著者
清田 陽司 椎橋 怜史 二宮 健 横山 貴央 塙 拓朗 衛藤 剛史 横山 明子 菊地 慧 小林 武蔵 亀田 朱音 瀧川 和樹 齋藤 裕介 花多山 和志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表では、人工知能(AI)技術によって不動産分野のユーザーエクスペリエンス(UX)を革新する試みについて述べる.(1) 不動産物件写真にディープラーニングを適用することにより,物件写真への自動アノテーションの実装と、「街頭にスマートフォンのカメラをかざすだけで物件を検索する」という新しいUX創出を実現した.(2) 適正な価格の推定が難しいという不動産売買取引におけるUXの問題に対して、機械学習による参考価格算出アルゴリズムにより、日本全国のマンションの参考価格を地図上に提示するサービスを開発した.
著者
成田 穂 木村 大毅
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

AlphaZeroに代表されるようなモンテカルロ木探索と深層強化学習の組み合わせにより、素晴らしい高い性能が達成されているが、その計算コストは高く、また長い計算時間がかかるという問題点がある。本研究では、MCTSをベースとして、「失敗度」の概念を取り入れたアルゴリズムを提案する。失敗度は効率的な探索を可能にし、学習時間を削減する。これにより、エージェントは勝敗を分ける重要な局面を重点的に探索することが可能になる。我々の手法は最初の数イテレーションでAlphaZeroを超える性能を示した。
著者
Bahareh Kamranzad Nobuhito Mori
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

Indian Ocean experiences intensive tropical cyclones in both northern and southern parts. The Northern Indian Ocean (NIO) includes 7% of the global tropical cyclones which results in generating severe wave climate during the extreme events. In this study, future change of tropical cyclone-induced waves due to climate change is assessed in terms of change in the spatial distribution patterns and magnitude. The cyclone seasons in NIO are divided by pre-monsoon (especially May) and northeast monsoon (October–December). Moreover, there are few cyclones form the southwest monsoon during June and September. Hence, the assessment of future change of intensity of tropical cyclones and the generated waves is necessary to be performed on a monthly scale. For this purpose, wind field obtained from super-high-resolution atmospheric global climate model MRI-AGCM3.2S of the Japan Meteorological Agency (JMA) -with horizontal spatial and temporal output resolutions of 20 km and 1 hr., respectively- was used to force a numerical wave model (SWAN) in historical (1979-2003) and future (2075-2099) periods (based on Representative Concentration Pathway (RCP) 8.5 scenario).Spatial distribution of annual extreme events in the domain shows that the concentration of tropical cyclones is in the NIO and around Madagascar (located in the Southern Indian Ocean (SIO)) generating high waves of the magnitudes of around 20 m during the events. Spatial distribution of monthly maximum values of the historical and future wind speed (WS) and significant wave height (SWH) indicates that according to historical projection, intense cyclones happen during May and June in NIO, while they can be observed mostly during December to April in the SIO. The future monthly distribution of cyclone induced waves in SIO shows a similar pattern to the historical events, except for winter tropical cyclones (November and December), which are decreased in the future, while increasing in the intensity can be observed during October and April in NIO.Monthly variation of maximum events in the domain was assessed in the NIO and SIO, separately. According to the past studies, due to the global warming, tropical cyclones of hurricane intensity -which currently occur only in the pre and post-monsoon seasons- will likely be formed even during the summer monsoon in NIO. Our results illustrate an increase in the intensity of cyclones in the future, not only during the summer monsoon (July) but also during the winter monsoon (September and October). Results show that the range of change in the highest SWH in NIO is between -27% (in February) and +26% (in October). In the northern part of SIO, the intensity of future tropical cyclones will increase during the southwestern inter-monsoon season (March and April), whereas it will decrease at the end of southwestern monsoon season (September). In the southern part of SIO, the intensity of tropical cyclones will increase around 20% during northeastern monsoon (February and March), which results in a future increase of 40% in maximum SWH in February. Generally, change in highest SWH in the future follows the pattern of WS except for the northern parts of SIO when the highest increase in maximum SWH (21%) occurs in March whereas the highest increase in maximum WS occurs in April (25%). There is a 20% increase in maximum WS during February in southern parts of SIO which can be a reason for the increase of SWH during March in northern parts. It can be concluded that the change in the intensity of future tropical cyclones in NIO is higher than SIO. The range of change in highest SWH in NIO is larger than SIO, except for February when the maximum wave height in southern parts of SIO will increase about 40% in the future. Furthermore, the change in maximum SWH in northern parts of SIO seems to be affected by the change of tropical cyclones in southern parts of SIO.
著者
丸崎 恒司 津田 和彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,企業の特許戦略が量から質へと変換しつつあること,企業間の特許係争が増加傾向であることを受け,不要な特許出願の抑制や,競合他社の保有する特許の無効化のため,特許調査の需要はますます増え続けている.中でも外国特許調査の需要は高い. これらの特許調査においては,漏れのない調査のために,調査対象となる発明に関連した用語のみならず,その同義語や上位概念あるいは下位概念の用語を検索語として調査することが一般的である.よって,特許文書に特有の上位概念化・抽象化した用語を網羅した同義語辞書を作成することができれば,特許調査における最適な検索語の抽出や,類似文書の自動抽出ツールにおける精度向上などに有益と考えられる. そこで本研究では,欧州特許出願のEuropean Patent publication,European Patent Specificationから自動的に英文の同義語辞書を構築する方法を提案する.
著者
山内 啓之 小口 高 早川 裕弌 飯塚 浩太郎
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-05-17

