著者
林 孝一 馬場 亮太 御園 秀一 小野 健太 小原 康裕 渡邉 誠
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.6_39-6_48, 2014

60年近い歴史をもつ東京モーターショーに出展されたショーカーはそれぞれの時代の社会変化を鋭く反映してきた。本研究は各ショーカーの訴求ポイントをグループ化し、そのコンセプトを、「性能」、「社会対応」、「サイズ」、「付加価値」の4カテゴリーに分類し考察を加えた。その結果、日本の自動車産業とデザインの変遷は7つの時代に分類して精査していくことが適切であるとわかった。さらにその時代ごとのデザインへの期待や役割の変化が以下の4つに区分される事も判明した。1954~70年:欧米のライフスタイルに追従するドリームデザイン、1971~84年:機能とデザインの融合により意味と独自性があるデザインの創生、1985~2008年:製品多様化と市場の飽和を背景とした新規性コンセプトの探求とデザイン領域の拡大、2009年~現在: 環境問題や高齢化を反映した車の次世代モビリティーとしての再構築である。この様に社会情勢の変化に応じたデザインへの期待、役割の変化を明らかにした。
著者
後藤 悠大 増本 幸二 新開 統子 千葉 史子 小野 健太郎 坂元 直哉 五藤 周 瓜田 泰久 高安 肇
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.1155-1160, 2017-10-20 (Released:2017-10-20)
参考文献数
39

【目的】小児精巣腫瘍は全小児固形腫瘍の約1~2%とまれであり,病理組織学的特徴や生物学的特性・予後が成人症例とは異なる.今回,当科で経験した小児精巣腫瘍の臨床的特徴を検討した.【方法】当科開設以来の小児精巣腫瘍を後方視的に検討し,小児精巣腫瘍の臨床的特徴や予後,治療の妥当性について検討した.【結果】当科が開設された1979年から2016年までの37年間における15歳未満の精巣腫瘍は9例であり,内訳は成熟奇形腫4例,未熟奇形腫1例,胎児性癌1例,卵黄囊腫瘍3例であった.術前画像でリンパ節転移が疑われた症例はなく,病期は全例がI期であった.手術は術前より成熟奇形腫が疑われた1例に腫瘍核出術が行われたが,その他の症例では高位精巣摘除術が行われた.胎児性癌の1例のみ後腹膜リンパ節郭清術が施行された.いずれの症例も化学療法は施行されなかった.術後経過観察期間は平均5.2年(中央値3年)であり,全例に再発は認めていない.【結論】小児精巣腫瘍I期に対して高位精巣摘除術のみで経過観察を行い,再発・転移を認めず予後良好な結果であった.われわれの経験からは,思春期前の小児精巣腫瘍I期に対して,術後化学療法を行わず高位精巣摘除術のみとする治療法は妥当性のある治療の一つと考えられた.
著者
梶田 航一 寺内 文雄 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第63回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.151, 2016 (Released:2016-06-30)

交通事故やスポーツ事故等で頚髄損傷者(以下頚損者)になると、手足が麻痺するため、一般的な身体障害者用トイレを利用することができない。そこで従来のリハビリテーションの現場では高床式トイレというものが最善と考えられている。リハビリセンターなどでは頸損者が自力で生活が行えるようになるために各種の訓練を行っているが、その中で高床式トイレを使用するための訓練として直角移乗などの訓練も行われている。高床式トイレは車椅子から直角移乗をし、いざり動作で便座まで移動して使うものである。しかし高床式トイレは住宅を大幅に改修する必要がある、外出先に無いため頚損者が長期の旅行に行く事が出来ないなどの問題がある。そこで本研究では頸損者でも一般的な身体障害者用トイレに行くことを可能にする長座位車椅子という製品を提案した。実際の使用方法としては頸損者が普段使用している車椅子から直接長座位車椅子へ直角移乗をし、一般的な身体障害者用トイレの便器の上に長座位車椅子ごと移動し、排泄を行うというものである。
著者
小野 健二 松島 知夫 大山 繁 Kenji ONO MATSUSHIMA Tomoo OYAMA Shigeru
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 = Bulletin of the Research Institute of Mineral Dressing and Metallurgy, Tohoku University (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-28, 1967-11-05

For the electrolysis of cobalt the separation of nickel from cobalt pregnant solution by precipitating nickel as nickel Nioxime was studied. The effect of the pH and temperature for the precipitation of nickel was determined. The cobalt electrolyte in the order of the magnitude of the ratio of Ni/Co=n×10^<-4> for electrolysis was obtained by the addition of Nioxime at the pH of 3 to 4 and the temperature of 20° to 80℃.
著者
田中 俊 小野 健太 小原 康裕 八馬 智 蘆澤 雄亮 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.168-168, 2011

