著者
宮木 祐任 森 英高 佐藤 剛 古山 守夫 高橋 護 谷口 守
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.10-4, pp.193-198, 2012 (Released:2012-03-10)

東日本大震災からの復興に向け、被災市町村の多くは、復興計画の策定と同時に住民意向把握のための説明会を実施している。本研究は、被災地の地形や被害の状況の異なる東松島市を対象に、これまでに集落毎に実施した延べ45回、約3500人が参加した説明会で出された住民意見等より抽出したキーワード分析から、住民意向の変容や行政からの効果的な情報提供の在り方について考察することを目的とした。その結果、集団移転対象地区においては時間の経過や復興に関し提供された情報の増加に伴い、住民意見は集団移転に対する質問から災害公営や復興の時期等のより具体的な質問や要望へと遷移したことが分かった。
著者
中島 康比古
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント : 記録管理学会誌 (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
no.49, pp.20-38, 2005-03-31
被引用文献数
2

近年、レコード・アーカイブズ・マネジメントの世界では、技術的には電子記録の爆発的普及、社会的には情報公開・個人情報保護法制の整備、理論的にはポストモダニズムの影響を背景にして、レコード・コンティニュアムという新たなパラダイムがオーストラリアから登場し、議論の的となっているが、このパラダイムの紹介・考察は日本では緒についたばかりである。このパラダイムの提唱者であるフランク・アップウォードやスー・マケミッシュの議論に加え、このパラダイムに対する反響の一例として、カナダのテリー・クックの見解を詳しく紹介すると同時に、このパラダイムの登場が意味するものについて考える。
著者
藤田 芳史 久保田 彰 古川 まどか 八木 宏章 佃 守
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.115-122, 2010-03-20
被引用文献数
1 2

過去11年間に当科で治療した耳下腺癌症例34例について検討した.T1/2/3/4aが5例/12/7/10, N0/1/2が25例/3/6, stage I/II/III/IVが5例/10/6/13であった. 病理組織型は, 多形腺腫由来癌が9例, 腺癌が8例の他, 計10種類の組織型を認めた. 同期間の良性腫瘍98例を含め, 穿刺吸引細胞診 (FNA) の有用性を検討したところ, 感度76.0%, 特異度95.4%, 良悪性の正診率91.1%であり, 過去の報告と同等であったが, 4例の偽陽性と, 6例の偽陰性を認め, FNAの結果のみで悪性腫瘍と判定し, 顔面神経の処置を決定するのは危険なことが判明した. 悪性腫瘍29例に手術を施行した. 顔面神経は可能な限り温存を試み, 15例で全5枝を温存した. 悪性腫瘍で, 顔面神経浸潤が疑われる症例, リンパ節転移陽性, 高悪性度の症例, 切除断端陽性の15症例に対して, 術後放射線照射を施行し, そのうち3例に再発を認めた. 手術不能例5例に対しては, 化学放射線同時併用療法または放射線単独照射を行ったが, 現在まで全例生存している. 5年overall survival (OS) は87.4%, 5年progression free survival (PFS) は71.4%であった. stage分類別5年PFSは, stage I/II: 91.7% (stage I: 100%, stage II: 87.5%), stage III/IV: 51.6% (stage III: 50%, stage IV: 47.9%) で, 両者の間には有意差が認められた. またN分類別5年PFSでも, N0: 86.2%, N+: 38.1% (N1: 66.7%, N2: 20.8%) で, 両者の間には有意差が認められた.
著者
佐藤 翔 永井 裕子 古賀 崇 三隅 健一 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.383-402, 2011-09-27
被引用文献数
1 2

本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.
著者
大門 皇寿 山沢 英明 坂東 政司 大野 彰二 杉山 幸比古
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.522-525, 2004
被引用文献数
5

背景. 健康成人にみられたトウモロコシによる気道異物の1例を経験した. 症例. 症例は38歳の女性. 生来健康で特記すべき既往歴や誤嚥の原因となるような基礎疾患はなかった. 数日間続く喀痰, 咳嗽を主訴に当科を受診した. 胸部X線写真にて右上葉の無気肺を認め, 胸部CTではさらに軟部組織濃度の結節を右上葉支に認めた. 症状出現前におけるトウモロコシ誤嚥の事実を聴取したため, これを無気肺の原因と疑い気管支鏡検査を施行した. 右上葉支には嵌頓したトウモロコシを認めた. 通常の生検鉗子では把持不能であったため, バスケット鉗子を用いて収納したのちに摘出した. 右上葉の無気肺は数日で完全に消失し, 症状もすみやかに軽快した. 結論. 健康成人においても稀ではあるが気道異物をきたすことがある. 画像上無気肺を認めた場合には気道異物も常に念頭におき, 詳細な問診を行い, 遅滞なく気管支鏡検査を施行することが重要である.
著者
柿本 昭人 嶋守 さやか 古川 誠
出版者
青土社
雑誌
現代思想
巻号頁・発行日
vol.23, no.8, pp.p16-44, 1995-08
著者
古賀 正義
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.46-54, 2008-03-31

