著者
小川 賢治
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-27, 2018-11-20
著者
小川 賢一 佐藤 英毅
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.355-360, 1993
被引用文献数
10 14

群飛しているセスジユスリカの雄の音響応答を音響トラップを用いて野外で調べるとともに, 雌雄の羽音周波数を羽化当日から羽化後4日目まで毎日, 10℃, 15℃, 20℃および25℃の各温度条件下で測定した。群飛は成虫の発生源の河川際の桜の木の幹横および枝下に, 地上0.5mから5m以上の高さに形成された。群飛は平均98.0%が雄で構成されていた。雄は主に周波数180Hzから390Hzの音響に対して応答し, トラップに誘引・捕獲された。しかし, 一定の気温条件下では, 雄が顕著に応答する音響周波数の範囲がかなり狭いことも明らかとなった。この雄の音響応答において, 捕獲に最適な音響周波数と気温との間にきわめて高い正の相関が認められ, 音響周波数の変動は10Hz/℃であった。雌雄の羽音周波数は同一気温条件下で, 羽化当日から羽化後4日目までほぼ一定であった。雄の羽音周波数は同日齢の雌より常に高くて, 1.27倍から1.68倍であった。いずれの日齢においても, 羽音周波数と気温との間にきわめて高い正の相関が雌雄ともに認められた。その羽音周波数の変動は雄で18∿21Hz/℃, 雌で10∿12Hz/℃であった。さらに, 気温に対する雄の音響応答の回帰直線と気温に対する雌の羽音周波数の回帰直線はいずれの日齢においても一致した。これらのことから, セスジユスリカの雄は気温の影響を受けて変動する雌の羽音周波数に的確に同調し, 応答できる聴覚能力を有していることが明らかとなった。
著者
小川 賢一 平林 公男 中本 信忠
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.14-22, 2001-07-30

長野県の諏訪湖で大量発生して,周辺住民や地域の観光施設,工場施設に健康被害や経済的被害等をおよぼしているアカムシユスリカ成虫の群飛形成や音響に対する応答特性を紹介するとともに,これまでに調べられたユスリカ類の音響応答とも比較した.アカムシユスリカ成虫は日中,湖岸の植物の葉上で静止しているが,夕刻に雄は巨大な群飛を形成した.その間,雄は音響トラップから発せられる周波数150Hzと180Hzの音響に顕著に応答し,誘引捕獲された.これらの音響周波数はこれまでに明らかになったユスリカ類の音響応答の中で最も低い周波数であった.諏訪湖で発生するアカムシユスリカとオオユスリカ,および神奈川県川崎市内の都市河川で発生するセスジユスリカとミヤコナガレユスリカの3属4種間で,雄を最も多く誘引捕獲できた音響周波数とその時の気温との間に正の相関関係が認められた.本研究のような,音響による物理的方法や他のさまざまな手段や発想を組み合わせた「環境に優しい」対策や防除法の考えが今後のユスリカ類を始めとする害虫防除法にとって重要なものになっていくと考える.
著者
小川 賢治 Kenji OGAWA
雑誌
人間文化研究 = Journal of Human Cultural Studies
巻号頁・発行日
no.48, pp.71-98, 2022-03-31

ABSTRACTEllen Hodgson Brown writes in her book lThe Web of Debtz that the sovereign state can issue money by itself, and that international bankers have deprived sovereign states of power to issue money. Also she says that some events in the world history can be seen from a point of view that those events happened through struggles between sovereign states and international bankers. For example, 'The Glorious Revolution' in England can be seen as that: King James II was a roman catholic and did not permit private banks or money lending. So, Protestants drove him out to establish private banks, and Queen Mary II and King William III were throned. They were Protestants and permitted private banks. Another example: American Independent Revolution was a struggle between American independentists and the British State. American independentists wanted to issue their own money, not to borrow British money and not to pay interest. On the other hand the British State did not admit losing its banks in America. So both joined battle and America won independence from Britain.
著者
澤田 いずみ 道信 良子 石川 幸代 小川 賢一 原田 瞳
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.652-660, 2022 (Released:2023-02-16)
参考文献数
42

