著者
前鼻 啓史 渡 正 伊藤 真紀 鈴木 宏哉 渡邉 貴裕
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.290_3, 2018

<p> 2020東京パラリンピックのレガシーにより、著しく障害者スポーツに関するニーズが高まることが予想される。したがって、量的普及の後に期待される質的な充実や多様なニーズに対応できる基盤を如何に構築していくかという課題がある。2012ロンドンパラリンピックを契機に同様の課題を抱え、かつ先進的な経験と知見を有する英国の障害者スポーツに関する事例は、日本にとって有益な情報を提供してくれるものと考えられる。そこで、本研究は英国エヴァートンフットボールクラブにおける障害者サッカーの包括的な取り組みについて明らかにすることを目的とした。英国にてクラブの代表者へインタビュー調査を実施するとともにクラブの活動資料を収集し調査内容を質的に分析した。調査の結果、多様なニーズに対応した多種目の障害者サッカーチームを組織しているとともに、地域の特別支援団体と提携し、毎年千人程度の障害のある子どもや大人を対象としたサッカーや身体活動の機会を提供するマルチスポーツプログラムを有していることが明らかとなった。今後は本研究で得られた知見やノウハウをもとに、次世代型パラスポーツモデルの拠点形成に関する取り組みへと繋げていきたい。</p>
著者
中井 伸子 名和 孝二 前川 美津子 長沢 久充
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.287-294, 1992-07-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 3

日本新薬株式会社安全性研究所で育成した実験用ネコ91頭の血液および血清生化学的検査値19項目について, 1~48カ月齢までの変動と性差を検討し以下の成績を得た。成長と関連して変動した項目が多く, 赤血球数 (RBC) , ヘモグロビン (Hb) , ヘマトクリット (Ht) , 赤血球恒数, GPT, 総蛋白 (TP) およびアルブミン (ALB) は1ヵ月齢より成長に伴い増加した後安定し, 白血球数 (WBC) , アルカリフォスファターゼ (ALP) , 無機燐 (Pi) , 総ビリルビン (TBil) , 総コレステロール (TC) , グルコース (GLU) およびトリグリセリド (TG) は, 成長に伴い減少した後安定した。GOT, 血清尿素窒素およびカルシウムは, 成長に伴う変動が認められなかった。成長に伴い変動した項目の中で, 赤血球恒数, GPT, GLUおよびTCは, 3~4ヵ月齢頃より安定したが, 大部分は, 体重がプラトーになる9~11ヵ月齢頃 (RBC, Hb, Ht, TP, ALB) から18ヵ月頃 (WBC, ALP, TG, Pi) に安定した。このことから, ネコでは, 少なくとも9~11ヵ月齢, 場合によっては18ヵ月齢以上の動物を成熟個体として取り扱うべきであることが示唆された。11ヵ月齢以降, 平均赤血球容積, 平均赤血球ヘモグロビン量およびWBCでは雌が雄より, また, ALBでは全期間を通して雄が雌より高値を示す傾向があったが, 他の項目では明確な性差は認められなかった。
著者
前田 真治 齋藤 雅人 萩原 摩里
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.103-106, 2007 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

The Salt Lake mineral was dissolved in the warm water to develop bath salt that contained the Salt Lake mineral with the element of seawater, and we made comparative study of the effects with the tap warm water for five healthy adults.As a result, the warm water with the Salt Lake mineral increased in the changes of the surface skin temperature in the forehead, the deep thermometer in front of chest and the tissue blood flow of thigh skin compared to the tap warm water.Therefore, the warm water with the Salt Lake mineral was suspected that the thermo effects was good compared to the tap warm water.It seemed that it was possible to use it safely as bath salt, for it did not change the blood pressure, the heart rate, the oxygen uptake and carbon dioxide exhaust. Also, the abnormality of the skin was not additionally recognized.
著者
湯田 厚司 小川 由起子 鈴木 祐輔 荻原 仁美 神前 英明 太田 伸男 清水 猛史
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.1011-1019, 2018 (Released:2018-09-21)
参考文献数
9
被引用文献数
13