Free and open source GIS software has been utilized for GIS education all over the world. However, as far as we recognize, GIS education in many Japanese universities underutilize such software packages. Therefore, we developed GIS exercise materials explaining spatial data analyses using free and open-source GIS. We have been providing these materials for higher education and designated them as the GIS Open Educational Resources. We used the materials in a university exercise class, which was held as an intensive course for three days at The University of Tokyo. During the exercise, we have conducted questionnaire surveys to clarify the three criteria: difficulty, understanding and satisfactory levels of the students. The results showed that the students felt difficulty in some situations such as the utilization of GIS for the first time and complex operations using different types of data. The contents of the exercise syllabus and materials were improved based on the feedback. We conducted another GIS exercise class at the university to verify the utility of improvements. In this presentation, we show the improvements in the exercise syllabus and the comparison of educational effects on students before and after the improvements.
著者
宋 苑瑞 西浦 忠輝 小口 千明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

沖縄の首里城公園内にある園比屋武御嶽石門は「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」の一カ所として2000年に世界遺産に登録された.石門とその奥の森を園比屋武御嶽といい,琉球王国の国王が外出するときに安全を祈願する礼拝所として使われてきた.1519年に琉球石灰岩で建てられ,1933年には旧国宝に指定されたが沖縄戦で大破され,1957年に復元された後に解体修理し1986年に完成し,1972年国指定建造物になった.解体修理時には古い屋根石を使用したが,この際にクリーニングや撥水性シリコーン樹脂の含浸や表面の穴埋めを行った.現在は図1でも確認できるように,石門全体の色は黒っぽくなり,屋根(右側が古屋根材を使用したところ)の部分の穴埋め箇所とオリジナル石材とは色の差も目立つようになっている.穴埋めとシリコーン樹脂塗布から30年後の状況を色彩計を用いて定量的に把握し,今後の修理処置に役立てられることを本研究の目的とする. 修復された屋根の表面の色や石門の全体的な色の把握するために,石門の表面の51か所で分光測色計(コニカミノルタ社製,CM-700d,測定径Φ8mm)を用いて定量的測定を行った.この測定器は,測定時間はわずか1秒程度で,簡便に携帯できる特徴があり,多様な分野で使用されている.石門の正面から見た際に黒色化した部分の割合をPhotoshopを用いて求めた.石門の表面温度を測定擦るため,FLIR社製の熱カメラを用いて,表面の温度分布を把握した.一年中の気温と湿度の変化を把握するために,那覇市市民文化部文化財課の許可を得て,ボタン型温湿度測定器(ハイグロクロン)を石門の南側の左上の方に設置し,観測を行った. 分光測色計による測定の結果,修復当時は石灰岩の色が明るく,屋根部分に修復材とほぼ同じ色だったが,30年後は変色速度や状況が異なり,修復材の方は灰色に,本来の石材はより黒色になっている箇所が多かったことが分かった.園比屋武御嶽石門の屋根の下で観測された年間平均気温は24℃,平均湿度は81.5%で,高温多湿な亜熱帯気候の特徴が見られた.冬季の平均気温も22.1℃で,湿度も80%に至り,最低気温も8.5℃だった.そのため,植生の成長がとても速く,建物の表面の色に影響を与えた可能性がある.
著者
武村 俊介 松澤 孝紀 野田 朱美 利根川 貴志 浅野 陽一 木村 武志 汐見 勝彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

