著者
中島 礼 水野 清秀 古澤 明
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.114, no.2, pp.70-79, 2008-02-15 (Released:2009-02-21)
参考文献数
51
被引用文献数
4 7

渥美半島に分布する中部更新統渥美層群の田原層と豊橋層に挟在する2層のテフラの岩石学的特徴を記載・分析した.田原層赤沢泥部層に挟在するAt-3upテフラは,多孔質型と低発泡~無発泡のその他型の火山ガラス(n=1.505-1.508)と緑色普通角閃石(n2=1.674-1.683)によって特徴づけられ,その屈折率と火山ガラスの化学組成から,六甲山地西麓に分布する高塚山テフラに対比される.また,豊橋層寺沢泥部層に挟在するガラス質テフラを伊古部-1(Ikb-1)テフラとして新たに記載した.このテフラは主に扁平型で,その屈折率がn=1.501-1.503の火山ガラスから構成され,その屈折率と化学組成から,南九州を給源とする広域テフラの加久藤テフラに対比される.これらのテフラの対比に基づき,田原層と豊橋層の堆積した時期がそれぞれ主に海洋酸素同位体比ステージの11と9に対応することを明らかにした.
著者
梅谷 献二 加藤 利之 古茶 武男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.47-53, 1975-03-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
8
被引用文献数
11 19

アカイロマメゾウムシCallosobruchus analisは,同属の他種と似た産卵習性を持ち,1粒のアズキに複数の卵を産むにもかかわらず,生育を完了して羽化脱出するのは1個体に限られるという特異的な現象がある。実験の結果,1粒のアズキは量的には複数個体を生育させるのに十分であり,共存個体の死亡要因は同一の豆の内部における幼虫の激しい攻撃に起因すると推定するに至った。すなわち,成虫脱出後の豆を解体調査したところ,本種の主要食害部は,豆の中央域に限られていることが明らかとなり,それによって生じた空洞部またはその一偶にぬり固められた摂食物残渣塊の中から主として3齢または4齢(終齢)幼虫の死体が見出された。そして,これらの死亡個体の体表から,他個体の攻撃によると思われる咬傷痕が発見された。さらには,この攻撃性に加えて主要食害部が,同属の他種においては豆の周縁部に多いのとは対象的に,本種の場合は中央域に限られるため,幼虫生育の中∼後期に相互の幼虫が遭遇することとなり,最終的には1個体を残して他は咬み殺されると推定するに至った。1粒の豆から2個体の成虫が羽化したまれな例の場合は,すべて豆の中央域に2つの食害部があり,その間は摂食物残渣塊で完全に隔離されていることがわかった。結局,このような偶然の隔離がない場合は,発育期間のいずれかの時期に,最終的には1個体しか残り得ないと解されたが,幼虫の形態には大腮を含めて攻撃的行動を特別に想起させる特徴は見出せなかった。なお,本種に見られたこのような攻撃性は,他の多化性のマメゾウムシ類では,従来知られていない。
著者
古田 雅一 浜崎 宏治 Wirkner Sandra CONSTANTINOIU Elena 高橋 克忠 林 壽郎
出版者
日本食品照射研究協議会
雑誌
食品照射 = Food irradiation, Japan (ISSN:03871975)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.24-28, 2002-09-30
被引用文献数
2

食品には大腸菌群、細菌を中心とした一般生菌、カビ、酵母など多種多様な微生物汚染を受ける可能性があり、これらの中で病原性のある食中毒菌を殺菌するためにγ線、電子線を用いた放射線殺菌がすでに世界各地で実用化されている。例えば香辛料の照射は100000トンに達し、米国においては2000年5月以来γ線、電子線を用いた冷凍牛肉パテ(ハンバーガー用)の実用照射が開始されている。さらにわが国においても香辛料照射の許可申請が成されている。しかしながら、食品の汚染微生物の放射線感受性は多様であり、また照射後の食品からこれらの微生物を抽出する際の効率など、許可された線領域において個々の食品の汚染度に見合った適切な殺菌線量を決定するのは汚染菌の種類や量が比較的少ない医療用具に比べて困難であることが予想される。我々は微生物が増殖する際、発生する微少な熱量を試料24個の同時計測が可能な高感度の熱測定装置で検出し、(60)COガンマ線照射後の酵母、大腸菌、芽胞の増殖パターンを図式化した。その結果、放射線量を増加させた場合、比較的低線量の場合には増殖時の熱発生のパターンは変化せず、増殖開始時間の遅れ(ta(i))が増大する。すなわち放射線の効果が殺菌的に働いていること、また高線量になるに従って増殖開始後の熱発生量増加の度合い(増殖速度定数:μi)が減少する、すなわち静菌的な効果も同時に現れる。
著者
ビンサムスディン モハマド・ジャウワッド 南野 隆二 古川 昌司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.23-28, 2002-04-10

