著者
藤田 浩司 岩前 篤 佐藤 寛 高原 梨沙子 鈴木 曜
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.85, no.768, pp.159-167, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
18
被引用文献数
2

The high cost of improving thermal insulation performance in houses is one of the hindrances to the spread of the improvement in thermal insulation performance, and it takes a long time to recover these costs through reduction of heating and cooling costs alone. Under such circumstances, in recent years, it has been reported that improvement in thermal insulation performance reduces the likelihood of various diseases among people inhabiting these houses, and this reduces medical costs. However, the relationship between thermal insulation performance and medical costs has not been quantitatively evaluated. If medical costs in relation to the thermal insulation performance of a house can be evaluated quantitatively, they can be taken into consideration in the recovery period of the costs of the improvement of the thermal insulation performance. Furthermore, it is possible to examine the most economical thermal insulation performance when considering the costs for thermal insulation, heating and cooling costs, and medical costs together. Therefore, in this study, we estimated the medical costs in relation to the thermal insulation performance of the house, and examined the thermal insulation performance that is most economical when the costs for thermal insulation, heating and cooling costs, and medical costs are considered. Furthermore, we examined the cost recovery period for the improvement in the thermal insulation performance from that which satisfied the 2013 standard to the above-mentioned most economical thermal insulation performance, taking into consideration the reduction in heating and cooling costs and medical costs. We assumed that the onset of various diseases is not directly affected by the thermal insulation performance of the house, but is affected by the thermal environment in the house, which is formed according to the thermal insulation performance of the house and the heating and cooling method. On the basis of the relationships between insulation levels of various houses and improvement rates in various diseases shown in the previous research, we estimated the thermal environments in houses in correspondence to each level of insulation and estimated medical costs from improvement rates in various diseases. We proposed formulas to estimate the medical costs for heart diseases and vascular brain diseases from the mean daily minimum operative temperature of the house from February 1 to February 7 and formulas to estimate the medical costs for diseases, excluding heart diseases and vascular brain diseases, from the mean operative temperature of the rooms the family inhabits from January 1 to February 28. We proposed these formulas separately for the age groups 0 to 19, 20 to 39, 40 to 59, and 60 and older. Furthermore, using these formulas, we examined the most economical insulation performance, including insulation costs, heating and cooling costs, and medical costs. The average heat transmission coefficient of the envelope (UA value) of a house having this most economical insulation performance is 0.4 to 0.5 W/m2K for a floor-insulation house, and 0.36 to 0.4 W/m2K for a foundation-insulation house. We found that by considering not only heating and cooling costs but also medical costs, the cost recovery period for the improvement in the thermal insulation performance from that which satisfied the 2013 standard to the above-mentioned most economical thermal insulation performance was significantly shortened, to around ten years.
著者
佐藤 寛 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-13, 2006-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究では、児童の自動思考をネガティブとポジティブの両側面から測定することのできる児童用自動思考尺度(ATIC)を作成し、抑うつ症状と不安症状との関連について検討することを目的とした。まず、児童のネガティブ・ポジティブな自動思考を測定する尺度を作成した。分析の結果、ATICはネガティブな自動思考である自己の否定と絶望的思考、およびポジティブな自動思考である将来への期待とサポートへの期待という4因子から構成されていることが示された。次に、児童の自動思考が抑うつ症状と不安症状に与える影響について検討した。その結果、ネガティブな自動思考である自己の否定は抑うつ症状と不安症状のいずれにも促進的な影響を与えており、絶望的思考は抑うつ症状のみに促進的な影響を与えていた。一方、ポジティブな自動思考である将来への期待とサポートへの期待は、いずれも不安症状とは関連していなかったものの、抑うつ症状に対しては抑制的な影響を与えていた。
著者
佐々木 智謙 佐藤 寛之 塚原 健将 松森 靖夫
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.39-51, 2019-07-31 (Released:2019-08-29)
参考文献数
28

