著者
小川 弘俊 大村 豊 大橋 大造 入谷 勇夫 加藤 政隆 待木 雄一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.250-253, 1986-02-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
15

従来無毒蛇と考えられていたヤマカガシによる蛇咬傷で,著明な出血傾向をきたし脳出血で死亡した症例を経験した. 症例は14歳男性で,ヤマカガシに左手背を咬まれ,数十分後より頭痛が出現,続いて局所が腫脹,約16時間後より出血傾向が出現,約19時間後に昏睡状態となり,さらにその数時間後呼吸停止をきたした.頭部CTスキャンで左側頭葉および後頭葉に脳出血を認めた.交換輸血などを行ったが軽快せず,受傷後10日目に死亡した. ヤマカガシ咬傷では,上顎後部のDuvernoy腺より分泌される毒液が体内に入ることにより出血傾向がひきおこされる.本邦では坂本の症例以来自験例を含めて8例の報告例があり,全例に出血傾向が認められる.咬傷患者に対しては,出血傾向の出現に注意し,異常があれば早期に交換輸血や抗毒素血清の注射などが必要である.
著者
春田 直紀 佐藤 雄基 薗部 寿樹 小川 弘和 榎原 雅治 呉座 勇一 湯浅 治久 高橋 一樹
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

令和2年度は、以下の研究活動で成果をあげた。(1)10月3日にオンラインで研究会「中世肥後の文字史料と地下社会」を主催した(熊本中世史研究会と共催)。この研究会では、池松直樹氏と兒玉良平氏が「「肥後国中世地下文書・銘文史料」概観」、春田直紀氏が「大百姓の文書と水利開発―舛田文書と現地の調査成果から―」、廣田浩治氏が「地下文書論からみた中世の肥後~肥後国中部を中心に~」という題目で研究報告し、総合討論も行った。この研究会に先立ち、池松直樹氏・杉谷理沙氏・兒玉良平氏により、肥後国中世地下文書・銘文史料目録が作成された。 (2)2月20日にオンラインで第11回中世地下文書研究会(諏訪ミニシンポジウム)を主催した。この研究会では、岩永紘和氏が「「大祝家文書・矢島家文書」原本調査報告」、金澤木綿氏が「「守矢家文書」原本調査報告」、佐藤雄基氏が「「守矢家文書」における鎌倉時代の文書」、湯浅治久氏が「戦国期の諏訪社造営と「先例」管理―地域権力と地下文書の接点―」という題目で研究報告し、村石正行氏のコメントの後全体討論も行った。(3)畿内・近国班が連携している神奈川大学国際常民文化研究機構の奨励研究のフォーラム「中世熊野の海・武士・城館」が1月23日にオンラインで開催され、本科研グループからは坂本亮太氏が「紀州小山家文書の魅力と可能性」と題して報告し、村上絢一氏がコメント報告を行った。なお、この奨励研究の成果報告書として、3月に『熊野水軍小山家文書の総合的研究』が神奈川大学より刊行された。(4)3月27日にオンラインで中世の荘園制と村落に関する研究会を主催し、朝比奈新氏と似鳥雄一氏が報告して、討論も行った。(5)研究協力者(熊本大学教育学部日本史研究室所属)の協力を得て、日本中世の「浦」関係史料に関するデータベース(全国版)を作成した。
著者
葛西 駿 及川 拓弥 木村 純 小川 弘貴 三島 友義 中村 徹
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. C (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.136, no.4, pp.444-448, 2016

This paper demonstrates the impact of tilted Mg ion implantation for the threshold voltage control of GaN MISFETs for the first time. The threshold voltage of the MISFETs by using Mg implantation shifts up to -1 V, whereas that without Mg ion implantation is about -8 V. The GaN MISFET achieved maximum drain current of 165 mA/mm and an extrinsic transconductance of 30 mS/mm. These results indicate a definite availability of our process in normally-off GaN MISFETs for power switching device applications.
著者
木本 志津江 砂田 祥司 柴崎 千代 小川 喜通 實森 直美 清水 洋祐 國冨 留美 小川 弘太 市場 泰全
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.501-504, 2014 (Released:2014-10-04)
参考文献数
15

