著者
中村 正彦 鈴木 豊 小林 真 友田 春夫 高橋 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.104-111, 1988-01-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
13

いくつかの成分曲線が線形に重畳した曲線群から,成分曲線の形を仮定せずにもとの成分曲線を復元する新しい方法,すなわち最大エントロピー原理を基礎とした方法を心RIアンジオグラフィから得られる時間放射能曲線に適用した結果について報告している.まず最初に最大エントロピー原理について概説し,ついで核医学動態画像解析の理論的基礎として本論文で取り扱う問題の定式化を行っている.3番目に,未知混合曲線からもとの成分曲線を復元する方法すなわち最大エントロピー原理を基礎とした新しい方法について概説している.最後に,心RIアンジオグラフィへの適用結果について示している.関心領域としては,心臓全体をカバーするようにしたもの,右心室領域をカバーするようにしたもの,左心室領域をカバーするようにしたものの3種を設定し,これら3種の関心領域から得られる時間放射能曲線群に方法を適用して,成分数を変えた場合の復元結果の違い等について検討している.これらの検討結果より,ここに示した方法は注意深く関心領域を設定することなしに対象臓器の時間放射能曲線を復元することが可能であり,従来核医学動態機能検査の基本的問題点の1つであった対象臓器の時間放射能曲線に重畳する他臓器由来の時間放射能曲線の除去に対する1つの解決法になることが示唆されている.
著者
中村 剛也 渡邊 琴文 石川 可奈子 熊谷 道夫 宮原 裕一 犬塚 良平 横田 憲治 小熊 惠二 朴 虎東
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.153-165, 2013 (Released:2013-11-21)
参考文献数
46
被引用文献数
1

2007年の8月から9月に琵琶湖北湖に位置する磯漁港で飼育していたアイガモ30羽のうち22羽が斃死亡した.鳥類斃死の要因として鳥ボツリヌス症も検討したが,ボツリヌス毒素の急性毒性は確認できなかった.磯漁港の水試料からMC-RR,LRが確認され,アイガモ肝臓組織から560 ng g-1 DW(178 ng g-1 FW)という高濃度のMC-LRが検出された.MC-LRは藍藻毒素の中でも特に毒性が高く,肝臓組織含有量は先行研究と比較して高いことから,アイガモの斃死に藍藻毒素MC-LRの高濃度の蓄積が関わっていたことが推察された.本研究は日本において斃死した水鳥遺骸から藍藻毒素MCの蓄積量を示した最初の研究である.
著者
中村六車 編
出版者
[ ]
巻号頁・発行日
1903
著者
河端 俊治 松居 正己 石橋 亨 中村 昌道
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.1326-1332, 1972
被引用文献数
8

食品中の<I>N</I>-ニトロソアミンの分析にガスクロマトグラフィーを応用するために基礎的な分析条件の検討を行なった.熱イオン化検出器のエミッション電極はコイル状の白金-イリジウム合金線に水ガラスを融着したものを用いた.<BR>分離管にポーラスポリマービーズを用いた場合は<I>N</I>-エトロソアミンと妨害成分として考えられるピラジンとその誘導体の分離がわるい.また,保持時間と保持指標をPEG 6000と Versamid 900 の分離管で求めたが,PEG 6000では<I>N</I>-ニトロソアミンの一部が<I>N</I>-ニトラミンに変化する.<BR>キャリヤーガスは窒素ガスよりもヘリウムガスが微量の<I>N</I>-ニトロソアミンの分析によい結果を示した.<BR>食品中の<I>N</I>-ニトロソアミンの分析の応用を,試作したたらこで行なったが,1 ppbのジメチルニトロソアミンの定量ができた.
著者
松村 みち子 中村 文彦 田中 伸治 王 鋭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1107-I_1117, 2014

