著者
中村 哲也 瀧 敬士 野宮 浩揮 上原 邦昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.2579-2588, 2008-11-01
被引用文献数
3 13

近年,時系列データの分類に関する研究が盛んに行われている.しかし,既存の類似度測定手法は,データ整合,ノイズ,計算コストなどの問題がある.また,座標値のみの計算ではあらゆる時系列データを安定して分類できないという問題もある.これは,時系列データがもつ波形の振幅,振動数,概形などの特徴も考慮する必要があるからである.本論文では,前者の解決のために類似度測定手法Angular Metrics for Shape Similarity (AMSS)を提案する.AMSSは時系列データをベクトル列として扱い,ベクトルの角度を比較して類似度を計測している.角度の比較にはコサイン類似度を用い,ノイズのような類似しない部分を無視している.また,動的計画法で系列間の類似度を計算して,データ整合の問題を解決している.一方,後者の解決のために,それぞれの特徴に合わせた分類アルゴリズムを複数用意し,アンサンブル学習の枠組みを導入したメタアルゴリズムにより,それらを組み合わせて分類を行う.その結果,個々の識別器を単独で利用するよりも分類精度が向上することを示す.
著者
中村 哲也
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学熱帯医学研究所共同研究報告集
巻号頁・発行日
vol.16, 2004

メフロキンはマラリア予防のために認可された日本で唯一の薬剤であるが,その効果および副作用に関する日本人での調査がこれまで行われていない。そこで我々は,東京大学医科学研究所附属病院において予防目的にメフロキンを処方した62名の旅行者にアンケート調査し,回答の得られた21名に関して服薬状況や副作用頻度などを解析した。
著者
窪田 崇秀 児玉 謙司 中村 哲也 桜庭 裕弥 大兼 幹彦 永沼 博 高梨 弘毅 安藤 康夫
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822924)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.100-106, 2010-03-01 (Released:2010-03-24)
参考文献数
30
被引用文献数
1

We successfully fabricated L21-ordered Mn2VAl Heusler thin films and evaluated their ferrimagnetic properties by soft x-ray magnetic circular dichroism (XMCD). The buffer layers and annealing temperatures were varied to prepare the Mn2VAl films. We discovered that Mn2VAl could be ordered in an L21 phase well when it was deposited directly onto an MgO (001) single crystalline substrate. The maximum values of L21 and B2 long-range order parameters we obtained were about 0.5 for both phases for samples without a buffer layer, when substrates were heated at 500°C or 600°C. The saturation magnetization (Ms) for these samples was roughly 150 emu/cc. This is rather small compared to that expected from the ideal Slater-Pauling behavior, which might be due to the suppressed degree of L21 or B2 ordering. Ferrimagnetism in the Mn2VAl, ferrimagnetic coupling between Mn and V moments was clearly observed by using the XMCD technique in well-ordered L21-Mn2VAl film as has been predicted in theoretical investigations.
著者
須田 達也 板生 知子 中村 哲也 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.310-320, 2001-03-01
被引用文献数
14 6

本論文では, IT2に代表される新しいネットワークパラダイムの考え方を背景に, オープンなネットワーク環境におけるサービス創発のための適応型ネットワークアーキテクチャ:Jack-in-the-Netを提案する.Jack-in-the-Netでは, 複数の自律的なシステム構成要素であるサイバーエンティティ(CE:Cyber-Entity)の間で, 柔軟で可塑的なインタラクションを行うことによって適応型サービスを提供する.CEは自らを取り巻く環境をセンシングする能力をもち, 状況に応じてインタラクションを変化させたり, 移動, 交配, 死などの生物的動作を行う.複数CE間のインタラクションの結果, 集団としての望ましい動作や秩序が生まれ, 新しいサービスを創発する.そして, 創発によって多様化したサービスとその自然淘汰を経て, サービスが進化する.Jack-in-the-Netにより, ユーザの日々の生活シーンやマスの傾向の変化に追従できるサービスの創発が可能になる.
著者
斎藤 崇雄 中村 哲也 メンショフ・イゴール 中村 佳朗 前田 一郎 内山 直樹 海田 武司
出版者
日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会年会講演論文集 (ISSN:13428004)
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.480-481, 2003-07-28
被引用文献数
1

