著者
佐野 智恵 山賀 あゆみ 松本 力 櫻井 英敏 宮原 晃義
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.8-14, 2007-04-10 (Released:2012-09-24)
参考文献数
7

市販ドッグフードのドライタイプ5 種類( 粗脂肪6%2種, 10%, 15%, 18%) を用いて開封直後にビタミンE(α-トコフェロール) を添加して4週間保管し, 脂質変化( 酸価, 過酸化物価, ヨウ素価)と総ビタミンEの定量を行った.1.開封直後の酸価の値は4.7~7.3を示し,イヌに対して有害な含有量ではなかった.また,5種類のドッグフードの酸価の経時変化からみて,α-トコフェロールの添加量はイヌの栄養要求量とその倍量を加えて比較した結果による抗酸化効果はほとんど差がなく,保存期間中の酸価の値ではイヌの健康には安全の範囲であった。2.過酸化物価の経時変化からみて,本実験のα-トコフェロールの添加量は,フードの過酸化物価の経時変化に影響を及ぼさなかった。3.5種類のドッグフードは時間の経過に伴ってヨウ素価が低下する傾向にあり,その値が90以下であることから, 今回のドッグフード中の脂質は不乾性油であった。 ヨウ素価はα-トコフェロールの添加量による経時変化の差はほとんどなかった。4.HPLCによる総ビタミンEの分析において,抽出時間の短縮と試薬節約のため,試料をけん化した後の水層を石油エーテルで1 回抽出洗浄で調製した試験溶液と, 水層の2 回目の抽出洗浄液のみの試験溶液を比較した。2回目抽出洗浄試験液中にはビタミンEが1回抽出試験液の約10%残留することが確認され,抽出時間の短縮と試薬の節約はできなく,2回洗浄抽出法で測定を行った。ドッグフード中の総トコフェロールに占めるα-トコフェロールの割合は対照区で約97%,添加区では約99%となり,β,γ-トコフェロールは0.8~1.9%であった。対照区および添加区ともにβ,γ- トコフェロールの検出量がわずかで経時変化量が小さいので抗酸化効果はなかったと考えられる。
著者
森 康浩 上田 景子 大川 雅史 宮原 文彦
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.127-134, 2012-06-01 (Released:2012-07-05)
参考文献数
25

木材のエンドユーザーのニーズを把握するため, 一般の福岡県民にアンケートを行った結果, 木材の嫌いな点も改善すべき点も「シロアリに弱い」が最多回答であった。そこで, DNA分析で品種を明らかにしたスギの心材木粉でイエシロアリまたはヤマトシロアリを飼育し, 殺蟻性の高いスギ挿し木品種を探索した。供試品種の中ではアカバとイワオは死虫率が高く, 半数致死日数も短かったことから, 殺蟻性が高いと考えられた。特に, アカバは産地が異なっても高い殺蟻性を示した。これに対し, ホンスギは一貫して低い殺蟻牲を示した。抽出成分を除去した木粉でヤマトシロアリを飼育すると, アカバをはじめ各スギ品種の殺蟻性は大きく低下した。一方, 木粉は摂食できないが揮発性成分には曝露される条件下でヤマトシロアリを飼育しても, イワオとアカバはコントロールに比べて高い死虫率を示した。以上のように, 殺蟻性の品種特性は一定の再現性が得られ, これは揮発性成分を含む抽出成分の特性に左右されていることが示唆された。したがって, 殺蟻性の高いスギ品種を用いた挿し木林業は, エンドユーザーの求める木材を持続的に供給するための選択肢の一つになりうると考えられた。
著者
宮原 均
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = TOYOHOGAKU (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.1-57, 2018-12
著者
宮川 長二 羽田 紘一 後藤 公美 宮原 鉄洲
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1168-1176, 1989 (Released:2008-04-04)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

Small particles of Fe3C (cementite) in an acicular shape (0.2 μm in length, 10/1 in axial ratio) have been synthesized by heating acicular shaped powders of iron (α-Fe) in a flow of carbon monoxide or/and hydrogen gas mixture. X-ray analyses, electron microscopy, magnetic measurements and Mössbauer spectroscopy are employed for the characterizations. The chemical treatment required to obtain single phase Fe3C particles has been studied in the carburizing temperature range from 623 to 873 K. The saturation magnetization (σs) and intrinsic coercive force (iHc) attained are around 138×10−6 Wb·m·kg−1 (110 emu·g−1) and 51.7 kA·m−1 (650 Oe), respectively. Possible applications for magnetic recording powders are found for Fe3C particles synthesized at 823 K and above through a durability test of magnetic properties, by placing the particles in air of 333 K-90% relative humidity for a prolonged time.
著者
田中 彰吾 宮原 克典 浅井 智久 今泉 修 村田 憲郎
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は「自己」について解明することを目的としている。脳神経科学の発展を受けて、2000年ごろから「自己」は科学的研究の対象になり、各種の知見が蓄積されてきた。ただし、従来の主要な研究は、行動実験と脳計測の組み合わせで、自己が成立する最小の条件を探求する「ミニマル・セルフ(最小の自己)」に焦点を当てたものだった。本研究では、実験科学的研究の地平をさらに拡大し、記憶・時間性・物語の次元を含む「ナラティヴ・セルフ(物語的自己)」を対象とする。実験心理学、哲学、精神病理学のアプローチを多角的に組み合わせ、物語的自己の理論モデルを構想する。
著者
清水 長正 宮原 育子 八木 浩司 瀬戸 真之 池田 明彦 山川 信之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100044, 2016 (Released:2016-11-09)

