著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001695, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論Iでは,遺伝子研究,トランスレーショナルリサーチ,核酸医薬,iPS研究,介護・福祉など,多様性を増す脳神経内科領域の臨床と研究について,最新トピックスを交えて取り上げる.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001696, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論IIでは,疾患ごとに脳神経内科領域を分類し,各分野の専門家がわかりやすく解説するとともに,最近のトピックスについて冒頭に取り上げた.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
小野 賢二郎
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.233-236, 2023 (Released:2023-08-21)
参考文献数
19

According to estimates by the Ministry of Health, Labor and Welfare, the number of dementia patients in 2012 was 4.62 million, and the number of mild cognitive impairment patients was about 4 million. For the diagnosis of dementia, treatable dementia is first ruled out, and then common dementia such as Alzheimer disease (AD), vascular dementia (VaD), and dementia with Lewy bodies (DLB) are differentiated. The typical symptoms of AD include time disorientation and delayed recall disturbance. Cerebral blood flow single photon emission computed tomography (CBF–SPECT) shows poor blood flow in the posterior cingulate gyrus and/or precuneus in AD patients. In VaD, cognitive impairment is milder than in AD, and there are clinical courses such as stepwise exacerbation of symptoms, and various cerebrovascular lesions are observed on brain MRI. The patients with DLB have clinical symptoms such as visual hallucinations and Parkinsonian symptoms. CBF–SPECT and MIBG myocardial scintigraphy show the decreases of occipital lobe blood flow and cardiac uptake, respectively.At the present, acetylcholinesterase inhibitors and the NMDA receptor antagonist memantine are currently available for the treatment of AD. Although these drugs are limited to symptomatic therapy in AD patients, recently, approaches aimed at disease–modifying therapy (DMT), especially the approaches focused on amyloid β–protein (Aβ) have been developed remarkably. Anti–Aβ antibody therapy is central to the current development of DMT for AD. Clinical trials of anti–Aβ antibodies have repeatedly reported poor results, but clinical trials of anti–Aβ antibodies that target Aβ aggregates, such as aducanumab and lecanemab, have reported significant effects on the primary endpoint in phase 3 trials.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.709-721, 2021 (Released:2021-11-24)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.本稿で,総論部分1)脳神経疾患とは,2)脳神経疾患克服研究の現状,3)脳神経疾患克服研究の意義・必要性,4)神経疾患克服に向けた研究推進体制,5)脳・神経・筋疾患克服へのロードマップ,6)提言の要約版を報告する.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