「学校が消える!」2008年の年明け、衝撃的な記事を目にした。読売新聞の調査(1月11日付)によれば、全国で今後数年間に一千校以上の公立小中学校が廃校になる見通しだという。急激な人口減少と補助金抑制の影響などで、東京都でも約50校(2.5%)が廃校になる勘定だ。教育機会の均等を実現してきた義務教育制度にあっても、社会変動の波は容赦なく地域社会を襲っている。学校選択制や中高一貫校など市場型改革の導入が進めば、一層、「生き残る学校」と「消え去る学校」とが出現する状況である。 「学校」を自明の教育機関とみなしてきた教育学者にとっても、学校とはいかなる特徴を持った教育の場で、そこで何が達成され、今後何を成し遂げることが可能なのか、いわば「学校力」(カリキュラム研究会編2006)を再度検証しなければならなくなっている。そうでなければ、教師や保護者、地域住民などを巻き込んで、学校に対して体感される不安やリスクは増大していく一方なのである。そもそも学校とは、不可思議な場である。教育学で、学校を念頭におかない研究はほとんどないし、教員養成にかかわらないことも少ない。そうでありながら、学校の内実に長けているのは現場教師であって、研究者はたいてい余所者として外側からその様子を眺め批評する立場にある。マクロレベルから教育政策や学校制度を講じることもできるし、ミクロレベルから授業実践や学級経営を論じることもできるが、学校の実像を客観的総体的に把握し切れているという実感は乏しい。 『教育学研究』を紐解いても、「学校」は学会シンポジウムのテーマに度々取り上げられてきた。「学校は子どもの危機にどう向き合うか」(1998年3月号)、「学びの空間としての学校再生」(1999年3月号)、「21世紀の学校像-規制緩和・分権化は学校をどう変えるか」(2002年3月号)など、教育病理の深刻化や教育政策の転換など、教育関係者の実感と研究者の思いが交錯する時、学校がたびたびディベートのフィールドとして選択された。今日なら、学力低下やペアレントクラシー、指導力不足、いじめ事件など、学校のガバナンスやコンプライアンスにかかわる諸問題が、個々の学校やさまざまな種別の学校、制度としての学校など、各層にもわたる「学校」について論議されることだろう。急激な改革と変化のなかで、問題言説の主題としての「学校」は隆盛であるのに、現実分析の対象としての「学校」は不十分。学校研究の10年は、こうしたねじれ状態と向き合い、その関係を現実的・臨床的にどのように再構築し、教育学の公共的使命を達成するかの試行錯誤の期間だったといえる。
著者
古瀬 正浩 三日市 政司 袋谷 賢吉
出版者
社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.903-904, 1999-09-15
参考文献数
9
被引用文献数
1 3 2

アユの明順応網膜におけるS電位のスペクトル応答特性を調べ, 4つの型のスペクトル応答が存在することを明らかにした。また, 各スペクトル応答型の過分極相が, それぞれ赤錐体, 緑錐体, 青錐体, 紫外錐体のスペクトル応答特性を反映しているものと考察した。
著者
篠原 琢 戸谷 浩 吉岡 潤 割田 聖史 青島 陽子 古谷 大輔 小森 宏美 秋山 晋吾 中澤 達哉 小山 哲 池田 嘉郎 平田 武 梶 さやか
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本プロジェクトは、ポーランド=リトアニア連合王国(ロシア帝国西部諸県)、ハプスブルク帝国、沿バルト地域を中心に、近世から現代にいたるネーション、およびナショナリズムの動態を分析してきた。ここでは近世から20世紀にいたる各時代の政治社会におけるネーションの多次元的な機能と構成が分析された。近世期のネーションは、多様な政治的、文化的文脈で構築され、さまざまな価値と関連付けられ、ネーション理解は単一の政治社会に収斂しない。近代のネーションは政治社会における多様な交渉を全的に文脈化する傾向をもつ。本研究は個別研究と比較史の方法で境界地域におけるこの過程を明らかにした。

2 0 0 0 OA 古事類苑

著者
神宮司庁古事類苑出版事務所 編
出版者
神宮司庁
巻号頁・発行日
vol.地部21, 1914