一般道路の路上に高齢者等の運転者が駐車できる「高齢運転者等専用駐車区間制度」が,わが国で2010年4月に導入された.本制度は日常生活に必要な施設の直近に,安全で快適な駐車環境を提供することで高齢運転者等を支援するものである.公共施設等の路外駐車場の移動制約者用駐車スペースとは異なり,対象車両が明確化され罰則もある.本研究では,事例として神奈川県における高齢運転者等専用駐車区間を取り上げ,利用実態,周辺施設の駐車場の整備状況,目的施設への公共交通によるアクセスのしやすさ等を併せて調査し,制度の導入効果を評価する.高齢者のモビリティを確保する上での課題や方策についても整理してみた.
著者
吉田 博久 畠山 立子 中村 邦雄 畠山 兵衛
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.597-602, 1989
被引用文献数
16

ヒアルロン酸ハイドロゲルのガラス転移挙動をDSCを用いて検討した. ハイドロゲルは水分率 (<I>W</I><SUB>c</SUB>=水/絶乾試料, g/g) が2以下では10K/minの速度で冷却しても容易にガラス状態を形成し, ガラス転移現象が観察された. ガラス転移温度 (<I>T</I><SUB>g</SUB>) と<I>T</I><SUB>g</SUB>における熱容量の差 (Δ<I>C</I><SUB>p</SUB>) の<I>W</I><SUB>c</SUB>依存性を検討した結果, <I>W</I><SUB>c</SUB><0.5の領域ではガラス転移は不凍水が吸着したヒアルロン酸によって起こり, <I>W</I><SUB>c</SUB>>0.5の領域ではガラス化した水とヒアルロン酸との協同的な運動によって起こることが判明した. ガラス化した水のΔ<I>C</I><SUB>p</SUB>は<I>W</I><SUB>c</SUB>の増加に伴って減少し純水の値に近づき, ヒアルロン酸との相互作用の程度によってハイドロゲル中の水の構造が影響を受けることが分かった.
著者
吉永 泰周 長野 史子 金子 高士 鵜飼 孝 吉村 篤利 尾崎 幸生 吉永 美穂 白石 千秋 中村 弘隆 藏本 明子 髙森 雄三 野口 惠司 山下 恭徳 泉 聡史 原 宜興
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.154-161, 2014 (Released:2014-05-07)
参考文献数
23

目的 : 歯周病原細菌と考えられている細菌群はグラム陰性菌であり, 進行した歯周炎患者の歯周ポケット内ではグラム陰性菌が優勢である. しかしながら, 歯肉炎や初期の歯周炎ではプラーク中の細菌はグラム陽性菌が優勢であるため, 歯周ポケット形成の初発時にはグラム陽性菌が大きな影響を与えると考えられる. われわれの過去の実験では, グラム陽性菌であるStaphylococcus aureusとグラム陰性菌であるAggregatibacter actinomycetemcomitansの菌体破砕物で感作したラットの歯肉溝に各菌体破砕物を滴下すると, 両細菌ともに強い歯周組織破壊を誘導した. しかし歯周組織の破壊が著しく, どちらがより強い影響を与えるかについての判断はできなかった. そこで本研究では, グラム陰性菌とグラム陽性菌の歯周組織破壊への影響を比較するために, より低濃度の菌体破砕物を用いて実験を行った. 材料と方法 : S. aureusとA. actinomycetemcomitansの菌体破砕物にて感作したラットと非感作ラットの歯肉溝内に, 12.5μg/μlの菌体破砕物を頻回滴下し, 病理組織学的に観察した. 無滴下のラットを対照群とした. 結果 : A. actinomycetemcomitans感作群では対照群と比較して統計学的に有意なアタッチメントロスの増加と歯槽骨レベルの減少を認めたが, S. aureus感作群およびA. actinomycetemcomitans非感作群ではみられなかった. 両細菌の感作群では免疫複合体の存在を示すC1qBの発現が接合上皮に観察されたが, 非感作群では認められなかった. 結論 : グラム陰性菌であるA. actinomycetemcomitansの菌体破砕物のほうが, グラム陽性菌であるS. aureusのそれよりも歯周組織破壊への影響が強いことが示唆された. また, 歯周組織の破壊には免疫複合体の形成も重要であることも改めて示唆された.
著者
中村 美奈子
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.45-49, 2020-03-30 (Released:2020-03-31)
参考文献数
19