本研究の主目的は,腹面から描いた昆虫の体のつくりに対する小学校第2・3学年の認識状態を分析し,その結果に基づき,育成すべき子どもの資質・能力について検討を加えることにある。得られた知見は,以下の4点である。1)腹面から描いた計9種類の生き物を,昆虫とその他の生き物とに分類できた小2は約60%以上,小3は80%以上であったこと。2)腹面から描いた計6種類全ての昆虫の体を三つの部分(頭部・胸部・腹部)に正しく分けることができた小2は皆無であり,小3でも約20%であったこと。かつ,各昆虫の正答率は小2で10%未満,小3でも65%未満であったこと。3)昆虫の体のつくりに対する回答は多様であり,頭部で4類型,胸部で9類型,及び腹部で3類型が存在したこと。4)得られた結果をもとに,昆虫概念の育成を志向した学習指導方策について提案した。
著者
佐藤 寛晃 田中 敏子 笠井 謙多郎 北 敏郎
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.353-358, 2009-12-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
4 4

49歳男性船長が, 船倉タンク内での廃液処理作業中に倒れた船員の救出に降り, 間もなく同様に倒れて死亡した. 船長の剖検の結果, タンク底面に残った廃液の吸引による溺死と診断された. 意識消失に至った経緯を明らかにするために船倉タンク内のガス分析を行ったところ, 酸素濃度は18.86〜19.31%, 二酸化炭素濃度は7.28〜9.07%で, その他に硫化水素を含め特記すべき濃度のガスは検出されなかった. したがって, 意識消失は二酸化炭素中毒によるものと考えられ, タンク内の廃液の発酵により高濃度の二酸化炭素が発生し, 死亡事故が発生したと結論づけた. 二酸化炭素が発生しうる環境においては, その危険性を十分に認識しておく必要があると考えられた.
著者
佐藤 寛 石川 信一 下津 咲絵 佐藤 容子
出版者
日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.307-317, 2009-06-01
被引用文献数
2

The three depression self rating scales, the Children's Depression Inventory(CDI), the Depression Self-Rating Scale for Children(DSRS), and the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D), are used to screen for depression in Japanese adolescents. The present study incorporating these three scales and a semi-structured interview for determining DSM-IV depressive disorders aimed to test the ability of the scales to identify depressive disorders in a community sample of junior high school students in Japan. The receiver operating characteristics (ROC) analyses and stratum-specific likelihood ratios (SSLRs) were applied to the data sets of 286 community adolescents aged 12 to 14 years old. The ROC analyses revealed moderate convergent validity of these scales in detecting depressive disorders. The optimal cut-off points suggested by the ROC analyses were 31 for CDI, 24 for DSRS and 37 for CES-D, which were all higher than traditional cut-off points. Results of the SSLRs further demonstrated that these three scales were useful in screening for depressive disorders in Japanese community adolescents, applying the optimal cut-off points as noted.本研究の目的は,子どもの抑うつを測定する自己評価尺度の判別精度を受信者操作特性(ROC)分析と層別尤度比(SSLR)の観点から検討することであった。一般対象者の中学生286名に対し,抑うつの自己評価尺度であるCDI,DSRS,CES-Dの日本語版を実施した。加えて,DSM-IVに基づくうつ病(大うつ病,気分変調症,小うつ病)の半構造化面接を実施し,抑うつの自己評価尺度との比較を行った。本研究の対象者のうち,15名(5.2%)が面接時点で何らかのうつ病の診断に該当していた。ROC分析の結果,これらの自己評価尺度はいずれも中程度以上のうつ病の判別力を示しており,各尺度の最適なカットオフ値はそれぞれ,CDI31点,DSRS24点,CES-D37点であることが明らかにされた。SSLRを算出したところ,CDIでは0-21点で0.51,22-30点で1.57,31-54点で108.40となった。DSRSでは0-15点で0.46,16-23点で1.06,24-36点で∞であった。CES-Dでは0-15点で0.40,16-36点で1.00,37-60点で54.20であった。各尺度の日本語版における従来のカットオフ値(CDI22点,DSRS16点,CES-D16点)を満たしていた場合でも,得点が本研究のカットオフ値に満たない場合にはうつ病の検査後確率は検査前確率とほとんど変わらないことが示された。
著者
佐藤 寛之 森本 信也
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.29-36, 2004-09-17
被引用文献数
1