沈み込みプレート境界浅部で発生するスロー地震は、プレート境界の摩擦状態などの構造的特徴を知る鍵となる(例えば、Saffer and Wallace, 2015 Nature Geo.)。本研究では、室戸岬沖から紀伊半島南東沖にかけての領域で発生した浅部超低周波地震に着目し、浅部超低周波地震の活動の空間変化から発生域の構造的特徴を明らかにすることを目的とする。Asano et al. (2008 EPS)の手法で得られた浅部超低周波地震の検知時刻周辺を解析時間窓として、周期20-50秒の帯域のF-net速度波形に対してTakemura et al. (2018 GRL)のCMT解析を行い、浅部超低周波地震の発震時刻、震央位置、地震モーメントおよび震源時間関数のパルス幅を推定した。CMT解析のためのGreen関数は、Takemura et al. (2019 PAGEOPH)の3次元不均質構造モデルを仮定した地震動シミュレーションにより評価した。2003年6月から2018年5月の期間に検知された浅部超低周波地震に対してCMT解析を行ったところ、室戸岬沖、紀伊水道沖および紀伊半島南東沖のトラフ軸付近に低角逆断層の解が多く推定された。得られたCMTカタログから、それぞれの領域における積算モーメントを評価し、その空間変化を調べた。室戸岬沖、紀伊水道沖および紀伊半島南東沖の領域で積算モーメントが高く、紀伊半島南方沖では小さいことがわかった。浅部超低周波地震の活動域の構造的特徴を明らかにするため、得られた積算モーメントの空間変化と、すべり欠損速度(Noda et al. 2018 JGR)およびS波速度構造(Tonegawa et al. 2017 Nature Comm.)を比較した。浅部超低周波地震の積算モーメントが高い領域は、すべり欠損速度が大きい領域の周囲に位置し、プレート境界直上に顕著な低速度領域が存在することがわかった。低速度領域から流体の存在が示唆され、浅部超低周波地震の発生は流体とすべり欠損速度の両方が鍵をにぎると考えられる。謝辞F-netの広帯域速度波形記録を使用しました.スロー地震学のスロー地震データベースよりカタログをダウンロードしました(Kano et al., 2018 SRL).地震動計算には地球シミュレータを利用しました.
著者
小宮 剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

日本で近代科学が産声をあげて約150年、この間、日本の研究者は公的資金を用いて国内外から、非常に多くの地球試料や隕石、地質・地形情報など(宇宙・地球研究資料)を集めてきた。しかし、博物学が重要な位置付けを占める欧米と異なり、日本では研究のために資料を保管し、キュレーションするといった設備の整備が極めて立ち遅れている。そのため、学術的価値の高い試料や大きな発見につながった科学的遺産試料でさえ放置・紛失・廃棄されてきた。さらに、開発や紛争などによって試料採取が不可能になるケースや各国で岩石・生物・化石試料の採取や輸出が制限されるケースが年を追うごとに増加し、研究試料の確保の困難が浮き彫りになってきた。 しかし、カンブリア爆発を創出したバージェス頁岩や最近注目を集める希土類元素に富む深海泥の研究は、30〜50年もの長い間、公的機関に保管された試料の研究から始まっている。さらに、現時点では不可能な古代ゲノム研究、岩石・化石試料の超微量分析、東日本地震を引き起こした断層岩の極微量・微小解析なども、急速に進歩する研究技術の進展を考えると、近い将来可能となることが期待されるが、その時には対象の試料を確保することがもはやできないといった問題に直面することが危惧される。 また最近、科学の社会的還元や信頼性の保証のため、論文やデータのオープンアクセス化やデータの元となった資料の保管の必要性がヨーロッパ諸国から強く唱えられ、今や中国さえもそのような国際的な取り組みに主体的に参加する大きな潮流が生まれている。しかし、日本では、このような世界的動向に主導的に参画するための基盤的設備が立ち遅れてしまっている。 我々は、現在、分散保管されている宇宙・地球研究資料を一つのプラットフォームでアーカイブし、公開・キュレーションすることと、それらを保管する施設を建設することを提案する。過去に採取した試料を保管することは一見、生産性が無く、浪費と見なされがちであるが、上述の深海泥を採取するには30以上の航海を必要とし、多大な費用がかかり、今や現実的でない。さらに、基本記載の済んだ資料は研究の進展を迅速にする。つまり、将来の研究のために資料を保管することは金銭的にも十分見合う投資となる。そこで、我々はそのような保管・頒布体系を早急に構築することで、100年後を見据えた科学の発展に寄与することを目指す。 実施主体:産総研・地質調査所。提案・支援機関:地質学会、国立極地研究所、国立科学博物館、海洋研究開発機構、神奈川県立博物館、各大学の地球惑星関連専攻、各自然史系博物館など。事業期間は10年間で、その後は地質調査所の敷地内で保管する。費用は、施設費に100億円、アーカイブ化のため、各大学に人員を配置する人件費として200億円を見込む。
著者
水田 孝信
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ETF(Exchange Traded Funds, 上場投資信託)は手軽な分散投資を提供する商品として,近年,投資家に普及してきている.しかし,一部のETFは注文量が少なく取引したいときに適切な価格で取引しづらい状況になっていた.そのため取引所によっては,裁定取引の手数料を引き下げるなどの売買を増やそうとする制度を導入する場合がある.しかし,裁定取引にかかるコスト(必要な利益も含む総合的なコスト)によってETFや株式の流動性がどのように変化するのか,そのメカニズムはどのようなものなのかといったことは分かっていない.そこで本研究では,2つの株式とそれら合計と同じ価値のある1つのETFという3つの証券があり,これらの証券間の裁定取引を行うエージェントを実装した人工市場モデルを構築した.そして,株式とETFの裁定取引にかかるコストによって流動性がどのように変化するかを調べた.その結果,ボラティリティよりコストが小さければ裁定の機会が訪れやすく,裁定エージェントの売買が増え,ETFと株式の価格の乖離が小さくなることが分かった.
著者
丹羽 達哉 山下 聡 八久保 晶弘 小西 正朗 坂上 寛敏 仁科 健二 南 尚嗣
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

