著者
前川 真帆香
出版者
東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系社会文化環境学専攻
巻号頁・発行日
2010-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2010-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第3535号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻
著者
前川 真由子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.71-118, 2017-09-29

本論は人々が考える「理想的なオーストラリア」を同国の反捕鯨思想の中から考察していくものである。長らくオーストラリアでは反捕鯨思想が広く支持されており,鯨に対する人道主義的な立場が取られてきた。先行研究では鯨に対する人道主義を,モラル・キャピタルといったトランスナショナルな反捕鯨思想の広がりの中で展開されてきた概念と共に考察し,動物との関係性から西洋近代的な人間像を追求していく人々の様子を明らかにしている。一方で本論は先行研究に依拠しながらも,これまでの議論では言及されることの少なかったオーストラリアに特有の歴史的,政治的,地理的な文脈から,同国で高まる反捕鯨の社会的背景を紐解いていく作業を試みたい。特に,「われわれのオーストラリア」や「われわれオーストラリア人」といった人々が想像する理想的なオーストラリアが,鯨を含む自然を媒介にして描かれる様子を彼らの語りから分析していく。
著者
前川 真裕子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.412-423, 2013-12-31 (Released:2017-04-03)

My research analyzed a small Melbourne community of non-Japanese practitioners of a Japanese martial art (kendo) , focusing on their understanding of their practice, Japanese culture, and Otherness. In particular, I focused on the way that non-Japanese practitioners interpret a practice of the Other by combining their kendo practices with images provided in the media. In the genealogy of representation related to Japan (including that country's martial arts culture), 'things Japanese' have always been targeted by Orientalists who expect a 'Japan that is uniquely Japanese.' Borrowing the words of Edward Said, who stated that 'the Orient is thus orientalized' (Said 1979: 67), Orientalists' views on things Japanese have 'Japanized' Japan, and established dichotomized images as if something essential divided Japan and the West. However, what I learned from the narrative of Melbourne kendo practitioners was the everyday reality that kendo practice does not necessarily stimulate their desire for 'things Japanese.' From my work, I would instead suggest that kendo practice in Melbourne is done to stimulate males' longing for sword-fighting, combined with the image of other Western knight adventure stories such as Star Wars. Some practitioners carry out kendo as a practice with the generalized image of knights' sword-fighting, and do not necessarily highlight its uniqueness as an exotic non-Western practice. They take kendo practice to be their preferred interpretation of invigorating their masculinity. Melbourne practitioners of kendo thus vacillate between the frameworks of dichotomized stereotypical representations produced in Japan and the West. Secondly, I further suggest that kendo for Melbourne practitioners is somehow related to a sense of 'familiarity' with such a practice that they have felt since early childhood. For some Australian middle-aged people, Japanese culture, including samurai sword fighting, represents a thrilling type of entertainment transported from abroad that they once consumed as children in school grounds and their backyards as an ordinary form of play. Analyzing the narrative of one male middle-aged kendo practitioner, I found that kendo practice for such Australians still forms part of the continual process of conducting their everyday lives, and that they make sense of their daily lives through foreign things.

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著者
前川 真行
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
人文學報 (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.177-218, 2001
著者
前川 真奈美 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.55-64, 2015 (Released:2016-01-18)
参考文献数
36
被引用文献数
3

A new scale for measuring components of mindfulness was developed and its reliability and validity were evaluated. Undergraduate and graduate students (N=478) participated by responding to a 72-item pilot scale. Their responses were psychometrically evaluated by conducting exploratory and confirmatory factor analyses. The resulting 31-item measure was named the Six Factors Mindfulness Scale (SFMS), which included the following subscales: Nonduality, Describing, Acceptance and Nonreactivity, Objective observing, Awareness, and Being in the moment. The SFMS had good internal consistency and sufficient, 2-week test–retest reliability. Nearly all subscales of SFMS were adequately correlated with several theoretically related scales. We also examined relationships between mental health scores and SFMS factor scores. Results indicated that high awareness with low acceptance resulted in poor mental health, which supported the findings of previous research, and suggested the validity of the scale. It is concluded that the SFMS is a useful, multidimensional measure for assessing mindfulness.
著者
前川 真奈美 越川 房子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.55-64, 2015
被引用文献数
3