The phenomena of ignition overpressure (IOP) has been simulated in two cases with the specific heat ratio γ=1.18 and γ=1.4. The former case assumes that a combustion gas fills the overall computational region, while the latter assumes air instead of the combustion gas. The objective of the present study is to investigate whether IOP is affected by the kind of gas. This simulation was performed for a solid rocket booster (SRB) of space shuttle. The time history of pressure rise at the nozzle inlet was taken into account by imitating the SRB ignition. The result with γ=1.18 shows good agreement with the data measured on the surface of STS-Ts SRB.
著者
中村 哲也 丸山 敦史 矢野 佑樹
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.52-57, 2009-06-25
被引用文献数
2

我が国におけるリンゴジュースの自由化は、1988年に農産物10品目の輸入自由化に関するGATT勧告を受諾し、その後の1990年から開始された。輸入枠があった自由化前の1987年の輸入量は僅か4,000tであったが、2006年には84,525tとなり、自由化後の輸入量は約21倍に急増している。他方、オレンジジュースも1992年に自由化されているが、1987年には8,500t、2006年には88,621tが輸入され、自由化後の輸入量は約10倍に急増している。オレンジジュースの輸入量と比較しても、リンゴジュースの輸入量が如何に拡大したかが分かる。そして、自由化開始以来、急増した米国産は、1997年には中国産にシェア第一位を、そして、2000年にはオーストリア産にもシェアを奪われ、2008年現在、輸入先国のシェア構成比も大きく変化している。他方、国内では2008年8月、青森県弘前市のリンゴ加工品製造・販売会社A社が、産地や加工法を偽装表示した飲料製品などを販売したとして、JAS法違反で業務改善が指示された事件は記憶に新しい。この事件は、リンゴジュースの自由化が開始以来、一般飲用と加工業務用の中国産濃縮還元ジュースを青森産ストレートジュースと不正表示した初めての事件であった。このように貿易自由化後に国内外で流通構造が変革したリンゴジュースの消費者選好構造について、本研究ではアンケートによるデータを用い分析する。
著者
中村 哲也
出版者
スポーツ史学会
雑誌
スポーツ史研究 (ISSN:09151273)
巻号頁・発行日
no.20, pp.81-94, 2007-03-15

The purpose of this paper is to clarify the historical meaning of Student Baseball Control Regulations (YAKYU TOSEI REI, SBCR), which was established by Ministry of Education (MOE) to make political adjustment to the modernization of sports in Japan at that time and to "guide" students' thought in the "right" direction (SHISO ZENDO, moral guidance). To do so, relationships between SBCR and two kinds of autonomy in student baseball, one is mainly organized by managers, coaches and alumni of student baseball, the other by players are examined. It tells us how MOE intervened and controlled student baseball under SBCR, how participants of student baseball responded to it, what form of autonomy they tried to establish, and who were the subjects to do it. Based on these facts, I will discuss the effect of SBCR on student baseball in Japan. The conclusion of this paper is as follows. 1. Because of fiscal limit, SBCR allowed student baseball to levy admission fee and hold baseball games which were organized by business companies, while SBCR controlled and conducted managers, coaches, and teachers concerned with student baseball to remove "bad" influence of student baseball and to "guide" students' thoughts into the "right" direction. 2. The control of student baseball under SBCR repressed the possibility of self-government by players and other students. 3. To reduce the amount of admission fee and distribution to each school, MOE intervened student baseball, which was made legal by SBCR. 4. Participants of student baseball resisted intervention of MOE, which led the movement to establish student baseball control association. 5. As student baseball turned into large-scale and became more organized by the participants (not players) of student baseball, players who belonged to Tokyo Big 6 Baseball League resisted managers or "moral guidance" by MOE through baseball. 6. The movement that was aimed at establishing student baseball control association collapsed due to their different perspectives on the relationships between controlling persons and controlled persons. While this movement shows the sense of autonomy in student baseball at that time, it also shows that it was preceded by those who didn't take students' autonomy into consideration. Through these processes, Japanese baseball was being organized by the participants of student baseball, not by the baseball players themselves.
著者
中村 哲也
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.149-158, 1989-03

