著者
濱中 淳子
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.190-202, 2020

<p> 今般の大学入試改革は、新体制に切り替わる直前に「英語民間試験導入」と「国語・数学の記述式問題導入」が見送られるなど、迷走状態にある。なぜ、このような状態に陥ったのか。今回の改革の特徴は、教育測定や教育社会学、英文学者や言語学者等の研究者が危うさを訴えているなかで進められた点に求められるが、本稿では、推進派の問題とともに、研究者が何を主張してきたのかについても踏み込みながら、迷走の背景を描写した。</p>
著者
濱中 淳子 HAMANAKA Junko
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
no.20, pp.235-252, 2020-03

教育のあり方を考えるにあたって、教育効果の実証的検討を出発点とすることに大きな異論を唱える人はいないはずだ。在学時代に培ったものが、その後のキャリアに及ぼす影響を理解せずして、政策や現場の方向性を議論することなどできないからである。こうしたなか、本稿では、国内においてあまり研究の対象とされてこなかった「学力トップ層」を取り上げ、大学入学以前の状況にまで視野を拡げながら、企業人として働く場合に在学時代の何がキャリアに活きているのかを実証的に明らかにすることを試みた。具体的に用いた方法は、全国的に進学実績がトップクラスに入る2つの公立高等学校ならびに2つの私立中高一貫校の卒業生に実施した質問紙調査のデータ分析である。所得関数を計測し、在学時代の「学習」「課外活動」「人脈」のそれぞれがどのようにキャリアに影響しているのかを男女の別に浮き彫りにした。そのうえで結果を踏まえながら、とくに大学教育に焦点を当てた場合、学力トップ層の進学先となる機関の教育をどのような観点から問い直すべきか、若干の考察を行った。No one would disagree with the empirical examination of educational effects as a starting point for educational debate. This is because we cannot discuss public investment and the direction of educational policy without knowing the impact of school experience on careers. This paper examines the educational effects of the highest-ranking level of academic achievement, which have not been analyzed in Japan. How can we determine that the experience at school is useful for a career when looking at people working in companies? Which are more important, experiences at high school or at university? Or is the current self-learning more important? Specifically, the method used was data analysis of a questionnaire survey conducted with graduates of four famous advanced schools. Approximately 3,600 graduates answered the survey, and more than half of them work in companies. After analyzing the determinants of income, we tried to identify what should be noted when we re-examine the education provided by top universities.
著者
家村 龍司 塚谷 律子 野中 淳子 川村 佳代子 梅村 美知乃
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.61-64, 2013-01-20 (Released:2013-03-14)
参考文献数
19

2007年から2010年の間に国内において下痢の症状が認められた12週齢以下の犬149症例の便または腸管を検体とし,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて犬コロナウイルス(CCoV)及び犬パルボウイルス2型(CPV-2)の検出状況を調査した結果,CCoV及びCPV-2の検出率はそれぞれ46.3%及び38.3%であった.CCoV陽性検体のうち,CCoV Iの検出率が年々増加傾向にあるものの,CCoV IIa の検出率に変化はなく,いまだに最も高い検出率であった(75.4%).CPV-2 陽性検体のうち,CPV-2b の検出率が最も高く(93.0%),CPV-2cは検出されなかった.全検体の12.1%においてCCoV及びCPV-2が同時に検出された.また,検出数が最も多かったのは,7週齢の犬の検体からであった.
著者
宮内 肇 川中 淳子 栗栖 佳子
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.135, no.7, pp.403-408, 2015
被引用文献数
1

"Iwami-kagura" is the traditional dance arts in the western Iwami district of Shimane. It is dance performance about many topics "The Izumo myth". It is special dance with story characteristics and a dynamic movement. The crisis of the tradition by the local depopulation has become a serious problem these days. And young children tend to keep away from a physical science. Therefore we suggest "Iwami-kagura robot performance contest" in this study. This contest is that performance groups of handmade robots compete on the basis of the theme of the Iwami-kagura. In this way we can let young children show an interest in local traditional arts and technology through manufacturing.
著者
川中 淳子
出版者
島根県立大学
雑誌
総合政策論叢 (ISSN:13463829)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-14, 2003-08-22

The first study on school refusal was reported in the 1940's in America. In Japan, the first study on it was in 1959. Now about 45 years have passed and since then more than 1000 studies have been reported. Some of these refer to self help groups for parents of school refusal children. Now self help groups have been held in all parts of Japan. It is said that these groups have a supportive effect. So this paper reviews these reports and studies, such groups' significance, problems of the preceding studies, and so on. Further, I report the result of my interview with representatives of the self help group. Significance of self help groups for parents is being able to make company, being free from feeling isolation, exchange information and learn school refusal problem. A problem of preceding studies is lack of reference to the danger of the groups.
著者
田中 淳子
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.670, pp.186-189, 2007-01-22