Head,J.O.,Sutton,C.R.は,「科学概念におけるメタファー表現は,個人の認知・情意・レトリックが融合したものである。」としている。つまり丿情意的なこだわりを持ち,類推することで新しい概念の構築がなされていることを示している。子どもにおける自然事象の概念を表現する能力を養うため,理科授業においてはこうした視点に立つ類推のような論理の構築方法を学ぶ学習場面が必要である。同時に このことは情意と認知が融合した「温かい認知(warm cognition)」の有用性を示すものであり,理科の授業デザインにおける必須条件と考える。
著者
佐藤 寛
出版者
関西大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究では,日本の大学生においてうつ病と自殺のリスクを高める心理学的要因として自動思考,社会的スキル,快活動といった認知行動的な要因の関与を検討した。これらの研究に基づき,リスクの高い大学生を対象とした心理学的予防プログラムを開発した。本研究において開発されたプログラムは日本の大学生のうつ病と自殺のリスク低減に有効であることが示唆された。
著者
加計 佳代子 佐藤 寛 石川 信一 嶋田 洋徳 佐藤 容子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.113-125, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究は児童の社会的スキルと認知の誤りが社会不安に与える影響について検討することを目的とした。対象者は小学4年生から6年生1,163名(男子575名、女子588名)であった。対象者は、SocialPhobiaandAnxietyInventoryforChildren日本語版(石川ら,2008)、Children'sCognitiveErrorScale改訂版(CCES-R;佐藤ら,2004)、小学生用社会的スキル尺度(嶋田ら,1996)への回答を求められた。対象者1,163名のうち、無作為抽出された197名の児童の担任教師40名は小学生用社会的スキル尺度(嶋田ら,1996)を他者評定用に改訂したものに回答した。分析の結果、認知の誤りの高さが社会的スキルの自己評定と他者評定の差に関係していることが明らかになった。また、社会的スキルよりも認知の誤りの方が児童の社会不安に直接影響していることが示され、児童の認知変数への介入が有効である可能性が示唆された。
著者
武部 匡也 岸田 広平 佐藤 美幸 高橋 史 佐藤 寛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.169-179, 2017-09-30 (Released:2017-10-31)
参考文献数
28

本研究の目的は、児童青年期の感情としての怒りの測定に特化した子ども用怒り感情尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生~中学3年生を対象に予備調査(n=101)および本調査(n=1,088)を実施した。その結果,1因子7項目の子ども用怒り感情尺度が作成され、「COSMIN」に基づいて検討したところ,十分な信頼性と部分的な妥当性が確認された。また,性別と発達段階で得点に差が認められ,男女ともに発達段階が上がるにつれて怒りを強く抱く傾向があること,そして,男子は女子に比べてその傾向が顕著であることが示唆された。さらに,項目反応理論による項目特性の分析では,子ども用怒り感情尺度は怒りを母平均よりも強く抱いている子どもに対して十分な測定精度を有していた。最後に,子ども用怒り感情尺度が怒りの認知行動療法に関する研究と実践の発展に貢献する可能性と本研究の限界,そして今後の課題が議論された。
著者
村田 暁紀 佐藤 寛之 高玉 圭樹
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-112, no.3, pp.1-6, 2017-02-20

