著者
田中 竜介 中澤 奈穂 前田 俊道 福島 英登 和田 律子 杉浦 義正 松下 映夫 幡手 英雄 岡野 利之 福田 裕
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-49, 2015-03-31 (Released:2016-03-31)
参考文献数
48
被引用文献数
1

日本国内で流通している冷凍Norway 産タイセイヨウサバ (Scomber scombrus Linnaeus)ならびに冷凍国内産マサバ(Scomber japonicus Houttuyn)において,漁獲場所,漁獲時期,冷凍期間,冷凍温度による,脂質酸化ならびにアルデヒド類の影響について検討を行った.脂質含量はNorway 産タイセイヨウサバと冬期に日本近海の低緯度で漁獲されたマサバが高かった.過酸化物価,アルデヒド類は冷凍温度が高く,冷凍期間が長くなると増加した.また,ビタミンE 含量の減少とともに,アルデヒド類の一つである4-hydroxy-2-hexenal が増加したことから水産物に多く含まれるn-3 系不飽和脂肪酸の酸化が示唆された.以上の結果から,国内で流通している冷凍サバ類は様々な脂質酸化レベルの商品が存在し,これらの品質を向上させるためには,冷凍期間・温度に留意する必要があることが示唆された.

1 0 0 0 文化紀要

著者
弘前大学教養部 [編]
出版者
弘前大学教養部
巻号頁・発行日
1966

1 0 0 0 OA 大愚放語

著者
前田貞次郎 著
出版者
岡本偉業館
巻号頁・発行日
1901

1 0 0 0 OA 大乗仏教史論

著者
前田慧雲 著
出版者
文明堂
巻号頁・発行日
1903
著者
山田 隆亮 越前 功 手塚 悟 吉浦 裕
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C, 電子・情報・システム部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. C, A publication of Electronics, Information and System Society (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.126, no.9, pp.1127-1137, 2006-09-01
参考文献数
17
被引用文献数
4

Emerging broadband networks and high performance of PCs provide new business opportunities of the live video streaming services for the Internet users in sport events or in music concerts. Digital watermarking for video helps to protect the copyright of the video content and the real-time processing is an essential requirement. For the small start of new business, it should be achieved by flexible software without special equipments. This paper describes a novel real-time watermarking system implemented on a commodity PC. We propose the system architecture and methods to shorten watermarking time by reusing the estimated watermark imperceptibility among neighboring frames. A prototype system enables real time processing in a series of capturing NTSC signals, watermarking the video, encoding it to MPEG4 in QGVA, 1Mbps, 30fps style and storing the video for 12 hours in maximum
著者
前田 将吾 髙畑 晴行 原田 麻未 中川 佑美 森 公彦 金 光浩 長谷 公隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.J-52_1-J-52_1, 2019

<p>【はじめに】</p><p> 近年,脳性麻痺症例の運動機能と筋力の関連性を示した報告が散見され,運動による筋力維持・向上の重要性が示唆されている.一方で,歩行や移動に制限がある粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System:GMFCS)Ⅳ~Ⅴレベルの症例では,随意的な運動による筋力維持・向上が困難である.今回,低運動機能に分類される脳性麻痺児に対する他動的歩行練習が下肢筋活動に及ぼす影響を評価し,運動量を増加させる方法を検討したため,運動学的考察を加えて報告する.</p><p>【症例紹介】</p><p> 症例は9歳男児,身長124.0cm,体重14.6kgである.在胎26週663gで出生し,脳室内出血に起因する水頭症を発症したため,脳室-腹腔シャント術を施行された.今回,シャント機能不全に対するシャント入れ替え術のため当院入院された.入院前に自力歩行が困難で,屋内移動を5m程度肘這いで行っていた.術後にイレウスによる嘔吐や食思不振のため低栄養状態となり,長期的入院や多数のルート類によるストレスによって運動意欲は低下した.術後1か月で全身状態が安定し立位や歩行練習を開始した.歩行練習開始時の身体的特徴は,GMFCS:Ⅴ,粗大運動能力尺度(Gross Motor Function Measure)-66 Score:20.5,Modified Ashworth Scale:膝関節伸展両側1,足関節背屈両側1+であった.歩行条件は,両腋窩介助での歩行と歩行補助具(ファイアフライ社製,アップシー小児用歩行補助具)を使用した歩行(補助具歩行)の2条件とした.アップシーの特徴は、児の体幹と介助者の腰部がベルトで連結され,体幹直立位保持が可能になることである.また足部も介助者と連結され,介助者の下肢支持と振り出しに連動する機構となっている.筋電図評価を行うために表面筋電計(Noraxon社製Clinical DTS)を用いて,左右の大腿直筋,半腱様筋,前脛骨筋,腓腹筋外側頭の計8筋を計測した.</p><p>【経過】</p><p> 両腋窩介助歩行では下肢の振り出しが困難であり,下肢筋活動は持続的であった.補助具歩行では,リズミカルな下肢屈曲-伸展運動が可能であり,大腿直筋は左右とも立脚期に活動し,半腱様筋は左右とも遊脚中期から立脚初期に活動していた.前脛骨筋と腓腹筋外側頭は立脚期を通して同時活動していた.またアップシーを用いると嫌がることなく1時間以上連続して立位および歩行が可能であった.</p><p>【考察】</p><p> 低運動機能に分類される症例において,用手的な介助による運動または歩行が困難な場合でも,アップシーを用いた歩行は,体幹直立位での下肢屈曲-伸展運動を可能にした.立脚期の足関節背屈運動や股関節伸展の誘導によってCentral Pattern Generatorが賦活され,下肢の相動性な筋活動が出現したと考えられた.また筋力低下に対しても体幹・下肢への負荷量を調整することが可能であるため,運動量の確保や運動意欲の向上に関与したと示唆された.今後,歩行練習による介入効果を検証する必要がある.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> ヘルシンキ宣言に基づき,家族に口頭にて十分な説明を行い実施した.また個人情報の取り扱いにおいては,個人が特定できる情報は用いずに実施した.</p>
著者
藤原 和歌子 髙木 雄三 松岡 佑樹 前田 啓之
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.108-114, 2022-03-15 (Released:2022-03-15)
参考文献数
26

