著者
酒井 悠輔 坂本 信介 加藤 悟郎 岩本 直治郎 尾崎 良介 江藤 毅 篠原 明男 森田 哲夫 越本 知大
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.57-65, 2013 (Released:2013-08-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

飼育下でアカネズミ(Apodemus speciosus)の自然交配による繁殖を誘導できる飼育交配手法を検討した.巣穴環境を擬似的に再現することで繁殖が誘導できるとの作業仮説のもと,ケージ内の床敷きを覆うように板を設置した中蓋あり飼育ケージを考案した.季節的な環境要因の影響を考慮するため,自然環境温度・自然光周期条件である半野外飼育施設において中蓋あり条件と中蓋なし条件で交配実験を行った.さらに環境条件が一定の室内飼育施設においても中蓋あり条件で交配実験を行った.その結果,半野外飼育施設の中蓋なし条件で雌個体の妊娠が確認されたのは11個体中1個体で1例のみだったのに対し,同施設での中蓋あり条件では9個体中4個体で6例の繁殖が誘導された.さらに室内飼育施設での中蓋あり条件では10個体中4個体で12例の繁殖が誘導でき,繁殖したペアの多くが複数回の繁殖を行った.半野外飼育施設の結果から,飼育ケージに中蓋を設置し疑似巣穴環境を再現することで,飼育下においてアカネズミの繁殖が誘導できることが示唆された.さらに繁殖の誘導が困難とされてきた室内飼育条件においても,繁殖に適した物理環境条件下であれば中蓋を用いることで繁殖を誘導できることが明らかとなった.これらのことから,飼育下における本種の繁殖誘導には飼育ケージに中蓋を設置するという簡便な手法が有効であると考えられる.
著者
尾崎 まみこ 佐倉 緑 尾崎 浩一 尾崎 浩一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

クロオオアリの全ゲノム解析と、触角(嗅覚器)の遺伝子発現解析を、カースト別に網羅的に行ない、完成度の高い嗅覚受容体遺伝子のカタログを取得した。また、バイオインフォマティクス解析により、社会行動を保証する巣仲間識別機構の中心的働きを担う、100~130個の嗅覚受容神経をもつ炭化水素感覚子で発現する121種の嗅覚受容体遺伝子とCSP遺伝子を特定、その進化的分岐点を推定し、これらの嗅覚受容体遺伝子群が社会性を持つアリ類で爆発的に進化したことを証明した。これらの嗅覚受容体遺伝子群は、女王と働きアリ(共に雌)で、発現しているが、結婚飛行時以外に巣外に出ることのない雄アリには発現していないことを確認した。
著者
尾崎 弘之 大木 裕子
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究のまとめとして、2012年に著書「社会変革期の成長戦略:グリーンラッシュで生まれる新市場を狙え」を出版した。元々、エネルギー、リサイクルなど限られた業界が担ってきた環境ビジネスに、幅広い業界からの参入とシナジー効果が見られる。新しい市場が形成される状況を「グリーンラッシュ」と名付けた。グリーンラッシュとそこから生まれるベンチャー企業のイノベーションは今後の経済成長に貢献する可能性が高く、研究意義が高いと思われる。
著者
井上 勝広 重松 武 尾崎 行生
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.547-551, 2007-10-15
被引用文献数
3

アスパラガスの半促成長期どり栽培において,立茎開始時期と親茎の太さが若茎の階級別収量に及ぼす影響について検討した.立茎開始時期が遅いほど春芽の収量は高かったが,夏芽の収量は減少した.全期間の収量性は春芽の収穫開始50〜60日後に立茎した区で最も高かった.また,直径10〜14mmの親茎を立茎した場合に,夏芽,翌年の春芽,年間収量およびL級の収量が最も高かった.
著者
尾崎 美和子
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

