著者
[編集 古沢淑子]
出版者
Zen-on Music Co.
巻号頁・発行日
1972
著者
矢崎 義雄 山崎 力 小室 一成 永井 良三 方 榮哲 世古 義規 栗原 裕基
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

循環器系において、血行動態という負荷による心・血管系の変化を、器官のレベルばかりでなく、細胞・分子レベルでとらえることは、心肥大、心不全および血管攣縮、動脈硬化症などの循環器疾患の発症機構を解明する上できわめて重要な課題である。特に物理的な刺激が細胞内の応答機構に生化学的なシグナルとなって伝達され、代謝を調節する機序は、生体が外界からの刺激を受けて反応する現象を生化学的に解明するモデルになるものとして、医学ばかりでなく生物学の広い領域から注目されている。われわれは細胞に物理的な負荷を加える装置を独自に開発するとともに、分子生物学の最先端技術を導入することにより、従来では、生化学的なアプローチが因難であった、物理的な負荷に対する心筋および血管内皮と平滑筋細胞における応答機構の解析を行った。その結果、本研究は循環器疾患の基礎的な病態である心肥大や心不全、あるいは血管攣縮や動脈硬化病変の形成などの病因を遺伝子や分子レベルで捉える研究の発端となって、この分野での知見の著しい進展をもたらすところとなった。具体的には1)心筋の負荷に対する応答機構の解明として、独自に開発したシリコンディシュを用いて心筋細胞に直接機械的なストレスを与え、胎児性蛋白と核内癌遺伝子の発現機序をフォスファチジルイノシトール代謝を中心に解析し、肥大を形成する心筋細胞内応答機構のしくみを明らかにした。さらに形質変化をきたす心筋蛋白のアイソフォーム変換機序をgelshift法などを用いて検討し、心筋の負荷に対する適応現象を遺伝子レベルから究明した。2)血管内皮および平滑筋細胞における血流ストレスに対する応答機構を、固有に存在する遺伝子の発現調節機序を解明することによって、血流に対応した臓器循環が調節されるメカニズムを明らかにした。
著者
瀬沼 美華 古谷 真美 高島 宏昌 太田 亮 森 千里 小川 哲郎 桑形 麻樹子
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-70, 2012 (Released:2012-11-24)

ヒ素は飲水への混入が問題となっている環境汚染物質であり,疫学調査では高濃度汚染地域における児童のIQ低下が報告されている.動物実験においても,発達期(胎児期-授乳期)のヒ素暴露により離乳後に自発運動減少,記憶力低下,それに伴ったモノアミン濃度の変化といった発達神経毒性(DNT)が認められ,DNT試験法のバリデーションにおける陽性対照物質の1つに挙げられている. 我々はヒ素の神経発生初期への影響を検討する目的で,ラットの器官形成期(妊娠9-15日)にヒ素を投与し,投与直後の妊娠16日に胎児脳を観察し,ヒ素の直接的な神経発生への影響を検討してきた(第51回日本先天異常学会学術集会).その結果,母動物には体重増加抑制などの重篤な毒性が観察されたが,胎児死亡率,胎児体重に影響はなかった.また,組織中の含量分析の結果,ヒ素の胎児脳への移行は確認されたが,胎児脳の神経上皮細胞において細胞死の誘発は認められず,また,神経幹細胞の分裂能にも影響は認められなかった.今回,さらにヒ素暴露による胎児脳のモノアミン神経発生への影響について免疫組織学的方法を用いて詳細に検討した. Tyrosine hydroxylase陽性細胞の分布は,その神経核である腹側被蓋野および黒質緻密部で変化はなく,その投射先である線条体,大脳皮質における線維にもヒ素暴露の影響は認められなかった.一方,背側縫線核および正中縫線核のSerotonin (5-HT)陽性細胞数の減少が観察された.連続切片による詳細な観察から,5-HT陽性細胞の分布様式に異常はなく,全体的にその数が減少していることが明らかとなった.この結果から,胎生期のヒ素暴露は発生初期の5-HT神経細胞の発生に影響を及ぼすことが示唆された.
著者
森田 喜紀 神田 健史 山本 祐 古城 隆雄 小松 憲一 梶井 英治
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.363-365, 2014 (Released:2014-12-24)
参考文献数
1

