著者
伊藤 公紀 田中 博
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

最近見出した太陽風パラメータと地表気温および北極振動との相関を手がかりとして、太陽磁気活動-気候相関のミッシングリンクに迫ることを目指した。成層圏気温と太陽風パラメータの相関を生む原因として、成層圏オゾンデータを利用した太陽風粒子降着についての検討が可能と判断された。そこでオゾン量の全球グリッドデータを用い、太陽風との相関を調査し、太陽風粒子が電離圏で生成するNOが成層圏に運ばれ、オゾンを減少させることにより、成層圏の気温を変調するという機構を提案した。
著者
杉野 公則 亀山 香織 長浜 充二 北川 亘 渋谷 洋 大桑 恵子 矢野 由希子 宇留野 隆 伊藤 公一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.7-12, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1

甲状腺乳頭癌に比して甲状腺濾胞癌は術前診断が困難であるため切除後の病理組織検査で判明することが多く,遠隔転移を起こす頻度が高く,予後も悪いとされている。標準的な治療戦略として病理診断判明後,補完全摘術,アブレ-ションを行い,血中サイログロブリン値を指標とし,その上昇時にはI131内用療法を行う。しかし全ての濾胞癌症例にこの戦略が必要なのか疑問が残る。本腫瘍の予後因子および遠隔転移の危険因子を求めることで,上記戦略が必要な症例を明らかにした。甲状腺濾胞癌初回手術症例134例(1989年から1998年まで)に対し無遠隔転移生存率(DMFS)に関与する因子を検討した結果,年齢,原発腫瘍径,浸潤形式(広範浸潤型)であった。さらに,予後良好とされている微少浸潤型濾胞癌初回手術症例251例(1989年から2006年)に対して同様にDMFSに関与する因子を検討した結果,年齢が有意な因子であった。これらの危険因子を加味し,治療戦略を勘案すべきと考えられた。
著者
上条 直裕 伊藤 公久 渡邉 妙子
出版者
The Imaging Society of Japan
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.641-649, 2012

近年,歴史的文化財の保護,継承を目的とするデジタルアーカイブ活動が盛んになっている.特に日本刀は個人所有が主であり,歴史的人物,時代背景とのつながりが強いため文化財としての価値は高く,アーカイブによる記録,閲覧の要請は強い.日本刀はその道具としての機能「折れず,曲らず,よく切れる」を達成するための工夫がそのまま美しさを作り出している.これら美しさを示す特徴は観察,理解が難しく,専門家の視点での日本刀の見えを表現できる画像の取得が期待されてきた.日本刀の観察は照明と視線との相対姿勢を調整しながら,微妙な色合い,文様を読み取ることが重要である.我々は,照明角度,視線角度を調整可能とするマルチアングル撮像光学系,正確な色情報を取得するマルチバンド分光撮像系を搭載した日本刀デジタルアーカイブシステムを開発した.また,本システムは色補正,合成,明るさ補正機能を搭載し,専門家のイメージを共有できる画像表示を実現している.本稿では,日本刀の高精細な画像を取得可能とする日本刀デジタルアーカイブシステムの機能,構成とアーカイブ画像における効果を紹介する.
著者
松津 賢一 杉野 公則 伊藤 公一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.253-258, 2015 (Released:2016-03-04)
参考文献数
18