昨今、日本において、男性化粧品業界で清涼感がひとつのキーワードとして、重用しされている。例えば、CMにおいて男性用化粧水はよく清涼感を強く押し出して宣伝されている。また、現在販売されている男性用化粧水を見てみると、ほとんどの男性用化粧水にメントールが配合されており、使ったときに清涼感を感じさせる使い心地になっている。 そこで、現状の「清涼感」を売りにした男性用化粧水を調査してみたところ、近年の男性化粧品の充実化により、多種の男性用化粧水が販売されているが、それらは、ブルーを基調にしたカラーやグラフィックに「清涼感」のアピールを頼っており、造形も似通っているため、似たような印象をうけてしまう事がわかった。そのためそれぞれの製品の特徴を打ち出していく為にはブルーを基調にしたカラーやグラフィックだけではない「清涼感」を表現する事で差別化を行う事が必要になってくると思われる。本研究において、ブルーを基調としたカラーやグラフィックではなく、造形により「清涼感」をアピールできる化粧水ボトルを提案することを目的とする。
著者
小野 健吉
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.61-81, 2014-09

景観年代が寛永十年(一六三三)末~十一年初頭と考えられる『江戸図屏風』(国立歴史民俗博物館所蔵)には、三邸の大名屋敷(水戸中納言下屋敷・加賀肥前守下屋敷・森美作守下屋敷)と二邸の旗本屋敷(向井将監下屋敷・米津内蔵助下屋敷)で見事な池泉庭園が描かれているほか、駿河大納言上屋敷や御花畠など、当時の江戸の庭園のありようを考える上で重要な図像も見られる。本稿では、これらを関連資料等とともに読み解き、寛永期の江戸の庭園について以下の結論を得た。 将軍の御成などを念頭に置いて造営された有力大名下屋敷の広大な池泉庭園では、滝・池・護岸石組・州浜といった水をめぐる各種デザインが大きな見せ場であった。そのため、水源の確保が極めて重要な課題であり、各大名屋敷では、湧水のほか上水道や小河川・都市水路などからの導水に大きな努力を払ったと見られる。一方、隅田川沿いの旗本屋敷では潮汐の影響を受ける隅田川から直接導水する「潮入り」の手法が発明され、これがその後に海岸沿いの大名屋敷の庭園でも採用されることとなったと考えられる。また、庭園を眺める視点場として二階建て数寄屋楼閣が重要な役割を果たしていたことも注目される。さらに、池泉庭園を備えない上屋敷などでは市中にあって山居をイメージさせる、都市文化の極みともいうべき茶室と露地が設えられていたことが駿河大納言上屋敷の様子から窺える。庭園管理という観点では、例えば樹木を剪定整枝して仕立てる技術がすでにしっかりと定着していたことが植物の描き方に示される。加えて、御花畠からは、花卉を中心とする園芸文化が、いわば江戸の主人たる将軍の先導のもと、文字通り豊かに花開いていたことがわかる。以上のように、慶長八年(一六〇三)の開府からおおよそ三十年を経た江戸では、庭園をめぐる文化は多様で多面的なありようを見せていたのである。
著者
鈴木 偵之 石塚 昭彦 中本 和宏 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.4_77-4_86, 2013-11-30 (Released:2014-01-25)
参考文献数
20

本研究では子供向けデジタルサイネージのGUIデザインの指標を明らかにした。デジタルサイネージが持つ特徴のうち、大画面を有し、タッチ等によるインタラクションがある点、設置して利用される点を中心に調査を行った。子供の行動把握にはエスノグラフィ(行動観察調査)法を使い、子供特有の特徴を抽出するため、PCリテラシのある年齢(大人)についての比較調査を行った。結果の分析には、行動比較マップを用いた。これは子供と大人の行動を比較するために、子供と大人がとった行動の頻度をそれぞれ集計し、その結果をプロットしたマップである。このマップをもとに子供と大人の行動の共通部分と子供特有の部分について考察を行った。これらの結果、子供特有のデジタルサイネージの利用に関する特徴として、「目標設定」「ボタン等の操作部」「操作に対する満足」に関係する3つの観点にまとめられることが分かった。
著者
小野 健吉
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.13-17, 1986-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1

小川治兵衞 (『植治』) は、明治中期から昭和初期にかけて、無隣庵 (山縣有朋別邸) をはじめとする数多くの別荘庭園を作庭した。そうした別荘庭園の代表的なものの一つである封龍山荘庭園について、『京華林泉帖』(明治42年)『日本美術と工芸』(明治45年) の記事などから作庭当初の構想、世評を考察した。その結果、借景、庭園の構成についての小川治兵衞の考え方及び本庭園の世評の高さが明らかになった。
著者
松本 健 小野 健吉 青木 繁夫 大井 邦明 川西 宏幸 藤井 英夫
出版者
国士館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