本間 元康 加藤 進昌 河村 満 小野 賢二朗 糸井 千尋 緑川 晶 寺尾 安生 政岡 ゆり 二村 明徳 黒田 岳士 杉本 あずさ 太田 晴久
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PD-131-PD-131, 2020

<p>自閉症スペクトラム障害(ASD)はコミュニケーション能力障害が主な症状として知られているが,視野や注意の範囲が狭いという報告もある。空間幅や時間幅の把握・表出などの原始的な能力にも異常が見られ,それらがコミュニケーション能力の低下と関連している可能性がある。本実験ではASD患者20名および健常者20名のデータを取得した。ペンタブレット装置を用い,実験者の指示のもと,ペンを右側へ10センチ動かす課題および心の中で10秒数える実験条件課題を行った。コントロール条件課題として定規を見ながら10センチ動かす課題およびアナログストップウォッチを見ながら10秒数える課題を行った。ASD患者はコントロール条件課題においてほぼ正確に表出することができたが,実験条件課題では時間幅および距離幅を極端に短く表出する傾向があった。さらに自閉症スペクトラム指数のサブスコアである「細部への注意」項目と相関があった。本研究は,空間的にも時間的にも収縮した表出機能と注意機能の異常が関連していることを示唆し,それらの傾向はASD患者のコミュニケーション能力を阻害する一因になっている可能性がある。</p><p> </p><p>連名発表者追加</p><p>(正)</p><p>小野 賢二朗#(昭和大学)</p>
著者
藤本 潔 羽佐田 紘大 谷口 真吾 古川 恵太 小野 賢二 渡辺 信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.はじめに<br><br>マングローブ林は、一般に潮間帯上部という極めて限られた環境下にのみ成立することから、温暖化に伴う海面上昇は、その生態系へ多大な影響を及ぼすであろうことが予想される。西表島に隣接する石垣島の海面水位は、1968年以降、全球平均とほぼ同一の年平均2.3mmの速度で上昇しつつある(沖縄気象台 2018)。すなわち、ここ50年間で11.5cm上昇した計算となる。近年の上昇速度が年10mmを超えるミクロネシア連邦ポンペイ島では、マングローブ泥炭堆積域で、その生産を担うヤエヤマヒルギ属の立木密度が低下した林分では大規模な表層侵食が進行しつつあることが明らかになって来た(藤本ほか 2016)。本発表は、本年2月および8月に西表島のマングローブ林を対象に実施した現地調査で見出された海面上昇の影響と考えられる現象について報告する。<br><br>2.研究方法<br><br>筆者らは、西表島ではこれまで船浦湾のヤエヤマヒルギ林とオヒルギ林に固定プロットを設置し、植生構造と立地環境の観測研究を行ってきた。今回は、由布島対岸に位置するマヤプシキ林に新たに固定プロット(幅5m、奥行70m)を設置し、地盤高測量と毎木調査を行った。プロットは海側林縁部から海岸線とほぼ直行する形で設置した。地盤高測量は水準器付きポケットコンパスを用い、cmオーダーで微地形を表記できるよう多点で測量し、ArcGIS 3D analystを用いて等高線図を作成した。標高は、測量時の海面高度を基準に、石垣港の潮位表を用いて算出した。毎木調査は、胸高(1.3m)以上の全立木に番号を付し、樹種名、位置(XY座標)、直径(ヤエヤマヒルギは最上部の支柱根上30cm、それ以外の樹種は胸高)、樹高を記載した。<br><br>3.結果<br><br> 海側10mはマヤプシキのほぼ純林、10~33mの間はマヤプシキとヤエヤマヒルギの混交林、33~50mの間はヤエヤマヒルギとオヒルギの混交林、50mより内陸側はほぼオヒルギの純林となっていた。70m地点には立ち枯れしたシマシラキが確認された。立ち枯れしたシマシラキは、プロット外にも多数確認された。<br><br> マヤプシキは直径5㎝未満の小径木が46%、5~10cmが37%を占める。20m地点までは直径10cm未満のものがほとんどを占めるが、20~33mの間は直径10cmを超えるものが過半数を占めるようになる。最大直径は23.3cm、最大樹高は5.7mであった。ヤエヤマヒルギはほとんどが直径10cm未満で、直径5cm未満の小径木が74%を占める。最大直径は47m付近の13.8cm、最大樹高は5.7mであった。オヒルギは直径5cm未満の小径木は少なく、50~70mの間では直径10cm以上、樹高6m以上のものがほぼ半数を占める。最大直径は19.9cm、最大樹高は11.1mに達する。<br><br>地盤高は、海側林縁部が標高+28cmで、内陸側に向かい徐々に高くなり、45m付近で+50cm程になる。45mより内陸側にはアナジャコの塚であったと思われる比高10~20cm程の微高地が見られるが、一般的なアナジャコの塚に比べると起伏は小さい。この林の最も内陸側には、起伏の大きな現成のアナジャコの塚が存在し、そこではシマシラキの生木が確認された。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚であったと思われる起伏の小さな微高地上に分布していた。<br><br>4.考察<br><br> シマシラキはバックマングローブの一種で、通常はほとんど潮位の届かない地盤高に生育している。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚上に生育していたが、近年の海面上昇に伴いアナジャコの塚が侵食され地盤高を減じたため、冠水頻度が増し枯死した可能性がある。船浦湾に面する浜堤の海側前縁部にはヒルギモドキの小群落が見られるが、近年海岸侵食が進み、そのケーブル根が露出していることも確認された。このように、全球平均とほぼ同様な速度で進みつつある海面上昇に対しても、一部の樹種では目に見える形での影響が現れ始めていることが明らかになった。<br><br>参考文献<br>沖縄気象台 2018. 沖縄の気候変動監視レポート2018. 藤本潔 2016. 日本地理学会発表要旨集 90: 101.
