著者
松島 又十郎 松原 壮六郎 阿井 敬雄 井上 進一
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.112-115, 1971-03-31 (Released:2010-06-17)
参考文献数
4
被引用文献数
1

最近魚病治療剤として数種類のサルファ剤が多用されているが,その作用の中で魚に対する毒性については水産薬として製造許可された2,3のサルファ剤を除いてはほとんど明らかにされていない状態と言える。特にハマチに関しては治療効果はともかく毒性については検討されないまま使用され,昭和44年の静岡県および三重県におけるスルフイソミジンによる骨折事故の発生などをみるに至ったと言える。このハマチでの骨折をともなう副作用については窪田らが本誌にスルフイソミジンについて報告しているが,著者らは今回スルフイソミジンおよびスルファモノメトキシン大量投与時の骨折発生の有無と,その時の組織内濃度について検討したので報告する。
著者
笠原 由紀 深澤 洋滋 田原 壮平 栗林 恒一 東家 一雄
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.2-12, 2009 (Released:2009-08-11)
参考文献数
27

【目的】免疫研究委員会の活動として、 臨床に携わる鍼灸師が持つ 「鍼灸と免疫」 に対する意識の現状分析を行い、 そこから示唆される今後の課題を提言することを目的とした。 【方法】東洋療法学校協会に加盟する専門学校43校、 および国内で鍼灸師の養成課程をもつ大学6校において勤務する鍼灸師を対象に無記名アンケートによる意識調査を行い、 単純集計により解析した。 【結果】調査対象校49校に総計960件のアンケートを送付し、 32校から263件の有効票を回収した。 鍼灸治療を受けている患者は一般に感染に対する抵抗力が高まっていると考える回答は56.4%、 また、 鍼灸は免疫力を高める予防医学の一つと考える回答は83.3%であり、 鍼灸は免疫に対して効果的と考える回答が多数を占めていた。 しかしながら、 実際の臨床現場において患者の免疫力を客観的に評価しているという回答は11.0%に留まり、 大多数が患者からの主観的な申告で判定しているという結果であった。 【結論】肯定的な回答が多かった鍼灸の免疫力向上作用について科学的検証を行うためにも、 鍼灸師が臨床現場で実施可能な非侵襲性かつ客観的な免疫力の評価方法を模索し導入していくことが重要と思われた。
著者
東家 一雄 深澤 洋滋 笠原 由紀 奥田 学 田原 壮平 栗林 恒一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.767-778, 2006-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

平成16年度に発足した免疫研究委員会では、過去に国内外で発表された鍼灸と免疫に関する全ての基礎研究論文の記載内容を精査する目的でWeb上のデーターベースからキーワード検索により724論文を選び、そこから実験動物対象の原著論文52編とヒト対象の原著論文42編 (そのうち英文論文72編、邦文論文22編) を抽出した。それら94論文に記載された鍼灸刺激方法や実験対象、測定された免疫学的パラメーターなどについて詳細な検討を加えた結果、本領域の報告は極めて多様な実験条件設定の下で実施されていることが明らかとなり、今後のこの領域の基礎研究では相互に比較検討が可能な再現性の高いデータを蓄積しなければならないことが示唆された
著者
井原 壮 菊池 喜昭 野田 翔兵 永井 裕之 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00253, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
19

大粒径土粒子を含む現場盛土材の締固め特性を得るには,現場盛土材を用いた大型締固め試験が必要であるが,その実施には多くの制約がある.このため,大粒径土粒子を除去した試料で室内締固め試験を実施し,得られた乾燥密度をWalker-Holtz式(W&H式)で補正して大粒径土粒子を含む盛土材の締固め密度を推定するのが一般的である.しかし,W&H式の補正方法では除去した土粒子の重量比率が大きくなるほど推定誤差が大きくなる.本研究では,複数の盛土材をせん頭粒度調整により最大粒径を変化させて室内締固め試験を実施した.その結果,W&H式の推定誤差には,細粒分含有率と礫分の粒子形状の影響が大きいことがわかった.また,W&H式を補正して,大粒径土粒子を含む盛土材の締固め密度を予測する方法を提案した.
著者
富原 壮真 神田 真司
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.87-94, 2021-08-01 (Released:2021-08-12)
参考文献数
14