オホーツク海網走沖におけるメタンハイドレート(MH)の存在の可能性については,我が国が世界に先駆けてMHの資源化プロジェクトを立ち上げた1995年当時,網走沖の北見大和堆にはBSR(海底擬似反射面)らしき反射面が存在すると指摘されたのが始まりである。また,産業技術総合研究所が2001年に実施したGH01航海では,網走沖に顕著なBSRを確認している。この海域から採取した表層柱状試料では,ガスを含むことによる膨張や断裂などの特徴を示しており,海底表層部にMHが存在する可能性が強く示唆された。その後,MHを対象とする継続的な調査は行われていなかったが,2011年に北見工大と東京大学との共同での調査を開始し,2012年の東京海洋大学練習船「海鷹丸」による調査において,網走沖で初めてMHが採取された。その後は,本学が主体となって北海道大学練習船「おしょろ丸」による調査や海洋研究開発機構調査船「なつしま」による調査など継続的に調査を行っている。しかし,調査内容の主体は,計量魚群探知機やマルチビーム音響測深機によるガスプルームや海底地形観測,シングルチャンネル音波探査,サブボトムプロファイラー等の音波探査装置による海底下構造調査,コアラーによる海底堆積物の採取など,洋上からの調査が主体であり,海底面における湧出ガスやMHの胚胎状況などの目視観測は行ってはいなかった。そこで,2017年7月に第一開洋丸(海洋エンジニアリング(株))搭載の遠隔操作無人探査機(ROV;KAIYO 3000)により,北海道網走沖のオホーツク海の水深550m程度の海山頂部および水深750m程度の海底谷の2地点において潜航調査を行った。調査の結果,湧出口は狭い範囲に多数確認され,多量のガスが噴出している様子を撮影することに成功した。また,湧出ガスを漏斗状の容器で捕集し,漏斗上部に取り付けた圧力容器で湧出ガスを直接回収した。さらに,噴出孔付近をROVのマニピュレータで掘削したところ,ガスとともにメタンハイドレートの小片が上昇する様子も見られ,メタンハイドレートが表層付近から存在していることも確認された。調査地点一帯には,多数のバクテリアマットが観察されるとともに,カーボネートの集合体も多数確認された。カーボネート集合体やガス湧出口付近には多くのカニ類も観察され,また,メタン湧出域で生息するシロウリガイと思われる二枚貝の生体個体も採取された。また,潜航調査での撮影画像から,水深550m程度の海山頂部の200×100mの範囲内におけるガス湧出量の概算も行った。調査範囲内において,20か所程度のガス湧出地点が確認され,各地点での湧出口は1か所の場合や複数の湧出口が密集している場合などさまざまであった。湧出ガス量を算定したところ,5m程度の湧出口密集範囲での1年間の湧出量は170,000m3程度と算定された。この量はガス価に換算すると400万円程度であった。また,範囲内全体での湧出量は1,000,000m3,ガス価で2500万円程度と見積もられた。
著者
吉田 聡
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2018年7月豪雨は気象庁が豪雨発生前の7月5日14時に「西日本と東日本における8日頃にかけての大雨について」という報道発表を行っており、実際の雨も8日まで持続した。本研究では気象庁週間アンサンブル予報データと気象庁長期再解析データJRA-55を用いて、梅雨前線の形成要因である対流圏中層ジェットと下層水蒸気フラックスに着目し、この豪雨の始まりと持続の予測を左右した要因について解析した。豪雨発生期では、対流圏中層ジェットの南下の予測可能性が低く、予測のばらつきが小さくなったのは6月30日以降であった。これは中国大陸から伝搬してくるトラフの発達が関係していた。一方、対流圏下層水蒸気フラックスはその時点では東シナ海に流れ込む予測で、7月1日に台風7号の位置が定まった時点で西日本への流入が予測された。しかしまだ豪雨の持続と終息時期については、バイアスと不確実性が大きく、中層ジェット、水蒸気フラックスともに7月2日まで予測精度が低かった。特に水蒸気フラックスについては、台風7号の発達とユーラシア大陸上からのリッジの伝搬が関係しており、予測を難しくしていた。
著者
関澤 偲温 宮坂 貴文 中村 尚 Akihiko Shinpo Kazuto Takemura 前田 修平
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