最近、色素増感型太陽電池の耐久性について、さまざまな議論がなされている。耐久性を高めるためには、電解質溶液の固体化が有効であるが、一般的に固体電解質を用いると効率が下がってしまう傾向にある。また、固体化することでナノサイズチタニアの多孔質構造を活かせない可能性もある。我々は、ナノサイズチタニアの多孔質構造を液体のように活かし、なおかつ揮発に対しての耐久性が高いAlmina Oxide-Solを用いた色素増感型太陽電池を作製し、その特性の検証を行った。
著者
小森 貞男 副島 淳一 伊藤 祐司 別所 英男 阿部 和幸 古藤田 信博
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.569-577, 1999-05-15
被引用文献数
2

日本で栽培されているリンゴ主要品種の不和合性遺伝子型を交雑試験によって決定する目的で, まず果樹試験場リンゴ支場育成の2品種'はつあき'および'いわかみ'の戻し交雑実生群を用いて実験を行った.'はつあき'戻し交雑実生群には'はつあき'の親である'紅玉'と'ゴールデン・デリシャス'を, 'いわかみ'戻し交雑実生群には'ふじ'と'紅玉'をそれぞれ交雑し, 各交雑組合せごとに和合 : 不和合の分離比を調査することにより, 'ゴールデン・デリシャス'と'紅玉', 'ふじ'と'紅玉'のS遺伝子の共有状態を推定した.その結果'紅玉'と'ゴールデン・デリシャス'はS遺伝子を共有していなとが明らかとなった.一方'ふじ'と'紅玉'はS遺伝子を1つ共有していることが判明した.
著者
吉田 明夫 古屋 逸夫
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.71-82, 1992-03-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

Pattern of occurrence of precursory phenomena differs significantly in various respects for each earthquake. It is not the same even for earthquakes occurring in adjacent areas. Amplitude of precursory change is not necessarily large at nearer sites, and that it is very often larger than that of coseismic change. These features suggest that precursors occur locally at weak points or stress concentrating sites. It seems that desrimination of earthquake precursors from noises which are not directly related to the occurrence of earthquake is intrinsically difficult. Whether some observed change is a precursor or not may be expressed in a probabilistic way. When various kinds of anomalous change are observed at the same time, the possibility that they are true precursors will be increased. It is important to elucidate the occurrence mechanism of precursors in relation with structure and its change of seismogenic field.
著者
古川 敬之 青木 創 藤井 豊 二瓶 和美 鈴木 学 小野 憲一郎 平尾 秀博
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.29-34, 2014-12-26 (Released:2014-12-26)
参考文献数
12

A 9-year-old neutered female Miniature Dachshund had undergone lobectomy of the left frontal lobe for lung carcinoma followed by nine post-operative doses of carboplatin chemotherapy(250 mg/m2, every 3weeks). The dog was referred to the Japan Animal Referral Medical Center (Nagoya), because of lung masses in the opposite right middle and posterior lobes. Whole body contrast-enhanced computed tomography(CT)was performed and revealed lung solitary tumors in the relevant areas. No abnormal findings were observed in other lobes or intrathoracic lymph nodes. Since the possibility of metastatic lesions of lung carcinoma incompletely removed in the previous surgery was considered, we performed CT again on day 45 for evaluation of the new tumor progression. The size of both tumors increased, and right middle and posterior lung lobectomies were carried out on day 53. There were no adhesive lesions around the tumors, carcinomatous pleuritis, pleural fluid or hilar lymphadenopathy. While histopathology revealed high-grade lung adenocarcinoma with numerous mitoses, there was no evidence of intravascular invasion, suggesting complete resection. A tentative diagnosis of metastatic lung tumor(T2N0M1)was made. Adjuvant chemotherapy with carboplatin(250 mg/m2, for every 3 weeks)and piroxicam(0.3 mg/kg/3 days)was also given starting on day 21, and no evidence of recurrent lesions was observed on day 726 with a good health condition maintained. From these results, it is suggested that aggressive surgery plus adjuvant chemotherapy can be appropriate treatments for metastatic lung carcinoma.
著者
古田 精司
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.602(28)-619(45), 1984-12