目的:日本の医療分野で健康問題を抱える人へ実践されている応援の概念分析を行い,定義を明らかにする.方法:国内文献29件を対象にRodgersの概念分析を行った.結果:前提要件3つ,属性4つ,帰結4つのサブカテゴリーから,各一つの【カテゴリー】が抽出され,医療分野の応援は,生き方の模索が続く健康問題を抱える人への【自分らしくあることの困難性への共感】に基づいて,医療者が【その人が自分らしく生きるために味方になり新たな活動を試みる】ことで【その人の主体性の高まりに医療者としての自分らしさが充実していく】過程であった.味方になるとは,医療情報を分かりやすく伝えること,対象者と願いを共に考え支えること,対象者の思いを代弁し共感を周囲に波及させ仲間を作ることにより,その人らしさを支えることだった.結論:医療分野での応援は,対象者のその人らしさを大切にしたい医療者の新たな活動の創出を助ける概念と考えられた.
著者
山田 勝雄 川澄 佑太 杉山 燈人 安田 あゆ子 関 幸雄 足立 崇 垂水 修 林 悠太 中村 俊信 中川 拓 山田 憲隆 小川 賢二
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.407-413, 2015 (Released:2016-09-16)
参考文献数
19

〔目的〕今回6例の肺M.abscessus症に対する手術を経験した。肺M.abscessus症に対する外科治療の報告は多くない。同時期に手術を施行したMAC症例との比較検討も含めて報告する。〔対象と方法〕2012年7月から2014年6月までの2年間に6例の肺M.abscessus症に対する手術を経験した。6例全例を完全鏡視下手術で行った。手術を施行した6例の肺M.abscessus症例に対し,年齢,性別,発見動機,菌採取方法,病型,術前抗GPL-core IgA抗体価,術前化学療法,術前治療期間,手術適応,手術術式,手術時摘出組織の菌培養結果,術後入院期間,手術合併症,術後再燃再発の有無に関し検討した。これらの項目の一部に関しては,同時期に手術を施行した36例のMAC症例との比較検討を行った。〔結果〕手術に関連した大きな合併症は認めず,術死や在院死もなかった。6例のうち3例が術後1年以上を経過し化学療法を終了したが,現時点で6例とも再燃再発は認めていない。MAC症例との比較では,肺M.abscessus症例の術前治療期間の平均が5.5カ月とMAC症例より18.9カ月短く,統計学的にも有意差を認めた。〔結論と考察〕肺M.abscessus症に対する手術は安全で有効な治療手段と考える。また内科医が肺M.abscessus症に対してMAC症よりも早期に外科治療が必要と考えていることが示唆された。
著者
小川 賢之輔
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.241-259, 1965-04-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本論文は,駿河湾北部に存在する,田子の浦砂丘を研究することにより,該砂丘類似の地形2)の成因・形成過程及び形成の時期等を解明しようとするものである.筆者は,該研究を進めるにあたり,地形学的方法・地質学的方法及び,考古学的方法等を採用して,下記考察を試みた. 1)海岸に発達する,砂丘地形の観察・地質構造の解明及び,堆積物の岩質等により,物質の供給源と運搬営力とを考察した. 2) 該砂丘類似の地形形成過程に関しては,主として,砂丘の一般地形・地質構造・構成する地層の層相及び,物質の粒度・運搬営力・氷河期及び,地殼変動に於ける海面の昇降・風波の営力等の関連に於て,堆積機構・形成過程等を考察した. 3) 該砂丘類似の地形形成の時期に関しては,洪積世以後の海面の昇降・生物化石・Key bedの追跡・砂丘に埋没している文化遺跡の調査・歴史上の事実等により,砂丘形成時期の考察を試みた. 以上の考察により,一応下記の通り堆論した.即ち, 1) 海岸に発達する,砂丘類似の地形のあるものの成因は,まず,主として,付近河川によって,内陸より運搬された物質・海食により崩壊した物質等が,主として,沿岸流によって,浅海底に運搬され,狭長に堆積して,海面下に沿岸州を形成した. 2) 浅海底に形成された沿岸州は,やがて,海退に伴って海面上に姿を現わし,砂丘の基底をなす砂州を形成した. 3) 砂州が形成されるや,風波の営力による飛砂が堆積し,砂州を覆って,砂丘が発達した.従って,現在各地に存在する,該砂丘類似の地形のあるものは,既に,以上の形成過程に於て,今日観察される地形を決定される。4) 該砂丘類似の地形の,あるものの形成時期は, 2期に分けられる.即ち,前期は,海面下で,沿岸州の成長しつつある時期であり,後期は,海退に伴って,海面上で,砂丘の形成されつつある時期である.
著者
韓 霽珂 西 紳之介 高田 賢治 村松 眞由 大宮 正毅 小川 賢介 生出 佳 小林 卓哉 村田 真伸 森口 周二 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.20200005, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
36

