著者
齋藤 新 佐藤 大介 高木 啓伸
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_42-3_57, 2014-07-25 (Released:2014-09-25)

近年,情報通信機器およびそれらを介して得られる情報にアクセスできることは,暮らしの上で必要不可欠なものとなっている.とくに,障害を持つユーザにとって,情報通信技術(ICT)は「社会への扉」でありその社会的意義は非常に大きい.そのため,情報および情報通信機器へのユニバーサルアクセスを義務付ける,または推進するための法令を施行している国は多い.また,World Wide Web Consortium (W3C)などの標準化団体はアクセス可能性(アクセシビリティ)に関する技術的標準およびガイドラインを定めており,ICTの提供者が具体的に検証することを可能にしている.本稿では,ICTにおけるアクセシビリティを取り巻く歴史的経緯について紹介し,アクセシビリティ向上を推進する法整備および標準規格について解説する.また,それらの法令・規格に適合するコンテンツの作成および検証を支援する技術について概説する.さらに,近年注目を浴びているタッチUIおよびクラウドソーシングを含む,アクセシビリティ研究の最新動向についても述べる.
著者
佐藤 大介 青葉山 古文書の会
出版者
東北大学災害科学国際研究所 歴史文化遺産保全学分野
巻号頁・発行日
2022-03-11

磐井郡藤沢町の商家・丸吉(まるきち)皆川家の当主が2代・約80年にわたって 書き残した日誌のうち、天保4年(1833)~天保15年(1844)を中心とする時期の記録、約22万字分を翻刻。藤沢町、さらには仙台藩や日本各地のの社会・経済 の状況について克明に記録したもの。論説2編で、記録の性格や丸吉皆川家日誌からみる天保飢饉下の人々の動向について論じる。約500頁。
著者
佐藤 大介 青葉山 古文書の会
出版者
東北大学災害科学国際研究所 歴史文化遺産保全学分野
巻号頁・発行日
2023-03-11

江戸時代には仙台藩領であった磐井郡藤沢町(岩手県一関市)の商家・丸吉(まるきち)皆川家の当主が2代・約80年にわたって 書き残した日誌のうち、嘉永6年(1853)~明治6年(1873)、約36万5千字を全文解読して収録。黒船来航以降の仙台藩の政治・経済・社会の状況が詳細に記されている。論説3編では丸吉皆川家および筆者の皆川喜平治について、文久2年(1862)の麻疹流行、戊辰戦争に関する論説3編を所収する。650頁。
著者
佐藤 大介 黒須 潔 井上 拓巳
出版者
東北大学災害科学国際研究所 歴史文化遺産保全学分野
巻号頁・発行日
2022-03-11

幕末に仙台藩が独力で建造した洋式帆船・開成丸の建造経緯や運行を支えた藩の 海運システムを解明。さらに背景として、艦隊建設を通じた藩の再建と体制改革を意図したことを明らかにした。史料編では、万延元年(1860)冬から翌年春にかけての浦賀・江戸方面への航海の様子を綴った「ふなわたり日記」(仙台市民図書館所蔵)、建艦を主導した仙台藩校養賢堂学頭・大槻習斎の関連記録、仙台 城下町商人の記録など初公刊史料を含む関連史料41点を掲載。
著者
福田 治久 佐藤 大介 白岩 健 福田 敬
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.158-167, 2019-05-01 (Released:2019-06-13)
参考文献数
25
被引用文献数
2

