- 著者
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葉室 和親
荒牧 重雄
藤岡 換太郎
石井 輝秋
田中 武男
宇都 浩三
- 出版者
- 東京大学地震研究所
- 雑誌
- 東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.2, pp.527-557, 1983-10-22
1979年12月の淡青丸KT-79-18航海の際,東伊豆沖海底火山群,大島南方の大室出シ堆,新島東方の新島ウラノ瀬などの海底火山の岩石をドレッジにより採集した.東伊豆沖海底火山群は,岩石の鉱物・化学的特徴により北半部,中部,南部に細分することができる.北半部の岩石はすべて高アルカリソレアイト系列の玄武岩・安山岩溶岩であり,伊豆半島中部東部に分布する東伊豆単成火山群がそのまま海底に延長して孤立した海底火山として分布しているものと考えて差支えない.中部では,低アルカリ(低Na2O)ソレアイト系列の玄武岩が5点のドレッジから発見された.そのうち伊豆大島に近い2点は,伊豆大島火山の玄武岩類に似た鉱物・化学組成をもち,新鮮である.西側の3点の岩石はいずれも風化変質作用を受けており,小角礫の集合として産する.これらは伊豆大島火山や東伊豆単成火山群よりも古い海底火山に属するものと判断される.南部のドレッジ2点からは東伊豆単成火山群南西部のグループの岩石に似た玄武岩が得られた。大室出シは,ガラス質多孔質の新鮮な流紋岩溶岩流から成る平坦な頂部をもつ海底火山と考えられる.山体の中央部に深さ100m,長さ1.5km,幅0.5kmの凹陥地(大室海穴)があるが,その壁からは流紋岩溶岩が採集された.新島ウラノ瀬の南東麓からは,流紋岩溶岩と変質した玄武岩礫,石英閃緑岩礫などが採集された.後者はこの地域を構成する基盤岩類と考えられる.