論説
著者
古田 精司
出版者
日本租税研究協会
雑誌
租税研究 (ISSN:02880768)
巻号頁・発行日
no.422, pp.p12-19, 1984-12
著者
古川薫著
出版者
創元社
巻号頁・発行日
1974
著者
古野 ゆり
出版者
日本通訳学会
雑誌
通訳研究 (ISSN:13468715)
巻号頁・発行日
no.2, pp.114-122, 2002

1 0 0 0 OA 殻 : 小説

著者
中村古峡 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1913

1 0 0 0 OA 古事類苑

著者
神宮司庁古事類苑出版事務所 編
出版者
神宮司庁
巻号頁・発行日
vol.官位部16, 1914
著者
古 庄敏行
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
遺伝学雑誌 (ISSN:0021504X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.211-238, 1968

身長を支配する遺伝子型の発現をみるために, 同一個人の発育期から発育完了期までの逐年身長測定資料を用いて分析を試みた.<br>1. 発育完了期の年令と発育過程の各年令との間の身長の相関係数 r<sub>'i•j</sub> は概ね年令間の差が小さくなるにつれて高くなるが, 前思春期の年令に相当して一時的に相関が減じるため, r<sub>'i•j</sub>-curve の変動は相加的直線的でなく数次曲線に従う (Fig. 1, 2). r<sub>'i•j</sub>-curve は9つの samples を通じて非常によく類似した傾向を示した.<br>2. この r<sub>'i•j</sub> と年令別年間身長発育量の全国平均との間には強い逆相関 (r=-0.81~-0.97) がみられ, 発育の速かな年令期ほど r<sub>'i•j</sub> の小さいことがわかった.<br>3. Yoshida (1944) の子の年令別身長の親子相関と r<sub>'i•j</sub> との間に強い相関が存在することを知った (r=0.79~0.88). また, Takiguchi (1945) によって報告された発育完了期の兄と15~19才の弟との年令別身長相関も, 弟の14才以下の資料がないので完全に一致するか否かは確実ではないが, Fig. 1, 2の r<sub>'i•j</sub> (i=20, 21 in Data 2) に類似の傾向は示した.<br>4. このように年令によって親子相関や同胞相関の値が変動することが, 従来の報告においてこれら相関の値に大きな差の見られた原因の1つであると考えられる.<br>5. 発育完了期の身長と年間発育量との間の相関 (r<sub>'i•jp</sub>) を各年令別に求めたところ, 発育の最も速い年令期 (男•10~13才, 女•9~12才) において概ね逆相関を示した.<br>6. これらの事実により, 発育完了期の身長を支配する遺伝子型の発現は年令によって異なることと, この発現が前思春期には他の要因によって modify されることがわかる.<br>7. 同一年令で比較したときの双生児対偶者間の強い相関は1卵性双生児, 2卵性双生児とも年令とは殆んど関係がなく, ほぼ一定している. Otuki (1956) が報告した, 同一年令で比較した親子間の身長相関も, 年令による変動を示していない. このことは, 身長発育の pattern もまた遺伝子型の支配を受けることを示すもので, この遺伝子型は発育完了期の身長を支配する遺伝子型とは, かなり独立であると考えられる.<br>8. 従って, 身長に対する近親婚, 放射線などの遺伝的影響を研究するには, 発育の全過程を通じての観察にもとづくことが望ましい.
著者
黒木 竜馬 坂本 眞人 古谷 博史
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成24年度電気関係学会九州支部連合大会(第65回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.154, 2012-09-14 (Released:2014-12-17)

エンターテインメントの分野では正確さよりも速度やリアルタイム性が重要である場合が多い。一方、物理シミュレーションでは精度が要求される。すると、計算精度を上げるために数値計算法のタイムステップを小さくし、質点を増やさなければならない。その結果、計算量が膨大になり、リアルタイムシミュレーションは現実的ではない。さらに、実行速度はハードウェアに依存するため時間軸とのずれが懸念される。そこで、本論文では、時間軸を一致させた非リアルタイムシミュレーションを提案し、難しいとされる布を対象とした3DCGアニメーションを試みた。