著者
梅原 拓也 田中 亮 永尾 進 富山 大輔 川畑 祐貴
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.7-12, 2014-03-31 (Released:2015-03-13)
参考文献数
27
被引用文献数
1

「目的」本システマティックレビューおよびメタアナリシスの目的は,変形性膝関節症(膝OA)に罹患して人工膝関節置換術(TKA)を受けた患者に対する術前および術後の運動介入が在院日数に及ぼす影響について検討することである。「方法」4つの電子データベースを使用して,運動介入が在院日数に及ぼす影響を調べたランダム化比較試験(RCT)を収集した。実験群とコントロール群を比べた在院日数の差のデータを統合した。エビデンスレベルは,GRADEシステムを用いて評価した。「結果」8編のRCTが特定され, 6編は我々のメタアナリスにて統合可能なデータを報告していた。 3編の論文のデータを統合した結果, 術前の運動介入が在院日数に及ぼす有意な影響は示されなかった。一方, 残り3編の論文の統合データは, 術後の運動介入,特に早期運動介入が在院日数に及ぼす有意な影響を示した。エビデンスレベルは,術前の運動介入および術後の早期運動介入それぞれ「中」以下と判断された。「結論」我々は,TKA後の早期運動介入によって膝OA患者の在院日数は短縮できるというエビデンスを明らかにした。
著者
桑原 拓也 饗場 和美 豊岡 浩介 山路 雄彦 渡辺 秀臣
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.159-166, 2008-05-01 (Released:2008-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

【背景・目的】 他動的なスタティック・ストレッチングは運動器の維持・向上に大きな役割を果たしている. 伸張時間と頻度において有効な活用法の確立と温熱療法の相加的効果について検討した. 【対象と方法】 健常大学生22名を対象とし, ストレッチング10秒間を5回施行する群と50秒間を1回施行する群に分け, これに温熱療法を併用しストレッチング前と直後, 10分後の3回, 下肢伸展挙上 (straight-leg raising, SLR) 角度と手掌にかかった圧を測定し伸張強度を求めた. 【結 果】 10× 5群ではスタティック・ストレッチングによりSLR有意な角度の改善が認められたが, 50×1群では有意な改善が得られなかった. 温熱の相加的効果は確認されなかった. 10× 5群ではスタティック・ストレッチングにより有意な伸張強度の増加が確認された. SLR角度と伸張強度の変化率には10× 5群のみ有意な相関が確認された. 【結 語】 ストレッチングによるSLR角度の増加は10秒を5回繰り返す方法が有効であり, この短期の改善効果は神経生理学的要因が関与し, 長期持続には組織構造の変化を導くストレッチングの継続が必要と考えられる.
著者
菅原 拓也 荒井 浩一 倉本 敬二 東海林 徹 浅倉 聖岳 白石 正
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.678-686, 2016-10-10 (Released:2017-10-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

We previously reported that insoluble particulate matter formed during the mixing of injectable drugs. We considered that the contamination derived from the disposable injection syringe used for the mixture as one of the causes. Therefore, in the present study, we evaluated the amount of insoluble particulate matter caused by using a 50-mL syringe of each manufacturer, using syringes of various capacities and number of piston times (suction and expulsion) of the syringe. Furthermore, we were able to identify the components of the insoluble particulate matter that formed. As a result, we found that a lot of insoluble particulate matter was expelled from the 50-mL syringes of each manufacturer that increased with the capacity of the syringe and the number of piston times. In addition, we found that the insoluble particulate matter was from the silicone oil coating on the inner surfaces of the syringes.
著者
有馬 聡一郎 佐川 京子 北川 千佳子 河村 加代子 藤原 拓也
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.168, 2010

