著者
伊藤 毅志
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、棋風を模倣する手法として、以下の2つの手法を提案した。Bonanzaの評価関数の機械学習を利用して、特定の棋士の棋風を偏重させて学習させる手法を提案し、その実装を行った。具体的には、特長あるトッププロ棋士の棋譜を偏重して学習させることによって、その棋風をある程度模倣できることを示した。また、一般的な棋風である「攻めー受け」「重厚-軽快」「直線的-曲線的」などに着目し、それぞれの棋風を色濃く反映しているプロ棋士の棋譜を統計的に分析することで、棋風を形成している特徴要素を特定し、その要素を用いて模倣システムを構築した。
著者
長久 功 花北 順哉 高橋 敏行 南 学 北浜 義博 尾上 信二 紀 武志 伊藤 圭介
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.133-137, 2009-02-20

Cervical anginaは,何らかの頚椎近傍の病変に由来する狭心症様発作性前胸部痛と定義されている.今回われわれは,非特異的前胸部痛に対して頚椎手術で症状が改善した症例を経験したので,前胸部痛の発生機序と臨床症状の特徴,治療方法について報告する.症例は72歳女性,不安定性を伴った頚椎症性脊髄症で,経過観察中に前胸部痛が出現したが,心疾患由来のものが否定された.後方アプローチによる治療を行った結果,前胸部痛が改善した.前胸部痛の直接的原因は,C3-4間での不安定性に伴ってC3-7間で髄内への圧迫が増強し,頚椎症性脊髄症を引き起こしたためと考えた.頚椎症の症状を伴い前胸部痛が誘発される場合は,cervical anginaを念頭に置いた頚椎,頚髄の検査が重要である.
著者
伊藤 精英
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.3_25-3_35, 1998-09-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
22

Of much interests have been spatial cognition and wayfinding by the blind. The traditional approach to spatial cognition and locomotion have taken the central problem to be what kind of cognitive map the blind establish. The main reason for motivating such kind of studies is why holding a map in mind has been thought of as being crucial for blind travellers to reach to a destination. Review of previous studies leads to contradictory results; while visual experience and visual modality set influence on accuracy of cognitive map, some studies indicate the individual difference rather than these effects. The basic ideas of ecological approach offered by J. J. Gibson will be outlined. This approach to environment perception and locomotion concerns how organisms wayfind and reach a destination. The purpose of ecological studies is to determine information picked up in perceptual flows such as optical flow and to demonstrate some relationship between detected invariant structure of environment on the basis of information and performance of wayfinding. One challenging study which applied this approach to wayfinding by the blind will be shown. The results suggest as follows. First, by taking an ecological approach, it is possible to reveal how blind travellers negotiate through environment. Second, it is not so easy to evaluate accuracy of orientation defined by Gibson.
著者
原 寛徳 田口 厚 伊藤 信之 岩崎 勝郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.695-697, 1994-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

We investigated the mechanism stabilising the glenohumeral joint that prevents anterior dislocation. We measured the strength of the glenoid labrum and capsule in fifteen shoulders of nine fresh cadavers. The glenoid labrum and capsule were cut in widths of 5mm then the glenoid fixed and the labrum and capsule strained. We measured the tension when the labrum detached from the glenoid or the capsule ruptured. Results showed that the anterior-inferior portion is weaker than the other portion.
著者
伊藤 真利子 綾部 早穂
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.175-182, 2013-02-28 (Released:2013-04-05)
参考文献数
29