東北地方では福島県と並んで山形県に風穴が多い。天然記念物にも指定された著名な風穴がある。これまでに確認された風穴から山形の風穴マップを作成した。県内の風穴は、自然風穴(地すべり地形・崖錐斜面などで自然状態にある風穴)、人工坑道の風穴、明治・大正期の蚕種貯蔵風穴跡(石垣囲)などに大別され、それらを2.5万分の1地形図索引図に示した。あわせて、各風穴の概要なども展示する。
著者
林 貴哉 宮原 曉
出版者
国立大学法人 大阪大学グローバルイニシアティブ機構
雑誌
アジア太平洋論叢 (ISSN:13466224)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.185-206, 2022-03-26 (Released:2022-03-26)
参考文献数
31

This essay analyzes “The Decade of a Vietnamese Refugee Girl” written in Japanese by Tran Ngoc Lan, a Chinese Vietnamese who was accepted into a refugee by Japanese government. Lan has been using multiple languages including “Mandarin,” “Cantonese,” “Hainanese,” “Vietnamese,” and “Japanese” in her life in a complex and interrelated manner. Lan also identifies herself as a “Chinese-Vietnamese,” a “boat people,” and a “Vietnamese-born Japanese of Chinese descent”. In order to capture Lan's experience of living in a contact zone of multiple languages, this essay considers “The Decade of a Vietnamese Refugee Girl” as a minor literature. First, this essay took up four scenes: her life in Vietnam, her exile at sea after escaping from Vietnam, her junior high school life that she transferred to immediately after coming to Japan, and her participation in university entrance examinations in Japan, and analyzed how literacy of Han writing have become a sort of “passport” for Lan, who has been confronted with local spoken languages. She was born and raised in Chinatown in Saigon. Speaking Hainanese and Cantonese as first languages, she experienced exclusion from the “national” spoken language, Vietnamese, in her life in Vietnam. Before leaving Vietnam, she prepared herself to pronounce her brother's address in Japan in Japanese. This provided her with emotional support when she left Vietnam by boat. After coming to Japan, she was confronted with a new spoken language, Japanese. At the junior high school she attended after arriving in Japan, she entered the Japanese curriculum based on her literacy in kanji, the written language. However, when it came to university entrance exams in Japan, Japanese as a spoken language again prevented her from entering the university of her choice. Lan was excluded from various local voices, such as Vietnamese and Japanese, through her mobility in the contact zone of multiple languages. She was not fully accepted in either place. On the other hand, the Chinese characters in the middle of the various local voices were a source of strength for her. However, Lan's description of her homeland in her autobiography shows that local spoken languages are essential for expressing emotions. She desired to live in different local spoken languages. The use of these local spoken languages was also a source of comfort to her. She was trying to live with the local voice, relying on the Chinese characters. Through the analysis in this essay, we have suggested the possibility of a discussion on the medium that connects multiple local voices.
著者
石川 智治 宮原 誠
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.91-93, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5

これまでの予備的研究から,人間は,生命を直接的に支配する脳幹等,言い換えれば,情動や感動を司る部位(扁桃体等)が,ある種の刺激を受けた時に,意識が生じる以前に生体(本能)が反応して“深い感動”を得ると考えられる.我々はこれまでに,この“深い感動”の喚起に重要な情報の伝達に関する研究を進めてきた結果,(A)暗・静環境,(B)深い感動を喚起させる情報を含む入力画像・音コンテンツ,(C)その入力映像,音楽を高忠実に伝達するために開発したシステム:Extra HI System M の3 者が必要不可欠であることがわかってきた.しかしながら,一般的な家の居間などのリビング環境において,上記の3 つの条件を実現することは困難である.そこで本論文では,リビング環境において“深い感動の喚起”を提供できる場(=環境+人)の実現方法の検討とそれに基づく種々の実験を行い,リビング環境においても“深い感動”を喚起させる「場」の,ひとつの実現方法を提案する.
著者
宮原 謙一郎 若月 康次 坪島 功幸 太田 大樹 片野坂 公明 水村 和枝 西条 寿夫 田口 徹
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12243, (Released:2022-08-05)
参考文献数
25