A new scale for measuring components of mindfulness was developed and its reliability and validity were evaluated. Undergraduate and graduate students (<i>N</i>=478) participated by responding to a 72-item pilot scale. Their responses were psychometrically evaluated by conducting exploratory and confirmatory factor analyses. The resulting 31-item measure was named the Six Factors Mindfulness Scale (SFMS), which included the following subscales: Nonduality, Describing, Acceptance and Nonreactivity, Objective observing, Awareness, and Being in the moment. The SFMS had good internal consistency and sufficient, 2-week test–retest reliability. Nearly all subscales of SFMS were adequately correlated with several theoretically related scales. We also examined relationships between mental health scores and SFMS factor scores. Results indicated that high awareness with low acceptance resulted in poor mental health, which supported the findings of previous research, and suggested the validity of the scale. It is concluded that the SFMS is a useful, multidimensional measure for assessing mindfulness.
著者
小林 茂夫 細川 浩 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ほ乳類や鳥類は,環境温が低下すると,ふるえによる産熱反応を起こして体温を保つ。一方,爬虫類,両生類,魚類は,環境温が低下しても産熱反射を生まず体温が下がる変温動物である。しかし,ふるえが系統発生上いつ生じたのかわかっていないここでは,低温でふるえ様の反応がサカナで生まれるとの仮説を立て,それを検証する実験をおこなった.受精後3日齢のゼブラフィッシュの稚魚を,28.5℃から12℃の水に移すと,尾ひれを律動的に振る相(ON相,約10Hz)と静止する相(OFF相)が,約3秒の周期で断続的に生じた(ON-OFF相)。しかし,サカナに前進運動は見られなかったので,その運動は産熱のための考えられる.ここでは,発砲スチロールで熱流を遮蔽した試験管に少量の12℃の水を入れ,その中に稚魚をいれ,ふるえで生じる水温の上昇を産熱の指標として測定した。一匹の稚魚を入れたときの温度上昇は,対照群の温度上昇と差はなかった。5匹の稚魚を入れると,水温は,対照群の上昇速度より高い速度で上昇した。10匹の稚魚を入れると,水温は,5匹の上昇速度のほぼ2倍の速度で上昇した。魚類の麻酔薬MS222で処理した5匹の稚魚を入れたとき,温度上昇は対照群と差はなかった。これらの結果は,尾びれのふるえ様の動きで熱が生まれたことを示す。間欠的な動きを生む発振器の場所を探るため,脳神経系のレベルで切断しふるえの変化を見た。後脳と脊髄の間を切断すると,間欠的な動きが連続的なものに変わった.これは,脳の発振器が,連続的なふるえを周期的に遮断していることを示す。
著者
奴賀 俊光 小島 一幸 永友 繁 前川 真紀子
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.S1-S4, 2017 (Released:2017-04-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1