ラット膵ラ島腫瘍細胞株RIN-rおよびRIN-m5Fを入手し, RIN-rからは新たなクローンを得て,これらの細胞におけるホルモン分泌,およびその遺伝子を比較検討した。すべての細胞において,インスリン,グルカゴンともに分泌し,両遺伝子の発現を認めたが,それぞれの程度は異なっていた。RIN-rのクローンはすべて,long♯1,long♯3を共通のマーカー染色体として持ち,同一細胞由来であることが確認され,これらの細胞が,ホルモン産生の面で多面性を持つことが示唆された。RIN-m5Fも本来は同じ膵ラ氏島腫瘍由来の細胞であるが,ホルモン分泌および遺伝子発現ともに他の細胞より著しく,染色体構成も大きく異なっていた。すべての細胞において, Ha-rasの有意な発現を認めたが,遺伝子増幅やDNAレベルでの組換えを認めず,またホルモン分泌ならびにホルモン遺伝子の発現との関連は不明であった。グルコース刺激に対し,RIN-rおよびRIN-m5Fは,正常ラット膵ラ島と異なった反応を示し,これらの細胞はホルモンの分泌モデルとしては不適当であると思われたが,遺伝子発現の研究上,有用な材料となり得ると考えられた。
著者
中村 哲也 丸山 敦史
出版者
共栄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題では、わが国における生鮮果実・果実加工品の海外販路拡大に関して、計量的かつ実証的に分析した。分析の結果、下記の諸点が明らかにされた。第1章では、栃木産にっこりととちおとめが、香港やバンコクの如何なる購買層に評価されるのか、プロビットモデルを推計し、考察した。まず、香港・バンコクにおける国産ナシ品種と国産イチゴ品種の認知度は非常に低かった。今後、栃木産にっこりととちおとめ輸田する際は、輸田専用パッケージ等による品種のイメージアップを図る必要があるだろう。そして、とちおとめは香港では大きさが、バンコクでは香りが評価された。そして、にっこりは中高年層に、とちおとめは女性に評価が高かった。最後に、香港でのにっこりの価格は中国産ナシの4倍、バンコクでのとちおとめの価格はタイ産イチゴの7倍の価格差があった。そして、香港ではにっこりは8割弱が、とちおとめも7割弱が、調査当日の小売価格または若干高くても購入するという回答が得られた。ただし、バンコクでは8割弱が、調査当日の店頭小売価格ならば購入しないという結果となった。そして、プロビットモデルの推計結果から判断するならば、今後の香港でのとちおとめ輸田は、中高年層をターゲットとし、食味評価の高い女性を如何に購買層に取り入れるかが輸出拡大のカギとなるだろう。第2章では、伊勢丹スコッツ店における栃木産巨峰の輸出動向とその来客の消費意識について考察した。同店において、日本産ブドウの評価自体は非常に高いが、栃木産巨峰の低価格性が求められた。ただし、日本人客の多い同店のようなケースでは、高価な日本産巨峰は安価なオーストラリア産と棲み分けられていた。シンガポール人の味覚や安全性の拘りも日本人とは異なっているのだが、シンガポール人による日本産巨峰の評価は非常に高い。そのため、今後の輸出は、早急に価格改定するというよりは、脱粒(巨峰の粒が茎から落ちること)・茎枯れ(鮮度が落ちて茎が枯れる)しないといった鮮度の向上や種なし巨峰販売といった手法で、ターゲットとする販売層(消費者層)を明確に意識したマーケティング活動が不可欠となるだろう。そして、同店の栃木産巨峰の販売拡大のカギとなるのは、日本人以外の巨峰購入のリピーターを如何にして拡大するかにかかっている。同店は、日本人客も比較的に多いのであるが、実際に購入回数が多い客は日本人が圧倒的に多く、大
著者
高橋 公海 佐藤 進也 中村 哲也 松尾 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