これまでの我々の研究から、統合失調症関連遺伝子ニューレグリン(NRG)は50Hz付近から100Hz間の周波数刺激により膜貫通ドメインのすぐN末側で蛋白切断を受け細胞外に切り出されることが解っている。実際に、統合失調症患者の血液サンプルを用い、分泌型NRGの血中量と遺伝子多型を解析することにより、統合失調症患者では、その発病と改善に分泌型NRGの量が関与していることを明らかにした。また統合失調症患者の分泌型NRG量の変動が発病と関連があること、発病の際、前頭前野や聴覚野における50~80Hz付近の神経活動消失や乱れが観察されることから光計測系で分泌量と神経活動を同時計測し、その結果を脳刺激にフィードバックする仕組みを構築しようとしてきた。そのため必要な蛍光物質を様々な角度から合成、スクリーニングを行った結果、脳機能(神経活動)を高感度で検出できる温度感受性色素を得ることができた。神経活動変化に伴う細胞内カルシウム濃度変化が発熱・吸熱反応を引き起こし、その変化を蛍光強度変化計測することにより検出するシステムである。一方、NRGの蛋白分断と分泌を追跡するための新規プローブの合成にも成功し、両者を同時観測可能なところまできた。また、脳深部の計測を可能にするため、バンドル化した光ファイバー表面に色素を塗布することにより脳深部に於ける光計測をミリセカンドの時間分解能、20~50マイクロメータの空間分解能で計測できるシステムとし、同時に光刺激も可能となった。実際に脳スライス、動物個体に応用することによりそのプロトタイプの評価を行っている。
著者
山野 英嗣 尾崎 正明 稲賀 繁美 川島 智生 加藤 哲弘 河上 繁樹 中川 理 並木 誠士 廣田 孝 前田 富士男 増田 聡 藪 亨 新見 隆 出川 哲朗 中川 克志 松原 龍一 池田 祐子 小倉 実子 牧口 千夏 中尾 優衣 河本 信治
出版者
独立行政法人国立美術館京都国立近代美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本近代における建築、デザイン、工芸を対象としながらも、ジャンルを超え、そして国境を超えた動向について総合的に検証したものである。研究成果は、最終的に一冊の図書としてまとめた他、研究代表者が所属する美術館においても展覧会やシンポジウムを開催し、研究成果を広く発信した。東西の文化交流、そしてジャンル間を交差する表現への注目など、時宜を得たテーマとして、建築、デザインそして工芸の各領域において、新たな視点が提言されたと思われる。
著者
尾崎 一郎 高橋 裕 池田 公博 濱野 亮 ヴァンオーヴェルベケ ディミトリ
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ベルギー、ドイツ、フランスにおいて、陪審・参審員経験者、および裁判官、弁護士、研究者、ジャーナリスト等へのインタビューやアンケートによる調査を行った。その結果、陪審/参審制度に対する、現場を最もよく知る専門家による強い批判ないし廃止論と、無知・無関心だが法廷経験を通じて制度の正統性を肯定的に評価するに至る一般市民の意識変化との、複雑な交錯を見出せた。これは、歴史的に一定の定着を見ている制度をめぐる根源的で非自省的な正統性と、機能主義的で自省的な正統性との、次元の異なる二重の正統性の現れである。
著者
李 咏梅 菅原 一孔 尾崎 知幸 小西 亮介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.167, pp.37-42, 2002-06-20

指数減衰信号の周波数推定手法としてR.Kumaresan及びW.Tufts(KT)によって提案されたKT手法がよく知られている.KT手法では線形後ろ向き予測法と特異値分解が重要な役割を果たしている。しかし,信号の中で雑音が増加した場合,KT手法では周波数の推定は困難である.本論文では、雑音が増加した場合においても,良好な周波数推定を行うための手法を提案する.提案手法では、前向きと後ろ向き線形予測法に基づいて,異なった時間信号区間を用いて信号に対する零点グループを抽出ことにより,信号に含まれる周波数を推定する.シミュレーション結果により,提案手法はKT法に比べ良好な推定結果が得られることを示した.

1 0 0 0 OA 欧米の空気

著者
尾崎行雄 述
出版者
日支経済通信社出張所
巻号頁・発行日
1920
著者
酒井 悠輔 坂本 信介 加藤 悟郎 岩本 直治郎 尾崎 良介 江藤 毅 篠原 明男 森田 哲夫 越本 知大
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.57-65, 2013-06-30