【背景・目的】スギ花粉舌下免疫(SLIT)の開始後4年が経過した.花粉多量飛散年にSLIT1~4年治療例を検討した.【方法】2018年(飛散総数5041個/cm2)飛散ピーク時にSLIT4年目83例,3年目72例,2年目48例,1年目67例と比較対照の初期療法320例,未治療群424例を対象とした.JRQLQ No1の鼻眼症状,薬物・総鼻症状薬物スコア,視覚的症状尺度(VAS)で評価した.【結果】SLIT各治療年は全てで未治療より,総括症状で初期療法より有意に良かった.治療3・4年目は鼻眼症状で初期療法より有意に良かった.併用薬なしで鼻症状スコア1以下の寛解率はSLIT4年目から1年目の順に41.0%,31.9%,18.8%,20.9%で,症状スコア全て0点の例は順に12.0%,12.5%,4.2%,4.5%であった.SLIT全例で処置を要する副反応は無かった.【結語】スギ花粉多量飛散年のSLITは初期療法や未治療より効果的であった.治療は短期よりも4年の長期に行う方が良いと考えた.
著者
前澤 知輝 宮崎 由樹 松長 芳織 若杉 慶 柴田 彰 河原 純一郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-33, 2020-02-15 (Released:2021-02-18)
参考文献数
7

本研究では,花粉症対策に衛生マスクを持続的に着用する日常生活場面において,鼻の不快感に対するマスクへの着香効果を経時的に測定した.花粉症をもつ40名の被験者が2種の衛生マスク(ミント着香,または統制として無香マスク)をそれぞれ6時間着用し,携帯機器を通じて鼻の不快感について定期的に回答した.実験の結果,着香マスクは無香マスクに比べて装着直後に鼻の不快感の低減が強く生じた.しかし,香りの有無にかかわらず,マスク着用後,30分程度で不快感の低減効果は飽和状態となった.このことは,着香マスクの着用が鼻の不快感を低減させる効果は,着用を始めてから30分までの香りの印象が大きく影響することを示している.
著者
前川 素子 和田 唯奈
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.144-148, 2021 (Released:2021-09-25)
参考文献数
5

統合失調症の発症メカニズムについては,脳の発達期におけるさまざまな侵襲が発症脆弱性形成の基盤になる「神経発達障害仮説」が知られている。筆者らは特に,「妊娠中の母親が飢餓にさらされると,子どもの将来の統合失調症発症率が約2倍に高まる」という大規模疫学事象に着目し,脳発達期の栄養欠乏が成長後の統合失調症発症リスクに影響する可能性について解析を進めてきた。筆者らが,脳発達期栄養欠乏を模倣するモデルマウスを作製して解析したところ,脳発達期栄養欠乏マウスは,統合失調症様の表現型を示すこと,その上流には多価不飽和脂肪酸をリガンドとする核内受容体RXRα,PPARαが働いている可能性を見いだした。さらに,ヒトおよびマウスを対象に解析を行い,核内受容体PPARαの機能不全が統合失調症の発症リスクに関わる可能性,核内受容体PPARαが統合失調症の新しい治療ターゲットになる可能性を見いだした。
著者
中野 孝司 藤岡 洋 前田 重一郎 山口 桂 岩橋 徳明 田村 伸介 波田 寿一 東野 一彌
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.327-332, 1990-06-20 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16