甲状腺乳頭癌の初期治療方針は,諸外国とわが国では従来大きく異なっていた。甲状腺切除範囲は,わが国では亜全摘以下の甲状腺温存手術が中心であったが,欧米では広く全摘が推奨されていた。しかしATAは今回のガイドライン改訂で個々の症例のリスクに基づいて切除範囲を決定するRisk-adapted managementを採用した。4cmより大きな腫瘍,肉眼的腺外浸潤,臨床的リンパ節転移,遠隔転移のいずれかを有する症例は高リスクとして全摘を,1cmより小さく腺外浸潤やリンパ節転移がなければ低リスクとして葉切除を推奨し,どちらにも該当しない症例では個々の症例ごとにいずれの術式も選択可能とした。未だ甲状腺切除範囲と予後に関するエビデンスが十分とは言えず,残された課題も多いが,今回のATAガイドライン改訂に伴って,NCCN,BTAを含む欧米のガイドラインは,わが国と類似した治療戦略を取ることになった。
著者
伊藤 公雄 MIYAKE Toshio 三宅 俊夫
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究実施計画に基づき、まず、戦前から戦後にかけての日本社会におけるオクシデンタリズムについての文献収集と分析を、受け入れ教授の伊藤公雄のアドバイスを受けつつ進めました。前年度、特に消費文化とポピュラー文化のグローバル化について検討を加えることで、近年の日本におけるイタリアイメージの形成について、考察を進めました。その成果の一部は、5月にダートマス大学で開催された「イタリアン・カルチュラル・スタディーズ学会」で発表しました("ltaly Made in Japan : Occidentalism, Self-Orientalism and Italianism in Japan", Dartmouth College 2010. 05. 08)。また、日独伊3国同盟を擬人化した『ヘタリアAxis Powers』という人気マンガを分析し、その成果について、「カルチュラル・タイフーン2010学会」で報告を行いました("Revisiting Japanese Occidentalism via Hetalia Axis Powers : Nation Anthrapomorphism and Sexualized Parody in otaku/yaoi Subcultures,駒澤大学、2010.07.04~07)。さらに、日本において進めてきたオクシデンタリズムと自己オリエンタリズムの交錯について、収集した資料等を活用しつつ、これまでミヤケが発表してきた論文を対象に再検討を行い、論文の修正点や改正点を洗い出した上で、"L'Occidente e l'Italia in Giappone. Occidentalismo, italianismo e auto-orientalismo"(日本における「西洋」と「イタリア」:オクシデンタリズム、オリエンタリズム、自己オリエンタリズム)と題した著書の出版の準備を進め、ほぼ完成段階に至っています(2011年に刊行予定)。
著者
加藤 良平 赤石 純子 杉野 公則 近藤 哲夫 伊藤 公一
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.168-174, 2021 (Released:2021-11-27)
参考文献数
15

小児・若年者(20歳以下)を主体に発生する甲状腺癌は,成人以降に発生する通常型甲状腺癌とは異なる組織所見を示すものがあり,それらは臨床経過も特徴的であることが知られている。最も頻度が高いのは通常型の乳頭癌であるが,小児・若年者ではいわゆる“若年型乳頭癌”といえる特徴的組織所見を示す亜型群が発生する。その中には充実亜型,びまん性硬化亜型,篩状・モルレ亜型などが含まれる。乳頭癌以外では,家族性髄様癌や多発性内分泌腫瘍症2型に伴う髄様癌も若年者に多く認められる。一方,小児・若年者では低分化癌や未分化癌は極めて例外的といってよい。若年者甲状腺癌は特徴的な病理組織像と臨床像を示すため,正確な病理診断と治療が肝要である。
著者
友田 智哲 杉野 公則 伊藤 公一
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.5-9, 2020 (Released:2020-07-17)
参考文献数
20

近年甲状腺癌に関する様々なガイドラインが改訂された。特に,国内のガイドラインで,転移や浸潤徴候のない微小乳頭癌患者に対して,非手術経過観察を希望される場合には,“経過観察を行うこと”が推奨された点は,他癌種の治療ストラテジーである早期発見,早期治療とは相反しており注目すべきである。この背景には,微小癌の増大頻度や遠隔転移の頻度は低いこと,増大後手術施行しても術後成績が変わらないことが前向き研究で示された為である。海外のガイドラインでは,次世代シーケンサーの普及に伴い,遺伝子検査が細胞診の鑑別困難時の診断補助として推奨されている。国内でも,髄様癌のRET遺伝子検査は,治療法決定に不可欠な検査である。
著者
多賀 太 石井 クンツ昌子 伊藤 公雄 植田 晃博
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.7-19, 2023-04-30 (Released:2023-05-31)
参考文献数
24

