著者
古川 陽介 仲村 尚崇 深田 光敬 中司 元 安田 潮人 小田代 敬太 丸山 徹 赤司 浩一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.1515-1520, 2011 (Released:2013-02-21)
参考文献数
11
被引用文献数
1

目的: 近年, ワルファリン(warfarin; WFN) とプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor; PPI)の併用による薬物相互作用が指摘されている. 今回, ラベプラゾールとランソプラゾールの抗凝固療法に対する影響を後ろ向きに検討した.対象と方法: 外来で安定した抗凝固療法が確認されておりPPIを追加投与された例をPPI投与群(n=19), PPIを併用せずにWFNの維持量を半年以上固定している例を対照群(n=12)とし, PT-INR値とその変化率, PT-INRをWFNの用量で補正した値(INR/WFN)および出血性イベントを評価した.結果: 対照群とPPI投与前のラベプラゾール群およびランソプラゾール群でWFNの維持量, 平均PT-INR値, INR/WFNに有意差はなかった. PPI投与前後の平均PT-INR値はラベプラゾール群で変化なく(p=0.137), ランソプラゾール群で増加した(p=0.002). この増加は対照群のINRの自然変動より有意に大きかった(p<0.001). INR/WFNはラベプラゾールの投与では変化なく, ランソプラゾールの投与で増大した(p=0.011). 臨床的にいずれのPPIも出血性イベントは起こさなかった. ランソプラゾール群の2名でWFNを減量した.結語: 今回, ラベプラゾールはランソプラゾールに比べて抗凝固療法下でのPT-INR値に影響を与えにくいことが明らかとなった.
著者
古川園 智樹 石元 龍太郎 小林 慶太 笠井 賢紀 赤松 正教 井庭 崇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.99-106, 2004-08-05
被引用文献数
1

本論文の目的は、成長するネットワーク上で社会・経済シミュレーションを行う ための基盤を構築することである。まず、ネットワーク形成のシミュレー ションにマルチエージェント・モデルが有効であることを示した上で、成長す るネットワークにおける代表的な3つのモデルを再現する。再現するモデルは、「ランダム選択成長モデル」、「優先的選択成長モデル」、「適応度を付与した優先的選 択成長モデル」である。さらに、社会・経済シミュレーションへの拡張が容易 であることを示すために、成長するネットワーク上での情報伝播のシミュ レーションを行う。The purpose of this paper is to construct the basis of the social and economic simulation on evolving network. To achieve the purpose, we first suggest that multi-agent model is useful in simulating network formation and second replicate three typical models of evolving network.The models are ``random network model'' , ``scale-free network model'' and ``fitness network model''. Finally, we simulate ``information propagation model'' on evolving network and demonstrate that it is easy to expand multi-agent model on evolving network to social and economic simulation.
著者
古川 亮子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.290-298, 2006-07
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究は,両親学級の実態調査を通して,今日の妊婦教育の現状・課題を検討することを目的とする。対象は,新潟県内の医療機関49施設と行政機関115施設のうち,倫理的配慮のもとに研究協力を得られた86施設であった(回答率52.4%)。1)行政機関による両親学級の実施率は,医療機関による両親学級の実施率に比べ有意に高かった(p<0.05)。2)両親学級の実施率は,土・日・祝日(p<0.01)または午前中と夕方(17時以降)(p<0.05)において,母親学級に比較し有意に高かった。3)両親学級の妊婦以外の参加者,特に夫・パートナーの参加は,母親学級に比べて有意に高かった(p<0.05)。4)新生児に関する演習の実施は,両親学級が母親学級に比較して有意に高かった(p<0.01)。5)評価の実施は,両親学級(48.0%)が母親学級(26.7%)に比べ有意に高かった(p<0.05)。両親学級と母親学級の実施状況には,上記の5項目以外には大きな差はみられなかった。今後は,「両親学級」の普及に及んだ社会背景やその特徴を考慮しつつ,家庭にも男女共同参画を盛り込んだ妊婦教育の提供を考慮する必要がある。
著者
浜島 良吉 勝山 邦久 橋本 学 金折 祐司 長尾 年恭 早川 正士 勝山 国久 呉 智深 鈴木 隆次 古宇田 亮一 竹村 友之 西村 進
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