Western Japan experienced torrential rainfall in early July 2018, which caused severe floods and landslides especially over western Japan. Japan Meteorological Agency (JMA) reported that this extreme event was associated with extreme enhancement of northward moisture flux and its convergence over western Japan. Some recent studies have pointed out an essential role of surrounding oceans for extreme rainfall events through the anomalous heat and moisture supply to the warm, moist monsoonal airflow. This study investigates anomalous oceanic evaporation during the torrential rainfall event over western Japan based on the objective analysis data from the JMA Meso-Scale Model. We have found that the heavy rainfall was associated with enhanced oceanic evaporation extensively around Japan, especially along the Kuroshio and entirely over the Japan Sea. We then conducted a linear decomposition of local surface latent heat flux anomalies based on the bulk formula to determine factors for the enhanced evaporation. Our results show that the enhanced evaporation under the pronounced southerly inflow toward the extreme rainfall region was mainly due to increase in the surface wind speed along the Kuroshio south of Japan, with an additional contribution from warm SST anomalies to the enhanced moisture inflow into central Japan. In order to quantitatively assess contribution of the enhanced evaporation to anomalous moisture transport in the mixed layer, we also performed a backward trajectory analysis for moist air parcels. It reveals that anomalous moisture supply from the ocean to air parcels along trajectories is dominated by enhanced evaporation due to the stronger surface wind speed, which corresponds to about 20 % of the column water vapor anomaly and about 5 % of the total column water vapor.
著者
片桐 智志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

クリック率 (CTR) 予測はweb広告プラットフォームを持つ企業にとって最も重要なタスクの一つである. しかしながら, CTR予測は非標準的な機械学習のタスクであるため, 例えば ROC 曲線の area under the curve (AUC), 対数損失 (別名: 交差エントロピー) などの従来の評価指標は不適切になりうる. 我々の目的は, CTR予測のための新たな指標を開発することにある. 本稿では, これら従来の評価指標の欠点と, カリブレーションプロット的なアプローチに基づく指標の展望について述べる.
著者
牧 良樹 白鳥 裕士 佐藤 剣太 中村 聡史
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

ストーリーコンテンツにおいて,未知であるストーリー部分を明らかにすることはネタバレと呼ばれ,多くの研究で防止する手法が提案されてきた.しかし、そのネタバレがコンテンツを楽しんでいるひとに対しどのような影響を与えるのか,またコンテンツの進度によりネタバレの影響は変化するのかについては調査されていなかった.我々は以前の研究で,コミックを対象としたネタバレ影響調査を行ない,作品によってネタバレの影響が変化することを明らかにしてきたが,ネタバレの本質的な影響については調査できていなかった.そこで,本研究ではネタバレ直後の影響を調べることによってネタバレの本質的な影響について明らかにした.また,ネタバレページの特徴を分析することによって,ネタバレページ推定実験の手法についての検討を行なった.