近年,亀裂・進展の解析手法の一つとして,phase-field破壊モデルが注目を集めている.phase-field脆性破壊モデルは既に多くの実績が報告されている一方で,延性材料を適切に表現するphase-field破壊モデルは発展途上である.phase-field破壊モデルにおいて,拡散き裂の幅を表す正則化パラメータは破壊開始の制御に用いられ,これが大きいほど破壊開始が早くなる.これは正則化パラメータが大きい場合には,その分だけき裂近似領域も大きくなるため,1に近いphase-fieldパラメータの分布も拡大し,それに応じて荷重--変位関係のピーク値が小さくなることが原因として考えられる.本研究では,正則化パラメータの性質を考慮し,通常は定数として扱われる正則化パラメータの代わりに,蓄積塑性ひずみの大きさに応じて変化する可変正則化パラメータを提案する.これにより,塑性域と正則化パラメータによって規定されるき裂周辺の損傷域が関連づけられ,塑性変形の影響を考慮した損傷の計算が可能となる.提案モデルの表現性能を調査するためにいくつかの解析を行った.可変正則化パラメータの導入により,塑性変形の進行とともにき裂周辺の損傷域が大きくなる傾向が捉えられ,弾性域から塑性域を経てき裂に発展するといった遷移過程に特徴づけられる延性破壊を表現できることを確認した.ベンチマーク問題の解析等の数値解析を通して,き裂の進展方向を適切に予測できること,および可変正則化パラメータを介して延性の制御が可能になることを例示した.また,金属供試体を用いた実験の再現解析では,実験結果と整合する結果が得られることも確認した.
著者
岡村 康史 小川 賢 浜 裕之 木村 康男 石井 久夫 庭野 道夫
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.543-549, 2003-09-10 (Released:2008-12-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

The adsorption of naphthalene on a Si(100)-2×1 surface at room temperature was investigated using infrared absorption spectroscopy (IRAS) in the multiple internal reflection geometry (MIR). To determine the adsorption configurations on the surface in detail, IRAS spectra in the C-H stretching vibration region were analyzed in comparison with calculations based on the density functional theory. As a result, it was found that naphthalene adsorbs on the surface in different manners depending on the surface coverage of the molecules. At low coverage, a single configuration is favored, in which the 1, 4, 6, 9 carbon atoms of a naphthalene molecule are bound to the dangling bonds of two adjacent Si dimers to form sp3 bonds. At high coverage, on the other hand, the molecules adsorb in several energetically preferred configurations. Furthermore, the effect of coupling of vibration modes between two adjacent molecules adsorbed on the surface was observed at high coverage.
著者
岡田 仁志 小川 賢
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.83, pp.21-26, 1999-10-09

「理想的電子マネー」が存在しない現時点において、電子マネーの導入決定権者が合理的な選択を実現することは容易でない。本稿はDEA分析とAHP法を利用して電子マネーの選択を支援する枠組みを提案する。電子マネーを評価する基準として、()セキュリティのレベル、()顧客プライバシー保護の程度、()運営コストの多寡、()使いやすさの度合い、の4つをとりあげた。これらの観点に基づき、スーパーキャッシュ()、VISAキャッシュ()、モンデックス()、デビットカード()の4種類の電子マネー類を対象に優位性を問うアンケートを実施し、投票データから電子マネーの優位性を明らかにすることを試みた。It is not easy to select a type of electronic money, because there is no perfect type. We enforced a questionnaire about 4 types of electronic monies, which are Super Cash, VISA Cash, Mondex, and J-Debit. The viewpoints to evaluate them were security level, privacy protection level, cost performance, and usefulness. Then we tried to analyze the predominance of electronic money, with the methods of AHP (Analytic Hierarchy Process) and DEA (Data envelopment analysis).