自治医科大学地域医療学センターは, 平成25年度より栃木県小山市で始まった「小山の地域医療を考える市民会議」の活動を行政と共に支援してきた. 行政・医療者・市民が市民会議で担う役割を明確にし, とくに市民が無理なく市民会議の主役を担えるように活動の企画や運営の支援を行ったことが, 市民の意識変化や市民会議の活性化に繋がったと思われた.

1 0 0 0 OA 歯周治療とEBM

著者
古市 保志
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.18-27, 2015 (Released:2015-02-17)
参考文献数
43

歯科医学および歯科治療学においてEBM(Evidence Based Medicine) あるいはEBD(Evidence Based Dentistry) の概念が提唱されて久しい.1965年に歯周病が歯肉辺縁部歯面に付着したプラークであることがヒトにおける実験的歯肉炎によって証明されて以来,歯周病学および歯周治療学について様々な科学的データが蓄積され,それに伴い歯周治療は急速な発展を遂げた.まず,1970年代に,プラークコントロールを基本とする歯周治療の科学的な根拠が提示され,歯周基本治療および歯周外科を中心とする修正期歯周治療の内容が確立された.それに続き1980年代から2000年にかけて,GTR法およびエナメルマトリクス蛋白の応用などの歯周組織再生療法が開発され,世界各国の研究機関でその有用性について検証が行われた後,多くの国で臨床応用に至っている.また,歯周組織の長期的な安定を保つには,歯科補綴的な介入が不可欠であり,その科学的な根拠も示されている.ここでは,現在一般的に行われている歯周治療の科学的な根拠を提示すると共に,それらの歯周治療の実践によって長期的保存の予知性が低い歯でも保存可能であったことを報告した論文を提示する.
著者
古賀 雅伸 古田 勝久
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.1191-1198, 1993
被引用文献数
1

This paper describes a high-performance computer aided control system design language MATX which integrates numerical analysis, matrix computation, and symbolic manipulation in an easy way to use. One-variable polynomials, rational-functions, and symbolic matrices comprised of those elements are essential to the study of system theory. We take advantage of this fact and combine numerical computation and one-variable symbolic manipulation facility. Since MATX allows the definition and manipulation of these objects in a natural symbolic fashion, problem solutions are expressed almost exactly as they are written mathematically. Therefor, the user can solve a lot of control system design problems in much shorter time than describing programs in other programming languages. MATX will play an important role in developing and examining new design algorithms in system theory.
著者
品川 森一 久保 正法 山田 明夫 古岡 秀文 中川 迪夫 堀内 基広
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、従来から行われているウエスタンブロット(WB)法の試料調整法の改良を行った。その結果、マウスモデルでは、腹腔内接種1週目から脾臓にプリオン蛋白が検出できるようになった。多数検体を検査するためには、より簡便なプリオン検出法が必要であり、マウスモデルを用いてELISA法を開発した。検出感度はウエスタンブロット法のおよそ2倍であった。中枢神経系組織からの試料調整を簡便化し、実際に羊材料に応用可能なことを確かめた上で、この方法の有用性を北海道のと蓄場から分与を受けた羊材料を用いて検証した。また、さらに検出感度を高めるために、ELISAの検出系に光化学反応試薬を導入したところ、およそ20倍ほど検出感度が上昇した。まさらに、コラーゲン中のプリオン検出のための試料調整法も検討し、前処理法としてコラーゲンの粘性を低下させ、大容量から比較的選択的にプリオン蛋白を濃縮することが可能となり、プリオン汚染の検出法に目処がついた。一方、プリオン病は宿主のプリオン蛋白の遺伝子に多型があり、その型によって感受性が異なる。国内の羊プリオン遺伝子型の出現頻度とスクレイピ-との関連を検討した。またプリオンの蓄積は主として中枢神経系であり、少量であるが細網内皮系の組織にも起きる。診断に有用な組織採取部位を決定するためにも、詳細なプリオン蛋白発現の違いを明かにする必要があり、羊体内のプリオン蛋白発現を調べた。さらに伝達性海綿状脳症のプリオン以外の危険因子の検討を人海綿状脳症に倣い、アポ蛋白Eを標的として検討した。
著者
三浦 苑子 内田 雅也 平野 将司 山内 良子 吉津 伶美 草野 輝彦 古賀 実 有薗 幸司
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.195-201, 2013-09-30 (Released:2013-10-25)
参考文献数
26

