著者
中西 一弘
出版者
Japan Society for Food Engineering
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-13, 2006

食品製造プロセスにおいては, 原料や製品である食品が装置壁面に残留物 (汚れ) として付着する.このような汚れの装置壁面への付着は, 微生物汚染をもたらし装置の衛生状態を損しめるだけではなく, 熱交換器などの装置機能を著しく低下させるので, 製造終了後に実施する洗浄操作は極めて重要である.しかし, 実際の現場では未だに経験に基づいて行われている面が大きい.一方, 基礎的な立場からは, 固体表面上に発生する汚れの付着と洗浄の問題は, 分子間相互作用, 移動現象, 化学反応などが複雑に絡み合った工学基礎の課題であり, 食品化学工学者が是非にでも取り組むべき重要な課題である.筆者は, ドイツミュンヘン工科大学の (故) Kessler教授の研究所で行った膜洗浄の研究を端緒として, 20年以上にわたり食品汚れ成分の金属表面への付着と脱離に関する基礎的研究を行ってきた.とくに, タンパク性汚れは, 金属表面に対して強い付着の相互作用を示し, 洗浄が困難である点に着目して, タンパク質の付着機構をその構成成分であるペプチド, アミノ酸分子がもつ官能基のカルボキシル基, アミノ基と表面との間の相互作用およびタンパク質の付着に伴う構造変化などの観点から考察した.さらに, 種々の洗浄方法に対する速度論的取り扱いを示すとともに, 新規ラジカル洗浄法の特性について紹介した.
著者
竹下 正哲 中西 一弘 高橋 丈博 蓑原 隆 前山 利幸 戸祭 克 益満 ひろみ 後藤 元
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.183-194, 2018
被引用文献数
2

ドリップ灌漑はヨーロッパ,イスラエルなどを中心に世界に普及しているが,日本では全灌漑地の2%でしか使用されていない.その理由は,日本は四季を通じて十分な降雨があるため,露地栽培でドリップ灌漑は必須ではないとみなされてきたためと考えられる.本研究では,降雨が十分にある日本の露地において,ドリップ灌漑を導入することで,ピーマンの単位面積あたり収量を増加させることができるのではないかという仮説を検証した.「ドリップ灌漑の有無」「固形肥料・液体肥料の違い」の2要因を設定し,そのどちらが影響しているか,あるいは交互作用があるかを検証するために,ピーマンを用い,二元配置の分散分析実験を行った.結果は,「固形肥料・液体肥料の違い」に関わらず,ドリップ灌漑をした試験区の方が,ドリップ灌漑をしなかった試験区(天水のみ区)より収量(生重量),乾燥重量,着果数が増加した.とくに収穫量が落ちてくる9,10月の収量が,ドリップ灌漑区で多くなっていた.その差の要因は多頻度灌水にあると考えられ,日本の露地のように十分な降雨がある耕地においても,ドリップ灌漑により毎日定期的に灌水することで,ピーマンの着果数を増やし,収量を増加させることができることが示唆された.
著者
竹下 正哲 中西 一弘 高橋 丈博 蓑原 隆 前山 利幸 戸祭 克 益満 ひろみ 後藤 元
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.183-194, 2018 (Released:2019-06-20)
参考文献数
50
被引用文献数
2

ドリップ灌漑はヨーロッパ,イスラエルなどを中心に世界に普及しているが,日本では全灌漑地の2%でしか使用されていない.その理由は,日本は四季を通じて十分な降雨があるため,露地栽培でドリップ灌漑は必須ではないとみなされてきたためと考えられる.本研究では,降雨が十分にある日本の露地において,ドリップ灌漑を導入することで,ピーマンの単位面積あたり収量を増加させることができるのではないかという仮説を検証した.「ドリップ灌漑の有無」「固形肥料・液体肥料の違い」の2要因を設定し,そのどちらが影響しているか,あるいは交互作用があるかを検証するために,ピーマンを用い,二元配置の分散分析実験を行った.結果は,「固形肥料・液体肥料の違い」に関わらず,ドリップ灌漑をした試験区の方が,ドリップ灌漑をしなかった試験区(天水のみ区)より収量(生重量),乾燥重量,着果数が増加した.とくに収穫量が落ちてくる9,10月の収量が,ドリップ灌漑区で多くなっていた.その差の要因は多頻度灌水にあると考えられ,日本の露地のように十分な降雨がある耕地においても,ドリップ灌漑により毎日定期的に灌水することで,ピーマンの着果数を増やし,収量を増加させることができることが示唆された.
著者
新美 秀和 鎌田 千花 土井 美里 中西 一輝 西堀 咲輝 西山 淳 久武 貴昌 松浦 健吾 山川 綾音
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.21, pp.49-63, 2013