<はじめに>MSWとして様々な疾患を抱える患者と関わる中で、医療費の支払いに苦慮している患者への対応を行う場面は多い。中でも近年外来化学療法を受けている患者からの相談が増加しており、この要因としては、DPC導入に伴う化学療法の「入院治療」から「外来治療」へのシフトが考えられる。この度「治療と生活」を両立することが困難になり、主治医に治療中止を申し出た患者が来談した一事例を報告する。<患者情報>60歳男性 膵臓がんを罹患。仕事もできなくなり約10万円の傷病手当で生活。月約7万円の治療費と通院費が生活を圧迫し、食事の回数を減らすなど日常生活も破綻している状況。親族の援助も得られず自暴自棄となる。幸い治療は奏功しがんの進行は抑えられているが、治療を断念する旨主治医に申し出る。<関わりと経過>患者の情報収集を行い、後日面談。直接生活暦や世帯状況、収入や生活費について細かく情報を得ることで、多角的視点から生活実態を把握。これにより以前福祉事務所へ相談に行きながらも断念した「生活保護」の申請が可能であることを確認。MSWより福祉事務所へ治療を断念するまでの経緯について詳細な情報を提供し患者にも生活保護申請を進言した。その申請も受理され、生活保護は決定した。治療費の不安が軽減した患者は表情も良く、当院への通院治療を続けている。<考察>経済的事情で「治療と生活」の両立が困難な患者は、非常に厳しい選択を迫られる場面がある。生きるために必要であるはずの治療が生活を破綻に導くのは本末転倒である。このたびの事例で適切なタイミングでのMSWの介入が治療継続に繋がることがわかった。<おわりに> 病気や障害を抱える患者はそれだけでも相当なストレスを被り、またそれに伴い社会的な不安や負担も増大する。MSWはそれに対応し、療養上の負担を軽減できるよう、また治療に専念してもらえるようなアプローチが求められる。
著者
栗原 拓也 木下 尚洋 山口 竜之介 横溝 有希子 竹腰 美夏 馬場 哲晃 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1073-1092, 2017-05-15

本稿では,カラオケにおいて歌ってない人に対してタンバリンの演奏を促すことで,歌ってない人もカラオケを楽しみ,盛り上げることができるシステムを提案する.カラオケに行った際に,歌われている曲を知らなかったり,どのようにして一緒に盛り上げてよいか分からず,ただ曲を聴いているだけで退屈をしてしまう人は少なくない.そのような場合に対して,カラオケ店に置いてあるタンバリンの使用を促すため,どのようにタンバリンを演奏するか自動で生成・表示し,ゲーム風の画面により正しく叩けているかをフィードバックする.しかし,これだけではタンバリン演奏者が1人でタンバリンの演奏をゲーム感覚で楽しんでしまい,歌唱者や他の人と一体になってカラオケを楽しむ目的からは外れてしまう可能性がある.そこで,歌唱者も含めて全員がタンバリン演奏に参加するようにする.システムを実装し,実際にカラオケ店で実験したところ,次の可能性が示唆された.(I)本システムによりワンパターンなタンバリン演奏を防ぐことができる.(II)タンバリン奏者が知らない楽曲に対しては,譜面の表示によりタンバリンを演奏しやすくなる.(III)カラオケの一体感を高めるには,全員がタンバリン演奏に参加することが効果的である.一方,次のような課題も明らかになった.(i)生成されるタンバリン譜の難度が高く,正確なリズムで演奏できない場合があり,その場合むしろ歌いにくくなる.(ii)タンバリン演奏がうるさく感じられる場合がある.(iii)歌い手がタンバリンを叩く際に,歌いながらタンバリンを叩くのが難しい場合がある.In this paper, we propose a system that enables non-singing people in karaoke to enjoy the karaoke by supporting their tambourine performance. In karaoke, it is often difficult for non-singing people to enjoy the songs being sung when they do not know the songs. This is because they do not find how to enlive the singing of such unknown songs and accordingly they cannot do anything other than listening to them. Here, we focus on the tambourine, which is provided in most karaoke spaces in Japan. Our system automatically generates the tambourine part of a singing song and instructs how a non-singing person plays the tambourine. The system feeds back how correct the user's performance is through the display in a common music game style. However, if only one person is enabled to play the tambourine, only he/she may enjoy to play the tambourine, accordingly causing a different result from our goal that both singing and non-singing people enjoy karaoke together. We therefore imporve the system so that all participants including singing one join in the tambourine performance. The results of experiments in an actual karaoke space imply the following possibilities: (I) Our system avoids monotonous tambourine performance. (II) It makes it easier to play the tambourine for songs that the player does not know. (III) Playing the tambourine together with all participants is effective to improve a sense of unity. On the other hand, we found the following issues: (i) Our system sometimes generates tambourine scores that are difficult to play in accurate rhythm, and it makes singing difficult. (ii) The tambourine somtimes sounds too loudly. (iii) It is sometimes difficult for singers to play the tambourine while singing.
著者
上原 拓也 角田 渓太 隅 寿恵 山内 周 望月 秀樹 中 隆
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.777-780, 2016 (Released:2016-11-29)
参考文献数
7
被引用文献数
7 6