トリクロサン(TCS)およびトリクロカルバン(TCC)は、薬用石鹸やシャンプー等様々な製品に幅広く使用され、産業廃水や生活排水を通じて環境中に広がり、水圏の野生生物に影響をおよぼすことが示唆されている。これらの研究は、水域生態系の生物を対象としたものが多く、化学物質の最終到達地点と考えられる海域に棲息する生物を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、海産甲殻類アミを用いたTCSおよびTCCの生態影響評価を目的とした。急性毒性試験は、USEPAの試験法(EPA/600/4-90/027F)に準拠し、96時間曝露の半数致死濃度を算出した。成長・成熟試験は、USEPAの試験法(EPA method 1007)に準拠し、14日間半止水式曝露を行った。曝露期間中、生死と脱皮数の観察を行い、曝露終了後、体長、体重及び頭胸甲長を測定し、二次性徴の形態観察から雌雄比を算出した。それぞれの半数致死濃度はTCSで70 µg/L、TCCで12 µg/Lであり、現在報告されているTCSとTCCの水環境中濃度よりも高かった。成長・成熟試験の結果、TCSは0.5 µg/L、TCCが0.05 µg/Lで、各測定項目に有意な減少が認められ、半数致死濃度よりも極めて低濃度であった。本研究の結果、環境中濃度が低濃度であっても、長期的な曝露でアミに対する成長・成熟への影響をおぼすことが示唆され、水域環境への影響が懸念された。
著者
比護 徹治 木下 大輔 小坂 祐也 古宮 誠一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.18, pp.1-8, 2011-03-07

企業ではソフトウェア開発を行うに当たり短納期で開発を行うために、複数のプロジェクトを同時期に行うことが一般的になってきた。そのため、各作業で必要となる作業要員が複数のプロジェクトに共有される。これによって作業者は自分の所属するプロジェクトの各作業に優先順序を付けて、時間配分をして作業を進める必要がある。しかし、この場合、作業に優先順序を決定することが容易でないことが多い。なぜならば、作業者が優先順序を決定するためには作業者が所属する各プロジェクト、各部署における作業の情報とその関連をすべてチェックしたうえで行わなければならない。そのチェックしなければならない情報が非常に膨大で、考慮不足などにより誤った優先順序の設定を行ってしまうと、重要な作業に遅延が生じればプロジェクト全体にまで影響が波及してしまう。そういったリスクに対処するためんに優先順序の設定を人の頭の中だけで行うのではなくシステムによって自動的に設定を行い作業者の優先順序の設定を支援することが本研究の主題である。また、古宮、小坂らによって作業優先順序自動設定システムにおける手法が提案されているが、本研究ではそれに不足した手法であるボトルネック工程を考慮した作業優先順序の設定手法を提案する。また、先行研究で提案された手法に従って作業の優先順序の設定を行うと、作業者個人では優先順序の決定ができない場合が生じてくる、そのような特殊なケースにおける優先順序の設定手法を提案する。Doing two or more projects in the enterprise at a simultaneous period when the software development is done to development by the quick turn has become general. Therefore, the work force needed because of each work is shared in two or more projects. As a result, the worker should distribute putting the priority order on each work of the project that I belong at time and proceed work. However, it is not easy to decide the priority order to work in this case. Because after all information and the relation of work in each project and each post to which the worker belongs are checked, it is necessary to do so that the worker may decide the priority order. The influence spreads even to the whole project if the delay is caused in the heavy-duty work if the priority order very huge information should, and mistaking the check due to consideration shortage etc. is set. It is a subject of the present study in not straightening for the doing system to set automatically and to support the setting of the order of giving priority to the worker only by person's head that deals with such a risk as for the setting of the priority order. Moreover, it proposes a set technique of the order of giving priority to work to consider the bottleneck process that is a technique in the present study insufficient in it though the technique in the automatic work priority order setting system is proposed by komiya and ksaka. Moreover, if the order of giving priority to work is set according to the technique proposed by the previous work, it proposes a set technique of the priority order in such a special case where the case where the worker individual cannot decide the priority order is caused.
著者
大塚 好古
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.792, pp.88-93, 2014-02
著者
古瀬 徳雄
出版者
関西福祉大学研究会
雑誌
関西福祉大学研究紀要 (ISSN:13449451)
巻号頁・発行日
no.7, pp.21-44, 2004-03