悪性胸膜中皮腫と肺癌胸水貯留例との鑑別にCEAが役立つか否か検討した. 悪性胸膜中皮腫 (11例) の胸水CEAは低値であり, 結核性胸膜炎 (18例) 及び他の良性疾患 (21例) のそれとに差はなかった. 又, 肺癌各組織型 (腺癌34例, 小細胞癌18例, 扁平上皮癌8例, 大細胞癌5例) 及び転移性悪性胸膜腫瘍 (13例) のそれは中皮腫よりも有意に高値を示していた. 胸水CEAのcut-off valueを5.0ng/mlとすると腺癌でのpositive rateは82.4%, 小細胞癌28.6%, 扁平上皮癌62.5%, 大細胞癌83.3%, 転移性胸膜腫瘍43.8%であったのに比べ, 中皮腫は全例ともにcut-off level以下であった. 又, 悪性胸膜中皮腫の腫瘍組織CEA染色は全例陰性であり, 血清CEAは病期が進行しても全例ともに正常値内にあった. 以上の結果より, 本疾患のCEAは胸水及び血清ともに上昇しないと考えられ, この点が肺癌胸水貯留例, 殊に問題となる肺腺癌との鑑別に役立つと考えられる.
著者
前迫 孝憲 青柳 貴洋 丹羽 次郎 西端 律子 菅井 勝雄
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.233-234, 1999
被引用文献数
1

大阪大学人間学部では、平成10年9月に東館竣工記念講演会の映像配信をインターネット、ISDNビデオ会議ネットワーク、デジタル衛星テレビ(DVB)の3者を併用してリアルタイムに実施した。インターネットでは、大阪からRealSystem、東京からMPEG4で配信した。またDVBでは3基の衛星を用いた世界配信を行い、南米コルドバ大学からは質問を受けた他、タイの遠隔教育機関とは異種衛星を使ったメッセージ交換を行った。
著者
前島 正義 小鹿 一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

マラリアは、マラリア病原虫プラスモディウム属がハマダラカを媒体として伝染し、ヒトの肝細胞・赤血球に寄生することによる疾患である。本研究は、マラリア原虫がもつH^+輸送性ピロホスファーターゼ(H^+-PPase)に焦点をあて、この酵素に対する特異的阻害剤の探索を通して、抗マラリア特効薬を見出し開発することを目的とした。1.阻害剤に関する研究成果(新規阻害剤の発見)沖縄の海洋に生息する生物のうち,軟サンゴから得られた成分がもっとも強い阻害活性示した。その成分の化学構造を決定したところ分岐したアシル基をもつアシルスペルミジン類縁化合物であることが判明した。基質加水分解・プロトン輸送活性を強く阻害した(50%阻害濃度1μM)。さらに生きた植物細胞においてもH^+-PPaseを阻害し,その生理機能を強く抑制することが証明された。2.H+-PPaseに闘する研究成果・新知見(1)植物H^+-PPaseの遺伝子破壊株の解析により遺伝子欠損は生育の著しい抑制をもたらすこと,すなわち本酵素が植物体の正常な生育に不可欠であることを明らかにした。(2)ヤエナリH^+-PPaseの構造・機能協関の解析により,少なくとも2つの細胞質側親水性ループが基質結合・触媒部位を形成し,その中の保存性の高いアミノ酸残基が基質加水分解を司っていることを明らかにした。(3)変異導入とそれに引き続く機能検定のやりやすい大腸菌発現系の確立を目的に,放線菌H^+-PPaseを対象に解析を進めた。実験系の確立に成功し,放線菌H^+-PPaseの固有の性質を明らかにした。(4)H^+-PPase機能の直接測定のためのパッチクランプ法を世界に先駆けて開発し,H^+-PPaseの特質,分子活性をもっとも精度の高い方法で明らかにした。
著者
縄田 亮太 石井 泰光 前田 明
出版者
日本コーチング学会
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.41-52, 2014-11-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
20

The purpose of this study is to identify the characteristics of the overhand pass in beach volleyball (BVB) by comparing it with the overhand pass in volleyball (VB). The following results were obtained:     (1) In the pull phase, wrist dorsiflexion occurred in VB. On the other hand, in BVB, the elbow was bent in addition to the wrist dorsiflexion. This finding suggests that there is a difference in the buffer action of the elbow between VB and BVB.     (2) In the push phase, the maximum angular velocities of knee and ankle joints were not during VB but during BVB. This finding suggests a timing difference in lower extension between VB and BVB. And, the largest angular velocity of the upper limbs was seen in the wrist during VB, whereas it was seen in the elbow during BVB. This suggests the segment of the body that accelerates the ball in VB is different from that in BVB. Besides, the timing for extending the upper and lower limbs differs in VB but is comparatively near in BVB.     These results suggest that the characteristics of BVB involve the buffer action of the ball with the elbow in addition to that with the wrist, and the acceleration of the ball with the knee and ankle and the simultaneous elbow extension.
著者
前之園 亮一 Ryoichi Maenosono
出版者
学習院大学史学会
雑誌
学習院史学 = Gakushuin historical review (ISSN:02861658)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-31, 1983-04-28