飼育下でアカネズミ(<i>Apodemus speciosus</i>)の自然交配による繁殖を誘導できる飼育交配手法を検討した.巣穴環境を擬似的に再現することで繁殖が誘導できるとの作業仮説のもと,ケージ内の床敷きを覆うように板を設置した中蓋あり飼育ケージを考案した.季節的な環境要因の影響を考慮するため,自然環境温度・自然光周期条件である半野外飼育施設において中蓋あり条件と中蓋なし条件で交配実験を行った.さらに環境条件が一定の室内飼育施設においても中蓋あり条件で交配実験を行った.その結果,半野外飼育施設の中蓋なし条件で雌個体の妊娠が確認されたのは11個体中1個体で1例のみだったのに対し,同施設での中蓋あり条件では9個体中4個体で6例の繁殖が誘導された.さらに室内飼育施設での中蓋あり条件では10個体中4個体で12例の繁殖が誘導でき,繁殖したペアの多くが複数回の繁殖を行った.半野外飼育施設の結果から,飼育ケージに中蓋を設置し疑似巣穴環境を再現することで,飼育下においてアカネズミの繁殖が誘導できることが示唆された.さらに繁殖の誘導が困難とされてきた室内飼育条件においても,繁殖に適した物理環境条件下であれば中蓋を用いることで繁殖を誘導できることが明らかとなった.これらのことから,飼育下における本種の繁殖誘導には飼育ケージに中蓋を設置するという簡便な手法が有効であると考えられる.<br>
著者
岸 映里 油谷 藍子 尾崎 麻子 新矢 将尚 加田平 賢史 大嶋 智子 清水 充
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.111-116, 2013-04-25 (Released:2013-05-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づき,ホウレンソウのウラン(U)含有量を定量した.はじめに,マイクロ波分解装置を用いる有効性を検討し,マニュアル法と同等の定量値が得られることを示した.短時間で試験溶液が調製できることから,緊急時に対応するためには非常に有効であると考えられた.また,ICP-MS測定の際に2種類の内標準元素(TlまたはBi)が示されているが,低濃度のUを定量する場合は,よりUに近い感度変化を示すTlを用いるほうが望ましいと考えられた.ただし,試料によっては微量のTlやBiを含有するものがあるため,あらかじめ試験溶液中のそれらの量を確認する必要があることがわかった.平成23年4~5月に購入したホウレンソウ9検体のU含有量を定量したところ,いずれも10μg/kg以下であった.
著者
山内 健生 尾崎 清明
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.97-99, 2007-03-20 (Released:2009-03-20)
参考文献数
6
被引用文献数
2

2005年8月21-22日に沖縄島国頭村西銘岳で2雌の Ornithoica exilis(ハエ目:シラミバエ科)を2個体のヤンバルクイナ Gallirallus okinawae 幼鳥の体表から採集した。宿主のヤンバルクイナはいずれも良好な健康状態であった。今回の記録は沖縄島における O. exilis の初記録であり,ヤンバルクイナは O. exilis の新宿主記録となる。
著者
城戸 尚治 兼板 佳孝 尾崎 米厚 谷畑 健生 神田 秀幸 大井田 隆
出版者
NIHON UNIVERSITY MEDICAL ASSOCIATION
雑誌
日大醫學雜誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.428-435, 2012-12-01

全国約 10 万人の中高生を対象とした大規模疫学調査データを用いて喫煙行動と不眠の関連性について検討を行った.調査デザインは断面標本調査とした.2004年から 2005 年にかけて全国学校総覧より無作為抽出した中学高校の在校生を対象に自記式質問調査票による調査を行い,回答に不備のなかった 102,451 人分の調査票を解析した.入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の有訴者率は,喫煙日数,喫煙本数が多いあるいはニコチン依存度が高いほど有意に高値を示した.多重ロジスティック回帰分析により非喫煙者に対する調整オッズ比を算出した結果,毎日喫煙する,1 日 21 本以上喫煙する,朝起きていつもすぐに吸いたくなるという群が最も高値を示し,いずれも有意な関連が認められた.これら体内のニコチン摂取量と不眠症状の関係から,喫煙行動と不眠の間に密接な関連があることが示唆された.今後,学校において喫煙防止と睡眠衛生を含めた包括的な対策が必要である.
著者
城戸 尚治 兼板 佳孝 尾崎 米厚 谷畑 健生 神田 秀幸 大井田 隆
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大醫學雜誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.428-435, 2012-12-01
参考文献数
30

全国約 10 万人の中高生を対象とした大規模疫学調査データを用いて喫煙行動と不眠の関連性について検討を行った.調査デザインは断面標本調査とした.2004年から 2005 年にかけて全国学校総覧より無作為抽出した中学高校の在校生を対象に自記式質問調査票による調査を行い,回答に不備のなかった 102,451 人分の調査票を解析した.入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の有訴者率は,喫煙日数,喫煙本数が多いあるいはニコチン依存度が高いほど有意に高値を示した.多重ロジスティック回帰分析により非喫煙者に対する調整オッズ比を算出した結果,毎日喫煙する,1 日 21 本以上喫煙する,朝起きていつもすぐに吸いたくなるという群が最も高値を示し,いずれも有意な関連が認められた.これら体内のニコチン摂取量と不眠症状の関係から,喫煙行動と不眠の間に密接な関連があることが示唆された.今後,学校において喫煙防止と睡眠衛生を含めた包括的な対策が必要である.