部下と会話するとき、あるいは外部の人と打ち合わせをする際に、いきなり本題に入るのではなく、ちょっとした雑談から始めるのは意外と効果がある。相手の緊張状態(アイス=氷)を溶かすことで、話しやすい環境を作ったり、本音を聞き出したりしやすくなるからだ。
著者
松森 直美 野中 淳子
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護研究学会誌 (ISSN:13404377)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.80-87, 1994-12-20
被引用文献数
2

本研究では、注射や採血などの単発性の痛みを伴う処置が、小児のがまんにいかに影響を及ぼすかについて、3才から9才の小児を対象に、チェックリストを用いた参加観察法と個別の面接により調査した。そして、小児のがまんの力を最大限に引き出す援助の要因を考察した結果以下のような結論を得た。1.強制や命令ではなく、自分からがまんの力を発揮して、平衡を保つという自律心が、安定した人格の形成にプラスとなる。2.「がんばろうね」という姿勢が小児の自律心を引き出すことに効果的である。3.小児ががまんする力を自分で発揮できる状況を整えるために、反応に対して受け身ではない姿勢や意識をもって援助していくことが必要であるということが示唆された。
著者
古橋 忠晃 津田 均 小川 豊昭 鈴木 國文 北中 淳子 堀口 佐知子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本において、ひきこもりと呼ばれる状態にある青少年の数は1970年代から徐々に増加し、現在その数は日本中で80 万~140万人とも言われている。フランスでは青年のひきこもりが近年出現してきたと言われている。さらにフランスでは日本由来のオタク文化やインターネット文化の隆盛も顕著である。これらの日仏の「ひきこもり」について両国の研究者チームで学際的に研究をおこなった。日本の青年のひきこもりが15例、フランスの青年のひきこもりが7例集められた。それらの症例について、家族背景、経済状況、社会文化的背景、個々の精神病理、精神症状の有無について精神医学的、社会学的、人類学的、哲学的、心理学的な観点で検討した。また、事例を離れて、「ひきこもり」そのものの現象について、両国のそれぞれの観点で、社会学的、人類学的、精神医学的、哲学的観点で考察を行った。
著者
ゴルトン フランシス 北中 淳子 皆吉 淳平
出版者
三田哲學會
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
no.114, pp.181-188, 2005-03 (Released:2005-00-00)

特集都市・公共・身体の歴史社会学-都市社会学誕生100年記念-A編 ゲデス・プロジェクト第III部 ロンドン社会学会の創立
著者
川中 淳子
出版者
島根県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

今年度は、本研究の最終年度であった。今年度も3名の研究協力者とともに研究をすすめてきた。研究協力者荒川ゆかり(しまね臨床心理研究所)(役割分担:地域文化、地域理解、神話、スクールカウンセリング)木谷健二(平成22年度 島根県中央児童相談所、平成23年度島根県立こころの医療センター)(大元神楽、神懸り、地域と個人の無意識、心理検査を通しての理解)西田京子(島根県スクールカウンセラー)(精神的風土、スクールカウンセリングを通してみた石見神楽)それぞれが研究旅行で調査を実施したり、より良いインタビュー面接を実施するために研修を受けたり、学会参加により多くの知見を得たりしてきた。研究協力者の荒川は、平成22年11月の中国四国心理学会第66回大会で「スクールカウンセリングと地域臨床-文化を生かす見立てについて-」の発表を行った。研究代表者の川中は、神楽の心理療法的意味と音楽持つ意味との関連を追求し、その成果を、平成23年度7月に島根県立大学短期大学部松江キャンパスの公開講座で報告する予定である。研究協力者の木谷は神懸りと心理療法の関連を論文として執筆している。平成23年度中に発表予定である。研究協力者の西田は平成23年度2011年3月31日心理臨床学会第30回秋季大会で「石見神楽の心理療法的可能性-非日常世界を抱える日常性-」として発表する予定である。3年間の取り組みを通して、地域の個性、地域性と文化や芸能の関連を明確にしてきた。広く地域を支援する上で重要な視点を得ることができたと言えるだろう。
著者
馬場 嘉信 富崎 理代 角田 ちぬよ 田中 淳子 秀 佳余子 津波古 充朝
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.853-857, 1993-12-05
被引用文献数
4 1

DNAの高分解能分離を達成するために, キャピラリーゲル電気泳動におけるゲル組成が, DNAの分解能に与える影響について検討した.1本鎖DNAの分離においては, 非架橋ポリアクリルアミドのゲル濃度について検討し, 最適条件下では, オリゴマーから250塩基までの1本鎖DNAが60分以内に1塩基の違いのみでベースライン分離された.又, 2本鎖DNAの分離においては, 架橋ポリアクリルアミドゲルのゲル濃度及び架橋度を検討し, 最適条件下では, PCR生成物を含む100から12000塩基対の2本鎖DNAが, 40分以内に10塩基程度の違いで分離された.その際の理論段数は, 1m当たり数百万段であった.