著者
三上 修 菅原 卓也 松井 晋 加藤 貴大 森本 元 笠原 里恵 上田 恵介
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-13, 2014 (Released:2014-05-09)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

スズメPasser montanusは日本の都市を代表する鳥であり,もっとも身近な生き物の一つである.スズメは人工構造物にできた隙間に営巣するので,ヒトHomo sapiensはEcological Engineer種として,スズメに生息環境(営巣環境)を提供しているといえる.スズメは電柱にも営巣することがわかっている.ときにそれは停電という問題を引き起こす.このような軋轢を解消しつつも,スズメとヒトが都市のなかで共存することが重要である.そこで,本研究では,スズメによる電柱への営巣の基礎的な情報を得ることを目的とした.その結果,スズメが主に営巣しているのは,電柱の構造物のうち腕金であることが明らかになった.ただし,都市によって,営巣している構造物および数に違いが見られた.これは,管轄している電力会社が異なるため,営巣可能な電柱の構造物の種類及び数に違いがあるからである.さらに関東地方の都市部と郊外で比べたところ,都市部では電柱への営巣が多く,郊外では人家の屋根への営巣が多かった.これは,都市部では,電柱の構造が複雑化するため,電柱に営巣できる隙間が多いこと,郊外は,屋根瓦が多く,屋根に営巣できる隙間が多かったことなどが原因と考えられる.スズメの電柱への営巣は停電を引き起こしうるので,営巣させないような努力が必要であるが,一方で,建物の気密性が高まっていることで,スズメの営巣環境は減っている.スズメが営巣できる環境を維持しつつ,電柱への営巣を制限する道を探っていく必要があるだろう.
著者
小原 卓也 藤波 努
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会第24回全国大会, 3G1-OS2a-1
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2010-06

The importance of skills has been increased recently as manual labors are still widely on demand. We have investigated proper ties commonly observable among variety of skills. However, it is not easy to study the embodied knowledge, i.e. the items of knowledge enabling skills, given the complexity of tacit knowing, especially when its contexts are not specified. Therefore, we focused on a rhythm action game to investigate open skill, a class of skills whose contexts are unknown, with a hope that our study might cast a new light on tacit knowing under unspecific contexts. We analyzedthe skill required toper form the rhythm action game using an Eye Tracker. We found through our experiment that the experts fix their eyes on a particular point while they play the game. Similar phenomena are observed in other activities,where the skills are thought to be open one. The experts are found to control their visions by limiting the time to watch items so that they can perform the task most effectively, which suggests they may automate the perception-action cycle.
著者
宮原 卓也
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.137-146, 1986-04-25 (Released:2010-06-22)
参考文献数
8

職業的テノール歌手による9種の発声サンプルについて声帯振動の超高速度映画撮影を行い, また平均呼気流率と声の音圧レベルを測定した.発声サンプルはHuslerのアンザッツタイプをもとに選定した.推定体積速度波形, 推定最大体積速度, 最大声門幅, 平均呼気流率, OQ, SQ, SI, 声の音圧レベル, 仮声帯間距離は声の音色によって決定し, 関係づけられるが, その主な結論は次のとおりである.1) アンザッツNo.2では声門を強く閉じ, 声門上部を狭くし, 強い呼息圧を用いて発声している.声門下圧, 声の音圧レベル, 推定最大体積速度, 平均呼気流率は大である.2) アンザッツNo.3aでは中等度の声門閉鎖と呼息圧を有し, 声門上部をあまり狭くせずに発声している.推定最大体積速度は大であるが, 平均呼気流率は中等度である.3) アンザッツNo.3bでは声門を弱目に閉じ, 声門上部を広く開いて弱い呼息圧を用いて発声している.声門下圧は小さいが, 推定最大体積速度は大きく, 平均呼気流率は中等度である.4) アンザッツNo.4, No.5ではファルセットの喉頭調節で発声している.推定最大体積速度, 平均呼気流率は低目である.5) アンザッツNo.6では声門をかなり強く閉じ, 中等度の呼息圧で発声し, 声の音圧レベルは高い.推定最大体積速度は大きいが, 平均呼気流率は小さい.
著者
萩原 卓也
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.93-93, 2012

