著者
野元 世紀 杜明 遠 上野 健一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.137-148, 1989-12-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

雲南省西双版納の景洪,劾養盆地で1986年~87年, 88年~89年の寒霧季,冷気湖と霧の観測を行なった。盆地大気下層の気温プロファイルは霧形成時に大きく変化する。霧形成時に気温の逆転層,すなわち冷気湖が発達する。しかし下層の逆転は霧形成時に消滅し,不安定なプロファイルが形成される。 逆転層や不安定大気の発達は盆地内の地形環境に強く影響される。そのため両盆地における夜間の気温プロファイルの変化は異なる。霧の発達は気温のプロファイルに関係するので霧のラィフサィクルについても両盆地で差が見られた。さらに冷気湖の発達や霧の形成にメソスケールの循環系の関学が示唆された。
著者
上野 健一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.24-48, 1985-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
45
被引用文献数
5 5

関東大震災が起こる以前の大正中期の東京は,江戸時代からの城下町的伝統を一部に保ちながら,近代都市として脱皮しつつある途上で,近代都市としての都市構造が基本的に形成された時期である。 本稿は,大正中期の東京における居住地域構造を因子生態的方法によって解明した。まず,東京市内を816地区に区分し,各地区に関する19変数を入力変数として,データ行列を作成し,これに因子分析をくわえた。その結果,6つの共通因子が抽出され,それらの中で第1因子は家族的地位,第2因子は公務・自由業従事者,第3因子は高齢独身女性とそれぞれ解釈された。さらに,これら6因子の因子得点を入力変数として,クラスター分析を行ない,居住地域に関する5つの基本類型と5つの副類型とに区分した。そして,これらの居住地域に関する基本類型および副類型を利用して,大正中期の東京における居住地域構造の基本的な構造をモデル化した。その結果,この時期の東京における居住地域構造は,従来いわれていた「山手」・「下町」という単純な空間的モデルでは充分説明できないことがわかった。すなわち,東京の中心部は商業従事者の卓越地域であり,また,東部は子もち夫婦の工業従事者中世帯の卓越地域がみられ,この地域が当時の東京で最も広い面積を占めていた。これに対して,東京西部は公務・自由業従事者の卓越する地域であり,東京東部の縁辺部は工業労働者の卓越する地域であった。そして,大正中期の東京における居住地域構造は,江戸の都市構造に明治以後に形成された地域構造が改変・追加されることにより形成されていたとみることができ,したがって,当時の東京は都市的発展段階として,工業化途上の都市と位置づけることができる。
著者
上野 福男
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理 (ISSN:21851697)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.461-476, 1940-10-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
5
著者
小林 正法 服部 陽介 上野 泰治 川口 潤
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15217, (Released:2016-07-09)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

Intrusive thoughts and difficulty in controlling thoughts are common, not only for people with psychological disorders, but also for healthy people. Individual differences in thought control ability may underlie such problems. The Thought Control Ability Questionnaire (TCAQ), which consists of 25 items, was developed by Luciano et al. (2005) in order to measure individual differences in the perceived ability to control unwanted intrusive thoughts. The purpose of the present study was to develop the Japanese version of the TCAQ and evaluate its reliability and validity. We translated the English version of the TCAQ into Japanese. We also conducted confirmatory factor analysis with a one factor solution, similar to the previous study. Based on the analysis, we excluded items whose factor loadings were lower than .30, resulting in 22 items for the Japanese version of the TCAQ. The model exhibited acceptable goodness-of-fit. The Japanese version of the TCAQ also demonstrated good reliability as well as evidence of construct validity. Thus, the development of the Japanese version of the TCAQ was successful.
著者
橋本 和幸 田中 理恵 倉橋 朋子 上野 道子
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.5, pp.7-18, 2011

20世紀半ばにその名前が登場した芸術療法の技法は多様であるが、その中に粘土を用いた造形活動もある。粘土は立体的な表現が可能で、可塑性が高い、多くの人が幼児期に使ったことがあるなどの特徴を生かした利用をされている。本研究では、このような粘土造形を行った際の心理状態を数量的データにより調査することを目的とする。そのために、一般大学生40名を対象に粘土造形を試行させて、粘土に触った感想と制作物の題名を調査した。結果は、感想からは「手触り」や「素材の特徴」など10個のカテゴリ、作品の題目からは「動物」や「キャラクター」など7個のカテゴリが得られた。この結果から、粘土を扱うとその手触りから退行が促進され、癒しの効果が得られることが明らかになった。そして、粘土を触った感想は、思考、感覚、感情という3つのレベルから考えられることも分かった。また、柔らかさを中心に手触りについての感想が多かった。さらに、粘土の使用はコミュニケーションツールにもなると考えられ、グループワークへの活用も期待できる。
著者
関本 理佳 村山 浩 上野 晴樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.207-208, 1991-02-25