縦隔リンパ節転移を伴った硬化性肺胞上皮腫の1例を報告する.症例は44歳女性.検診異常精査のCTで右下葉S7に25 mm大の境界明瞭な円形結節影を指摘され,CTガイド下生検にて非小細胞肺癌と診断された.PET-CTで原発巣に集積があるも,肺門縦隔リンパ節には明らかな集積は認めなかった.右下葉肺癌cT1cN0M0 Stage IA3の診断で,胸腔鏡下右下葉切除+ND2a-1を行った.永久病理標本にて硬化性肺胞上皮腫及び気管分岐下リンパ節転移と診断された.硬化性肺胞上皮腫は肺良性腫瘍として扱われているが,リンパ節転移や再発例が稀にみられ,低悪性度腫瘍としての性質を持つものと考えられている.外科的切除が治療の第一選択であるが,その切除範囲については定まっていない.切除例の予後は良好で,リンパ節転移も予後不良因子ではないとされるが,本腫瘍の生物学的な特徴については不明な部分も多く,慎重な経過観察が必要と考える.
著者
前之園 唯史 成瀬 貫 Maenosono Tadafumi Naruse Tohru
出版者
琉球大学資料館 (風樹館)
雑誌
Fauna Ryukyuana (ISSN:21876657)
巻号頁・発行日
no.23, pp.1-41, 2015-08-25