2015年と2016年に東京都内湾運河部の防衝杭上でウミネコの繁殖を確認した.2015年6月18日にヒナを,2016年5月10日には同じ場所で3卵の巣を2巣確認し,周囲に10~20巣程度あると考えられた.5月18日にはヒナを確認し,6月24日には16羽の幼鳥を確認した.過去の繁殖記録から,ウミネコは内陸部から海岸部へ徐々に営巣地を移し,当地で営巣するようになったと考えられる.
著者
宇野 重規 谷澤 正嗣 森川 輝一 片山 文雄 石川 敬史 乙部 延剛 小田川 大典 仁井田 崇 前川 真行 山岡 龍一 井上 弘貴 小野田 喜美雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究の二年目にあたる平成30年度は定例の研究会を続け、通史的な視点の確立と全体的枠組みの決定を目指した。その目的は、共和主義、立憲主義、リベラリズムを貫く座標軸を見定めることにあった。この目的に向けて、まずは18世紀における共和主義と立憲主義の関係について集中的に検討を行った。その成果は、社会思想史学会において分科会「アメリカ政治思想史研究の最前線」を企画し、石川敬史が「初期アメリカ共和国における主権問題」報告することにつながった。この報告は主権論に即して、初期アメリカにおける思想対立をヨーロッパの思想との連続性において捉えるものであった。第二にプラグマティズムとリベラリズムの関係についても考察を進めた。具体的には研究会を開催し、研究代表者である宇野重規が「プラグマティズムは反知性主義か」と題して報告を行なった。これはプラグマティズムをアメリカ思想史を貫く反知性主義との関係において考察するものであり、プラグマティズムの20世紀的展開を検討することにもつながった。さらに小田川大典が「アメリカ政治思想史における反知性主義」と題して報告を行い、アメリカ思想史の文脈における反知性主義について包括的に検討した。さらに上記の社会思想史学会においては、谷澤正嗣が「A・J・シモンズの哲学的アナーキズム」と題して報告を行っている。これは現代アメリカのリベラリズム研究におけるポイントの一つである政治的責務論において重要な役割を果たしたシモンズの研究を再検討するものである。人はなぜ自らの政治的共同体に対して責務を負うのか。この問題を哲学的に検討するシモンズの議論は、アメリカ思想におけるリベラリズムと共和主義の関係を考える上でも重要な意味を持つ。シモンズを再検討することも、本年度の課題である通史的な視点の確立に向けて大きな貢献となった。
著者
豊原 治彦 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、ディスカスの親魚の粘液に含まれる仔魚期の生残を優位にする哺育因子を探索する目的で、RNA-seqによるディスカス粘液中遺伝子の網羅的発現解析を行った。また、哺育因子と思われる物質についてディスカス粘液中のウエスタンブロット解析及び仔魚の消化管の免疫染色を行った。その結果、哺育期のディスカス粘液中で免疫系の遺伝子群、特に免疫グロブリンを構成する遺伝子が誘導されていることが分かった。また、仔魚が親魚の粘液由来の免疫グロブリンを摂餌していることが示唆された。RNA-seqにより哺育期と非哺育期のそれぞれの粘液で発現している遺伝子を比較した結果、非哺育期に比べ哺育期に発現が抑制される遺伝子数は12であるのに対し、誘導される遺伝子数は160と多く、ディスカスの親魚は仔魚の育成のため複数のタンパク質の合成を促進していることが示唆された。また各遺伝子の発現パターンをもとに行ったクラスター解析では、Breed 4個体、Non-Breed2個体がそれぞれ同グループになることを期待したが、結果としてNon-Breed1とNon-Breed2及びBreed3とBreed4が同グループに、Breed1とBreed2が他4個体の外縁のグループに分類された。Breed1,2とBreed3,4が異なるグループに分類された原因として、粘液採取時の仔魚の孵化後日数の違いが考えられる。Breed3,4がともに仔魚の孵化後5日目の時期に採取しているのに対し、Breed1,2はそれぞれ仔魚の孵化後8,13日目の時期に採取したものである。哺育期のディスカスは仔魚の孵化後の経過日数にあわせ粘液中のイオン含量等を変化させるという報告があり、Rディスカスは仔魚の成長段階にあわせ異なる遺伝子の発現を誘導させることで粘液中のタンパク質組成等を変化させていると考えられる。
著者
宇野 重規 小田川 大典 森川 輝一 前川 真行 谷澤 正嗣 井上 弘貴 石川 敬史 仁井田 崇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究はアメリカ政治思想史を、共和主義と立憲主義という視点から捉え直そうとする試みである。その際に、建国の思想から、19世紀における超越主義とプラグマティズム、20世紀におけるリベラリズム、リバタリアニズム、保守主義へとつながる固有の思想的発展と、マルクス主義やアナーキズムを含む、ヨーロッパからの思想的影響の両側面から検討することが大きな主題であった。3年間の検討をへて、ヨーロッパの王政に対する独特の意識が、アメリカ共和政とそのコモン・センスに対する信頼を生む一方で、政府権力に対し個人の所有権の立場から厳しい制約を課す立憲主義を発展させてきた、アメリカ思想の弁証法的発展が明らかにされた。