著者
松元 光春 西中川 駿 大塚 閏一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.41-53, 1984-03-25 (Released:2010-08-25)
参考文献数
21

島嶼型個体群であるツシマジカ, マゲシカおよびヤクシカの頭蓋を形態計測学的に比較検討した。1.ツシマジカ雄の頭蓋は4才でほぼ成獣の大きさに達するが, 長さの要素より幅の要素の成長が早かった。2.頭蓋の大きさはツシマジカが最も大きく, 次いでマゲシカ, ヤクシカの順で, 頭蓋基底長に対する各計測項目の指数より, 頭蓋幅はマゲシカで最大でヤクシカで最小であり, ツシマジカは鼻部の長さが短かった。3.雄は雌より著しく大きく, また, 雄の顔結節下縁はW字形を, 雌のそれはU字形を呈していた。4.cline分析から, ツシマジカおよびマゲシカの頭蓋基底全長はタイリクジカ群とニホンジカのclineの中間に, マゲシカの鼻骨長はニホンジカのclineより大きい位置にあったが, ヤクシカの頭蓋基底全長, ツシマジカおよびヤクシカの鼻骨長はニホンジカのclineに含まれていた。5.主成分分析により三群間の区分が明確にされたが, ツシマジカーマゲシカ間よりマゲシカーヤクシカ間の差異が大であった。
著者
大塚 二郎 吉田 昌史 野崎 考志 十朱 寧
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.827-828, 2013

昔から同種金属同士の摺動は避けるべきとして「ともがね」と言われた。しかし、この現象を知らずに、機械を設計・製作し、失敗する例が見受けられる。ここでは、ボールねじ、リニアガイド、締結用ねじなどのともがねについて述べ、その対策を示す。
著者
大塚 修
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.347-312, 2016-09

The Jāmi' al-Tawārīkh of Rashīd al-Dīn (d. 1318), which was dedicated to the Ilkhanid ruler Öljeitü (r. 1304-16), covers not only the history of western and central Asia, but also that of India, China, and Europe. Thus, the work has been highly admired in almost all previous studies as the 'first world history' and one of the most authoritative historical works written in Persianate societies. However, such a judgment seems not to have been derived directly from the author's contemporaries or later Persian historiographers, but from nineteenth-century orientalists in Europe. This paper is the first attempt at a historical study of the transmission and reception of the Jāmi' al-Tawārīkh by investigating all of its known manuscripts (over seventy), the frequency of its citation by later Persian historiographers, and several continuations of the work. In previous studies, it has been common to evaluate historical works based solely on the number of surviving manuscripts. However, in the case of the Jāmi' al-Tawārīkh, it must be acknowledged that the context of its transmission and reception underwent a dramatic change after the nineteenth-century, and even before that, its context was complicated. It is notable that there was great variability in the reception of the first volume of the Jāmi' al- Tawārīkh (History of the Mongols) and in that of its second volume (History of the World). While the first volume has been strongly and continuously accepted by Persian historiographers from the fourteenth-century, the second volume seems to have become generally accepted in the seventeenth-century. Almost all later Persian historiographers regarded the work as a History of the Mongols, not as a History of the World. It was nineteenth-century orientalists in Europe that discovered new value in the Jāmi' al-Tawārīkh as a comprehensive world history. A more complete analysis of the historical work, taking account of the changing context of its transmission and reception provides more concrete information on the transmission of historical knowledge in Persianate societies.
著者
香川 淳 大塚 裕之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.762-782, 2000-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
44
被引用文献数
3 7

国分層群は, 鹿児島湾奥北西沿岸部の加治木堆積盆における中期更新世前半の内湾 湖沼成堆積物からなり, 加治木層・鍋倉層・蒲生層・小浜層・朝日層・小田層・隼人層・麓層の8層準に区分される.このうち鍋倉層・小浜層・小田層には, 水中火砕流や安山岩の噴出, 砂礫の流入および津波による削剥と再堆積を特徴とする著しい不連続面が認められる.これらの削剥面は, その下位に伸張応力を示唆する共役断層が発達することから, 火山活動を伴う造構運動によって形成された堆積物と考えられる.こうした「火山-構造性イベント」は, 鹿児島地溝の拡大に伴いくり返し発生したと考えられる.
著者
木田 森丸 金城 和俊 大塚 俊之 藤嶽 暢英
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.85-93, 2017

