が有効である.(3)来場者は0°~45°のディスプレイ空間にいるとパーソナルスペースを意識しやすく,45°に近い方がそのサイズが大きい.コンテンツを介した人と人のコミュニケーションを促したい場合には,垂直のディスプレイが有効である.また,調査結果全体から,45°のディスプレイは,必ずしも0°と90°の中間的な性質を有した「無難」な角度ではないことが示唆された.これらの知見は,ミュージアムのインタラクティブ展示や,その他の公共の空間に設置するディスプレイを設計する際に有用である.
著者
宝珍 輝尚 野宮 浩揮
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2014-CH-101, no.5, pp.1-7, 2014-01-18

伝統技能の継承を目的として,「間」 に着目して基本動作についての検討を行ってきている.これまでに,「間」 の種類についての考察を行い,また,茶道のお点前から 「間」 に着目して基本動作の導出を試みてきている.本論文では,まず,テンポを変化させて表情付けや感情込めをする演奏・動作を 「間」 ととらえ,その開始と終了についての考察を行う.ここでは,「早く開始」,「遅れて開始」,ならびに,「遅れて終了」 が使用されていることを示す.次に,動作における 「間」 に着目した基本動作の導出の妥当性を検証する.導出にあたっては,おおまかな動きをもとに典型的な基本動作の区間と類似した区間を求める方法を採っているが,適切な区間長,おおまかな動きの程度,ならびに,類似か否かを判断する閾値が必要である.本論文では,これまでに得られている値が妥当であることを示す.また,基本動作の導出を試みる.
著者
孫 セイ媛
雑誌
崇城大学芸術学部研究紀要
巻号頁・発行日
no.7, pp.151-157, 2014

チャイナドレスは中国語で「チーパオ」といい、中華民国時代から現在にかけて世界的に注目されているファッションアイテムの一つである。海派チーパオはチーパオの一つの種類である。中国では現代チーパオと言えば、海派チーパオが代表的なものである。チーパオの歴史を見てみると、清朝の貴族である「旗人」たちが着装した服から派生し、1920年代の上海で現在の形が誕生した。租界を通じた西洋文化の浸透や、消費文化の拡大を背景に誕生したこの新しい服飾は、やがて当時の「モダンガール」の流行のファッションとして一世を風靡する。国内からの視点で見ると、新文化運動と五四運動を契機として古い社会(関門鎖国の清朝政府)を変革し、新しい時代の正統な政治体制を確立する原動力として女性(学生、女工など)に大きな期待が寄せられることになる。国外からの視点で見ると、中国の門戸開放によって、多くの外来会社が拡大されながら、租界が増え、外国人と中国の地方からの移住者が増えていた。各国と各地方の消費者を満たすため、伝統と西洋を結び付けた商品が生まれた時代でもある。「服」は「時代性の特徴の表現手段」と「個人の表現手段」の役割がある。そのような1920~40年代における「チーパオ」は、当時の人々の生活文化の表象そのものであった。本研究は、服飾が「服飾」として独立して存在するのではなく、それは社会構造に現れた一つの現象であるという視点から、当時の世界情勢や経済的状況、文化や習慣などを読み取ることにより、服飾に対する社会の価値観や服飾文化の変化、ファッションの変化などを明らかにしチーパオのデザインの時代性を解明することを本研究の目的とする。
著者
辰己 丈夫 村上 祐子 大谷 卓史
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.45-52, 2015-08-10

コンピュータが登場してから約 70 年、その間、コンピュータは様々な場面で用いられてきた。用途 の適切性に関しては、情報倫理学の観点での研究が進んでいる。一方で、2045 年には、強い人工知能が広 く普及し、人間の知能を越える「技術的特異点(シンギュラリティ)」を迎えるという予想がされている。 その時代に通用する情報倫理とは何か、私達はそれをどう学ぶことができるのかについて、議論を行う。
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦 Yasuichi Nakayama Yoshiaki Nakano Hiroyasu Kakuda Yasushi Kuno Mitsugu Suzuki Tsutomu Wada Masami Hagiya Katsuhiko Kakehi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. コンピュータと教育 (CE)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.11, pp.1-9, 2015-10-03

本論文では、高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため、都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と、免許外教科担任の許可の状況を調査した。その調査結果を報告するとともに、わが国の情報教育のありかたについて考察する。
著者
室町 さやか Muromachi Sayaka 千葉経済大学短期大学部非常勤 CHIBA KEIZAI COLLEGE Part-time Lecturer
雑誌
千葉経済大学短期大学部研究紀要 = Bulletin of Chiba Keizai College (ISSN:13498312)
巻号頁・発行日
no.9, pp.45-54,

Many musical methods and teaching materials for preschool children are currently introduced and published in Japan. Although this phenomenon reflects that the importance of musical education for infants is extensively admitted, it is the fact that the materials whose purpose is unclear for the early childhood education are increasing these days. On the other hand, it is reasonable that the old nursery songs and traditional music of Japan are payed attention as a reaction against for attaching to occidental music since the Meiji era in the history of school education. This study argued about odaly method which was established by a hungarian pedagogist Kodaly Zoltan and considerd how to teach the Japanese nursery songs to infants along the musical purpose.
著者
中山 貴夫 宮下 健輔
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.39, pp.1-7, 2017-02-24

京都女子大学では,2015 年 9 月のサーバシステム更改において学内に仮想化基盤を構築し,2015 年 10 月から Web ・ DNS ・ ファイルサーバなど学内の主要なサービスを移行した.しかし,メールについては従来の Web メールサービスを廃止して SMTP ,POP ,IMAP サーバの提供にサービス方針を変更した.そこで 2016 年 9 月末までの 1 年間をユーザへの周知及び移行期間として旧システムと新システムを並行稼働し,2016 年 9 月末に旧メールシステムを停止した.本稿では,メールサーバのログからユーザのサービス移行状況や利用状況を分析した結果を報告するとともに,今後のメールサービスのあり方について検討する.
著者
田中 大海 城戸 翔大 長田 智和 谷口 祐治
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-36, no.38, pp.1-4, 2017-02-24

琉球大学工学部情報工学科では,システム管理チームと呼ばれる有志の学生が,教員の指導の下で教育情報システムの設計 ・ 構築を行い,運用している.現在運用しているシステムは平成 27 年 10 月に初期構築されたものである.本システムは運用開始から 1 年が経過し,システム管理チームはさまざまなトラブル対応や運用の改善を行ってきた.本発表では,本学科における学生による教育情報システムの運用管理に関する取り組みを報告する.