- 著者
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上田 浩
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.6, pp.575, 2014 (Released:2016-07-02)
- 参考文献数
- 2
後天性免疫不全症候群(AIDS)は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって引き起こされる.HIVへの感染により免疫不全が生じ,その結果,日和見感染やがんなどを発症して最終的には死に至る.AIDSの発見当初から現在に至るまで,様々な治療が試みられてきたが,いまだ根本的治療法の開発には至っていない.その理由として,一般的に知られている他のウイルスとは異なり,HIVが細胞性および液性免疫を担うヘルパーT細胞に感染し,免疫系を破壊するウイルスであること,またワクチンとして使用されるようなウイルス表面に存在する表面抗原の構造変化が,他のウイルスに比べて著しく速いスピードで起こるため,効果的な抗体を作ることが難しいことなどが挙げられる.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Picker L. J., Deeks S. G., Nature, 503, 207-208 (2013).2) Brauch D. H. et al., Nature, 503, 224-228 (2013).