近年の国際的ジェンダー平等政策では,男性のケア関与に焦点を当て,理想的な男性のあり方としてのケアリング・マスキュリニティ(CM)をキーワードとして用いている.しかし,男性のケア行為参加がジェンダー平等を促進する効果は限定的との先行研究もあり,そもそもCMを構成する諸要素間の関係性に関する十分なエビデンスは得られていない.そこで本研究は,7歳未満の子どもを持つ父親を対象とした調査データを用い,CMの構成要素に関する諸変数で階層別クラスター分析を実施した.その結果,男性たちが,単にCMの程度が高いか低いかの二極モデルでは捉えきれない形で多様化していることが明らかにされた.すなわち,「ケア行為」の頻度が高い男性たちの間でさらに,「ジェンダー観」が非伝統的で「生活の質」も高い「非伝統的男性性」と,「ケアの態度」の程度は高いが「ジェンダー観」は伝統的で「生活の質」が低い「葛藤的男性性」への分化が確認された.
著者
伊藤 公平
出版者
慶應義塾大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

半導体用シリコン(Si)は人類が作製した単結晶として最も純度が高く、最も結晶性の優れた材料と言っても過言ではない。それゆえに、現在の超高集積回路が実現された。しかし、地球上に存在するすべてのSi中には^<28>Si、^<29>Si、^<30>Siの3種類の安定同位体が存在し、それぞれの組成比は92.2%(^<28>Si)、4.7%(^<29>Si)、3.1%(^<30>Si)と常に一定である。異なる同位体が同一結晶内に存在するということは、結晶を構成する原子の質量にばらつきがあることを意味し、また、核スピン(^<29>Si同位体のみが核スピンを有する)の分布にもばらつきがあることを意味する。従来、シリコン中の同位体組成を変化させて「質量分布」や「核スピン分布」を制御した例はほとんどなかった。本研究では^<28>Si安定同位体純度を99.92%まで高めた半導体シリコン(Si)バルク単結晶の成長に世界に先駆け成功した。^<28>Siバルク単結晶の熱伝導度は、通常のSiの熱伝導度と比較して室温で60%、100℃で40%向上することが確認され、将来のLSI基板材料として大きな期待が寄せられている。また、^<28>Siバルク単結晶は、量子コンピュータを実現する材料、アボガドロ定数を精確に決定する世界アボガドロ定数標準、ビッグバン理論の検証に関する宇宙物理学研究用センサー、無重力空間における溶融実験に大きな進歩を及ぼす材料として期待されている。本研究で成長された結晶は上記各方面の研究・開発に利用されることになる。
著者
伊藤 公雄
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.149-166, 1981-03-31 (Released:2017-04-05)

Che affinita esistono fra il senso comune, che e la coscienza del popolo, e una visione del mondo piu sistematica e coerente? In che modo una determinata visione del mondo arriva a dominare il popolo? Si tratta di problemi di sociologia della conoscenza che trovano nell'opera di Gramsci alcuni suggerimenti interessanti per una loro soluzione. Il presente articolo e un tentativo di ricostruzione del pensiero di Gramsci da questo punto di vista e si articola in tre punti. 1) In primo luogo ho inserito la teoria di Gramsci sugli intellettuali nell'ambito piu generale delle teorie sociologiche sull'argomento. In particolare ho considerato i suoi "intellettuali tradizionali" come "intellettuali reali", costituenti una classe sociale, ed i suoi "intellettuali organici" come "intellettuali funzionali", cioe osservati dal punto di vista dela loro funzione sociale, concetti che ho riutilizzati al momento di affrontare i problemi dell'egemonia e del blocco storico. 2) In secondo luogo ho distinto nelle idee di Gramsci fra teoria della dominazione e teoria della rivoluzione. L'autore ha ricavato quest'ultima teoria, in cui viene affrontato il problema di come possa nascere una nuova forma di dominio, dalle sue ricerche sulla dominazione. Il suo pensiero in questo campo presenta spiegazioni di grande interesse, come quando utilizza i concetti di egemonia, di blocco storico, di intellettuali organici e tradizionali, ma la sua strategia della rivoluzione ha alcuni limiti. Su questo punto infatti Gramsci appare piu dogmatico ed idealistico. 3) Da ultimo ho delineato un quadro dei rapporti intercorrenti fra folclore, senso comune e filosofia. Fra folclore, che e una forma di conoscenza piu incoerente e statica, e filosofia, che e piu sistematica, esiste una gerarchia. Per dominare il popolo i gruppi egemoni hanno sempre teso a mantenere questa gerarchia attraverso i loro apparati (scuola, chiesa ecc.), cioe attraverso i loro intellettuali organici. Gramsci invece pensa che sia necessario elevare il "senso comune", valorizzandone e sistematizzandone gli elementi positivi, e rendere omogenee le conoscenze del popolo alla visione degli intellettuali organici della nuova classe. Da un punto di vista teorico questa strategia sembra chiara, ma nella pratica come e possibile rendere omogenee le conoscenze del popolo e come ci si rapporta rispetto ai suoi desideri materiali ed alla sua sensibilita? A queti problemi l'autore non risponde. Gramsci e stato sicuramente un grande pensatore dell'epoca moderna ma presenta alcuni limiti. Per superare questi limiti spetta a noi risolvere i problemi lasciati aperti in modo da dare concretezza alla "filosofia della prassi".
著者
伊藤 公一
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-11, 1995-10-16 (Released:2018-01-10)