目的:2011年度より第三者提供が開始されたレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の研究利用が不十分な状況にある.学術研究を加速化させ,エビデンスに基づいた医療政策を推進するためには,NDBの活用可能性を高めていく必要がある.本研究の目的は,臨床疫学研究および医療経済研究を行うのに有用性が高く,かつ,データ容量の効率性が高いNDB解析用データセットを構築することである.方法:2009年 4 月から2016年12月の間の医科入院レセプトおよびDPCレセプトにおいて 1 度でも出現したことのある解析用患者IDを全データから無作為に25%分を抽出し,当該解析用患者IDの全期間における全診療行為情報を含む全レセプトデータを格納したNDBを用いた.臨床疫学研究および医療経済研究を行うのに有用性の高い解析用データセットテーブルに必要な変数について検討した.また,医科レセプトにおいては退院年月日情報が含まれていないことから,レセプトデータを用いた補完的な退院年月日を付加する方法について検討した.本検討では,退院年月日情報が含まれるDPCレセプトを用いて,入院年月日と診療実日数を用いる場合と,診療行為発生日を用いる場合のそれぞれの方法で退院年月日を算出し,実際のDPCレセプトに記載されている退院年月日との一致状況について検証した.結果:NDBに含まれるレコード識別情報を有機的に連結させた解析用データセットテーブルとして,以下の11テーブルを開発した:患者(KAN),レセプト(REC),傷病名(SYO),診療行為(SIN),薬剤(IYA),特定器材(TOK),調剤(TYO),調剤加算料等(TKA),DPC診断群分類(BUD),医療機関(IRK),入院(ADM).医療機関(IRK)を除く各テーブルは解析用患者IDによって相互に突合することができる.また,医科レセプトにおける補完退院年月日は,診療行為(SI),医薬品(IY),特定器材(TO),コーディングデータ(CD)の各レコードにおける診療行為年月日の最終日情報を用いることで,99.83%の入院症例において正しい退院年月日を付加することができた.結論:本研究において開発した解析用データセットテーブルを用いることで,NDBを用いた臨床疫学研究および医療経済研究を即座に実施可能な環境をもたらすことができる.
著者
高木 啓伸 村田 将之 佐藤 大介 田中 俊也 籔内 智浩 粥川 青汰 木村 駿介
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.d12-d29, 2022-10-15

視覚障がい者の自由な移動を可能にするため,白杖やスマートフォンアプリなどさまざまな支援技術が開発されてきた.しかし初めて訪れる公共空間での移動は依然として困難である.そこで行き先を対話的に選択することで目的地まで誘導する,スーツケースを模した自律型ナビゲーションロボットシステム「AIスーツケース」を開発した.本稿では開発のきっかけから複数企業による共同開発に至った経緯を紹介するとともに,AIスーツケース・システムを構成する技術について解説する.各組織が実施している実験から得られつつある最新の知見を紹介するとともに,今後の普及に向けた技術的,制度的,社会的課題について考える.
著者
佐藤 大介 川内 淳史
出版者
東北大学災害科学国際研究所 歴史文化遺産保全学分野
巻号頁・発行日
2022-03-11

新型コロナウィルス下での博物館及び史料ネット活動、また兵庫と新潟での 「災害資料」保全と継承の現在地を確認する。その上で、北海道および宮城での 新型コロナウィルス下の社会に関する記録収集の現状について報告する。
著者
羽地 俊樹 佐藤 大介 仁木 創太 平田 岳史
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.223-238, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
69
被引用文献数
1

山陰地方の中新統堆積盆地の成因の特定に向けて,本論は兵庫県北西部の但馬御火浦地域の中新統八鹿層と基盤の境界部周辺の調査研究を行った.八鹿層の軽石火山礫凝灰岩のジルコンU‒Pb年代測定を行い,19.63±0.15 Maの年代値を得た.この年代値は遠方地域の同層の年代制約と調和的であり,八鹿層の火成活動は広域的に同時期に起こったことが明らかとなった.基盤と八鹿層の境界には基底礫岩と判断される堆積性の角礫岩が点在し,境界部に断層は認められない.このことは八鹿層が基盤をアバット不整合に覆っていることを示している.本地域で見積もられるアバット不整合の比高は200 mを越え,山陰地方の中新統の層厚差には堆積時の古地形が寄与していた.八鹿層相当の岩脈群の方向解析によって,NNE-SSW方向に引張する応力比の低い正断層型応力を得た.この結果は,当時の山陰地方が多様な方向のグラーベンが形成されうる造構応力場にあったことを示唆する.
著者
原田 英典 清水 芳久 佐藤 大介 宮越 優 松井 三郎 松田 知成 長坂 俊樹
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.383-388, 2006 (Released:2010-01-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Human urine can be diverted from faeces by urine diversion toilets. Nutrient recovery from diverted urine has been a growing concern recently, because urine contains many nutrients. Phosphorus in urine can be recovered as a precipitate of MAP (i.e., struvite, MgNH4PO4·6H2O) by adding magnesium salt under alkaline conditions. In this study, we (1) developed a plant for struvite recovery from urine using a urine diversion toilet, (2) investigated the characteristics of the plant's urine collection, urine storage and struvite formation, and (3) analyzed the precipitates formed in the plant. In this report, we present the phosphorus flow in the plant. The plant was mainly composed of a urine diversion toilet, a storage tank and a reactor. Using the toilet, 94.8% of the urine excreted into the toilet was collected and stored in the storage tank. The composition of the stored urine became stable 19 days after the start of urine storage, and 20.8% of the phosphorus in the urine excreted into the toilet was precipitated with other precipitates during urine storage. The reactor recovered 85.0% of the phosphorus in the influent of the reactor, which was 62.0% of the phosphorus in the urine excreted into the toilet. It was considered that most of the recovered phosphorus in the reactor was in the form of struvite.
著者
佐藤 大介
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、近世から近代移行期の奥羽両国における地域間交流を、地元に残された古文書史料の調査分析を通じて解明した。その結果、これまで存在が確認されていなかった新たな峠道の整備事例を確認し、その動きが地域のリーダー層を中心に国境や領主支配領域を超えた地域間連携によって実現していたことを明らかにした。さらに、このような民間の交通網整備が明治初年の東北地方の運輸政策の直接の前提となったことを解明した。
著者
佐藤 大介
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.70, pp.220-234, 2019-04-01 (Released:2019-04-18)
参考文献数
11