Six species of terrestrial sesarmid crabs of the genus Parasesarma De Man, 1895, viz. P. dumacense (Rathbun, 1914), P. lepidum (Tweedie, 1950), P. leptosoma (Hilgendorf, 1869), P. liho Koller, Liu & Schubart, 2010, P. pictum (De Haan, 1835), and P. tripectinis (Shen, 1940) were collected from the Ryukyu Archipelago, Japan, of which P. dumacense, P. lepidum and P. liho represent new records for the Japanese fauna. Notes on their morphological features, colorations, ecological aspects, and distributions in the Ryukyu Archipelago are provided. The identification of P. dumacense in the present study is provisional, as the original descripton of the female holotype of P. dumacense is insufficient to confirm the identification of the Ryukyuan specimens as male characters are most important to identify the species. Rahayu & Ng (2010) redescribed P. dumacense, but the present study indicates that Rahayu & Ng's (2010) "P. dumacense" may contain more than two species (Fig. 4). Furthermore, Parasesarma kuekenthali is morphologically very close to P. dumacense. Further taxonomic study is necessary to clarify the systematic status of P. dumacense, P. kuekenthali, and the species studied by the present study and Rahayu & Ng (2010). It has been considered that P. lepidum is distinguished from allied P. palauense (Takeda, 1972) by the fewer number of granules on the upper surface of the movable finger of male chela (17–18 in P. lepidum vs. 19 in P. palauense). Our additional material of P. lepidum expands the range of the number of the granules to 20, which now overlaps with that of P. palauense. Reappraisal of the identity of P. palauense is necessary. Taxonomic problems and distinguishable characters of the other four Parasesarma species are also discussed in detail. Controversial distributional records of P. affine (De Haan, 1837) from the Ryukyu Archipelago are also discussed.琉球列島において採集されたカクベンケイガニ属Parasesarmaの6種 [ヨコスジベンケイガニ (新称) P. dumacense (Rathbun, 1914), ツメナガベンケイガニ (新称) P. lepidum (Tweedie, 1950), キノボリベンケイガニP. leptosoma (Hilgendorf, 1869), ミズギワベンケイガニ (新称) P. liho Koller, Liu & Schubart, 2010, カクベンケイガニP. pictum (De Haan, 1835), ユビアカベンケイガニP. tripectinis (Shen, 1940)] について, 形態や色彩の特徴, 生息環境, 琉球列島における分布記録および分類学的な諸問題を記述した. これらの種のうち, ヨコスジベンケイガニ, ツメナガベンケイガニおよびミズギワベンケイガニは日本初記録となる. P. dumacenseの同定については, 原記載が雌1個体に基づいており, 雄の形質を重視する現在の同定方法には不充分な情報しか得られていない. また, P. dumacenseは形態的にP. kuekenthali (De Man, 1902) に類似することから, これらの種の分類学的位置を確定するためにはさらなる研究が必要である. さらに, P. lepidumとP. palauense (Takeda, 1972) は雄の可動指上面の瘤状顆粒数によって識別されるとされていたが (P. lepidum: 17–18 vs. P. palauense: 19), 本研究によりP. lepidumの瘤状顆粒数は16–20の間で変異することが確認されたため, P. palauenseの分類学的な位置付けについても再検討が必要である. 本報では, 文献情報に基づき, 琉球列島におけるクシテガニP. affine (De Haan, 1837) の分布記録についても言及した.
著者
浅野 比 前田 大志朗 白石 幸英
出版者
山陽小野田市立山口東京理科大学
雑誌
山陽小野田市立山口東京理科大学紀要 = Bulletin of Sanyo-Onoda City University (ISSN:24342866)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-5, 2021

Chromium has diverse oxidation states, the charges of +3 and +6 for chromium occur the most commonly within chromium compounds. Trivalent chromium (Cr(III)) is not toxic and is essential for living organisms. On the other hand, hexavalent chromium (Cr(VI)) is known to has the strong ability to oxidize and to be a carcinogen. Therefore, it is important selectively to determine of Cr(VI) for the analysis of chromium due to the difference of toxicity between Cr(III) and Cr(VI). 1, 5-Diphenylcarbazide (DPC) is a reagent which selectively reacts with Cr(VI) to color violet complex. We have developed a simple and sensitive analysis of Cr (VI) using a micro fluidic paper-based analytical device (μPAD) with the DPC colorimetric reaction. The fabrication of μPADs was carried out by melting wax with an oven after the pattern was printed with a wax printer. The detection spots were dropped DPC solution and dried. Then, the sample solution was dropped into the sampling spot and wicked to the detection spots. μPAD was scanned with a scanner, the color intensity for the detection spots was analyzed by an image analysis software. The RGB intensity of the images was analyzed, and the highest sensitivity was obtained when G-intensity was used. The detection limit of this device for the Cr(VI) analysis was 26.2 μg/L, the sensitivity for present method has been enhanced compared to the previous method (30 mg/L).
著者
山本(前田) 万里
出版者
ファンクショナルフード学会
雑誌
Functional Food Research (ISSN:24323357)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.FFR2020_p11-20, 2020-08-11 (Released:2020-09-10)
参考文献数
19