不連続体場での弾性、弾塑性、粘弾性の進行性破棄に応用できる解析法が浜島により開発された。本解析手法は熱・流体・応力の連成解析にも適用された。本解析手法は結晶構造のような多角形要素にも適用可能である。変位関数として3角形要素の定ひずみ要素を用いているため、そのままでは結晶構造モデルに対しては変形を十分表現することができない。ハイブリット仮想仕事の原理は、弱形式のつり合い式と弱形式の変形の連続条件となるが、本研究では、変形の連続条件に関して、要素内と要素間の剛性にそれぞれα、βをかけ、これらの値がつり合い式を満足し、かつ変形の誤差が最小となるように定められた。ただし、α、βの間にはα=β/(β-1)の関係がある。1995年1月17日に兵庫県南部地震が発生し、多くの人名が失われた。地殻変動解析の重要性が再認識されたが、本研究では、日本列島をブロック構造に分割し、本研究で開発された不連続体解析手法を用いて解析が行われた。その結果、本解析手法により、日本列島内陸の断層の動きを比較的良く表現できることを明らかにした。本解析ではせん断破壊と引張り破壊を同時に考慮しているが、引張り破壊時には断層面上の応力を全て解放している。引張り破壊領域は危険断層とされている部分に良く対応していることが明らかとなった。本研究では、種々の方法により地殻変動解析がなされたが、目的によりそれらを使い分けて利用することが必要である。今後はこれらの解析手法をうまく融合して、地球規模の地殻変動解析まで適用可能とするようにしたい。
著者
今井 康文 森田 英毅 高瀬 徹 古賀 博之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.55, no.509, pp.147-151, 1989-01-25
被引用文献数
7 7

Time-dependent thermal stress singularities at a semi-infinite crack tip associated with a transient temperature field have been analyzed on an infinite plate with a point heat source near the crack tip. As the heating begins, a mode I singularity increases gradually with time, but, after showing its maximum, decreases to be negative. This singularity variation causes a crack to start growing at some instance, but soon after to stop. That is, crack growth may be controlled, which is desirable for a cutting device for brittle materials. Deflection of a heating point from a crack line results in a mode II stress singularity, which also leads a crack to swerve from the original crack line. In an experiment using glass plates, a crack was successfully controlled to grow and also to branch in any angle toward the heat source as long as the heating location was kept appropriately apart from the crack tip.
著者
坂田 雅正 亀島 雅史 中村 幸生 古味 一洋 山本 由徳
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.446-454, 2002-12-05
被引用文献数
4

要旨 : 高知県で育成された早期栽培用・極早生水稲品種とさぴかの栽培圃場において,1998年に異常(不時)出穂が発生した.現地(県中央部)での聞き取り調査では,乾籾を100〜160g稚苗用育苗箱に播種し,硬化期はいずれも無加温育苗ハウス内で管理した22〜34日苗を3月30日から4月16日にかけて機械移植したところ,5月上旬に異常(不時)出穂の発生が確認され,その発生程度も圃場により異なった.1998年は春先から異常高温で,移植後も高温で経過し,生育が促進されたことから,温度が異常(不時)出穂の発生要因の一つと考えられた.発生時の特徴としては,通常の生育時より最終主稈葉数が4葉程度少なく,いずれも稈長,穂長が短かった.収量については現地圃場間で206〜541gm^<-2>の差がみられ,異常(不時)出穂の発生程度との因果関係が認められた.異常(不時)出穂は2001年においても確認され,その形態として穂首節間が十分に伸長せず葉鞘から穎花が抽出した個体があり,この穂首には伸長した苞葉が着生していた.また止葉が展開し,幼穂の発育・伸長が停止した出穂不能個体も観察された.発生区では播種からの有効積算温度(基準温度:10℃)が469〜543℃日で異常(不時)出穂が確認され,この時の移植まで温度は253〜351℃日で,移植苗の葉齢は3.4〜4.4であった.また発生区では未発生区に比べ正常な穂の出穂期間が長くなった.一方,未発生区については,年次,苗の種類,移植時期を違えても播種後の有効積算温度が800℃日以上に達すれば到穂することが判明した.
著者
古川 雅英 床次 眞司
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.195-206, 2001 (Released:2010-02-25)
参考文献数
39
被引用文献数
4 8

The absorbed dose rate in air because of terrestrial gamma radiation in Miyako-jima, an island that is part of Okinawa Prefecture in the subtropical region of Japan, was estimated at 637 points by in situ measurements with spectrometers equipped with 3″φ×3″NaI (Tl) and 1″φ×2″NaI (Tl) scintillation detectors. The mean, minimum, and maximum dose rates were calculated to be about 79nGy/h, 3nGy/h, and 165nGy/h, respectively. The correlation of the dose rate and geology showed that the high-rate areas (>100nGy/h) and the distribution of the Holocene red soils (Onokoshi Clay) overlap each other. On the other hand, the low dose rates (<30nGy/h) were mainly found in an outcrop of the Pleistocene Ryukyu Limestone, the main geologic element in the foundation of the red soils. Recent studies (e. g., Inoue et al., 1993) concluded that most of the red soils were not residuals from the base rocks, but of eolian dust “Kosa (Yellow Sand)” origin. These results strongly indicate that the dose rate in Miyako-jima has been enhanced as a result of eolian deposits transported mainly from the arid region of China since the last glacial epoch.
著者
古牧 徳生
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-19, 2012-03