【目的】線維筋痛症は広範囲の痛みを主訴とする慢性疾患であるが,痛みの主たる発生源である筋組織内の変化は十分に特徴づけられていない。本研究では,線維筋痛症モデルラットを用いた組織学的解析からこの点の解明を試みた。【方法】7~9週齢の雄性SDラットに,生体アミンの枯渇剤であるレセルピンを投与し線維筋痛症モデルを作製した。モデル動物の下腿筋標本において,壊死線維や中心核線維の有無,筋湿重量や筋線維横断面積の変化を観察・定量化した。【結果】モデル動物では,壊死線維や中心核線維は観察されなかったが,筋湿重量が顕著に低下し,筋線維横断面積が顕著に減少することがわかった。【結論】本研究ではレセルピン投与による線維筋痛症モデルラットの筋内に生じる組織学的変化を明らかにした。得られた結果は難治性疼痛である線維筋痛症のメカニズム解明に繋がる基礎的知見であり,同疾患に対する理学療法アプローチの確立に有用であると考えられる。
著者
金元 保之 高澤 拓哉 宮原 寿恵 道根 淳 沖野 晃 寺門 弘悦 村山 達朗 金岩 稔
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.149-160, 2020-08-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
33

島根県機船底曳網漁業連合会所属の沖合底曳網漁船では2012年以降,漁業情報を活用した機動的禁漁区を導入し,アカムツ小型魚の資源管理を行っている.一方で,海域全体のアカムツ小型魚の分布状況を事前に把握し,それらの情報を基により効果的な禁漁区の場所と範囲を設定する必要性が高まってきている.そこで,本報告では2011–2018年の3–5月の沖合底曳網漁業船の操業情報と底水温,底塩分及び底流速の海洋環境情報からランダムフォレストを用いて,日本海南西海域におけるアカムツ小型魚の分布を推定及び予測するモデルを開発した.out of bag(OOB)データに対する予測誤差は,操業年に基づくモデルでは14.5%,漁期前半の一曳網当たり漁獲量に基づくモデルでは14.6%であった.さらに,漁業試験船を用いた試験操業により,漁獲の有無の予測精度を評価した結果,正答率は94%であった.これらの結果に基づき,アカムツ小型魚の時空間分布特性と分布に影響を与える要因の特徴について議論した.
著者
甘 青 小谷 一孔 宮原 誠
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.14, no.29, pp.1-6, 1990-05-29 (Released:2017-10-06)

The research on interleaving informations further into the micro-aperture of NTSC spectrum space is held out presently. The goal of this paper is to give the quantitative analysis about this aperture while the image moves. We show one important result. The S/N of the signal interpolated in the aperture is over 20dB when the vertical and horizontal speed is within 0.41 ine/frame and 0.6 pixel/frame respectaly: very low speed of about 10' /sec with 4H viewing distance. The obtained result is applicable to the disscussion of Y/C separation based on frame memory comb-filter, and shows us the importance of the intrafield Y/C separation.
著者
濱田 忠平 宮原 利浩 川崎 秀一
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.1042-1050, 1996-07-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
6

プリント配線板に用いられている紙フェノール積層板のフェノール樹脂の分布状態の分析法について検討を行った。紙フェノール積層板中のフェノール樹脂の分布は, 標識となる元素が含まれていないため分析が困難であった。今回は, 前報で報告した, 木材及びパルプ中のりグニンにオスミウムを付加して, その分布状態をEPMA で観察する方法を応用して, フェノール樹脂の分布状態を観察する方法について検討した。オスミウム酸は, フェノール樹脂に付加する処理時間は, プリプレグ (フェノール樹脂を紙に含浸して一次硬化させたもの) では48時間以上, 紙フェノール積層板では72時間以上を要した。この処理によって, オスミウムはプリプレグ及び紙フェノール積層板中のフェノール樹脂に選択的に付加することが示された。この方法により紙フェノール積層板断面のWDSカラーマップを低倍率で観察すると, 各層間でのフェノール樹脂の分布が明らかになった。更に, これを高倍率で観察すると, フェノール樹脂がパルプ繊維の周囲及びルーメン内で高く分布していることが明らかになった。また, 積層板製造時にフェノール樹脂と同時に含浸される難燃剤中の臭素原子を同時に検出することにより, それぞれの浸透挙動が異なっていることが明らかになった。今後は, プリプレグ及び紙フェノール積層板中のフェノール樹脂の分布状態が紙フェノール積層板の各種特性にどの様な影響を及ぼすかについて検討を行う予定である。