記銘項目が実験者によって割り当てられる場合よりも,実験参加者自身により選択される場合のほうが記憶保持は優れる.この自己選択効果の生起には,選択肢項目間の相対比較が必要である可能性が示唆されているが(伊藤・綾部・菊地,2012),相対比較の際に意味水準での特徴にアクセスすることが記憶を促した可能性は否定できない(処理水準効果).本研究の偶発学習段階において実験参加者は,意味水準か非意味水準の特徴に基づいて二つの選択肢項目間の相対比較を行うか,単独の項目に対して意味水準か非意味水準で判断を行った.その結果,二つの項目間で相対比較が行われた場合にも,単独の項目に対して判断が行われた場合にも,再生成績における処理水準効果が認められた.さらに重要なことに,処理水準にはかかわらず項目間の相対比較による記憶の促進が認められた.よって,記憶における自己選択効果の生起には選択の際の相対比較が必要であり,処理水準効果のみが貢献しているとは言えない可能性が示唆された.
著者
米田 一裕 木下 こづえ 林 輝昭 伊藤 修 大峡 芽 奥田 和男 川上 茂久 谷口 敦 奥田 龍太 石川 達也 佐藤 梓 池辺 祐介 只野 亮 都築 政起 国枝 哲夫 楠 比呂志
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.133-141, 2010-05-25

動物園などでの飼育環境下にある動物の遺伝的多様性を維持することは重要な課題である.本研究では,イエネコのマイクロサテライトマーカーを用いて,飼育環境下の62個体のチーターの遺伝的多様性と血縁関係を解析することを試みた.チーターのDNAより17座位のマーカーの増幅を試みた結果,すべてのマーカーで増幅産物が認められ,そのうちの15座位はチーターにおいても多型性が確認された.これらの座位における平均の対立遺伝子数は4.65,ヘテロ接合度は0.6398,多型情報量は0.5932であり,本集団の遺伝的多様性は,野生のチーターの集団と比べて大きな違いは無かった.また,総合父権否定確率は0.999733であり,実際にこれらのマーカーを用いて正確な親子判別が可能であることが確認された.各マーカーの遺伝子型を基に62個体のクラスター解析および分子系統樹の作成を行ったところ,これらの個体は,いくつかの集団に分類され,各集団は基本的に家系と一致していた.以上の結果は,今後わが国のチーター集団の遺伝的多様性を維持する上で重要な知見であると考えられた.
著者
伊藤 誠
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(A)2009-2011
著者
喜田 宏 YAMNIKOVA Sv 河岡 義裕 高田 礼人 岡崎 克則 SVETRANA Yam デメネフ V. ヤムニコバ S. ルボフ D.K. 伊藤 壽啓
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

平成7〜9年夏、カムチャッカ半島南端付近、ハバロフスク郊外のアムール河流域ならびにサハ自治共和国内のレナ河流域において水禽の糞便および湖沼水3,000検体を採取した。8年にはレナ河流域北緯63度30分のコベイスキー地区で採取した約900検体の水禽糞便からインフルエンザウイルスH4N6亜型19株、H4N9亜型1株、H11N1亜型1株、H11N6亜型2株、H11N9亜型8株を分離した。9年にはコベイスキー地区で採取した水禽糞便120検体およびヤク-ツク(北緯62度)で採取した鴨の糞便72検体からは各々H4N6亜型1株およびH3N8亜型5株が分離された。一方、レナ河流域北緯65度00分〜64度36分の四十諸鳥地域で採取した水禽糞便約1,400検体と湖沼水20検体からはウイルスが分離されなかった。カムチャッカ半島ならびにアムール河流域で採取した水禽糞便からインフルエンザウイルスは分離されなかった。以上の成績は、鴨の営巣湖沼がレナ河流域北緯63度付近に存在することを示唆する。平成8年と9年の10月に北海道宗谷地方において採取した480検体の水禽糞便材料からインフルエンザウイルスH1N1亜型、H5N3亜型、H5N4亜型、H6N1亜型、H6N7亜型、H8N1亜型、H8N3亜型、H9N2亜型ならびにH11N9亜型各1株を分離した。平成8年度および9年度にレナ河流域および北海道の水禽糞便から分離したインフルエンザウイルスのNP遺伝子の系統進化解析を実施した。その結果、調べた分離株すべてが新型インフルエンザウイルスの発生地である中国南部を含むアジア大陸に分布するウイルスの系統に属することが判明した。以上の成績は、新型インフルエンザウイルスの抗原亜型を予測するために、シベリアの水禽営巣地におけるインフルエンザウイルスの分布をさらに解明する必要があることを示している。