動物の行動解析は生物学の実験において最も頻繁に行われる実験系の1つであり,様々な動物においてその行動が解析されている。現在,最もよく用いられている行動解析の手法は,市販のビデオカメラにより行動を撮影し,得られた動画を再生しながら目視でひとつひとつ行動を記録するというものである。しかし,この実験手法は撮影・解析に非常に多くの時間がかかり,煩雑な操作も多く実験誤差が生まれやすい。この問題を解決するために,シングルボードコンピューターの1種であるRaspberry Piを用いて動物行動の自動撮影システムを作製した。また,Microsoft Excelのマクロ機能を応用し,PCのキーを押さえるだけの単純な操作で行動を記録し,このデータを基に行動の変遷を表すラスタープロットをEPS 形式によって自動で作製できるプログラムを開発した。これらのシステムを用いることで,実験誤差が少ない高精度な行動解析を短時間かつ単純な操作で実現できるようになった。今回はこれらのシステムを用いて,実験室で継代され続け「家畜化した」メダカ系統と,野生のメダカの性行動パターンを詳細に解析し,オスの性行動モチベーションに対する家畜化の影響の可能性を見出した。
著者
古谷 英樹 大河原 壮 浅沼 成人 日野 常男
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1-2, pp.30-39, 2005-04-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
28

イヌの健康増進、特に大腸癌の予防・抑制を目的として、スフィンゴミエリン(SM)の有効利用のための条件およびSM分解への腸内細菌の関与についての基礎的知見を得るための実験を行った。まず、マウスにSMを経口投与したところ、1,2-ジメチルヒドラジンで誘発した結腸・直腸の異常陰窩病巣(前癌病巣)の形成が抑制されることが確認された。マウスおよびイヌの糞中のスフィンゴ脂質を分析したところ、消化管内には内因性のSMおよびその分解生成物がかなり流入することが示唆された。しかし、それだけでは大腸癌の予防・抑制には不十分であり、食餌性のSMを補強することが重要と考えられた。また、大腸粘膜上皮細胞への取り込みのためには、SMはセラミド、特にスフィンゴシンに分解される必要があるが、かなりの量のSMおよびセラミドが糞中に排泄されたので、腸管内での分解は不十分と考えられる。一方、抗生物質によってマウスの腸内細菌を除去しても糞中のSM量は変化しなかったので、マウスはスフィンゴミエリナーゼ(SMase)をもつ腸内細菌を保有していないと考えられた。しかし、抗生物質の投与によって糞中のスフィンゴシンが減少したので、マウスの腸内にはセラミダーゼをもつ菌が存在すると推測される。イヌの場合は、個体によってはSMaseおよびセラミダーゼをもつ腸内細菌が存在することが明らかとなった。しかし、そのような菌をもつ個体は少なかった。SMaseおよびセラミダーゼをもつ菌を保有するイヌでは、糞中のSMが少なく、スフィンゴシンが多かったので、このような菌は腸管内でSMやセラミドの分解に寄与していると考えられる。以上より、SMの投与と同時にこれらの酵素をもつ菌をイヌに導入すればSMの効果が高まると思われる。
著者
井上 和久 原 和彦 丸岡 弘 河原崎 崇雄 菅原 壮平 望月 あおい 中村 岳雪
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.28-33, 2013 (Released:2013-06-30)
参考文献数
12

[目的]昨今,国内国外において家庭用ゲーム機器であるWiiを使用した研究報告がある。筆者らもこれまでWii Fit(毎日の健康管理をサポートするソフト)を使用しバランストレーニングの効果について検討してきた。今回,病院・施設の方にご協力をいただき,患者・利用者を対象としてどのようなトレーニング効果が得られるかについて検証することを目的とした。[方法]今回,バーチャル機器の一つであるWii Fit Plus(Wii Fit同様,毎日の健康管理をサポートするソフトで,トレーニングの種類が増えたソフト)を使用し,患者・利用者を対象に運動効果および運動習慣について検討した。[結果]効果について,バランス機能の向上は認められなかったが,基礎代謝・柔軟性などについて有意な増加が認められた。質問紙調査結果からは今後も運動を実施したいという回答が87.5%あった。[結論]患者・利用者の方を対象とする場合はリスク管理について事前に検討し実施しなければならないことが今回の研究から明確となり,今後Wii Fit Plusの様々なトレーニング方法についてマニュアルなどの必要性があると考えられた。
著者
加茂 健太 城戸 秀彦 城戸 聡 清原 壮登 太田 昌成
出版者
日本関節病学会
雑誌
日本関節病学会誌 (ISSN:18832873)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.457-460, 2017 (Released:2018-12-15)
参考文献数
6