西暦前399 年,ソクラテスは死刑を宣告された。周囲の人々は彼に脱獄を勧めたが,彼は従わなかった。なぜ彼は逃げなかったのだろうか。ギリシア思想の流れを辿ることで,この問題について考えてみたい。
著者
古野 博明
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.214-222, 287, 1998-09-30

教育基本法の成立ということについて、通説は、当時の文相、田中耕太郎の発意と熱意からこれを説明している。が、彼の教育改革案には、もともと国民教育の倫理化と教育権独立の憲法的保障という二つの力点があった。教育目的の法規化に否定的なそのような構想から教育基本法の着想が自動的に生まれるかどうかは一つの問題であろう。ところで、教育基本法成立史の研究は、戦後教育改革資料の調査研究の飛躍的発展によって新しい段階に立ち至っており、田中(耕)に加えて、二人の人物に注目を要することが判明している。一人は、被占領期教育改革立法の立案を担っていた文部省の審議室参事事務取扱、田中二郎で、もう一人は、教育政策の策定に重大な影響力のあった、教育刷新委員会の副委員長、南原繁である。そこで、教育基本法の成立を説く鍵は、どの点に見いだしうるか。第一に、教育基本法立案の起点は、1946年9月11日の文部省省議にあった。教育基本法の構想は、事実上この会議において、法律専門家である田中二郎が発案したものである。教育刷新委員会第一特別委員会の審議過程や審議室・CI&E教育課の協議過程の原案になったのも、彼の1946年9月21日付教育基本法要綱案であった。教育基本法に異例の前文を付す構想も彼のアイデアである。田中(耕)文相は、こうした構想を支持しそれを国策として確定することに重要な役割を演じたのである。第二に重要なのは、南原繁もまた教育基本法の立案に少なからず影響を及ぼしていることである。教育及び文化の問題についての、8月27日の貴族院における彼の質問演説には注意を払うべきだろう。彼は田中(耕)文相の教育立法政策と教育権独立論を批判し、新憲法に教育の根本方針を規定するよう要求するとともに、教育の国民との直結性と政治教育の重要性を説いていた。さらに教育刷新委員会が教育基本法制定方針の大綱を採択したのは、第一特別委員会報告に対する南原の厳しい批判に負うところが大きい。その際、彼は教育の目的は人間性の開発ではなく、あくまで人格の完成でなければならないと力説し、倫理教育において宗教にまで飛躍することに反対した。このような彼の思想は、結果として教育基本法成文のいくつかの条項に生きたのである。今後は、こうした諸点を熟慮して、教育基本法の成立の歴史的意義と限界を読み取っていかなければならない。
著者
村上 征勝 古瀬 順一
出版者
統計数理研究所
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

川端康成のノーベル賞受賞作品「雪国」の代筆疑惑を解明するため、同作品と他の複数の川端作品との比較及び三島由紀夫の作品との比較を試みた。そのため川端と三島の作品の文章を単語分割し、品詞コードをつけたデータベースの構築を行い、品詞や読点などの情報を手がかりに同作品の文体特徴を明らかにする作業を行った。川端作品としては「雪国」、「みづうみ」、「山の音」、「伊豆の踊り子」、「虹」、「母の初恋」、「女の夢」、「ほくろの手紙」、「夜のさいころ」、「燕の童女」、「夫唱婦和」、「子供一人」、「ゆく人」、「年の暮」の14作品を,三島の作品としては「潮騒」、「金閣寺」、「眞夏の死」、「愛の渇き」の4作品の全文をまず入力した。この内,川端の「雪国」、「みづうみ」、「山の音」、「伊豆の踊り子」、「虹」の5作品と,三島作品の「潮騒」、「金閣寺」の2作品に関しては,文章を単語に分割し,品詞情報を付加したデータベースを構築した。このデータベースを用いて計量分析を試み以下のような結果を得た。これまでの研究から現代作家の文章において、読点のつけ方に作家の特徴が出やすいことを明らかにしていたので,読点のつけ方を中心に行った。川端の作品は,戦後の作品「みづうみ」から作風が変わったというのが従来の通説であるが,読点のつけ方の数量的分析からは,戦後の作品であっても著述年代がもっと遡る「山の音」から変わったと考えた方が妥当であるという結論を得た。また三島と川端との関係をみるため「潮騒」と川端作品を一緒に分析した結果、川端作品と「潮騒」では読点のつけ方に違いがあることも明らかとなった。現状では、一部の情報にとどまっており、明確な結論を出すまでには至っていないが、川端の文体の数量的研究に基盤はできたように思われる。
著者
古屋宗作 編
出版者
竜雲舎[ほか]
巻号頁・発行日
vol.第1編 第5巻, 1886

2 0 0 0 OA 古事類苑

著者
神宮司庁古事類苑出版事務所 編
出版者
神宮司庁
巻号頁・発行日
vol.礼式部2, 1914