現在のプログラミング環境ではプログラム理解の能力を持たないので,プログラムを作成しても文法チェックしかしてくれず,またそれも分かりにくいメッセージであることが多い。まして簡単な論理ミスばかりでなくスペルミスさえも補正してくれない。これらは全てプログラマの負担となっている。人間のチュータがミスを含んだプログラムを読む時は,ミスの原因や訂正の方法を同定することが出来る。そこで我々は,人間のチュータの役割をコンピュータが代行するような教育向き知的プログラミング支援環境の開発を行っている。本稿では,実験に基づく論理エラーの分類と意図理解への応用について述べる。
著者
上野 雄史
出版者
日本保険学会
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.638, pp.638_107-638_124, 2017-09-30 (Released:2018-05-22)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本稿では,2017年5月に公表されたIFRS17「保険契約」適用後の保険会社のディスクロージャーのあり方について論じる。IFRS17は保険負債に関する詳細な情報が提供される枠組みを提示し,投資家の意思決定に有用な情報を提供することが期待されている。一方で,IFRS17は,割引率の変動に関する損益計上などに選択肢が与えられ,かつ多くの測定要素において具体的な手法が示されていない。このため,IFRS17に基づく情報が投資家の意思決定に有用であるかどうかは未知数であろう。近年では,形式的な会計情報以外の重要性が高まっており,会計処理の複雑化や妥協的な基準設定は情報の有用性を喪失させることになる。一方で,保険会社(保険者)の法的責任に基づいて開示された情報は,利害関係者にファンダメンタル(基礎的な情報)を提供することに繋がり,保険契約者を含む利害関係者間の利害調整を円滑化することが期待される。
著者
山田 浩之 新田 清一 太田 久裕 鈴木 大介 南 隆二 松居 祐樹 中山 梨絵 上野 真史 菅野 雄紀 此枝 生恵 大石 直樹 小川 郁
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.12, pp.1380-1387, 2020-12-20 (Released:2021-01-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

宇都宮方式聴覚リハビリテーション (以下聴覚リハ) とは, 済生会宇都宮病院聴覚センターで新田らが行っている補聴器診療法で, 主な特徴に「初日から常用を促し, 診察と調整を装用開始から3カ月間頻回に行うこと」「聴覚専門の言語聴覚士が補聴器外来を担当していること」がある. 本法を取り入れた補聴器外来を開設し, 3年間が経過したためその成績について検討した. 対象は2016年4月~2019年3月までに補聴器外来で聴覚リハを行った174例 (男86例女88例, 平均年齢75歳) で, 検討項目は聴覚リハ脱落率, 購入率, 音場検査と語音明瞭度検査による適合率 (補聴器適合検査の指針2010に準ず), 補聴器の型式, 平均価格, 補聴器購入における助成の有無とした. 聴覚リハ脱落率は3%, 購入率は95%, 音場検査による適合率は98%, 語音明瞭度検査による適合率は95%であった. 補聴器の型式は耳掛け型が91%, 耳あな型が8%. 購入された補聴器の平均価格は11.6万円で, 補装具費支給制度を利用して購入した割合は7%であった. 結果は良好で本法の適応 (難聴による生活の不自由があり, 聴力改善の意志がある) となる難聴者にとっては優れた補聴器診療法であることを改めて示すことができた. 一方でわが国の補聴器購入に対する助成と補聴器診療制度に関しては諸外国と比較すると十分とは言えず, 今後は補聴器の調整を扱う国家資格として言語聴覚士の活躍が期待される.
著者
上野 那美 森澤 勇介
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集 2020.30 (ISSN:24242969)
巻号頁・発行日
pp.205, 2020 (Released:2020-12-25)

FT-NIR spectroscopy has the potential to be an index for the degree of the formation of BICs using the changes in the hydrogen bonding or CH stretching vibration in terminal groups between the materials (reagents such as cellulose and cellobiose, botanical wastes from coffee beans and tealeaves) and various processing conditions of BICs. FT-NIR spectroscopy is a grate method for the BICs analysis because it is able to measure the vibrational spectra without destruction and pre-preparation for the spectroscopic measurement. The other reason why NIR is that this spectroscopy is hard to include noises from some contained materials in BICs. In the other hand, NIR spectra need the statistics analysis called “chemometrics” because these spectra show very broad and overlapped band. Changes of these overlapped bands are easier to interpret than MIR regions because MIR region has larger amount of information from many kinds of vibrations. Results of the chemometrics need the careful consideration for the changes between analytical results and intentionally perturbations because sometimes chemometrics results do not have the chemical meaning. Raman and THz spectroscopy are used to understand the actual chemical changes with perturbations by comparing with the results of statistical analysis.