Introduction: The superior approach (SA) in total hip arthroplasty (THA) is one of the muscle sparing posterior approaches. We describe this method and report the radiographic outcomes of the first 30 hip arthroplasties performed using a SA.Methods: The method for THA: The patient was placed in the lateral decubitus position with the operative leg in approximately 60° of flexion, 40° of adduction, and 20° of internal rotation. The gluteus medius muscle was retracted anteriorly, and the piriformis muscle posteriorly, to exposure the hip capsule. The femoral canal was entered at the trochanteric fossa with a round chisel. The femoral broaches were performed before the femoral neck osteotomy. The femoral head was removed after the osteotomy. The acetabular cup was impacted with anteversion of the transverse acetabular ligament. The method for hip hemi-arthroplasty (HA): First, the outer head was placed in the acetabular fossa; second, the femoral stem was placed and the inner head was impacted. The outer and inner head were set up in the acetabular fossa.Results: The SA group included 12 THAs and 18 HAs. In the THA group, the mean operative duration was 106±18 minutes, the mean varus angle of the stem was 0±1.5 degrees, the mean inclination of the cup was 45±8 degrees, the mean anteversion of the cup was 9±8 degrees and the mean limb length discrepancy was 6±4 mm. In the HA group, the mean duration was 60±17 minutes, the mean varus angle of the stem was 1±2 degrees and the mean limb length discrepancy was 0.5±4 mm. In four (33%) THAs, the piriformis muscles were resected and repaired. In all of the HAs, the piriformis and conjoint tendons were preserved.Conclusion: The piriformis muscles were resected in some THAs, but the short rotators muscles were preserved in the HA procedures.
著者
徳山 英一 本座 栄一 木村 政昭 倉本 真一 芦 寿一郎 岡村 行信 荒戸 裕之 伊藤 康人 除 垣 日野 亮太 野原 壮 阿部 寛信 坂井 眞一 向山 建二郎
出版者
海洋調査技術学会
雑誌
海洋調査技術 (ISSN:09152997)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.27-53, 2001-03-31
参考文献数
56
被引用文献数
6

We propose the guideline to identify fault in offshore region mainly based on MCS profiles, combining high resolution bathymetric maps and geological data such as bore hole results. Based on the guideline we distinguished total 776 faults developing around Japan since the latest Miocene and 753 faults out of total numbers of faults are interpreted to have been active by Quaternary. Together with distinguishment of fault we examined the attributes of each faults such as surface and vertical distribution, criteria of offset, age of movement, certainty of a fault and so on. <br>The results of the distinguishment and examination of the fault leads to the conclusion that the ongoing tectonic framework around Japan characterized by 1) oblique Subduction along the Nankai Trough, 2) rifting at the Okinawa Trough, 3) E-W compressionl regeme along the Japan Sea margin, 4) E-W compressionl regeme along southwestern margin of the Okhotsk Sea and off southern Hokkaido, 5) E-W compressionl regeme along the Japan Trench, 6) rifting in the central arc of the Izu-Ogasawara Arc has been established since 3 Ma, at the earliest 6 Ma. <br>We utilized high resolution data set which we enable to access. Tow big problems, however, still remain in terms of reliability of fault recognition. Those are 1) age of fault movement and 2) spatial distribution of fault. To solve the first one, new technique is required in order to obtain core samples which provide critical evidence to determine age of fault movement. As is second problem concerned, new intensive seismic survey is indispensable to make a precise fault distribution map, especially in the boundary area between land and sea.
著者
鈴木 誠 長山 智則 大原 壮太郎 森川 博之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J100-B, no.12, pp.952-960, 2017-12-01