本稿では,大学のゼミ活動の一環として実践した「河童を用いた想像遊び」について報告した.活動の具体的内容は,ある学童保育で実践している活動(NPO 法人芹川子育て支援部門,2013)を参考にして原案を作成し,活動の場となった幼稚園の園長先生及びクラス担任との協議を経て決定した.協議の結果,5回の活動時間が与えられることとなった.1回あたりの活動時間は30分〜1時間,頻度は週に1回であった.第1回は彦根にいるとされる妖怪を紹介し,第2回と第3回では河童の絵本を読み,第4回目には河童への絵手紙を園児たちに作成させ,第5回目には河童からの返事を手渡した.5回の活動が終了した後,保護者に対し自由記述のアンケートにとったところ,園児たちはすっかり河童の存在を信じ込んだこと,また休日などに親子で河童を探しに近所を散策したことなどが報告された.最後に,今回の活動が園児に及ぼした影響,保護者に及ぼした影響および,本稿執筆者たちに及ぼした影響について論じた.
著者
中西 一弘
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.29-42, 1970

ベザール著『文学の方法』については、その全体の構成、とくに教材の組織化と指導法の大綱を第1報で述べた。第2報では、読むことの学習指導を主にとりあげ、ベザールの「方法」を具体的にみていくことにする。「文学の方法」における読むことの指導は、「分析的索引」の「読む技術」の項目によってその構造が端的に示されている。読む技術 I.多読 1.一冊の書物または一章・一節の研究 2.作者の研究 3.文学史の研究 II.短いテキストの解釈 1.授業の前に 2.授業中に この多読と精読との2部構成がベザールの指導法の基本であるが,思想(イデー)の研究には、「I.多読」が有益であり、表現の学習には「II.短いテキストの解釈」(精読)が必須とみている。「書くことを学ぶ最良の方法は、もっぱら思想(イデー)に意を注ぐことである。そのために、もし絶対に二つの異なった方法のうち一つを選ばねばならないとするならば、私は、数行を詳しく学習するよりも、おおよその理解を求める長い分量の読みの方により大きな信頼を置くだろう。幸いなことに、この苛酷な二者択一をわれわれに迫るものはいない。最近の訓令(1909)が、前者の読みを加担しているようにみえるが、後者の読み方学習をもまた同様に勧めているのである。そして、訓令はこの二つの方法が相互に補い合うのがよいと認めている。しかしながら,訓令はつぎのことを付け加えている。短いテキストの解釈学習という方法それのみが、正確な表現への意識を諸君にもたらす、と。『選択することと正確に述べること』、この二つこそ、作品解釈に関して考えうるかぎりの忠告のすべてを含んでいる、とも訓令は述べている。」しかし、この2部構成の有機的活用が著者の最も苦心した点であろう。ベザールはどのような方法によって、二者の結合をはかったのか。つぎの4項目が考えられる。○学習計画の設定とその合理化○学級文庫の整備充実○ノート(ルーズ・リーフによるカード化)の作製と整理○課題作文の執筆 これらの4方法による「多読」と「精読」の読むことの学習指導を,『文学の方法』第2部芸術における理性の勝利-17世紀の古典精神-を中心とし、なかんずく、悲劇作家ラシーヌの学習に焦点を合わせて述べていくことにする。Méthode d'observation de Bezard consiste à apprendre la manière de prendre des notes. Exemple des notes analysant une tragédie, Andromaque de Racine, sous la forme de titre et compte rendu de classe qui nous indiquent comment l'auteur dirige l'étude d'un livre ou d'un chapitre.
著者
岩田 貴樹 中西 一郎
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.51-59, 1998-07-03 (Released:2010-03-11)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We investigate the correlation between the occurrence of earthquake and the earth tide by analyzing the tail of the Matsushiro earthquake swarm that is recorded by the Matsushiro Seismic Array System during the period of November 1984 to December 1994. The seismic activity of the tail exhibits many bursts of earthquakes. We remove the bursts, because they affect our aim to investigate whether the correlation exists or not. We use the tidal strain data recorded by EW- and NS-component extensometers located in Matsushiro Seismological Observatory, Japan Meteorological Agency. We apply Schuster's test to the Matsushiro earthquake swarm. The hypothesis that the earthquakes in the swarm take place randomly is tested and is rejected for the EW-component. The earthquakes tend to occur when the tidal strain of the EW-component is in a compressional state. This state is consistent with the stress field at Matsushiro obtained by using focal mechanisms or in situ stress measurements.We also investigate the spatial variation of the correlation. A significant correlation is seen in the northwestern part of Matsushiro. The largest earthquake with magnitude of 5.2 occurred on 30 December 1986 near the region. We further investigate the temporal variation of the correlation in this region. The correlation becomes high right after the occurrence of the largest earthquake, whereas the correlation is low before the occurrence of it. This suggests that the strain changes caused by the largest earthquake make the correlation high in this region.
著者
花籠 靖 中西 一郎 森谷 武男 笠原 稔
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.213-225, 1990-06-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
19