本研究では,1 つの個体としての解を進化させる通常の多点探索型進化計算 (点 = 個体 = 解候補) ではなく,複数の個体からなる解を進化させる進化計算 (複数の個体を群ととらえると,多群探索型進化計算 (群 = 複数の個体 = 解候補)) を提案するとともに,その有効性を検証することを目的とする.さらに,進化計算において根源的な問題である最適性と多様性のトレードオフを,多群探索型進化計算にて改善することを試みる.具体的には,多目的進化計算手法一つである NSGA-II の評価指標として,「最適性」 を評価する解の良さと 「多様性」 を評価するノベルティサーチを導入した後,(1) 評価値の高い解の近傍を重点的に探索する重点サンプリングと (2) 評価値の高い解から離れる範囲を探索しない多様性制限を組み込む.提案手法の有効性を検証するため,航空機着陸問題 (群 = 複数の航空機の経路集合 = 解候補) に適用し,シミュレーション実験を行ったところ,(1) 提案手法は,各個体を最適化しつつ全体を最適化するとともに,ノベルティのみの評価や Fitness の評価のみの手法に比べ,より最適性の高い解を獲得できることが明らかになった.また,(2) 多群探索型進化計算において,重点サンプリングと多様性制限が最適性と多様性のトレードオフの問題の改善に貢献できることを示した.
著者
佐藤 寛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.177-187, 2005-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、児童の非機能的態度を測定する尺度(DAIC)を作成し、非機能的態度が抑うつ症状と不安症状にどのような影響を与えているか検討することであった。まず、調査1において、小学校4年生から6年生までの451名にDAICを実施した。探索的因子分析の結果、児童の非機i能的態度には、「破局的・絶望的態度」と「賞賛・承認希求的態度」の2因子があることが明らかにされた。また、DAICは、ある程度の信頼性と妥当性を有することが確認された。次に、調査IIにおいて、小学校4年生から6年生までの617名を対象に、児童の非機能的態度が抑うつ症状と不安症状に与える影響について検討した。その結果、破局的・絶望的態度は抑うつ症状と不安症状を促進するものの、賞賛・承認希求的態度は抑うつ症状とは関連をもたず、不安症状に対してのみ促進的影響を及ぼしていることが示唆された。以上のことから、児童の非機能的態度の変容を目標とした認知行動療法的介入についての留意点が議論された。
著者
佐藤 寛 高橋 史 松尾 雅 境泉 洋 嶋田 洋徳 陳峻 〓 貝谷 久宣 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-30, 2006-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究では、問題解決能力を測定する尺度であるSocial Problem-Solving Inventory-Revised(SPSI-R)日本語版を作成し、信頼性と妥当性の検討を行った。一般対象者(大学生863名、平均年齢20.6±2.8歳:成人210名、平均年齢43.4±14.1歳)のデータについて確認的因子分析を行った結果、SPSI-R日本語版は原版と同様に「ポジティブな問題志向」「ネガティブな問題志向」「合理的問題解決」「衝動的/不注意型問題解決」「回避型問題解決」の5因子構造であることが示された。また、SPSI-R日本語版には十分な内的整合性と併存的妥当性、および中程度の再検査安定性が認められた。さらに、臨床対象者(46名、平均年齢35.1±9.4歳)は一般対象者に比べてポジティブな問題志向が低く、ネガティブな問題志向が高く、全般的な問題解決能力が低い傾向にあることが示唆された。
著者
佐藤寛 編
出版者
庚寅新誌社
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1892
著者
石川 信一 美和 健太郎 笹川 智子 佐藤 寛 岡安 孝弘 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.17-31, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、日本語版Social Phobia and Anxiety Inventory for Children(SPAI-C;Beidel et al.,1995)を開発することであった。本研究の対象者は小学生859名(男子434名、女子425名)であった。因子分析の結果、SPAI-Cは「対人交流場面」「パフォーマンス」「身体症状」の3因子構造であることがわかった。再検査信頼性、およびCronbachのα係数から、本尺度は十分な信頼i生をもつことがわかった。妥当性分析の結果、本尺度はスペンス児童用不安尺度(Spence,1997)と日本語版State-TraitAnxietyInventoryforChildren(曽我,1983)と中程度の正の相関関係にあることがわかった。多変量分散分析の結果、女子が男子よりも社会不安の症状を多く報告することが明らかにされた。最後に、日本の児童の社会不安症状の特徴とSPAI-Cの有用性について議論がなされた。
著者
佐藤 寛 高橋 史 杉山 恵一 境 泉洋 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.33-44, 2007-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、攻撃行動をパーソナリティ変数としてではなく、観察可能な行動として測定する尺度である攻撃行動尺度を作成し、信頼性と妥当性を検討することであった。まず、研究1では大学生372名を対象に調査を実施し、攻撃行動尺度の作成と内的整合性の検討を行った。その結果、「身体的・物理的攻撃」「言語的攻撃」「間接的攻撃」の3因子17項目からなる攻撃行動尺度が作成された。また、攻撃行動尺度はある程度の内的整合性があることが示された。次に、研究IIにおいて、大学生406名を対象に、攻撃行動尺度とAnger Expression Scaleを用いた調査を実施し、攻撃行動尺度の妥当性を検討した。分析の結果、攻撃行動尺度は適切な交差妥当性と構成概念妥当性を有していることが示唆された。最後に、本研究の限界と今後の課題に関する議論が述べられた。
著者
佐藤 寛子 高岡 宏行 福田 昌子
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.201-210, 2004-09-15 (Released:2016-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