論説(Article)
著者
前田 喜四雄
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.9-33, 1984

<I>M.australis, M.paululus</I>および<I>M.solomonensis</I>の3種における外部および頭骨計則値とそれらの相対比の若干について地理的変異を調べた。<I>M.australis</I>と<I>M.paululus</I>における下腿長および下腿長と前腕長との比, <I>australis</I>における頭骨の長さに関する計測値および脳函幅では雄が雌より大であった。一方, <I>M.australis</I>の頭骨全長に対する前腕長の比および頭骨基底全長に対する臼歯間幅の比では雌が雄より大きかった。<I>M.australis</I>の全形質と, 頭骨全長に対する乳様突起間幅の比を除いた<I>M.paululus</I>の全形質では, 地理的変異が明らかであった。<I>M.solomonensis</I>は他2種のいかなる個体群よりも大半の形質で有意に異った.<I>M.paululus</I>は頭骨と歯列の長さにおいて, 他2種のいかなる個体群よりも有意に小さかった。
著者
川原 敬治 持永 芳文 前川 千明 佐藤 重勝
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.120, no.1, pp.96-103, 2000-01-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
9

Railway structures and traction substations suffered much damage by the Large-Magnitude Hanshin-Awaji Earthquake in 1995. In electric railway substations, structures were cracked, also a number of pieces of equipment such as transformers and silicon rectifiers were damaged, insulation oil leaked, base anchorbolts were cut, and high-voltage equipment supports inclined, and insulators cracked because of crack in the ground and uneven subsidence. This report describes the survey results of damaged traction substations and explains an earthquake-proof design method for traction substation equipment.We surveyed natural frequencies of traction substations equipment below 170kV. This survey showed that natural frequencies of equipment below 170kV were in relatively high frequency area (about 10-20Hz) than those of equipment above 170kV. As the real dominant frequency of earthquake is several Hz, these equipments rarely cause resonance due to earthquake move, and moving responses are weak also.From the analysis of the gliding phenomena of heavy equipment, it is found that the horizontal acceleration is in the range of 0.4-0.6G. So anchorbolts should be protected from large bending moment. Definite plans are using longer anchor-sockets, stuffing gaps between equipment and base and removing anti-vibration rubber plates.
著者
安本 亮二 田中 重入 浅川 正純 柿木 宏介 田部 茂 西阪 誠泰 森 勝志 井関 達男 和田 誠次 前川 正信
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.571-575, 1989-04

通常行われている尿路造影法に非イオン性造影剤(iohexol)を用い, 検査前後で尿中逸脱酵素・蛋白がどのような変化を示すかにつき検討した.正常な腎機能を有する9例を対象とし, DIPにて注入スピード10 ml/min, 総投与量100 ml (2.5 ml以下/kg)で静注した.投与前後の尿を採取し, 糸球体濾過能の指標としてアルブミンを, brush-border酵素としてγ-GTPを, lysosomal酵素としてNAGを, 尿細管性蛋白尿の指標としてα1MGおよびβ2MGを測定し, 各酵素と蛋白の尿中排泄量を尿中クレアチニン量と比較検定した.DIP後γ-GTPとNAGの尿中排泄量は有意(p<0.001, 0.02)に増加した.α1MGおよびβ2MGは有意に変化せず, アルブミンの変化は少量であった.今回の検討から, 非イオン性, 低浸透圧性造影剤であるiohexolは尿細管障害が少なく, brush-border酵素であるγ-GTPとlysosomal酵素のNAGは尿細管障害の良い指標となると考えられた