【目的】難治性嘔吐に対しオランザピンを使用し, 経過途中でせん妄, 痙攣が生じた症例を経験したので報告する.【症例】70歳代, 男性. 肺がん. 化学療法後, 持続する嘔気・嘔吐に対し, オランザピンを使用した. せん妄が出現し, その後, 痙攣が出現した. せん妄のリスク因子の除去後もせん妄症状の改善がみられなかった. オランザピン中止後, せん妄症状が改善した. バルプロ酸を使用し, その後痙攣発作は生じなかった.【結論】オランザピン中止後, せん妄は改善し, 痙攣発作も消失したので, オランザピンがせん妄や痙攣発作の要因であった可能性が考えられた.
著者
小川 弘美 黒川 千尋 星野 睦代 玉崗 慶鐘 東光 照夫 柴 肇一 真鍋 厚史
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.197-205, 2016 (Released:2016-05-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

目的 : 歯の漂白法は歯科臨床において不可欠な治療となりつつあるが, 処置後, 有色飲食物や酸性食品の摂取が制限される. 近年, 着色物や酸性物の影響を軽減できるとされるポリリン酸含有の漂白剤が臨床に紹介されている. 本研究は, ヒト抜去歯を用いポリリン酸含有の試作漂白剤の漂白・着色抑制・脱灰抑制効果を検討したものである. 材料と方法 : 35本のヒト抜去歯を漂白効果の検討に使用した. 処理は, 10%ポリリン酸と10%過酸化尿素の混合溶液 (PPa+CP), 10%ポリリン酸 (PPa), 10%過酸化尿素 (CP), Nite White Excel (NWE), 人工唾液サリベート (SA) の5群に分け各試片数は7とした. 各群は1回2時間, これを14回行い, 処理前後のL*a*b*値から色差ΔE*ab値を算出した. 別の35本のヒト抜去歯を着色抑制効果の検討に用いた. 漂白効果と同様の試片を用い, 各群で2時間処理後, ただちに着色液 (珈琲液) に15分間浸漬し着色液浸漬前後のL*a*b*値から色差ΔE*ab値を算出した. 脱灰抑制効果の検討は, 走査型電子顕微鏡 (SEM) 観察で2本, キャピラリー電気泳動試験で3本のヒト抜去上顎前歯を使用し, それぞれ, エナメル質表面をPPa, SAまたは蒸留水で2時間処理した後, 40%リン酸で30秒間処理し水洗したものを試料とした. 処理後のエナメル質表面をSEM観察 (n=2), 処理後の希釈液についてカオチン分析キットを用いキャピラリー電気泳動でCa溶出量を測定した (n=3). 結果 : 漂白後, NWE, PPa+CP, CPの色差ΔE*abは大きな値を示したが, PPa+CPとNWEの間に有意差は認められなかった. 色素沈着の検討では浸漬後, PPa+CP, PPaの色差ΔE*abはCPとSAと比較し有意に低い値を示した. SEM像は, 両群ともにエナメル小柱断面の構造が認められ, PPa群と比較してSA群がより深層まで脱灰されている像が観察された. Ca2+はSA群での溶出量を100%とすると, PPa群では66.3%となった. 結論 : 本研究では, ポリリン酸を含有した試作漂白剤は従来の漂白剤と同等の漂白効果があり, 着色抑制・脱灰抑制効果を有することが示唆された.
著者
佐藤 明香 宇賀 麻由 植田 真司 矢野 修也 小川 弘子 三好 智子 難波 志穂子 大塚 文男
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.405-410, 2020-08-25 (Released:2021-03-15)
参考文献数
8

背景 : 本邦の臨床研修病院で研修医メンター制度が導入されてきているが, 制度の詳細や効果については明らかにされていない. 目的 : 当院で運用している研修医メンター制度を紹介し, 2018年度に本制度を利用した研修医 (メンティ) からのメンター制度に対する評価を明らかにする. 方法 : 制度を利用した研修医に無記名のwebアンケート調査を実施した. 結果 : 2018年度採用研修医の78.0% (32名) が本制度を利用した. 調査の回答率は87.5% (28名) で, 制度に対する満足度は高かった. 考察 : 今後はメンターも対象に,より詳細なアンケート調査を実施し, さらなる制度改善へとつなげたい.