症例は47歳女性.母親が原因不明の多臓器不全.4年前から両下肢の痺れ感が出現し,起立時に失神した.徐々に失神回数が増え下痢と便秘を繰り返すようになった.診察上,下肢優位感覚優位の末梢神経障害と高度な自律神経障害を認めた.心筋生検にてアミロイド沈着とトランスサイレチン遺伝子変異(Gly47Arg; G47R)が判明したが,多臓器不全のため積極的な治療は行えなかった.数か月にわたって徐々に意識が低下し,多臓器不全にて死亡した.解剖の結果,末梢神経系と一般臓器のみならず,クモ膜下腔および脊髄脳幹の表層に高度なアミロイド沈着を認めた.G47R変異が髄膜アミロイドーシスを引き起こすことを示した初の症例報告である.
著者
北原 拓也 久保 恭仁 吉澤 海 安部 宏 会澤 亮一 松岡 美佳 相澤 良夫 砂川 恵伸 高山 忠利 幕内 雅敏
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.229-237, 2009 (Released:2009-06-03)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

Peliosis hepatis(肝紫斑病)は,類洞の拡張と肝内に多発する血液の貯留腔を認めるまれな疾患で,WHOの肝腫瘍の組織学的分類では腫瘍類似病変に分類されている.本邦では腫瘍との鑑別に苦慮した症例の報告が散見されるが,肝全域にわたってPeliosis hepatisが発生,進展し,致命的な転帰となった症例は,過去にわずか1例が報告されているのみである.今回我々は,特徴ある組織学的所見を呈し,経過観察中に突然病態が悪化し急速に致命的な経過をたどった,肝全域にわたる特発性Peliosis hepatisの極めてまれな1例を経験したので報告する.
著者
上原 拓也 井上 達雄
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.44, no.498, pp.309-315, 1995-03-15
被引用文献数
1 9

The quenching process of a Japanese sword is simulated by a CAE system "HEARTS" developed by one of the authors. The system is available to consider the coupling effect among metallurgical change due to phase transformation, temperature and inelastic stress/strain. In the quenching process of the Japanese sword, a special kind of clay is pasted on the surface to control the heat transfer coefficient between metal and water. The dependence of the coefficient on the thickness of clay and also the surface temperature is experimentally evaluated first by using a cylindrical rod of silver. The results show a relatively higher value with thin-pasted clay than that without clay at a high temperature range. The data are then applied to simulate the variation of temperature coupled with the structural change from austenite to martensite and pearlite as well as the variation of stress. It gives an attractive result that the sword is bent two times to the direction opposite to the normal shape due to the complicated time difference between martensitic and pearlitic transformation and thermal contraction. The simulated results of residual stress distributions are compared with the measured data by X-ray diffraction technique.
著者
渡邉 裕美 後藤 隆 高野 龍昭 栗原 拓也 人見 朋子 青木 愛
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

夜間対応型訪問介護が創設されて2年経過したが、利用者が少なく経営が厳しい。事業所数も100箇所あまりで大都市圏人口地域に偏在し、夜間帯サービスの空白圏がある。どのような人にどのようなケアプランを作成すれば24時間ホームケアを支えられるか、サービスの利用効果やサービス利用方法が周知される必要がある。夜間対応型単独使用で24時間ケアが成り立つわけではなく、定期訪問介護に加えて夜間対応型訪問介護のコールと随時訪問が届くためには、ケアマネージャーが鍵となる。さらには医療ニーズへの対応も不可欠である。現在、夜間ケアを必要とする人の多くは病院や施設にいる。ケアマネージャーと医療機関間で、前方連携・後方連携がなされれば、地域で暮らし続ける支援となるであろうことが示唆された