著者
山田 幸三 伊藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.89-99, 2008-12-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
25

有田焼と京焼の陶磁器産地を比較事例とし,産地の分業構造を事業システムの概念に依拠して捉えて形成メカニズムを探る.有田では中核となる窯元が技能や伝統を伝承して産地を方向付けする責任を果たし,産地のヘゲモニーをもってきた.一方,京都では生産者の窯元,顧客,問屋が「顔の見える」関係にある.両地域とも窯元は他者の真似をしないという不文律があった.産地の分業構造は人材育成の仕組みを基盤とする競争の不文律に支えられてきたことを主張する.
著者
伊藤 博
雑誌
大妻女子大学文学部紀要
巻号頁・発行日
vol.22, pp.33-48, 1990-03
著者
伊藤 博士 中野 佑樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

太陽内部におけるスピンフレーバー振動模型はローレンツ不変性を破り、電子ニュートリノが反電子ニュートリノへ振動すると予想されている。これによる太陽からの反電子ニュートリノ流量に対して、太陽標準モデルによる流量は無視できるが、従来検出器で検出するためには新たな技術が必要である。本研究はSK-Gd実験を用いて反電子ニュートリノの検出効率を従来から10倍以上改善する。4年間のSK-Gdの運用でローレンツ不変性を破る新物理を探索する。本研究を達成するために以下の項目について遂行する: SKデータを用いたBG推定, シミュレーション開発, 太陽磁場の解析, 系統的な不確定性誤差の評価。
著者
伊藤 博明
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.77-103, 1988

シエナの大聖堂に踏み入る者が最初に出会うのは、中央の舗床に描かれた「ヘルメス・メルクリウス・トリメギストュス、モーセの同時代人」HERMES MERCURIUS TRIMEGISTUS CONTEMPORANEUS MOYSIと題されたモザイク画である。このヘルメス像は、先駆的な「ヘルメス文書」の校訂版であるスコット編纂の『ヘルメティカ』、及び、画期的なルネサンス・ヘルメス主義の研究所であるイエイツの『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス伝承』のフロント・ページを飾り、ルネサンス期におけるヘルメス主義の興隆を視覚的に示しているものとして、研究者の間では夙に有名なものである。このモザイク画の両側には、内陣に向かって10のシビュラ像が置かれているが、それらは、舗床にはめられた石版が示しているように、1482年から1483年にかけて、オペラ・デル・ドゥオーモ(大聖堂総務局)の当時の長であったアルベルト・アリンギエーリの指示によって、数人の画家によって描かれたのであった。これらのシビュラ像から少し遅れて、1488年にヘルメス像は、ジョヴァンニ・ディ・ステーファノによって描かれることになるが、それも同様にアリンギエーリの指示を受けていたとされている。本稿の課題は、大聖堂の舗床に描かれているヘルメスとシビュラが意味している分脈を、舗床に刻まれているラテン語章句を詳しく分析しながら、また、当時の思想的・宗教的背景を踏まえつつ明らかにすることである。予め論述の順序を示しておくと、まず古代・中世におけるシビュラとヘルメスについて簡単な予備的考察を行い(l)、次にルネサンス期におけるシビュラとヘルメスの受容についてフィチーノを中心に検討し(II)、その後に、大聖堂舗床のシビュラとヘルメスについて論究することにしたい(III・IV)。Sul Pavimento del Duomo di Siena, si vedono le figure d'Ermete e delle dieci Sibille. Queste furono raffigurate da vari artisti sotto la guida del Rettore dell'Opera del Duomo, Alberto Aringhieri nel tardo Quattrocento. (1) Le Sibille furono originariamente profetesse in Grecia antica. Nel Medioevo, pero, erano considerate le donne che predissero la venuta del cristianesimo nelle varie regioni pagane. Anche Ermete, a cui erano attribuite le vaste opere, fu riferito come profeto egiziano sul cristianesimo, per esempio, nel Divinae institutiones di Lattanzio, ma Agostino accuso la falsita della dottrina ermetica nel suo De civitate Dei. (2) Nel periodo umanistico, il pensiero ermetico rigenero e venne divulgato in Italia. Marsilio Ficino, che tradusse il Corpus hermeticum, appoggiandosi sulle testimonianze di Lattanzio, insiste che Ermete vaticino la venuta di Cristo come le Sibille facero. La sua opinione ebbe una grand'influenza sui pensatori religiosi e filosofici del suo tempo. (3) Gli oracoli, che sono scritti presso le dieci Sibille, alludono alla nascita, al miracolo, alla flagellazione, alla passione, allla resurrezione di Gesu e al giudizio finale. Si pensa che le frasi d'oracoli sono prese principalmente dal Divinae institutiones. (4) Ermete si appoggia a una tabella, nella quale e scritta la frase che allude alla creasione del " Dio visibile, Figlio che e appellato il Sacro Verbo" , cioe, del Logos=Cristo prima d'incarnazione. Questa frase deriva dai flammenti che sono citati in greco presso il Divinae institutiones. Lattanzio, la cui opera fu utilizzata dal Rettore Aringhieri, dice che Cristo fu nato due volte; prima in spirito, poi in carne. Consultando questa opinione di Lattanzio, si conclude che sul Pavimento del Duomo, Ermete profezia Cristo nato in spirito e le Sibille profeziano Cristo nato in carne, ed Ermete e le Sibille rappresentano la significazione unificativa.
著者
小野寺 毅 渡邊 一仁 芳賀 圭悟 伊藤 大介 伊藤 博 及川 浩人
出版者
宮城県水産研究開発センター
巻号頁・発行日
no.13, pp.7-14, 2013 (Released:2015-06-24)