過去20年の研究でマングローブ林は熱帯森林生態系でもっとも炭素賦存量の多い生態系のひとつであることが示されており、その生態学的役割が注目されている。マングローブ林は河川を通じて流域および沿岸海域とつながっており、河川中の溶存態の有機物(Dissolved Organic Matter, DOM)を鍵としてマングローブ林の炭素循環および生態学的役割を議論することは重要である。DOMは生態系を支える栄養塩や微量金属元素のキャリアーとして働き、沿岸域の豊かな生態系を下支えしている可能性があるが、その機能性や循環速度は組成(構成成分割合)に応じて変化することが予想される。そこで本研究では、DOMの多くの機能を担い、かつ微生物分解に対して難分解性とされるフミン物質の組成をDOMの質的評価法として取り入れることで、沖縄県石垣島吹通川マングローブ林流域におけるDOMの特性把握を試みた。源流から海にかけて採水試験した結果から、吹通川のフミン物質割合は源流から海にかけて減少する傾向を示し、フミン物質割合の低い海水との混合および林内土壌へのフミン物質の凝集沈殿が示唆された。また、吹通川源流水中のフミン物質割合は他の非有色水系河川に比べて高く(60.9〜75.9%)、マングローブ林を含む沿岸生態系へのフミン物質の供給源として重要な役割を果たしていることが示唆された。加えて、マングローブ林内で採取した表層0〜25 cmの土壌から超純水を用いて水抽出有機物(Water Extractable Organic Matter, WEOM)を逐次抽出し、WEOM溶液中のフミン物質割合を測定した。その結果、電気伝導率の低下に伴いWEOM溶液のフミン物質濃度は大きく増加し、フミン物質が液相に移行溶出されることが確認された。これらの結果は、海水塩の影響により、マングローブ林内土壌に難分解性のフミン物質が選択的に保持されることを示唆するものであり、マングローブ林土壌の有機炭素貯留メカニズム解明に向けた大きな糸口を示したと言える。
著者
杉原荘介 大塚初重編
出版者
東京堂出版
巻号頁・発行日
1971
著者
大塚 宏一 平木 克裕 日垣 秀彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.16-00562-16-00562, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
14

The purpose of this study was to investigate the temperature behavior of sliding portions in the wear test of artificial joint materials using a hip joint simulator. We measured the concentrations of total protein in the lubricating liquids to determine whether they had an influence on the temperature of the fluids. Fluorescence microscopy was used to examine the relationship between the temperature of the sliding portions and the adsorbed state of the proteins. The results showed that the temperature of the sliding portions increased to more than 41°C during the running-in period, and it remained constant between 40 to 41°C after this period. However, it was necessary to exchange the lubricating liquids at regular time intervals to maintain the temperature of the sliding portions during prolonged wear tests. The exchange of lubricating liquids helped to maintain the concentration of total protein in lubricating liquids; however, the aggregate of the proteins increased at a temperature more than 40°C at the sliding surfaces. Consequently, it was considered that the adsorption of agglomerated proteins caused by the increased temperature of the sliding portions might influence the wear mechanism of artificial joints.
著者
大塚 俊昭 川田 智之 矢内 美雪 北川 裕子 菅 裕彦
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.78-78, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
10 13