ラフマニノフの無伴奏混声合唱曲『晩祷』作品37(1915)は、ロシア正教会の流れを背景に誕生した。宗教音楽、中でも教会音楽という限られた分野で、ロシア正教会の音楽を身近に感じさせてくれる傑作となっている。カトリック教会同様、ロシア正教会も長い間、単旋律による聖歌が歌われていたが、17世紀に始めてロシア独自の多声による礼拝音楽が現れ、そこには西欧の教会音楽の影響も随所に見られ、18世紀には多声と西欧の折衷的になり、19世紀前半にはペテルブルクを中心にドイツ的和声法を取り入れた無伴奏合唱形式を完成させた。19世紀後半から20世紀初頭にかけては、典礼音楽の改革運動があり、単旋聖歌を単純で類型的な和声付けでさらに高い芸術性を目指そうとした。この時期に、ラフマニノフの作曲した典礼音楽が『晩祷』である。この感動的な『晩祷』の作品を分析するにあたって、西欧音楽の業績を受け継いだ面と、それと異なり西欧音楽の規範とは相反した方向による対比的な二つの視座に立って、作品の検証を審らかにし、芸術的に孤高で、より斬新な響きを導き出すに至った、その構造の仕組みと原点を探っていく。
著者
木村 幸男 古賀 澄夫
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.357-360, 1984-04-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1

It is well known that the faster runs a train, the more dissipates its energy. In train schedule the running time is settled in advance, so the train needs to be operated in fixed time between stations. As the train could adopt various operation patterns in the fixed schedule, the requisite energy for the train operation varies according to its patterns even in the fixed time and distance. We can, therefore, consider a train operation method which minimizes the requisite energy.Our simple model of train operation enables to show that the train running energy is minimized when it runs in constant speed as long as possible in a specific time and distance supposing that the train moving energy were collected by the regenerating process in the brake operation.While in case of no regeneration of the energy we gained another operation pattern of the minimum energy. The minimum energy has followed from the train operation that after keeping the constant train speed and coasting, the brake should be applied at the instant of a calculated speed when the train stops. But a commuters' train can not take the sufficient coasting time in it's frequently stopped and comparatively high speed operation. We have made clear the energy minimum operation of such a commuters' train as a special case of the no energy regeneration.
著者
和泉 信生 古谷洋一郎 石村 俊之 吉田 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.121, pp.97-102, 2004-11-27