本発表は、日本における女子プロレスラー(以下、レスラー)の痛みをめぐる経験をみていくことで、その経験を介して生まれる身体的な共同性を考察する。そこから、身体を介したエンパワーメントの議論や、スポーツにおける痛み研究が捉え損ねている、間身体的なつながりの位相を指摘することを目的とする。そして、その身体的な共同性こそが、レスラーたちを「エンパワー」している根本に存在するものである可能性を考えていきたい。
著者
海原 卓也 小林 薫 石橋 忠良
出版者
公益社団法人日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.1171-1176, 1999-06-21
被引用文献数
3

RCラーメン高架橋柱やRC橋脚において、阪神大震災級の地震に対して部材の耐震性能を向上させるためには、より変形性能を大きくする必要がある。しかしながら、帯鉄筋を多量に配置し、変形性能として部材のじん性率が10以上となるRC柱の地震時変形性能はまだ明らかにされていない。本研究は、帯鉄筋比が0.6%以上となるRC柱部材の交番載荷試験結果より、RC柱の地震時変形性能評価の基礎となる部材降伏時変位算定法を提案するものである。
著者
村澤 実香 金井 章 今泉 史生 蒲原 元 木下 由紀子 四ノ宮 祐介 河合 理江子 上原 卓也 江﨑 雅彰
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1788, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】スポーツ場面における重篤な外傷の一つとしてあげられる前十字靭帯損傷(以下,ACL損傷)の発生率は女性では男性に比べ2から8倍高いといわれている。女性に多い理由として,Q-angleが大きい,全身弛緩性を有する者が多い,膝外反位を呈するものが多いことなどが報告されている。受傷機転には,ジャンプ着地動作,減速動作,カッティング動作などが指摘されている。その中でもジャンプ着地動作において,Noyesらはドロップジャンプテスト(以下DJT)では,女性において股関節内転,膝関節外反角度が増加したと報告しているが性差による動作パターンの影響についての検討はなされていない。そこで本研究では,DJT着地時における下腿内側傾斜角度に性差が及ぼす影響について検討することを目的とした。【方法】対象は下肢運動機能に問題が無く,週1回以上レクリエーションレベル以上のスポーツを行っている健常者40名(男性16名,女性24名,平均年齢17.6±3.1歳,平均身長162.9±8.4cm,平均体重57.3±8.7kg)とした。DJTは,高さ30cmの台から前方に飛び降り,両脚での着地後に両手を振り上げ真上にジャンプし,再び着地し立位姿勢となるまでの動作とした。計測は測定前に充分練習した後3回施行し,台から飛び降りた際の着地時における左膝関節最大屈曲時を解析対象とした。真上にジャンプできなかったり,着地後にバランスを崩した場合は再度測定を行なった。動作の計測には,三次元動作解析装置VICON-MX(VICON MOTION SYSTEMS社製)および床反力計OR6-7(AMTI社製)を用い,関節角度,下腿内側傾斜角度(前額面における垂線に対する内側への傾斜),関節モーメント,足圧中心,床反力,上前腸骨間距離,重心の高さを算出した。関節モーメントは得られた値を体重で除し,上前腸骨間距離と重心の高さは得られた値を身長で除して正規化した。筋力は股関節屈曲,伸展,外転,内転,膝関節屈曲,伸展,足関節背屈,底屈の等尺性最大筋力を測定した。筋力は筋力計μtasMT-1(ANIMA社製)を用いて計測し,得られた値を体重で除して正規化した。統計学的手法は対応のないt検定を用いた。【結果】男女の比較では(男性群,女性群),下腿内側傾斜角度(-1.7±3.9,8.2±5.6°),上前腸骨間距離(0.15±0.1,0.16±0.1mm/cm,),骨盤前傾角度(12.1±7.0,19.6±7.8°),股関節内転モーメント(0.7±2.2,4.5±4.4 Nm/kg),重心の高さ(3.6±0.4,3.9±0.2mm/cm)が女性群で有意(P<0.05)に高値を示した。脊柱屈曲角度(27.5±11.9,12.2±11.7°),胸郭前傾角度(40.0±14.0,31.8±9.5°),股関節外転角度(-5.1±3.5,-0.3±5.7°),足部外転角度(7.0±4.1,-1.3±4.4°)が男性群で有意に高値を示した。筋力(N/kg)は,股関節伸展(5.6±1.2,5.0±1.2),股関節外転(4.4±0.9,3.6±0.9),股関節内転(4.2±1.0,3.3±1.1),膝関節屈曲(1.5±0.2,1.0±0.2),膝関節伸展(2.9±0.5,2.5±0.5),足関節背屈(3.1±0.6,2.6±0.5),足関節底屈(8.7±1.8,7.0±1.3)の各筋力が男性群で有意(P<0.05)に高値を示した。【考察】女性は男性に比べて骨盤前傾角度が有意に高値を示し,脊柱屈曲,胸郭前傾角度が有意に低値を示した。一般的には,ジャンプ跳躍高を上げるためには,重心位置を低くする必要があるが,今回女性は男性と比較して重心位置は有意に高くなっていた。このことは女性は男性と比較し,股関節屈曲筋力以外の下肢筋力が有意に低値を示していたことから,重心位置を低くすることが困難であるためと考えられた。そのため,骨盤前傾角度を増加して,大殿筋とハムストリングスの張力を高めジャンプ跳躍動作に対応していると考えられた。また女性において,股関節内転モーメントが有意に高値を示したのは,上前腸骨間距離で表される骨盤幅の広さが要因と考えられ,それに伴い下腿内側傾斜角度も増加したと考えられた。そのため着地時には下腿内側傾斜角度を軽減させるために股関節外転角度を増加させ,床反力が股関節中心の近くを通るような着地を指導する事が予防において重要と考えられた。【理学療法学研究としての意義】DJT着地時における性差が下腿内側傾斜角度に及ぼす影響を検討することにより,ACL損傷の予防の一助となることが考えられた。
著者
小寺 恵介 塩原 卓也
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-7, 2010 (Released:2011-02-18)
参考文献数
3