近年の海外における日本の考古学的、人類学的、民俗学的調査研究はめざましいものがある。また同時に海外の文化遺産の保存・修復事業も盛んに行われるようになり、日本も国際貢献の立場からその協力を求められている。国際協力にはその地域の文化遺産を中心とした基層文化を研究し、また保存修復に関わる法律の整備、環境の調査や技術的研究が必要である。さらに各地域において長期に渡って調査研究に携わっている各分野の専門家による調査研究で、文化遺産を護る現在の経済的、政治的、文化的要因や環境が地域によって極めて異なることが明らかになった。従って文化遺産に対する画一的な経済的、技術的協力ではむしろ問題を残す結果となる。また従来のように、学術的調査研究や保存修復研究だけでは真の文化遺産の研究とは言いがたい。今後は各地域の文化遺産の学術的研究特に人文科学的研究を推進するとともに、保存科学や分析などを中心とした自然科学的研究、そしてさらに学術的価値の高い文化遺産を単に保存修復するだけでなく、それらを未来へ活かす研究、すなわちその地域における現在の政治、経済、宗教、社会教育、地域などと文化遺産の関わりを調査研究する社会科学的研究を実施していくことが不可欠となる。
著者
桐谷 佳恵 内藤 正志 内田 和宏 赤司 卓也 杉山 和雄 渡邊 誠 小野 健太
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-10, 2005-05-31
参考文献数
8
被引用文献数
2

災害時や渋滞時には、交通情報を可変的に表示できる情報板が必要となる。本研究は、現状の高解像度LED式道路交通情報板の半数以下のLED数で迂回路を表示できる可変情報板のデザイン指標を得ることを目的としている。具体的には、地図構成要素の形状と色彩に関する指標である。直交表による実験計画法を用いて、「表示板の見やすさ」、「迂回路表示のわかりやすさ」など、表示板の見やすい表現を模索し, デザイン要件を決定した。その結果、道路形状、迂回路形状と表示方式、地名表示、ルートマーク、現在地表示、文字表示の仕方、文字や道路及び背景の色彩、などについての基本指標が明らかになった。本研究から得られたデザイン指標は、新しい道路情報提供を実現する情報板作成に貢献し、従来よりも低コストの可変情報板作成の可能性を示すものとなる。
著者
小野 健吉 山梨 絵美子
出版者
奈良国立文化財研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近代京都画壇で活躍した3人の日本画家の作庭について、それぞれ、以下のような成果を得た。(1)山元春挙:(1)春挙は、芦花浅水荘の庭園を機能的にも形態的にも琵琶湖と一体のものとしてデザインした。(2)庭園は建築と平行して施工された。(3)施工は、当初、京都の庭師・本井政五郎、その後、大津の庭師・木村清太郎が引き継ぐ。(2)橋本関雪:(1)関雪は、蟹紅鱸白荘にはじまり、白沙村荘,走井居、冬花庵と、生涯、建築や作庭に情熱を保ち続けた。(2)建築や作庭も、絵画と同様の創作と見なしていた。(3)白沙荘の施工は、青木集、本田安太郎などの庭師がおこなったが、細部にわたり、関雪の指示があった。(4)関雪の庭園には、中国の文人趣味に対する傾倒や歴史的教養主義がうかがえるが、明治大正時代に京都で主流をなした写実的風景式庭園のはんちゅうに入るものといえる。(3)竹内栖鳳:(1)霞中庵庭園の築造は、従来いわれていた大正元年ではなく、大正3年頃の可能性が大きい。(2)庭園のデザインは、建築同様、栖鳳の考案によるものである。施工にたずさわった庭師は本井政五郎である可能性がある。(3)霞中庵庭園は、芸生の広がり、カエデの樹林、流れ外部景観(嵐山)などで構成され、その平明さ、軽快さは、栖鳳の画風と一脈通じるものがある。上記の各画家の作庭を観察すると、関雪・栖鳳については、作庭と画風に共通性が見出せるが、春挙の芦花浅水荘は大和絵風の明るさ・のびやかさがあり、峻厳な画風とはやや趣を異にする。しかし、その春挙にしても、写真に熱中したという写実を重んじる基本的な態度が、その作庭の中に着取できる。
著者
小野 健吉
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1-4, 1995-03-31

蘆花淺水荘は、近代京都画壇で活躍した日本画家・山元春擧が、郷里滋賀県大津市の琵琶湖畔に営んだ別荘である。庭園は、大正4〜6年ごろを中心に、春擧の指示のもと京都の庭師・本井政五郎らにより作庭された。築造時の記録、築造後間もない時期の写真・図面・文献、関係者の証言などから、この庭園が建築と並行して築造されたこと、風景画にすぐれていた春擧が絵を描く感覚でこの庭園のデザインに取り組んだこと、琵琶湖を視覚的にも利用の上でも主たる構成要素とする傑出したデザインの写実的風景式庭園であったことなどを確認した。
著者
小野 健吉
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.49-54, 1986-03-31
被引用文献数
1

明冶中期〜昭和初期にかけて京都を中心に多岐にわたる分野で活躍した日本画家・神坂雪佳は、庭園にも関心を示し、設計にかかわった大橋氏松ヶ崎別邸(無盡庵)庭園では雪佳らしい特色も出した庭園意匠を見せている。この時期、雪佳のほかに竹内栖鳳、橋本関雪らの画家も庭園に関心を持ち、自邸の庭園を作っている。そしてこれらの画家の庭園への関心が、この時期の京都の庭園の水準を引き上げる要因の一つであった。