著者
小山 裕
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.37-51, 2010-06-30 (Released:2012-03-01)
参考文献数
46
被引用文献数
1

本稿の目的は,ニクラス・ルーマンが『制度としての基本権』(1965年)において最初に提示した機能分化社会という秩序表象が立つ共時的・通時的連関の解明にある.共時的な観点からは,ルーマンの機能分化社会理論が,公共性や公的秩序といった概念を手がかりとした,ドイツ的国家概念の批判という,同時代のドイツ連邦共和国の理論家の幾人かに共通して見られる試みの一ヴァージョンであったことが示される.ルーマンの機能分化概念は,かかる国家概念を支える19世紀ドイツの社会構造と見なされていた国家と社会の二元主義へのオルタナティヴであった.通時的な観点からは,機能分化社会という秩序表象がカール・シュミットの全面国家との比較から分析される.ルーマンは,シュミットのいう社会の自己組織化を,社会全体の政治化による自由なき全面国家の成立と見なし,それを批判するために機能分化を維持するためのメカニズムを探求した.政治システムの限界づけを志向するという点で,初期ルーマンの機能分化社会理論は,19世紀の市民的自由主義の自由主義的な再解釈であったと特徴づけることができる.
著者
山下 和彦 野本 洋平 梅沢 淳 宮川 晴妃 川澄 正史 小山 裕徳 斎藤 正男
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.124, no.10, pp.2057-2063, 2004 (Released:2005-01-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

There is the increasing concern of the society to prevent the tumbling of the aged. The study of the static, as well as dynamic aspects, such as the muscular strength of the lower-limb and the postural stability, should be developed, especially from the viewpoint of the aged. This paper focuses on the external observation of the foot and toenail, as being correlated to the physical functions of the lower-limb against tumbling. The lower-limb functions are evaluated in terms of the 10 m walking time, the toe-gap force and single-foot standing period. The correlation to the personal tumbling experiences is also examined. It is seen that the groups, which exhibit external abnormalities in the foot and the toenail, generally decline in the muscular strength and postural stability. They also have more frequent tumbling experiences and express in their concern of the danger of tumbling. It seems that those shapes abnormalities can indicate, to some extent, the tumbling danger of the aged.
著者
小山 裕
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.44-55, 2009-07-25 (Released:2013-03-28)
参考文献数
30

In the present essay, Jürgen Habermas's early sociological works will be examined in two respects: on the one hand, their stratified relationships to the conceptual constructions of Carl Schmitt and Rüdiger Altmann; on the other, his understanding of historical development in eighteenth-century England. The analysis through these two subjects maintains that the core of his conceptualization of the civil/bourgeois public sphere consists in the articulation between institutionalized political powers (not only government, but also parliament) and private citizens who generally criticize political affairs. In addition, the essay will also argue that his diagnosis of modern society depends especially on his critical attitude of intermediary organizations which attempt to affect political processes without public control in the re-politicized social sphere that emerged after the disappearance of the liberal distinction between the public and private realm.
著者
小山 裕己 坂本 大介 五十嵐 健夫
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_63-1_77, 2016-01-26 (Released:2016-03-26)

視覚的なデジタルコンテンツの編集,例えば写真の色補正などにおいて,パラメタ調整は最も基本的な作業の1つであるが,特に調整すべきパラメタが多数ある場合には,デザイン空間,すなわちパラメタ空間を探索することに多くの時間と労力が必要となる.このようなパラメタ調整に基づく視覚デザインの探索を支援するため,本論文ではまず,パラメタ空間を解析することでデザインの「良し悪し」の空間分布を推定する手法を提案する.この推定はクラウドソーシングを用いたヒューマンコンピュテーションによって生成されるデータをもとに行われ,この推定の結果,ユーザはgoodness functionと呼ばれる,パラメタ空間中の任意のデザインに対してその「良し悪し」の程度を計算する関数を得ることができる.本論文では更に,そのようにして得られるgoodness functionを利用した視覚デザイン探索支援のための2 つの新しいユーザインタフェースを提案する.(1) Smart Suggestion は比較的「良い」デザインを選択的に提示する機能である.(2) VisOpt Slider は「良し悪し」の分布を対話的に可視化(Vis:visualization)する機能を有するスライダであり,更にユーザが値を編集している最中により「良い」パラメタへと対話的に最適化(Opt: optimization)する機能も有する.また,本論文では提案手法を4つの異なるデザイン領域に適用した結果も報告する.
著者
小山 裕己
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.90-91, 2017-12-15
著者
小山 裕貴 畑 淳 吉田 孝博 増井 典明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.367, pp.77-82, 2011-01-13

音響機器の特性や音質評価は,開発現場と実使用環境では一致しないことがあり,問題となることがある.また,機器に供給する電源の特性の違いにより,人が知覚する音質や音像が異なる現象が生ずるといわれている.よって,このような現象の測定や解析,発生メカニズムの解明が必要である.本研究では,電源環境がDAIのジッタに及ぼす影響ならびにディジタル音響機器の電源投入からの時間経過がDAIのジッタに及ぼす影響を調査した.その結果,電源の高調波電圧により,TIEの標準偏差では差が2.3%生じ,電源環境がジッタ特性に影響を与えていることが確認できた.また,ディジタル音響機器の通電時間により,RMS値やディジタル音声信号の波形が変化することも確認できた.
著者
小山 裕 コヤマ ユタカ Yutaka Koyama
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.115-131, 2009-03-30