実用化に向け行き詰まりを見せていたマルチホップ無線センサネットワークが,同時送信フラッディング(CTF)のもたらした強烈なインパクトにより,全く新たな技術に生まれ変わろうとしている.筆者らは,CTFが提案された当初からその重要性を認識し,全ての通信をCTFで行うセンシング基盤Chocoの開発を進めてきた.また,実フィールドにおけるCTFの有用性を明らかにするため,社会的要請の強い橋梁モニタリングシステムをChocoを利用して開発し,実橋梁において10台〜70台といった規模で実証をも進めてきた.本論文では,CTFが無線センサネットワークにもたらした変化について論じるとともに,CTF利用型センシング基盤Choco,及びChocoを用いた構造モニタリングシステムの開発について述べる.また,実証実験から得られた「シンクノードも含めノードの移動に頑健なため設置が簡易である」「中継ノードを増やせば繋がるため無線に対する深い知識がなくても構築できる」といったCTFの運用時における特性についても示す.
著者
今野 卓哉 山田 慧 笠原 壮 梅田 能生 小宅 睦郎 藤田 信也
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.657-660, 2015 (Released:2015-09-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は69歳男性である.ネコ咬傷により発症した蜂窩織炎と敗血症の治療中に,頭痛,軽度の喚語困難と右不全片麻痺が出現した.頭部MRI拡散強調画像(diffusion-weighted image; DWI)で左大脳半球の硬膜下に三日月形の低信号病変を認め,慢性硬膜下血腫が疑われたが,7日後に神経症状が増悪し,硬膜下病変はDWI高信号に変化した.ネコの口腔内常在菌であるPasteurella multocidaによる硬膜下膿瘍の報告があり,本例は,既存の硬膜下血腫に血行性に細菌が感染して膿瘍化した感染性硬膜下血腫と考えられた.本例は,血腫から膿瘍への変化を画像的に追跡し得た貴重な症例である.
著者
大原 壮太郎
出版者
東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻
巻号頁・発行日
2010-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2010-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(工学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 工学系研究科電気系工学専攻
著者
佐原 壮海 樫原 茂 太田 能 高井 峰生 金田 茂 山口 英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.51, pp.1-6, 2015-02-23

既存のレートアダプテーション機能 (RA) は主に室内などの移動性の低い環境を対象としているため,路車間通信のような移動環境においては,チャネル品質の変動に適応した伝送レート選択を行うことは困難である.本論文では,まず,移動環境における既存 RA の通信性能をシミュレーションにより評価し,問題点を明らかにする.そして,移動時のチャネル品質の変動に適応するための RA として,データセットを利用した RA(Rate Adaptation with Dataset: RAD) を提案する.シミュレーション評価により,既存 RA と比較して,RAD の FTP/CBR 通信の通信量がともに向上することを示した.
著者
佐原 壮海 樫原 茂 太田 能 高井 峰生 金田 茂 山口 英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.51, pp.1-6, 2015-02-23

既存のレートアダプテーション機能 (RA) は主に室内などの移動性の低い環境を対象としているため,路車間通信のような移動環境においては,チャネル品質の変動に適応した伝送レート選択を行うことは困難である.本論文では,まず,移動環境における既存 RA の通信性能をシミュレーションにより評価し,問題点を明らかにする.そして,移動時のチャネル品質の変動に適応するための RA として,データセットを利用した RA(Rate Adaptation with Dataset: RAD) を提案する.シミュレーション評価により,既存 RA と比較して,RAD の FTP/CBR 通信の通信量がともに向上することを示した.Existing rate adaptation mechanisms (RAs) are basically targeted for selecting the best transmission rate at indoor environments. As a result, RA in mobile environments, such as in Vehicular to Infrastructure communication, is more challenging due to frequently changing of channel quality. In this paper, we evaluate existing RAs in mobile environments using a simulator, and disclose the RAs' problems. We also present Rate Adaptation with Dataset (RAD) for selecting the appropriate data rate in mobile environments. Finally, we show that RAD outperforms other existing RAs in FTP/CBR communication.
著者
米山 泰生 貝沼 修 谷口 徹志 中島 光一 渡辺 良之 原 壮
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.214-218, 2002-02-01
参考文献数
17
被引用文献数
20

症例は67歳の女性.1993年に直腸癌にて低位前方切除術行い, その後2回の肝転移および肺転移の切除術を受けた.2000年5月腹部CTにて主膵管拡張と膵頭部に不均一に造影される腫瘍を認め, MRCP, ERCPにて膵頭部主膵管に途絶を認めた.膵転移もしくは腫瘤形成性膵炎を疑い, エコー下膵生検を行い, 直腸癌膵転移の診断にて7月19日膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的にも高〜中分化型腺癌で, 原発巣および肝・肺転移巣と類似の所見であった.直腸癌膵転移は極めてまれであり, 本邦報告例では異時性に他臓器転移をきたし, 複数回の転移巣切除術が行われていることが多いが, 長期生存例も報告されており, 膵転移も根治性が得られれば積極的に手術をすべきと考えられた.