2015 年に施行された機能性表示食品制度は,生鮮食品も対象となった届け出制で「身体の特定の部位の表現」や「主観的な指標による評価」が認められた.2020 年3 月16 日現在2,801 品目あり,そのうち生鮮食品では,みかん(機能性関与成分はβ-クリプトキサンチン;骨の健康の維持),大豆もやし(イソフラボン;骨の健康の維持),リンゴ(プロシアニジン;体脂肪低減),メロン,ブドウ,バナナ(γ- アミノ酪酸<GABA >;高めの血圧低下,記憶力の維持),カンパチ,ぶり,卵(DHA/EPA;血中脂質低減),米,トマト,ケール(GABA,ルテイン;目の健康の維持),ホウレンソウ(ルテイン),唐辛子(ルテオリン;血糖上昇抑制),メロン(GABA;精神的ストレス緩和),鶏胸肉,豚肉(イミダゾールジペプチド;ストレス緩和)など62 品目が,また,単一の農林水産物のみが原材料である加工食品では,緑茶(メチル化カテキン;ハウスダストによる目や鼻の不快感軽減),冷凍ホウレンソウ,蒸し大豆,大麦,無洗米,みかんジュース,数の子,寒天などが届け出・受理された.2019 年3 月にガイドラインの修正が行われた.生鮮食品に関わる主な修正点は次のとおりである.生鮮食品について,機能性が報告されている一日当たりの機能性成分の摂取量の一部(50% 以上)を摂取できると表示可能になったこと,届け出確認の迅速化,軽症者データの取り扱い範囲の拡大,専ら医薬品として使用される原材料を元から含む生鮮食品や加工品について届け出しようとする食品の機能性関与成分が「専ら医薬品リスト」に含まれる場合の消費者庁における確認過程の明確化(医薬品に該当しなければ上記リストに記載されていても機能性表示食品として届け出可能<成分例:デオキシノジリマイシン,γ- オリザノール>),届け出対象成分の拡大など.今後の生鮮食品開発では,機能性関与成分のばらつきに対する栽培・加工的制御技術開発,農産物の全数検査システムの開発,複合的な作用の検証方法,消費者が「食による予防,医食同源」の考え方を身につけて機能性食品を適正に喫食するための教育と消費者への正しい情報発信などの課題がある.
著者
前田 春香
出版者
北海道大学大学院文学研究院応用倫理・応用哲学研究教育センター
雑誌
応用倫理 (ISSN:18830110)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.3-21, 2021-03-25

本論文の目的は、Correctional Offender Management Profiling for Alternative Sanctions(以下COMPAS)事例においてアルゴリズムが人間と似た方法で差別ができると示すことにある。技術発展とともにアルゴリズムによる差別の事例が増加しているが、何を根拠に差別だといえるかは明らかではない。今回使用するCOMPAS 事例は、人種間格差が問題になっているにもかかわらず、そのアルゴリズムが公平であるかどうかについて未だ論争的な事例であり、さらには差別の観点からは説明されていない。本論文では、「どのような差異の取り扱いが間違っているのか」を説明する差別の規範理論を使ってCOMPAS 事例を分析する。より具体的には、差別の規範理論の中から「ふるまい」による不正さを指摘するHellman 説を適切なものとして選び、アルゴリズムに適用できるよう改良したうえでCOMPAS 事例が差別的であるかどうか分析をおこなう。この作業によって、差別的行為を「ふるまい」の問題として独立させ、一見差別の理論が適用できなさそうなアルゴリズムによる差別性の指摘が可能になる。
著者
前田 稔
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.154-163, 2006-09-01 (Released:2017-05-24)

船橋市西図書館の蔵書廃棄事件最高裁判所判決が示した「公的な場」,「公正」について考察した。「公的な場」の概念とパブリック・フォーラム論との関係,「思想,意見等を公衆に伝達する」機能からみた図書館職員の職務の「公正」,購入と除去の違いについて検討した。その結果,表現の自由と思想の自由の両者を基礎に職務の独立性を支える新たな概念として「公的な場」概念が示されたと評価するに至った。
著者
前原 俊介
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.6, pp.280-284, 2013 (Released:2013-12-10)
参考文献数
29

統合失調症は,思春期や青春期にその多くが発症する精神疾患であり,羅患率は総人口の約1%と比較的高いことが知られている.統合失調症の症状は多彩で一義的ではないものの,主症状として,幻覚,妄想などの陽性症状,感情鈍麻,意欲減退,社会的引きこもりなどの陰性症状および注意力低下,実行機能障害などの認知機能障害がある.既存の統合失調症治療薬は,主としてD2受容体および5-HT2A受容体に対する拮抗作用を有しており,陽性症状には奏功するものの,陰性症状や認知機能障害に対する改善作用は未だに十分ではなく,依然として統合失調症患者の約30%は薬剤抵抗性を示している.また,錐体外路症状や高プロラクチン血症,体重増加などの副作用を発現することなどから,新しいメカニズムを有する統合失調症治療薬の開発の必要性が強く唱えられている.その一つとして,主に前頭皮質のグルタミン酸神経伝達異常が原因であるといういわゆるグルタミン酸仮説(NMDA受容体機能低下仮説)に基づく創薬が活発化している.現在,グリシントランスポーター1阻害薬や代謝型グルタミン酸受容体2/3型(mGluR2/3)アゴニスト,mGluR2ポジティブアロステリックモジュレーターなどが臨床試験中である.我々は,新規ターゲットとして代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)に着目し,その拮抗薬の創薬を進めてきた.本稿では,新規mGluR1拮抗薬の特徴とその統合失調症動物モデルでの有効性および副作用に関する評価および受容体占有率との関係を中心に概説し,mGluR1拮抗薬の新規統合失調症治療薬としての可能性について考察する.
著者
南 昌平 横山 真弓 石嶋 慧多 下田 宙 栗原 里緒 宇根 有美 森川 茂 前田 健
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.e29-e35, 2022 (Released:2022-02-15)
参考文献数
50