ホルムアルデヒドが人体に対して障害を与える可能性が認識され,医薬品製造における無菌室の除染作業において代替薬品の検討が進んでいる。有力な薬品の一つである過酸化水素はその凝縮液の高い腐食性のため室内除染への利用は殆どなかった。武田薬品工業と大気社では,室内で凝縮を起こさずに腐食の影響を最小限にする除染技術を共同開発し,無菌室に適用する過酸化水素を用いた除染システムの実用化に至った。過酸化水素は水と同様に,一般的な環境下の空気中では蒸気として存在する。過酸化水素の凝縮は,過酸化水素と水の混合気体の気液平衡を考慮しないと正確には予測できない。この混合気体の気液平衡をモデル化し,除染中の室内環境をシミュレートできるツールを開発し,このツールを用いることで,室内で凝縮を起さない条件を正確に事前に設定することが可能となった。その設定条件を基にして環境パラメータを制御することで大空間である無菌室を除染できることがこのシステムの特徴である。開発技術について以下に報告する。
著者
原 卓也
出版者
集英社
雑誌
すばる (ISSN:03876381)
巻号頁・発行日
vol.8, no.9, pp.p172-181, 1986-09
著者
井原 卓也 土岐 卓 大岸 智彦 小花 貞夫
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.211-212, 2015-03-17

従来、WebサイトはPCによる閲覧を前提に作成されており、表示する端末の消費電力は十分考慮されていなかったが、近年のスマートフォンの普及に伴い、Webサイト閲覧時の消費電力の重要性が増加してきている。そこで、筆者らはWebサイト閲覧時のパワープロファイルを用いた端末リソース毎の消費電力を考察し、端末での消費電力効率の良いモバイルWebサイトの作成方法を研究をしている。本研究の目標は、HTMLや画像などのWebサイトの構成要素毎に消費電力を推定し、その結果より、消費電力の少ないモバイルWebサイトが作成できるようになることである。これまでに、端末リソース毎の消費電力を測定し、既存のモバイルサイトとPCサイトの作成方法による消費電力の違いについて調査した。本発表では、それについて報告する。
著者
原 卓也
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.85-98, 2018 (Released:2018-01-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

本論文では、日本国内の二輪車のストック・フローに関するデータ間の整合性を検証することで、二輪車の保有台数が過大評価となっている可能性を検討する。保有台数について、公式データである検査・届出台数と、軽自動車税課税台数、税収納率、自賠責保険加入台数、消費実態調査から推定される保有台数などを比較・分析する。その結果として、車検制度対象外の車種である軽二輪や原付の公式データ保有台数は、より実態に近いと考えられる他のデータより過大になっていることを示す。車検制度対象車種の小型二輪については、実態に近いことを示唆するデータと過大であることを示唆するデータの両方があり、今回の分析からは結論付けられないが、車検制度対象外の車種と比べれば、過大評価の程度は小さいことを示す。
著者
小原 卓也 藤波 努
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第24回全国大会(2010)
巻号頁・発行日
pp.3G1OS2a1, 2010 (Released:2018-07-30)