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著者
小川弘 旗野十一郎編
出版者
漆山類治
巻号頁・発行日
1884
著者
佐伯 英明 三浦 邦夫 五十嵐 信寛 小川 弘良 清水 世紀 和田 郁生 鈴木 隆志 原田 忠 森田 隆 加藤 哲郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1058-1062, 1982-08-20

症例は妊娠第15週の36歳の女子で,肉眼的血尿を主訴として当科を受診した。膀胱鏡を施行したところ,膀胱左側壁に巨大な腫瘤を認めたので生検を行ない,移行上皮癌と判明した。患者は既に3子を有しているので,人工流産を施行し,泌尿器科的精査および治療を進めていつた。膀胱造影では左側半分を占める巨大た陰影欠損を認め,骨盤部動脈造影で腫瘍血管に富む腫瘍を認めた。術前に,マイクロカプセル化されたマイトマイシンCを合計40mg使用して2度にわたつて腫瘍支配動脈の化学塞栓を行ない,化学塞栓後の膀胱造影で腫瘍が中等度縮小した時点で膀胱全摘除術および回腸導管造設術を施行した。肉眼的には大小2個の腫瘍が認められ,組織学的にはgrade I, stage Aの移行上皮癌であつた。術後5ヵ月という短い経過ではあるが,転移や再発の徴候はない。妊娠に悪性腫瘍が合併することは稀れであり,殊に尿路悪性腫瘍が合併することは極めて少ない。妊娠に合併した膀胱癌の症例は欧米の文献に7例を認めるが,本邦では最初の報告ではないかと思われた。血尿が認められれば妊娠の有無にかかわらず即時にしかも適切な検索が行なわれなけれぼならないことを強調し,かつ,妊娠中の膀胱癌の治療法および妊娠と悪性腫瘍との関係について若干の考察を加えた。
著者
草地 省蔵 三好 亨 廣畑 聡 小川 弘子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

心筋梗塞におけるADAMTS4の発現を検討した。梗塞心の梗塞辺縁領域に強いADAMTS4の発現誘導を認めた。次にADAMTS4ノックアウトマウスを用いて解析を行った。まず、ADAMTS4ノックアウトマウスの心臓形成には明らかな異常は認めなかった。次にADAMTS4ノックアウトマウスを用いて心筋梗塞を作成し、野生型と比較した。梗塞後の生存率には有意な差はなく、炎症細胞の浸潤度および梗塞後の心機能にも有意な差は見られなかった。以上より、19ある他のADAMTSメンバーがADAMTS4ノックアウト心筋梗塞マウスにおいて代償的に働いている可能性が示唆された。
著者
福地 絡逸 中嶋 凱夫 竹内 孝彦 土田 正義 小川 弘 新田 一夫 中沢 信彦
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1245-1253,1235, 1973

副腎スキャン剤<SUP>131</SUP>I-19一コレステロールの生体内代謝を検討した.有効半減期は1.77-3.74日, 被曝線量は0.60-2.13rad/mCiであつて, 頻回に検査を繰返さない限り安全に使用しうる薬剤と思われる.臓器別有効半減期は, 甲状腺と副腎で共に8.08日, その他の臓器では4.0日以内であつた.すなわち, 副腎の周辺組織では速かに代謝されるので, 投与8日目には副腎のみに放射能が残存して, 明瞭な映像を描出したものと考えられる.