A number of scholars of the Constitution of Japan support the theory of double standard. They interpret freedom of expression as the highest valuable human right. Consequently prior restraint of freedom of expression is forbidden generally. The Ministry of Education inspects the contents of textbooks now in our country. Quite a number of scholars of the Japanese Constitution insist that the inspection is contrary to the constitutional provision of freedom of expression. But the textbooks are used for education for good citizenship and children are compeled to study the textbooks by the law. These books are specific books unlike other books. In this paper, I argue that we must conclude constitutionality about restriction of freedom of expression in due consideration of purpose of the restriction and nature of textbook. It may be given as a conclusion that the present inspection of textbook dose not violate the freedom of expression.
著者
伊藤 公雄
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.3-12, 2009-03-20 (Released:2016-10-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

「日本人の特異な国民性は、彼らが自らの国民性に強い関心をもっていることだ」とは、しばしば指摘されるところである。日本人の特徴という点で、戦後日本社会においてほぼ例外なく共有されているイメージに「集団主義」がある。「個人より集団を優先する傾向」としての「集団主義」という視点から、(日本人は)「個人というものが確立していない」「和を尊び、つねに集団として行動する」とする見方は、海外においても、強固なイメージとして定着している。 スポーツを通じた「日本的集団主義」論として、よく知られた著書に、ロバート・ホワイテイングによる『和をもって日本となすYou Gotta Have Wa』(初出は1989年)がある。ホワイテイングは、こうはっきりと書いている。「集団的調和、すなわち和の概念は、アメリカ野球と日本のそれとをもっとも劇的に区分するものだ。和は、すべての日本人の生活とスポーツを貫いて作用している。『他人にかまわず思い切りやれ』とか『自分の思うことをやれ』は、現代のアメリカ社会のモットーだが、日本人の信条は、よく知られた次のようなことわざに示されている。『出る釘は叩かれる』。これは、実際、国民的なスローガンなのだ」(Whiting,1989:70 伊藤訳、翻訳書ホワイティング=玉木訳、1990:115頁相当箇所)。しかし、戦前期に書かれた比較スポーツ文化論には、「剣道、柔道にしても、二人の対抗勝負であるが、西洋の競技は多人数合同して、協同的動作を要する。…一体我が国の生活は従来は個人的であり、階級的であったから、勝負事までもそうであった」(下田、1928年)といった記述もみられる。 本稿では、こうした近代日本における集団スポーツの構図を、歴史的・文化的文脈に沿いながら、現在議論されつつある社会心理学分野での研究成果などを参照しつつ、「日本的集団主義」の問題について考察を加える。その上で、1990年代のJリーグ誕生以後の日本のスポーツ・シーンにおける「集団性」の変容の兆を、現代日本社会における社会関係の変化と重ねることで、スポーツ社会学からの日本社会論へのアプローチの可能性について論じようと思う。