The rapid determination of seismic moment and source mechanism for near earthquakes is attempted by a moment tensor inversion of long-period seismic waves. The inversion method is based on a normal mode theory. The data for the inversion are recorded at three stations in Hokkaido, Japan. Each station is equipped with a three-components very-broad-band seismograph. Source parameters of six earthquakes (mb_??_5.5) in and around the Japan region (epicentral distances of 200 to 1500km) for the period from January to April 1989 are determind by applying the moment tensor inversion to the long-period waveform data. Changing the components (UD, NS, EW) and record length used in the inversion the stability in the moment tensor solution is examined. A good S/N ratio is required to obtain a stable solution in the inversion of three-components data from a single station. Data length of 4-8min after the earthquake origin time is enough to attain stable source mechanism determination by using the three-stations data.
著者
中村 路一 中西 一夫 石橋 慶次郎 寺尾 道也 小林 寛治 吉田 茂 田辺 克巳 鈴木 橋雄 高橋 健
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.353-357, 1956 (Released:2008-11-21)
参考文献数
3
被引用文献数
2

1. AntiblastinはpH 2.5,温度2~5°で有機溶剤へ完全に移行し.これから更にpH 8附近のアルカリ水溶液で抽出できる.この操作を反覆して,ほぼ1/400容まで濃縮したメチレンクロライド溶液をアセトン-CO2により-40°以下に冷却することによつてAntiblastinの白色針状結晶を得ることができた. 2. 紫外部および赤外部の吸収曲線,或いは水添生成物たる飽和脂肪酸の検討により, AntiblastinはMycomycinに酷似することが判明した. 3. Antiblastinは溶液中の濃度が高まるにつれて不安定を増大し,結晶の状態では室温で単時間に褐色樹脂状物質に変化して活性を失うから, -40°以下の低温で保存することが必要である.
著者
塔ノ上 亮太 桂 誠 中嶋 悟 中西 一晃 矢澤 明子
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.97, 2014 (Released:2014-09-12)

石炭はマセラルと呼ばれる顕微鏡で区別できる要素と鉱物で構成される.各マセラルはそれぞれが植物の異なる成分に由来し,また堆積後も異なる反応を受けているため,その化学的性質は石炭の成因やその反応特性に対し重要な知見を与える.そこで本研究では,減衰全反射顕微赤外分光(μATR-IR)法によって,石炭マセラル組織の赤外イメージング測定を試みた.その結果,従来の正反射顕微赤外分光法よりも高空間分解能(<10µm)のイメージを得ることに成功した.
著者
中西一彦
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.161-173, 2012-03-31

新学習指導要領には「新聞」という言葉が多く盛り込まれている。新聞活用には「新聞に親しむ」「新聞を読む」「新聞で考える」という三段階がある。新しく教科書教材として取り上げられた新聞活用のための教材に照らし合わせて,この三段階の整合性を考える。今回は1社の4年生,5年生,6年生の教科書新聞教材を対象に,実践をより効果的に行うための必要事項を挙げることとした。事前の準備を周到に行っておくこと,特に子どもたちの実態,現状をしっかり把握し用意することをもとに考察を行った。
著者
中西 一郎
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.237-238, 2007-03-15 (Released:2013-08-05)
参考文献数
21
著者
樋川 和伸 中西 一夫 岡田 政則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.364, pp.73-78, 2006-11-11
参考文献数
8

過去2年半,我々が開発した携帯授業管理システムで,携帯電話を利用した授業の出欠管理を行ってきた.その方法は,学生は携帯電話からWeb出席届けページを閲覧して教員が指示した1個のキーワードを入力して出席届けを行うという単純キーワード入力方式であった.実践上はその方法でも,相当程度の信頼性はあったが,授業に出席していない学生が出席している他の学生からキーワードを聞いて出席届けをすることもできるので,厳密な出席管理には欠けることがあった.そこで,新たに,複数のキーワードを個別に入力可能時間帯を設けて連続的に入力させる多重時間差キーワード入力方式を導入しその効果を測定することにした.今回の発表では,その仕組みと中間結果を報告する.
著者
中西 一郎
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学) = Department of Natural History Sciences (Geophysics), Graduate School of Science, Hokkaido University
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.383-386, 2009-03-15

A record is found in the historical document of the Toudou family in relation to the 1596 Bungo-Iyo earthquake. The document was written about 180 years after the occurrence of the earthquake. The record shows that the castle Uwajima was damaged by the 1596 earthquake and provides us with an important constraint on the location of the earthquake.