近年,SBM等のタギングシステムがユーザに浸透しつつある.タグにはタグ付け対象の特徴を客観的に説明する語が多く用いられてきたが,最近では「これはひどい」「あとで読む」等の主観的な語が用いられることも増えてきている.タグは,ユーザがコンテンツをどのように捉えているかを示すものであると考えられるため,この変化はコンテンツの捉え方の変化と考えることもできる.そこで本研究ではその変化を分析し,要因を探る.
著者
中村 哲也
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

民法の展開は、杜会における人々の行動様式及び規範意識の変化を基礎にするものであり、法形成は常に変動のなかにある。明治31年施行の民法典においては、財産法と家族(制度の)法の2本柱の下、個人の存在は財産主体(妻は制限的行為無能力)としての意味が中心であった。第2次大戦後の「個人」の進出は、財産主体たる地位にとどまらない個人の意義の承認・拡大を要請するものであった。しかしこのことは財産・市場と個人、家族と個人の関係の緊張のなかにあることによって、人格権・人格的利益の単線的拡大を意味するものでないとくに、大量生産・大量消費社会を押し進めてきた技術革新が情報及び医療分野で飛躍的展開を果たしてきていることによって、個人がその成果を享受するというだけでなく、人格の商品化に拍車がかり、そのことによって、個人と市場との緊張関係が新たな段階を迎えることになった。本研究はこの現象の損害賠償法での現れを、情報と医療それぞれにおける具体的問題を手がかりとして観察し、民法における人格保護の今後の方向を検討しようとしたものである。本研究は次の内容からなる。第1部人格権侵害と損害賠償法第2部Wrongful life訴訟にみる損害賠償法第3部補論(1)遺伝子組換え作物問題とドイツイミッシオーン法補論(2)末期がんの家族等への告知と個人の尊厳
著者
菊地 香 中村 哲也 魏 台錫 仲間 勇栄
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.93-99, 2003-12-01

本稿では,本来ならば経営を引退して地域に埋没してしまう高齢者自らがその知識と経験を活用することで農産加工の起業することが地域にとってどのような効果をもつのかについて沖縄県具志川市の事例をもとに明らかにする。その方法として最初に農村における農産加工での起業化が一般にどのような位置付けがなされるのか,その枠組みを設定する。次いで起業的な経営を行っている生産者グループを対象にして,どのような経緯で起業化を行ったのかを明らかにする。分析の結果は,次の3点にまとめられる。第1に大手メーカーに原料を供給するだけの組織は,ドメインを構築するまでもなく原料を生産するだけの組織であり,起業的な取り組みは全くなされていない。第2に原料の生産はせず製造から販売を行う組織は,安定した原料確保ができず,またそれにより製品の生産量が常に一定とならないことからドメインの構築に至っていない。第3に原料の生産から販売まで行う組織では毎年一定の原料確保ができることから,製品の生産量も安定し,販売戦略もとることができることから,ドメインの構築を行うことにより起業段階から集合化段階に移行しつつある形態が沖縄県でもみられることである。特にこうした起業的な取り組みの担い手が事例のような高齢者を中心とした組織でも可能であり,新たにそこに若い担い手が参加させようとする形態をとっていることである。このことは若い担い手の流出が避けられない農村部において,若者を呼び戻す契機につながることから,こうした起業化は地域の活性化につながる利点があげられる。
著者
疋田 真也 田中 敬二 中村 哲也 高原 淳 梶山 千里
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.26, no.9, pp.559-563, 2006-09-10 (Released:2008-04-08)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

A simple and easy method to prepare super-hydrophobic surface was proposed. Sol-gel films were prepared by hydrolysis and condensation of alkoxysilane compounds. The roughness and free energy at the film surface were controlled by changing the amounts of colloidal silica particles and fluoroalkylsilane, respectively. When both amounts were optimized in a sol-gel film, the surface exhibited an excellent repellency to not only water but also oil. The sol-gel film obtained could be coated onto any solid substrate by a single process. The durability and transparency of the coated layers were sufficient to be applied for practical uses.