一職域男性集団におけるメタボリックシンドロームの発症率およびメタボリックシンドローム発症に関連する生活習慣因子の検討:大塚俊昭ほか.日本医科大学衛生学・公衆衛生学講座―目的:メタボリックシンドローム(MetS)の予防は職域健康増進活動における主要課題の一つである.そこで今回,我々は一職域男性集団におけるMetSの発症率およびMetS発症に関連する生活習慣因子の検討を行った. 対象と方法:対象は,神奈川県内の精密機器開発事業所における2005年度定期健康診断を受診し,本邦におけるMetSの診断に非該当であった男性社員948名(平均44歳)である.対象者の2006年度から2009年度の定期健康診断データを追跡し,MetSの新規発症の有無を調査した.2005年度の健康診断結果から,対象集団を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子(血圧高値,脂質代謝異常,空腹時血糖高値)保有数の組み合わせで分類し,各群におけるMetS発症率を算出した.また,生活習慣因子(食事内容,喫煙,睡眠,運動,飲酒)の相違によるMetS発症率を比較した.コックス比例ハザードモデルを用い,上記各因子からMetS発症リスク上昇を規定する因子を求めた. 結果:平均3.7年の追跡において,76人にMetS新規発症を認めた.MetSの年間発症率は2.2/100人年,カプラン・マイヤー法による4年発症率は8.5%であった.対象を腹部肥満の有無とその他のMetS構成因子保有数の組み合わせで分類すると,腹部肥満を認めずその他の構成因子を二つ以上保有する群で最も高い発症率(37.9%)を示し,これに腹部肥満を認めその他の構成因子を一つ保有する群が続いた(24.6%).年齢で調整したコックス比例ハザードモデルでは,「腹部肥満の保有」および「その他の構成因子数の1増加」はともにMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した(5.23および4.79,ともに p<0.001).同様に,睡眠時間5時間以下,現在喫煙,およびエタノール摂取量300 g/週以上がMetS発症に対する有意なハザード比の上昇を示した.結論:本検討においては,腹部肥満を有する者のみならず,腹部肥満を有さずともその他のMetS構成因子を複数認める者においてMetS発症率は高率であった.また,睡眠不足,喫煙,および過剰飲酒がMetS発症リスク上昇に関わっていた.職域におけるハイリスク・ストラテジーに基づいたMetS発症予防対策を行うにあたっては,これらの病状や生活習慣を有する者を優先した活動の有用性が期待される. (産衛誌2011; 53: 78-86)
著者
福島 大地 伊藤 孝紀 西田 智裕 深町 駿平 松岡 弘樹 仙石 晃久 大塚 孝信 伊藤 孝行
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2016-ICS-185, no.8, pp.1-8, 2016-12-06

住民参加によるまちづくりにおいて,公聴会や説明会などに加えてワークショップ (以下 WS) が増えている.まちづくり WS の手法として,従来からの対面式 WS と,我々が提案してきた大規模合意形成支援システムを用いた非対面式 WS がある.対面式 WS は,情報入手や理解を支援するが,時間 ・ 場所の制約という課題がある.非対面式 WS は,時間 ・ 場所の制約を解決できるが,情報入手や理解に課題がある.そこで本研究では,まちづくり WS において,対面式 WS と非対面式 WS の組み合わせた手法を提案する.提案手法による合意形成への有効性を検証することを目的とする.提案手法の有効性は,社会実験により検証する.社会実験では,地権者,住民などに加え学生も参加して,対面式 WS の後に非対面式 WS を行う.それぞれの WS における議論データの分析および参加者へのアンケート調査を行い,提案手法の有効性および課題点を把握する.
著者
西田 智裕 伊藤 孝紀 福島 大地 深町 駿平 松岡 弘樹 仙石 晃久 大塚 孝信 伊藤 孝行
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2016-ICS-185, no.9, pp.1-7, 2016-12-06

住民参加によるまちづくりの法制化に伴い,まちづくりワークショップが増えている.まちづくりワークショップは,毎週 ・ 毎月など期間を空け,連続して実施すること (連続ワークショップ) がある.一方,ワークショップの間での日常生活において,議論に対する意見が出てくることがある.この意見をワークショップの議論へ反映することは難しい.そこで本研究では,対面式のまちづくり連続ワークショップの間に,合意形成支援システムを用いた非対面式ワークショップを行う手法を提案する.提案手法による合意形成への効果や課題を検証することを目的とする.提案手法の効果は,社会実験により検証する.社会実験では,地権者,住民などに加え学生も参加した連続ワークショップを行う.まちづくり連続ワークショップの間に,合意形成支援システムによる議論を行う.まちづくり連続ワークショップと合意形成支援システムにおける議論データの分析および参加者へのアンケート調査を行い,提案手法の効果および課題点を把握する.