宮城県北部に位置する志津川湾において,平均全長65mmのホシガレイ種苗を6月下旬から7月上旬に放流し,平均全長100mmで9月上旬から中旬に放流し,両者の回収状況を比較した。1) 6月下旬から7月上旬に放流した小型種苗の回収状況は,9月上旬から中旬に放流した大型種苗のそれと同等あるいは上回った。2) 従来の放流方法で実施した大型種苗の経済回収率は0.66であったのに対し,小型種苗のそれは1以上であった。3) 志津川湾では6月中旬から7月上旬に湾奥の河口付近の波打ち際から平均65mmで放流するのが経済的である可能性が示唆された。
著者
志尾 嘉洋 伊藤 博子 川村 恭己 河島 園子
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.143, pp.77-82, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

It is necessary to develop a system that reduces the load on the marine traffic control because its work is manual and heavy. In this study, we created a ship behavior prediction model using Recurrent Neural Network (RNN) to explore the possibility of marine traffic control and ship maneuvering support by machine learning. Specifically, we predicted the position and course of a ship that would go through the bend of the Uraga Channel from 5 items (length, width, course, speed and position) and displayed on a map. It shows that the effectiveness of ship behavior prediction by machine learning has been confirmed.
著者
伊藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.4-17, 2021 (Released:2022-01-11)
参考文献数
82

本稿は,2つの統治パラダイムを対比することで,統治と経営が連動していることを主張する.第一の統治パラダイムは,現行の支配的な企業統治論である.それに従うならば,経営は「制作」となる.一方,経営を「実践」とするもう1つの統治パラダイムも構想できる.統治と経営のこうした連動性を再評価することで,企業統治論の研究が活性化され,経営学の諸論考と企業統治論の交流が促進されることが期待される.
著者
伊藤 博之
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.12-23, 1991

親鸞は、天皇の権威を絶対視する日本の精神風土のなかにあって、天皇制の基盤となった神祇信仰を最も深い次元から批判し、日本共同体の観念を超越した真の普遍思想を日本人に示した思想家であった。世俗の信仰形態はそれが国家の組織に取りこまれたものであったとしても、利己心や我執を離れたものではない。自己本位の利害を祈る迷信にすぎない共同体の神祇崇拝の思想を超越した真実の浄土信仰は、日本人の内面に巣くう天皇制的心性を克服する可能性をひめたものということができる。
著者
伊藤 博
出版者
水産庁北海道区水産研究所
雑誌
北海道区水産研究所研究報告 (ISSN:05132541)
巻号頁・発行日
no.61, pp.55-64, 1997-03

北海道根室湾沿岸で春季に採取したウバガイPseudocardium sybillaeの消化管内容物を調べた。体重に対する胃内容物の割合は殻長が大きくなると増えた。胃と腸の内容物にみられたプランクトンは、珪藻綱の中心目と羽状目、黄色鞭毛藻綱の珪質鞭毛藻目、渦鞭毛藻綱のペリディニウム目、繊毛虫綱の有鐘目の各種、および藍藻類、線虫類、多毛類、甲殻類だった。消化管内のプランクトンと海水中のネットプランクトンとの符合は部分的に認められた。いっぽう、Melosira sulcataなどの底生性珪藻はネットプランクトン中に少なかったが、消化管内に多く出現した。これは沿岸性の二枚貝類が攪乱で再懸濁した餌料粒子を利用することを示唆している。
著者
鈴村 高幸 伊藤 博仁
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.65-68, 2016

テレビ朝日では、非常災害時における放送継続手法の検討を継続的に行っている。本社の番組送出機能が喪失してしまい、親局送信所のみで放送を継続する事態を想定した時、SNGを用いて各地の系列局より放送素材を伝送してもらい、親局送信所において直接受信するという手法が有効である。しかし、関東広域放送の親局送信所は東京スカイツリー[○!R]であるため、アンテナを設置するための条件が厳しく、SNGを簡単に受信することはできない。そこで、常設されているFPU受信アンテナを用いてSNGを受信するという手法を考えた。この手法を実現するために、FPU受信アンテナの受信帯域幅を広帯域化し、SNGも受信可能となるような共用受信アンテナの開発を行った。現在は構造設計が終了し、試作機の製作を行っている。
著者
鈴村 高幸 伊藤 博仁
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.J29-J34, 2018