労働者の精神疾患による労災認定の増加や過労自殺,女性や高齢者,障害者の労働参加の促進などが社会的課題となっている。公認心理師は国民の心の健康の保持増進に寄与することを目指し,働く人を対象とする産業・組織領域での活躍が期待されている。働くことは社会環境の影響をうける社会的活動であり,そこには人間の様々な課題が発生するため,働く人の個別性や生涯発達をふまえた臨床心理学的支援が求められる。また,組織,企業と働く人との関係性にも配慮し,働くことを取り巻く様々な現代的な課題への理解と,個人心理臨床のノウハウを集団や組織に応用する柔軟さが求められる。つまり,産業・組織領域での心理臨床は,働く人が職場で能力を発揮し,成長発達することと,組織が効果的に働く人を管理しながら組織の目標を達成することを目指す。これには,Bio(自己管理), Psycho(心理社会的課題), Social(対人コミュニケーション),Vocational(業務遂行)の4つの視点による支援が有効である。産業・組織領域での心理臨床には,従来の相談室における個別的相談だけでなく,課題が発生している現場に出向いて関係者を巻き込み協働するアウトリーチ型支援や,社会制度や福祉サービスを適切に活用することも含まれる。クライエントである働く人と組織・企業のニーズに応えるには,心理臨床家も自分の特性や働く意味を検討しながら,働き方や臨床スタイルを柔軟に変える必要がある。
著者
中村 久四郎
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.83-89, 1911-06
著者
安田 友久 中村 正直 白石 茂雄 増田 麗子 三浦 雅史 川口 徹 和久井 鉄城
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C0063-C0063, 2004

【はじめに】2003年2月「第5回アジア冬季競技大会青森2003」の開催に引き続き,3月に青森県と岩手県を会場に「2003ジャパンパラリンピック・アジア国際障害者スポーツ交流大会」が開催された。青森県ではクロスカントリースキー,アイススレッジホッケーの2種目が行われた。この大会において青森県理学療法士会では青森県内の会場に理学療法室を開設し,選手・役員への理学療法サービスを実施した。今回,演者らが直接関わった八戸会場を中心に,今後の対応について検討したので活動内容と合わせて報告する。<BR>【大会概要】八戸会場大会期間:2003年3月6日から9日まで,八戸会場:八戸市新井田インドアリンク,競技種目:アイススレッジホッケー,参加チーム:北海道,八戸,長野,東京,韓国(国際交流大会として参加)の計5チーム,大会参加選手数:74名。試合形式:日本国内4チームでのトーナメント方式,韓国チームは全3試合。<BR>【活動内容】活動期間は大会期間と同様で,競技会場内の一室を理学療法室として開設した。理学療法室には選手の応急処置,コンディショニングなどに対応できるよう,物理療法機器,テーピング材料一式,治療用ベッドなどを用意した。人員配置は5施設から計10名の理学療法士が常時2から3名となるよう配置した。<BR>【活動結果】利用者は全て選手で,利用者のべ人数および治療行為のべ件数は,それぞれ56名,81件であった。治療目的としては疲労回復(40%),リラクゼーション(24%),安静固定(17%),消炎鎮痛(14%)の順になっていた。治療手技としては,マッサージ(47%)が最も多く,次いで超音波(14%),テーピング(12%)の順で多かった。<BR>【まとめ】今大会では疲労回復・リラクゼーションを目的としたコンディショニングに対するサポートが多かった。また,コンタクトスポーツという特性からか,打撲に対するアイシングや安静固定・疼痛軽減を目的としたテーピングの処置も多い傾向にあった。今回の活動を通じて,特にテーピングやマッサージは理学療法士間で技術格差があり,技術面に対する事前の準備不足が考えられた。八戸会場では,試合会場内に理学療法室を開設したが,選手から宿舎での処置希望の声も多く,会場と宿舎で対応できる体制が望まれると考えられた。また,中にはオーバーユースからくる慢性疼痛を訴える選手もおり,超音波やストレッチングの治療手技も有用であった。近年,スポーツ現場に携わる理学療法士が増えつつあるが、障害者スポーツに関わるトレーナーや理学療法士の数は,健常者スポーツの現場に比べまだまだ少ないことが予想される。今後,障害者に対する知識を多く持つ我々理学療法士が障害者スポーツにも積極的に関わり,健常者と同様に理学療法サポートを行っていく必要性があると考える。