我々はユーザの要求に応じて動的にビューを変化させることのできるGISシステムの研究を行っている。現在、システムの適用例として、施設におけるバリアフリーマップを取り上げ研究を行っている。これは、ユーザの障害状態に応じて的確にバリアフリー情報を提供することで、障害者の外出に対する不安を低減できるバリアフリーマップシステムの実現を目指すものである。本論文では、研究中のシステムを用いて構築した、バリアフリー情報を三次元地図として提供する方法について述べる。As an application of our study of GIS with dynamic view changing according to users' requirements, we are developing 3D spatial maps which will provide disabled people with information on barrier-free accessibility in the facilities and reduce their anxiety about their travel. This paper describes how to visualize barrier-free accessibility with a 3D spatial map.
著者
古屋 宏二 川中 正憲 山野 公明 佐藤 直樹 本間 寛
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.320-326, 2004
被引用文献数
4

北海道の多包性エキノコックス症患者血清材料を用いて, 市販エキノコックス症血清診断キット"<I>Echinococcus</I> Western Blot IgG" (以下FIA (French immunoblot assay) と略; Ldbio Diagnostics, Lyon, France) の臨床検査的評価を行った. 使用した80血清のうち64検体は術前多包性エキノコックス症患者血清, 9検体は術後患者血清, 7検体は北海道の一次検診でELISA (enzyme-linked immunosorbent assay) 陽性となり感染が疑われた住民の血清であった.<BR>1987年から1993年の間に北海道立衛生研究所で実施したウエスタンブロット血清検査法 (Hokkaido Western blot method, 以下HWBと略) による試験では, 64例の術前多包性エキノコックス症患者血清のうち53例が陽性, 6例が疑陽性であっ た (陽性例+疑陽性例の割合: 92.2%). 53陽性例のうち43例が多バンド形成の完全型, 10例が寡バンド形成の不完全型と判定された.<BR>一方, FIAによる試験では, 64例の術前多包性エキノコックス症患者血清のうち60例 (93.8%) が陽性, 4例が陰性であった. 60例の陽性例のうち, 47例 (78.3%) がP3, 5例 (8.3%) がP4, 8例 (13.3%) がP5パターンを示した. HWBで完全型と判定された血清のすべてはFIAでP3パターンとなり, 高力価抗体血清を示唆する結果となった.<BR>反対に, HWBで不完全型あるいは疑陽性と判定された血清のほとんどはP4あるいはP5のような他のパターンとなり, 低力価抗体血清を示唆する結果となった.<BR>極端に低力価の抗体を示す症例の病理学的解釈はさておき, FIAの使用はHWBで判定が苦慮される疑陽性例について血清学的に判定を容易にするなど, FIAは高感度で有用な試験法であると考えられた.
著者
古井 貞熙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.422-426, 2012-05-01

1950年代以降,半世紀以上にわたって進歩を遂げてきた音声認識技術は,第1,第2,第3,第3.5世代に分けることができる.近年,種々の音声認識応用システムが実際に用いられるようになってきたが,その性能は人の能力に比べるとはるかに劣っており,人の能力に近づくには,第4世代といえるような大きなパラダイムシフトが必要である.そのためには,現在の音声認識技術で扱うことができない複数のレベルでの動的音声特徴の利用と,人が経験する多様かつ膨大な変化をカバーする音声コーパスに基づく,大規模かつ多様な音声言語知識の体系化を行う必要があると思われる.
著者
古井 貞熙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.355, pp.49-54, 2009-12-14
被引用文献数
1

これまで約40年間にわたって、音声認識に関する研究を行ってきた。この間に統計的手法をベースに、音声認識技術は大きく進歩したが、まだ人の能力には遠く及ばない。最近は、学会や学会誌で発表される技術の進歩がやや飽和しており、人の能力に近付く道筋が見えない。現在の研究のアプローチには、何かが欠けているように思われる。それが何かは明確でないが、現在の単純な枠組みではなく、多数のレベルの多様な知識を最適に組み合わせて着実な認識へ導く、統計的な知識処理のフレームワークを構築する必要があるように思われる。