テレビ朝日では,非常災害時における放送継続手法の検討を継続的に行っている.本社の番組送出機能が喪失してしまい,親局送信所のみで放送を継続する事態を想定した時,SNGを用いて各地の系列局より放送素材を伝送してもらい,親局送信所において直接受信するという手法が有効である.しかし,関東広域放送の親局送信所は東京スカイツリー<sup>&reg;</sup>であるため,アンテナを設置するための条件が厳しく,SNGを簡単に受信することはできない.そこで,常設されているFPU受信アンテナを用いてSNGを受信するという手法を考えた.この手法を実現するために,FPU受信アンテナの受信帯域幅を広帯域化し,SNGも受信可能となるような共用受信アンテナの開発を行った.
著者
伊藤 博 Hiroshi ITO
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-32, 2012-03-31

明治維新前後において、福沢諭吉ら洋学者達が近代科学を子どもにまで広めようとした。なかでも江戸末期の1868年(明治元年)に福沢諭吉が発行した『訓蒙窮理圖解 初編 上(中・下)』(上巻は表裏表紙含め全52葉)は、すべての漢字にルビを付し、所々にその頁の内容に沿った図などを挿入するなどはじめて子どもを対象とした科学読み物であったと考えられる。その後、この書物に触発されて明治五年から明治七年にかけて「窮理熱」と呼ばれる科学読み物がさかんに出版されるようになり、科学入門書の一大ブームが起きた。これは科学入門書が一般庶民の読み物として広がりつつあった事を裏付けるものである。こういった科学書が一般庶民の読み物として成立するためには、読者層において高いレベルの識字率が必要とされるのが前提である。さらに、各種の研究から明治維新前後の一般庶民の識字率は相当に高かったことが知られている。そこで本稿では、一般庶民にまで教育が施されるのはいつのことからであり、その教授法はどのようなものであったのかについて明治維新前後の当時の資料をもとにして考察していきたい。
著者
酒井 達哉 佐々木 顕彦 西本 望 伊藤 博章 Tatsuya SAKAI Akihiko SASAKI Nozomu NISHIMOTO Hiroaki ITO
雑誌
学校教育センター紀要 = Bulletin of School Education Center (ISSN:24353396)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-121, 2021-03-31

本研究では,女子大学を卒業した新卒3 年目までの正規採用の小学校教員を対象に,若手教員の意識や研修課題及び卒業生支援に対する要望を調べ,それらに対する方策について検討を行った。調査の結果,卒業生の若手教員の多くが教職にやりがいを感じながらも,採用前の予想を上回る学校現場の厳しい困難な現実に直面し,それぞれに研修課題を抱いている実状が明らかになった。例えば,研修課題においては,日々,適切な指導が求められる「教科等の指導」,「生徒指導」や新しい教育課題である「特別の教科 道徳」などのニーズが高いことなどが明らかになった。こうした結果を踏まえ,本研究報告は,在学中の早い段階から教職の魅力を伝えたり,実践的指導力の向上を意識した授業内容を設定したりすることなどの教職課程の改善や,卒業後もニーズに応じた研修を提供するなどの卒業生支援の拡充についての方策を提言している。
著者
三木 千壽 町田 文孝 伊藤 博章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.283-293, 2011
被引用文献数
3

こガセット継手に生じる疲労き裂の応急補修対策および疲労き裂の発生を抑制するための応力改善対策について,大型の梁試験体を用いて検討した.ストップホール,ストップホールの高力ボルトによる締め付けおよび添接板補修をそれぞれ対策方 法とし,疲労き裂が発生した箇所に用いて,その効果を確認した.また,ガセット継手の疲労き裂の発生の抑制を目的として,当て板補強による応力改善についても検討した.疲労き裂の補修対策としては,疲労き裂先端にストップホールを明け,その孔を用いて添接板補修を行う対策が最も効果があること,ガセット継手部の当て板による応力改善では,応力集中部に高力ボルトが配置されることにより,応力の低減効果が上がることが確認された.
著者
伊藤 博道 加藤 昭紀 野崎 礼史 淀縄 聡 小川 功
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.1651-1654, 2008-07-25
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

症例は72歳,男性.咳嗽・右鼠径部膨隆を主訴に来院.右鼠径ヘルニアの診断にて根治術施行時に認めた腹水の細胞診から非小細胞癌が検出され,癌性腹膜炎と判明した.精査にて左肺を原発とするStageIVの非小細胞肺癌と診断された.カルボプラチンおよびパクリタキセルの化学療法を1コース施行し,原発巣は縮小したが,11日目から腹痛が出現し腹部X線にてfree airを認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い同日開腹手術を施行した.上部空腸にφ3×2cm大の転移巣を認め,その中心が壊死・穿孔していた.他にも3箇所小腸転移巣を認め,その転移巣も含めた小腸部分切除術を施行した.術後に化学療法再開予定であったが,肺病変の進行により全身状態が増悪して18病日に死亡した.肺癌の小腸転移例はしばしば認められるが穿孔例は少ない.腹腔内転移を伴う肺癌の治療中は,消化管穿孔の可能性を念頭において慎重に経過観察する必要がある.