Are we able to capture just the working consciousness by reflection? Several Husserl researchers to date have answered no to this question. This is serious for Husserl phenomenology. This is because Husserl phenomenology is an academic discipline to analyze the workings of consciousness, using reflection as the basic method. If it is impossible to capture just the working consciousness by reflection, the phenomenological approach will leave unknown the most crucial data. In this way, the problem of the discrepancy between the method and purpose of Husserl phenomenology has been repeatedly pointed out and widely shared in Husserl research since Klaus Held was first discussed. This problem is “the problem of reflection”. However, as some of the previous studies have acknowledged, Husserl himself does not explicitly address the problem of reflection. This seems strange. It is extremely natural to ask whether or not it is possible to capture just the working consciousness by reflection since it is the methodological core of Husserl phenomenology. So did Husserl adopt it as the basic method for phenomenology without carefully examining it? Given the fact that Husserl dealt with phenomenological methods thematically many times, that is hard to believe. Rather, I suppose that Husserl phenomenology has an argument that answers yes to the above question. In this paper, unlike many previous studies, I discuss Husserl’s early theory of time up to the early 1910’s, not the late theory of the 1930’s. Because there seems to be something overlooked or misunderstood in the opinion of the previous studies on Husserl’s early theory of time. They consider that just a working consciousness can be captured only by a subsequent reflection. However, Husserl insists that the working consciousness is captured by reflection now. In this case “now” is not a momentary “now”, but a “wide range” now.
著者
林 葵 佐藤 大介 大角 誠一郎 辻 明紀子 西村 公宏 関根 理 森野 勝太郎 卯木 智 前川 聡
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.132-138, 2020-03-30 (Released:2020-03-30)
参考文献数
29

症例は27歳,女性.産後7日目から食思不振と全身倦怠感が出現し,産後25日目に意識障害を認めたため救急搬送され,糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKAと略す)と高アンモニア血症のため緊急入院となった.DKAの改善後も見当識障害と高アンモニア血症は遷延した.先天性代謝異常の既往や家族歴はないが血中アミノ酸分画を測定したところ血中シトルリン低値であり,尿素サイクル異常症が示唆された.亜鉛欠乏(49 μg/dL)に対して亜鉛補充を開始したところ,高アンモニア血症と血中シトルリンは正常化し,見当識障害は改善した.以上の経過から,亜鉛欠乏による一過性のオルニチントランスカルバミラーゼ活性低下から高アンモニア血症を来したと推察された.本例のような長期の食思不振から低栄養状態が疑われる場合には,亜鉛欠乏に伴う一過性高アンモニア血症も鑑別に挙げる必要があると考えられる.
著者
熊谷 崇宏 伊東 淳一 日下 佳祐 佐藤 大介
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.12, pp.962-975, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

This paper proposes an automatic design method of typical parameters such as number of phases, number of poles, stack thickness, stator outer diameter, rotor outer diameter, and number of turns of a switched reluctance motor from the requirement of the N-T characteristic. In particular, a specific parameter related to the magnetic saturation is defined in order to arbitrarily determine how much to use the magnetic properties of the iron core material. In the proposed method, the typical motor parameters in order to realize a miniaturized volume which satisfies an input N-T characteristic are obtained by setting the parameter related to magnetic saturation, maximum electrical frequency, maximum current density, maximum copper loss, conductor slot fill factor, magnetic properties of material, and input voltage. The designed motor is analyzed using the Finite Element Method in order to validate the proposed method.