現在、多くの人間活動が行われる中その熟練に必要なスキルも増加している。そのため、スキルの部分的な共通点などから熟練にかかる時間の削減や他活動への応用などが求められ、身体知スキルの研究が盛んに行われている。本研究では擬似的なオープンスキルを発揮すると考えられるリズムアクションゲームに注目し、視線追従を用いたスキルの分析を行うことで、視線と熟練の相関を分析する。また、他活動への応用を考える。
著者
今泉 史生 金井 章 蒲原 元 木下 由紀子 四ノ宮 祐介 村澤 実香 河合 理江子 上原 卓也 江﨑 雅彰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0342, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】足関節背屈可動性は,スポーツ場面において基本的な動作である踏み込み動作に欠かせない運動機能である。足関節背屈可動性の低下は,下腿の前方傾斜が妨げられるため,踏み込み時に何らかの代償動作が生じることが考えられ,パフォーマンスの低下やスポーツ外傷・障害につながることが予想される。スポーツ外傷・障害後のリハビリテーションの方法の一つとして,フォワードランジ(以下,FL)が用いられている。FLはスポーツ場面において,投げる・打つ・止まるなどの基礎となる動作であり,良いパフォーマンスを発揮するためにFLは必要不可欠な動作であると言える。しかし,FLにおいて足関節背屈可動域が動作中の下肢関節へ及ぼす影響は明らかではない。そこで,本研究は,FLにおける足関節背屈可動域が身体に及ぼす生体力学的影響について検討した。【方法】対象は,下肢運動機能に問題が無く,週1回以上レクリエーションレベル以上のスポーツを行っている健常者40名80肢(男性15名,女性25名,平均年齢17.6±3.1歳,平均身長162.9±8.4cm,平均体重57.3±8.7kg)とした。足関節背屈可動域は,Bennellらの方法に準じてリーチ計測器CK-101(酒井医療株式会社製)を用いて母趾壁距離を各3回計測し最大値を採用した。FLの計測は,踏み込み側の膝関節最大屈曲角度は90度と規定し,動作中の膝関節角度は電子角度計Data Link(バイオメトリクス社製)を用いて被験者にフィードバックした。頚部・体幹は中間位,両手は腰部,歩隔は身長の1割,足部は第二中足骨と前額面が垂直となるように規定した。ステップ幅は棘果長とし,速度はメトロノームを用いて2秒で前進,2秒で後退,踏み出し時の接地は踵部からとした。各被検者は測定前に充分練習した後,計測対象下肢を前方に踏み出すFLを連続して15回行い,7・8・9・10・11回目を解析対象とした。動作の計測には,三次元動作解析装置VICON-MX(VICONMOTION SYSTEMS社製)および床反力計OR6-7(AMTI社製)を用い,足関節最大背屈時の関節角度,関節モーメント,重心位置,足圧中心(以下,COP),床反力矢状面角度(矢状面での垂線に対する角度を表す),下腿傾斜角度(前額面における垂線に対する内側への傾斜)を算出した。統計解析は,各算出項目を予測する因子として,母趾壁距離がどの程度関与しているか確認するために,関節角度,重心位置,COP,床反力矢状面角度を従属変数とし,その他の項目を独立変数として変数減少法によるステップワイズ重回帰分析を行った。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の実施にあたり被検者へは十分な説明をし,同意を得た上で行った。尚,本研究は,豊橋創造大学生命倫理委員会にて承認されている。【結果】母趾壁距離が抽出された従属変数は,床反力矢状面角度,足関節背屈角度,股関節内転角度であった。得られた回帰式(R≧0.6)は,床反力矢状面角度(度)=0.015×重心前後移動距離(mm)+0.299×母趾壁距離(cm)-0.211×膝関節屈曲モーメント(Nm/kg)-12.794,足関節背屈角度(度)=33.304×体重比床反力(N/kg)+0.393×足関節内反角度(度)+0.555×母趾壁距離(cm)+1.418,股関節内転角度(度)=0.591×下腿内側傾斜角度(度)-0.430×足尖内側の向き(度)+0.278×股関節屈曲モーメント(Nm/kg)-0.504×母趾壁距離(cm)+1.780であった。【考察】FLにおける前方への踏み込み動作において,母趾壁距離の大きいことが,床反力矢状面角度の後方傾斜減少,足関節背屈角度を増加させる要因となっていた。これは,足関節背屈角度が大きいと下腿の前方傾斜が可能となり,前脚に体重を垂直方向へ荷重しやすくなったことが考えられた。また,母趾壁距離と股関節内転角度との間には負の関係が認められた。これは,足関節背屈角度の低下により下腿の前方傾斜が妨げられるため,股関節内転角度を増加させて前方へ踏み込むような代償動作となっていることが原因である考えられた。この肢位は,一般的にknee-inと呼ばれており,スポーツ動作においては外傷・障害につながることが報告されているため,正常な足関節背屈可動域の確保は重要である。【理学療法学研究としての意義】FLにおける足関節背屈可動域が身体に及ぼす生体力学的影響を明らかにすることにより,スポーツ外傷・障害予防における足関節背屈可動域の重要性が示唆された。
著者
平野 実 宮原 卓也 宮城 平 国武 博道 永嶋 俊郎 松下 英明 前山 忠嗣 讃井 憲威 川崎 洋 野副 功 広瀬 肇 桐谷 滋 藤村 靖
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.1189-1201, 1971-07-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