A new black-fly species, Simulium (Nevermannia) uemotoi sp. nov., is described based on female, male, pupal and mature larval specimens collected from Oita, Japan. This new species is assigned to the vernum species-group and is distin-guished from other known related species by a combination of the following characters: katepisternum with several hairs on each side and 1st and 2nd segments of maxillary palp ocherous in both sexes of adults; frons with two long and one short trichomes on each side, gill with four slender thread-like filaments and simple wall-pocket-shaped cocoon in the pupa; and small, M-shaped or rounded postgenal cleft and simple rectal organ in the larva. A new name S. (TV.) onoi is given for the species which was collected from Hokkaido and erroneously identified as Cnetha konoi by Ono.
著者
前田 由貴子 佐藤 寛
出版者
関西大学大学院心理学研究科
雑誌
関西大学心理学研究 (ISSN:21850070)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.59-66, 2018-03

This study aims to investigate the relationship among autistic traits, metacognition, and communication skills. Three-hundred and nine undergraduate students completed the Autism-Spectrum Quotient (AQ); the ENDCOREs scale, which measures general communication skills; and the Adults' Metacognition Scale. We used Structural equation modeling to evaluate the hypothetical model. Autistic traits had a significant negative effect on metacognition and communication skills. Metacognition had a significant positive effect on communication skills. These results suggest that autistic traits negatively affected communication skills directly and indirectly via metacognition. Further, these results suggest that undergraduate students with autistic tendencies tend to have low communicative and metacognitive abilities. This study suggests that autistic students' poor metacognition is a mediator of communicative difficulties.自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder, 以下ASD)傾向,メタ認知,コミュニケーション・スキルの変数間の関連を明らかにするために,大学生309名を対象にAQ, ENDCOREs,成人用メタ認知尺度を用いて調査を実施した。ASD傾向とメタ認知がコミュニケーション・スキルに与える影響を検討するために,構造方程式モデリングによる解析を行ったところ,ASD傾向からメタ認知とコミュニケーション・スキルに対して有意な負のパスが示され,メタ認知からコミュニケーション・スキルへ有意な正のパスが示された。このことから,メタ認知が低くなるとコミュニケーション・スキルも低くなり,ASD傾向の大学生が抱えるコミュニケーションの問題には,メタ認知が介在している可能性が示唆された。