2016年,近畿地方で2頭の死亡したアライグマが発見された.これらアライグマからオーエスキー病ウイルス(PRV)が分離された.分離されたウイルスの全ゲノム配列を解析した結果,国内で使用されているワクチン株にはないgE遺伝子を保有しており,野外株であることが判明した.同地域のイノシシ111頭とアライグマ61頭の血清についてPRVに対するウイルス中和試験を実施した結果,13頭のイノシシが抗体陽性(11.7%)となり,アライグマはすべての個体で陰性であった.死亡したアライグマの発見地域は養豚場におけるPRVの清浄地域であり,イノシシからアライグマへのPRVの種間伝播が強く疑われた.以上より,本報告はアライグマにおける初のPRV自然感染例であり,イノシシから異種動物へ致死的な感染を引き起こす可能性が明らかとなった.
著者
西村 太一 堀川 美津代 加来 裕人 角田 鉄人 西井 健 前川 春賀 稲井 誠 伊藤 卓也 鈴木 真也 島津 光明 竹林 純 八木 康行
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.PosterP-51, 2013

<p> アブラムシの中には色鮮やかな体色をしているものがあり,その体色はポリケタイド系色素由来であることが明らかとなってきた.これら色素の役割として,保護色を構成する要素であることが考えられる.さらにポリケタイドであることから,アブラムシ自身の生体防御物質である可能性が考えられたが,その実験的証拠はなかった.しかし,最近の我々の研究で非常に興味深いデータが得られた.すなわち,エンドウヒゲナガアブラムシから単離された赤色色素uroleuconaphin類 (1-4) をアブラムシに感染能力のある昆虫病原菌二種,不完全菌(Lecanicillium sp.)と昆虫疫病菌(Conidiobolus obscurus)に対して成長阻害活性試験を行ったところ,配糖体 1, 2では活性が無いものの,アグリコン 3, 4では活性を有することがわかった<sup>1)</sup>.アグリコン 3, 4は, 死亡したアブラムシ(感染死)から単離できることから,自らを犠牲にして病原菌の増殖をおさえていることが示唆された (Fig. 1). </p><p> </p><p>Fig.1</p><p> </p><p> 当研究室ではこれまでに、ユキヤナギアブラムシから黄色色素furanaphin (5)<sup>2)</sup>, エンドウヒゲナガアブラムシとソラマメヒゲナガアブラムシからは黄色色素megouraphin glucoside A (6)<sup>3)</sup>, キョウチクトウアブラムシから黄色色素6-hydroxymusizin (7)<sup>2)</sup>,セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシからは上記の色素1-4の他に黄色色素xanthouroleuconaphin (8)<sup>4)</sup>, さらにその配糖体 9と, 7の配糖体10を単離してきた (Fig. 2). </p><p> </p><p> </p><p>Fig.2</p><p> しかし,これらの色素について詳細な生物活性は調べきれていない.サンプル量の確保が難しいことが原因となっている.今回我々はアブラムシ色素のもつ生物学的意味を解明することを目標として,色素の生物活性を多面的に評価することを計画した.また,先に述べたように糖部分の有無で活性に差があることから,他の色素も同様のことが考えられるので,その点についても活性比較を行うことを念頭に,これら色素の大量合成を目標にした.今回合成した色素について,抗菌活性試験,細胞毒性試験,抗酸化能試験,昆虫疫病菌に対する成長阻害活性試験を行ったので報告する.</p><p>1. BF<sub>3</sub>•2AcOHを用いたFries転位</p><p> 先ず,5, 6の合成を計画し,その出発原料として12を選んだ. 12をHWE反応により炭素鎖伸長した後に,脱保護,環化によりアセテート16を合成した.一方,7, 8の合成のために13を出発原料としてフェニルスルホン18に変換後,19とのMichael付加,加水分解,環化により20とし,続く脱離反応によりナフトール体へと導き,フェノール性水酸基をアセチル基で保護してアセテート21を得た (Scheme 1).</p><p> </p><p> </p><p>Scheme 1</p><p> </p><p> 次に16, 21に対してBF<sub>3</sub>•OEt<sub>2</sub>存在下でのFries転位を試み,22,</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>