著者
小野 賢二 野口 宏典
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>東日本大震災では、津波により青森~千葉県にわたる太平洋沿岸の海岸防災林で、林帯地盤の損壊・沈下・流出、樹木の倒伏・流失など壊滅的被害が発生した。特に、地盤高が低く地下水位が高い箇所では根張りが十分でなく、津波により樹木が根返りして流木化した。林野庁が諮問した「東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討委員会」は「今後の海岸防災林の再生について」とする提言を取り纏めた。現在は、この方針を踏まえ、海岸防災林の復旧・再生が取り組まれている。本企画シンポジウムでは、海岸防災林の復旧・再生現場から、現在の状況を紹介し、顕在化してきた課題を概説して、樹木の生育基盤として用意された造成土に関わる問題点を整理する。併せて、1990年代から低湿地対策として盛土工を伴う海岸防災林を造成してきた千葉県の事例や、埋立地に公園造成を進めてきた東京都海の森公園予定地(2020年東京オリンピック会場)の事例を紹介する。前述の提言には「広葉樹の植栽等についても考慮することが望ましい」とも言及されている。ここでは四国海岸林に成林する広葉樹林とクロマツ林の状況を紹介し、海岸林での広葉樹の活用のあり方についても議論する。</p>
著者
相澤 州平 伊藤 江利子 酒井 佳美 小野 賢二
出版者
国立研究開発法人 森林総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

窒素飽和下の高密度人工林における炭素蓄積の実態解明と間伐の影響予測のため、長期間の施肥により高窒素負荷の環境下にある高密度の壮齢トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツ人工林において炭素窒素の蓄積量と循環量を調査し、間伐を行って成長量の変化を調べた。トドマツとアカエゾマツでは施肥により初期成長が促進されて蓄積が増大した。壮齢林段階では施肥による成長促進は認められなかった。また間伐は残存木の成長を増加させたが、高窒素負荷による成長促進効果は認められなかった。土壌pHとリターフォール量を変数とするモデルを開発し、高窒素負荷環境下の土壌炭素蓄積量増加速度は、間伐後は対照区と同等の水準に低下すると予測した。
著者
金野 竜太 小野 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.255-262, 2016-06-30 (Released:2017-07-03)
参考文献数
19

心理言語学において, 言語は音・意味・統辞の3 要素を中心とした構造を有すると考えられている。 言語情報は, 単語から文や文章まで異なるレベルでそれぞれ処理される。文法知識を適用して文構造を構築していく過程を統辞処理と呼ぶが, 統辞処理では左前頭葉が重要な役割を果たしている。我々は機能的磁気共鳴画像法を用いて, 左下前頭回および左運動前野外側部が文の統辞処理に関与することを実証した。 さらに, 左前頭葉の神経膠腫患者の統辞的文理解を評価したところ, 左下前頭回と左運動前野外側部の神経膠腫によって, 確かに統辞的文理解障害が生じることが明らかとなった。これら統辞的文理解障害を呈する患者の脳活動を詳細に検討することにより, 統辞処理に関与する3 つの脳内ネットワークが可視化された。そして, 統辞的文理解障害が機能的に区別される3 つのネットワークの再構築にもとづくことが明らかとなった。以上の結果は, 統辞処理における神経回路の重要性を示唆する。
著者
藤本 潔 小野 賢二 渡辺 信 谷口 真吾 リーパイ サイモン
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1.はじめに<br><br> マングローブ林は、地球上の全森林面積の1%にも満たないが、潮間帯という特殊環境下に成立するため、他の森林生態系に比べ、地下部に大量の有機物を蓄積している。しかし、その主要な供給源である根の生産・分解プロセスは不明のままであった。そこで本研究では、主として細根の蓄積・分解速度を、樹種別、立地環境別に明らかにすることを目的とする。対象地域は、熱帯湿潤環境下のミクロネシア連邦ポンペイ島とマングローブ分布の北限に近い亜熱帯環境下の西表島とする。対象樹種は、アジア太平洋地域における主要樹種で、ポンペイ島はフタバナヒルギ(<i>Rhizophora<br>apiculata</i>)、ヤエヤマヒルギ(<i>Rhizophora stylosa</i>)、オヒルギ(<i>Bruguiera<br>gymnorrhiza</i>)、マヤプシキ(<i>Sonneratia alba</i>)、ホウガンヒルギ(<i>Xylocarpus<br>granatum</i>)、西表島はヤエヤマヒルギ、オヒルギとする。<br><br>2.研究方法<br><br> 各樹種に対し、地盤高(冠水頻度)の異なる海側と陸側の2地点に試験地を設置し、細根蓄積速度はイングロースコア法、分解速度はリターバッグ法で検討した。