平成20年12月、明治以来100年以上続いた民法第34条に基づく公益法人制度が、準則主義と公益認定による新たな制度に衣替えした。この世紀の改革とも言える公益法人制度改革がいかに始まったのかについては、あまり知られていない。公益法人制度改革は、平成12年の「行政改革大綱」によるものとしばしば誤解されるが、実はそこで予定されていたものではなく、内閣官房行政改革推進事務局公益法人室スタッフの問題提起によって、新たに政府の方針として浮上したものである。その背景には、先行して行われていた行政委託型公益法人に関わる改革、KSD事件を契機とする国所管公益法人の総点検及び中間法人法の成立があるが、この時代背景がなければ、公益法人という官の世界では「重宝な道具」と考えられていた制度を、官の裁量による公益の認定と法人設立の許可(主務官庁制)から、準則による法人格の取得(準則主義)と第三者委員会による公益性認定へという劇的な変革が行われることはなかったであろう。本稿は、「行政改革大綱」から公益法人制度抜本改革への取組みが閣議決定された平成14年3月までの内閣官房の動きを示したものであるが、これは改革前史のほんの序章にすぎない。
著者
小山 裕史
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2011-07

制度:新 ; 報告番号:甲3406号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2011/7/13 ; 早大学位記番号:新5728
著者
小山 裕司 中鉢 欣秀 土屋 陽介
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-6, 2011-12-10

産業技術大学院大学は,高度専門職を養成するための専門職大学院である.学生及び修了生は専門分野を持ち,社会で活躍している社会人である.彼らは,専門分野での専門職の相互コネクション (人脈) を構築することを希望している.著者らは,これらの活動を支援するため,既存の Facebook,Twitter,LinkedIn 等のソーシャルメディアを活用し,相互交流を取ることができる環境の整備を行い,またこれらと連携し,職歴,専門分野,活動等のポートフォリオを横断的に取り扱うことができるシステムを開発した.The Advanced Institute of Industrial Technology (AIIT) is a professional graduate school which have a mission to provide excellent human resources to the industry in Tokyo. Our students and Alumni have jobs in their special field, so they want to make connections which are usefull for their busines. We tried to support their activity using social media such as Facebook, Twitter and LinkedIn. This paper reports several atempts in order to make their interaction among social media and our application which maneges their portfolio such as career record and the special fields.
著者
小山 裕
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.37-51, 2010-06-30

本稿の目的は,ニクラス・ルーマンが『制度としての基本権』(1965年)において最初に提示した機能分化社会という秩序表象が立つ共時的・通時的連関の解明にある.共時的な観点からは,ルーマンの機能分化社会理論が,公共性や公的秩序といった概念を手がかりとした,ドイツ的国家概念の批判という,同時代のドイツ連邦共和国の理論家の幾人かに共通して見られる試みの一ヴァージョンであったことが示される.ルーマンの機能分化概念は,かかる国家概念を支える19世紀ドイツの社会構造と見なされていた国家と社会の二元主義へのオルタナティヴであった.通時的な観点からは,機能分化社会という秩序表象がカール・シュミットの全面国家との比較から分析される.ルーマンは,シュミットのいう社会の自己組織化を,社会全体の政治化による自由なき全面国家の成立と見なし,それを批判するために機能分化を維持するためのメカニズムを探求した.政治システムの限界づけを志向するという点で,初期ルーマンの機能分化社会理論は,19世紀の市民的自由主義の自由主義的な再解釈であったと特徴づけることができる.
著者
小山 裕史
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2011

制度:新 ; 報告番号:甲3406号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2011/7/13 ; 早大学位記番号:新5728
著者
有房 秀樹 田中 久子 小山 裕史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構 一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.93-96, 2006

本発表は2005年度の日本アグケム情報協議会における関東第一Gのワーキングループの活動成果である(活動期間2005/10~2006/3)。米国特許庁(USPTO)のPAIR、世界知的所有権機構(WIPO)のpatentscopeのサービスの提供や、欧州特許庁(EPO)のepoline/esp@cenet等の提供に伴い)、電子包袋、ファミリー情報やINPADOC LEGAL STATUS(以下LSと略する)が利用できるようになった。InpadocのLSにはPRSコードに代表される審査経過情報が記載されており無料でesp@cenet経由で確認できる。権利が確定した特許をランダムに選出しPRSコードから得られる情報の精度、限界につき事例を元に検証を行ない、特許の生死情報、移行情報、特許延長登録情報等有用な情報を読み取れることを確認するとともに情報の限界につき考証した。
著者
松本 省二 小山 裕司 石原 拓磨 安田 あゆ子 中原 一郎 沖田 慎平
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

【背景】脳卒中受け入れ病院では、組織的なチーム医療提供体制の整備が不可欠如である。申請者は、脳卒中のチーム医療をICTで支援する<タスカル/TQM (Total Quality Management)プログラム>を開発してき。【目的】日本の約15-30施設に<タスカル/TQMプログラム>を導入し、 導入前後の診療への影響を評価し、様々な病院での<タスカル/TQMプログラム>の有効性とそれに関連する因子解明する。【予想される結果と意義】病院の状況に即した<タスカル/TQMプログラム>の運用方法が明らかとなることで、様々な病院での脳卒中の診療プロセスの改善に貢献できる。