研究目的: 歌唱に際して声区, ピッチ, 声の強さなどがどの様にして調節されているかを, 一流の声楽家について明らかにし, 発声法の訓練, 指導に資するとともに, 音声調節のメカニズムの解明にも寄与することを目的とした.研究方法: 本邦第一級のテノールとして活躍中の一声楽家を対象として, 種々の発声中の喉頭筋々電図記録, 呼気流率測定, 声帯振動の高速度映画撮影を行っ.研究成績および結論: 1. 声区は声帯筋によつて第一義的に調節される. 声帯筋はheavy registerでは強く収縮するが, light registerではほとんど収縮しない. 従つて, heavy registerでは声帯が厚く, 粘膜波動は著明で, 開放時間率が小さく, 開閉速度率は大きい. 呼気流率は一般にlight registerで大きい.2. ピッチの調節機構は声区によつて異なり, 前筋, 側筋, 声帯筋の関与はheavy registerで顕著である. 呼気流率の関与は何れの声区においても認められなかった.3. heavy registerでは声帯筋と呼気流率が声の強さの調節に関与する. light registerでは声帯筋は関与せず, 呼気流率と声の強さの関係が極めて緊密である.4. 声の調節機構はstaticなものではなく, 前後の発声情況によつて変化するdynamicなものである.
著者
今泉 史生 金井 章 蒲原 元 木下 由紀子 四ノ宮 祐介 村澤 実香 河合 理江子 上原 卓也 江﨑 雅彰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】足関節背屈可動性は,スポーツ場面において基本的な動作である踏み込み動作に欠かせない運動機能である。足関節背屈可動性の低下は,下腿の前方傾斜が妨げられるため,踏み込み時に何らかの代償動作が生じることが考えられ,パフォーマンスの低下やスポーツ外傷・障害につながることが予想される。スポーツ外傷・障害後のリハビリテーションの方法の一つとして,フォワードランジ(以下,FL)が用いられている。FLはスポーツ場面において,投げる・打つ・止まるなどの基礎となる動作であり,良いパフォーマンスを発揮するためにFLは必要不可欠な動作であると言える。しかし,FLにおいて足関節背屈可動域が動作中の下肢関節へ及ぼす影響は明らかではない。そこで,本研究は,FLにおける足関節背屈可動域が身体に及ぼす生体力学的影響について検討した。【方法】対象は,下肢運動機能に問題が無く,週1回以上レクリエーションレベル以上のスポーツを行っている健常者40名80肢(男性15名,女性25名,平均年齢17.6±3.1歳,平均身長162.9±8.4cm,平均体重57.3±8.7kg)とした。足関節背屈可動域は,Bennellらの方法に準じてリーチ計測器CK-101(酒井医療株式会社製)を用いて母趾壁距離を各3回計測し最大値を採用した。FLの計測は,踏み込み側の膝関節最大屈曲角度は90度と規定し,動作中の膝関節角度は電子角度計Data Link(バイオメトリクス社製)を用いて被験者にフィードバックした。頚部・体幹は中間位,両手は腰部,歩隔は身長の1割,足部は第二中足骨と前額面が垂直となるように規定した。ステップ幅は棘果長とし,速度はメトロノームを用いて2秒で前進,2秒で後退,踏み出し時の接地は踵部からとした。各被検者は測定前に充分練習した後,計測対象下肢を前方に踏み出すFLを連続して15回行い,7・8・9・10・11回目を解析対象とした。動作の計測には,三次元動作解析装置VICON-MX(VICONMOTION SYSTEMS社製)および床反力計OR6-7(AMTI社製)を用い,足関節最大背屈時の関節角度,関節モーメント,重心位置,足圧中心(以下,COP),床反力矢状面角度(矢状面での垂線に対する角度を表す),下腿傾斜角度(前額面における垂線に対する内側への傾斜)を算出した。統計解析は,各算出項目を予測する因子として,母趾壁距離がどの程度関与しているか確認するために,関節角度,重心位置,COP,床反力矢状面角度を従属変数とし,その他の項目を独立変数として変数減少法によるステップワイズ重回帰分析を行った。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の実施にあたり被検者へは十分な説明をし,同意を得た上で行った。尚,本研究は,豊橋創造大学生命倫理委員会にて承認されている。