- 著者
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竹下 正哲
中西 一弘
高橋 丈博
蓑原 隆
前山 利幸
戸祭 克
益満 ひろみ
後藤 元
- 出版者
- 日本農作業学会
- 雑誌
- 農作業研究 (ISSN:03891763)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.4, pp.183-194, 2018 (Released:2019-06-20)
- 参考文献数
- 50
- 被引用文献数
-
2
ドリップ灌漑はヨーロッパ,イスラエルなどを中心に世界に普及しているが,日本では全灌漑地の2%でしか使用されていない.その理由は,日本は四季を通じて十分な降雨があるため,露地栽培でドリップ灌漑は必須ではないとみなされてきたためと考えられる.本研究では,降雨が十分にある日本の露地において,ドリップ灌漑を導入することで,ピーマンの単位面積あたり収量を増加させることができるのではないかという仮説を検証した.「ドリップ灌漑の有無」「固形肥料・液体肥料の違い」の2要因を設定し,そのどちらが影響しているか,あるいは交互作用があるかを検証するために,ピーマンを用い,二元配置の分散分析実験を行った.結果は,「固形肥料・液体肥料の違い」に関わらず,ドリップ灌漑をした試験区の方が,ドリップ灌漑をしなかった試験区(天水のみ区)より収量(生重量),乾燥重量,着果数が増加した.とくに収穫量が落ちてくる9,10月の収量が,ドリップ灌漑区で多くなっていた.その差の要因は多頻度灌水にあると考えられ,日本の露地のように十分な降雨がある耕地においても,ドリップ灌漑により毎日定期的に灌水することで,ピーマンの着果数を増やし,収量を増加させることができることが示唆された.