イングロースコアは径3cmのプラスティック製で、約2mmのメッシュ構造となっている。コアは各プロットに10本埋設し、1年目と2年目にそれぞれ5本ずつ回収した。コア内に蓄積された根は生根と死根に分け、それぞれ乾燥重量を定量した。コア長は基盤深度に制約され20~70cmと異なるが、ここでは深度50cmまで(50cm未満のコアは得られた深度まで)の値で議論する。リターバッグにはナイロン製の布を用い、径2㎜未満の対象樹種の生根を封入し、各プロットの10cm深と30cm深に、それぞれ3個以上埋設した。<br><br>3.結果 <br><br> 1) 細根蓄積速度<br><br> ポンペイ島では、現時点でフタバナヒルギとヤエヤマヒルギ陸側の2年目のデータが得られていないため、ここでは1年目のデータを用いて検討する。細根蓄積量(生根死根合計)は、海側ではいずれの樹種も40~50 t/ha程度であったが、陸側では、ヤエヤマヒルギ、マヤプシキ、およびオヒルギが25 t/ha前後と相対的に少なかった。樹種毎に海側と陸側で比較したところ、フタバナヒルギの死根と生根死根合計、マヤプシキの生根と生根死根合計、オヒルギの生根死根合計で海側の方が陸側より有意に多かった。樹種間で比較すると、海側の生根はマヤプシキが有意に多かった。陸側の死根は、ヤエヤマヒルギがオヒルギ、マヤプシキ、フタバナヒルギより多い傾向にあり、陸側の生根死根合計は、ヤエヤマヒルギとホウガンヒルギがオヒルギ、マヤプシキ、フタバナヒルギより多い傾向にあった。海側の死根は、マヤプシキがヤエヤマヒルギ、オヒルギ、ホウガンヒルギより有意に少なかった。<br><br> 西表島の1年目の細根蓄積量は、ヤエヤマヒルギが海側で6 t/ha、陸側で9 t/ha、オヒルギが海側で4 t/ha、陸側で6 t/haであった。海側と陸側で比較すると、1年目、2年目共、いずれの樹種も有意差はみられなかったが、樹種間では2年目の陸側生根でヤエヤマヒルギがオヒルギより有意に多かった。標高がほぼ等しいヤエヤマヒルギの陸側とオヒルギの海側では有意差はみられなかったが、ヤエヤマヒルギの海側とオヒルギの陸側では前者が有意に多かった。<br><br> ポンペイ島と西表島で比較すると、ポンペイ島の方がヤエヤマヒルギで約7倍、オヒルギで4~7倍多かった。ただし、地上部バイオマスは、西表島のヤエヤマヒルギ林が80 t/ha、オヒルギ林の海側が54 t/ha、陸側が34 t/haであるのに対し、ポンペイ島のヤエヤマヒルギ林は216 t/ha、オヒルギプロットの林分は499 t/haであった。すなわち、地上部バイオマスはポンペイ島の方がヤエヤマヒルギ林で約2.7倍、オヒルギ林で9.2~14.6倍多く、ヤエヤマヒルギは地上部の相違以上に地下部の相違が大きいのに対し、オヒルギは地上部の相違ほど地下部の相違は大きくなかった。<br><br>2)分解速度<br><br> ポンペイ島におけるリターバッグ設置1年後の残存率は、ヤエヤマヒルギの海側10cm深で7.7%と極端に低く、フタバナヒルギの陸側30cm深とオヒルギは60~85%と相対的に高かった。他の樹種はおおよそ40~50%程度であった。西表島はいずれも50~60%で有意差はみられなかった。
著者
田淵 隆一 藤本 潔 持田 幸良 平出 政和 小野 賢二 平田 泰雅 菊池 多賀夫 倉本 恵生
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

ポンペイ島マングローブ林はI.Rhizophora stylosa群落、II.sonneratia alba群落、III.rhizophora apiculata・Bruguiera gymnorrhiza群落の3タイプに大別され、I、II群落は高密度の支柱根や呼吸根で特徴づけられる。泥炭層厚と^<14>C年代値とから主要群落の泥炭層厚と形成に要する期間を推定した。海側前縁部に成立するI、II型群落が深さ0〜0.5mで400年以内、最も分布面積が広いIII型では1〜2mで850〜1700年、ほとんどで1700年前後の時間が経過している。地上部現存量は、サンゴ礁原上の成熟林は2004年時点で566ton/ha、エスチュアリ域の発達した林で2005年に704ton/haと推定されなお旺盛に成長中であり、成熟林での炭素蓄積はポンペイ島で160〜300ton/ha程度、炭素蓄積速度は年当りおよそ0〜3ton/ha/yr程度と非常に高い。炭素貯留はほとんど泥炭によるものであり、年間15ton/ha程度供給される小型リターの貢献度は低い。また年平均で3〜4ton/ha程度の大型リターが枯死個体として供給される。泥炭としての炭素量は高く、2000ton/ha程度にも達する林がある。森林の更新は成熟林分下では大型ギャップができない限り暗く困難である。材分解特性を明らかにし、分離された木材腐朽担子菌Fomitopsisi pinicolaからいくつかの機能性遺伝子を単離し、厳しい環境条件を許容する能力をみとめた。高分解能衛星データを同島におけるマングローブ林域を抽出、種組成によるゾーニングと個体サイズからの林分タイプのマッピングを行ない炭素蓄積量の面的評価を行なった。