【結果】母趾壁距離が抽出された従属変数は,床反力矢状面角度,足関節背屈角度,股関節内転角度であった。得られた回帰式(R≧0.6)は,床反力矢状面角度(度)=0.015×重心前後移動距離(mm)+0.299×母趾壁距離(cm)-0.211×膝関節屈曲モーメント(Nm/kg)-12.794,足関節背屈角度(度)=33.304×体重比床反力(N/kg)+0.393×足関節内反角度(度)+0.555×母趾壁距離(cm)+1.418,股関節内転角度(度)=0.591×下腿内側傾斜角度(度)-0.430×足尖内側の向き(度)+0.278×股関節屈曲モーメント(Nm/kg)-0.504×母趾壁距離(cm)+1.780であった。【考察】FLにおける前方への踏み込み動作において,母趾壁距離の大きいことが,床反力矢状面角度の後方傾斜減少,足関節背屈角度を増加させる要因となっていた。これは,足関節背屈角度が大きいと下腿の前方傾斜が可能となり,前脚に体重を垂直方向へ荷重しやすくなったことが考えられた。また,母趾壁距離と股関節内転角度との間には負の関係が認められた。これは,足関節背屈角度の低下により下腿の前方傾斜が妨げられるため,股関節内転角度を増加させて前方へ踏み込むような代償動作となっていることが原因である考えられた。この肢位は,一般的にknee-inと呼ばれており,スポーツ動作においては外傷・障害につながることが報告されているため,正常な足関節背屈可動域の確保は重要である。【理学療法学研究としての意義】FLにおける足関節背屈可動域が身体に及ぼす生体力学的影響を明らかにすることにより,スポーツ外傷・障害予防における足関節背屈可動域の重要性が示唆された。
著者
藤城 泰志 原 卓也 重里 元一
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.300-307, 2015 (Released:2015-04-30)
参考文献数
25
被引用文献数
2 12

Effect of the combined addition of molybdenum (Mo) and boron (B) on austenite (γ) to ferrite (α) transformation and precipitation behavior were investigated using low-alloy steels. B-added steel and Mo-B combined steel were held at 923 K (γ region) in order to precipitate boride. B content as precipitates increased and γ to α transformation was promoted with holding time at 923 K. In B-added steel, both M23(C,B)6 and M2B were observed. The transition from M23(C,B)6 to M2B caused by the increase in holding time at 923 K. By contrast, in Mo-B combined steel, no M2B was observed regardless of the holding time. Mo addition suppresses not only the M23(C,B)6 formation but also the M2B formation. M2B contains larger amounts of B than M23(C,B)6. B content as precipitates in Mo-B combined steel was much lower than that in B-added steel due to the suppression of M2B precipitates. The effect of Mo for B containing steel suppresses the precipitation of M23(C,B)6 and M2B and increases more segregated B in austenite grain boundary that contributes to γ to α transformation.