著者
筑波 隆幸 山本 健二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.15-20, 2003 (Released:2003-06-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

カテプシンEは免疫細胞や皮膚などに限局的に存在する細胞内アスパラギン酸プロテアーゼである.我々はカテプシンEの機能を解析するために遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)を作成した.カテプシンE欠損マウスは無菌(Specific pathogen-free, SPF)環境下で飼育しても,全く異常は認められなかったが,コンベンショナル(Conventional)環境下で飼育するとアトピー性皮膚炎様症状を示した.このマウスは病理組織学的にもアトピー性皮膚炎の特徴である表皮肥厚と皮下組織への好酸球,マクロファージ,リンパ球,肥満細胞などの細胞浸潤が認められた.また,血液学的解析でも,高好酸球血症と高IgE血症が見られ,脾臓細胞からのIL-4,IL-5などのTh2サイトカインの産生上昇が観察された.さらに,血清でのIL-1βおよびIL-18濃度の上昇とこれらのサイトカインの生物学的半減期の遅延が認められた.アトピー性皮膚炎患者においても,カテプシンE量が健常者とくらべて有意に減少していることから,ヒトおよびマウスともにカテプシンEの欠損あるいは低下によりアトピー性皮膚炎発症を惹起することが分った.
著者
山本 健一
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.449-457, 1965-06-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5

In these days when it seems as if the steam engine of the 19 th century and the reciprocating type internal combustion engine have been developed to their peaks in all aspects, development of revolutionary engines based on principles entirely different from those of the conventional engines are being carried out actively?-aiming at an engine to be handed over to the next century.The following is a description of the NSU-Wankel rotary piston engine, which is said to be taking the lead in the development for industrialization among the various types of rotary piston engines, outlining the progress of development, principle, structure, and function of this distinctive engine.
著者
石川 彰夫 奥井 誠人 山本 健詞 井ノ上 直己 寺谷 メヘルダド 高橋 桂太 藤井 俊彰
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.J174-J182, 2018 (Released:2018-09-26)
参考文献数
26

近年,臨場感を高めるため,人物を等身大で表示できる大型のディスプレイが注目されている.さらに大型の裸眼立体ディスプレイも研究開発が進められており,臨場感のある視聴体験が期待されている.しかし,大型ディスプレイで裸眼立体のための運動視差を実現するためには,100~200視点の映像が必要になる.一方,2020年頃に第5世代移動通信システム(5G)の実用化が予定されており,この通信帯域で数百視点の映像を視覚的な劣化が少なく伝送できれば,場所を限らず視聴できることになる.筆者らは数百視点の映像を圧縮伝送するアルゴリズムSecond-MVDを開発し,既に開発していた200視点の多視点映像伝送システム「REI」に実装して,5Gで想定されている大量のデバイスとの同時通信環境における平均スループットである100Mbps以下の環境を想定した主観評価実験を行った.その結果,想定環境下で4以上のMOSを達成する結果が得られた.
著者
山本 健一
出版者
日本AEM学会
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.468-472, 2018
被引用文献数
1

<p> When compressive stress is applied to electrical steel sheets in their thickness direction, both permeability and magnetic losses change. The stress induced loss reduction was observed both ring and strip specimens, and they are mainly from hysteresis loss change due to the stress. Magnetizing process due to the stress is discussed by means of domain observations.</p>
著者
尾口 仁志 軽部 康代 山本 健 森戸 光彦
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.346-353, 2011 (Released:2012-04-10)
参考文献数
29

体感異常症 (セネストパチー) は本来精神科の疾患であるが, 症状が口腔内に出現することから身体科である歯科を受診する機会が多く, 何らかの対応が求められる。最近経験した高齢者のセネストパチーと考えられた2症例から, 歯科医師における本疾患に対する対応について考察する。症例1 : 78歳, 男性。主訴は, 歯の裏側のエナメル質が溶けゴムのように伸びる透明なものが次から次に出るで, 精神科での治療を強固に拒否した。傾聴, 受容を中心として訴えを否定することなく本疾患の病像を具体的に説明し, 歯科領域にもあることを説明したところ, 症状に対する不安が解消した。薬物療法を併用したが病態自体に変化がなく, これ以上の歯科での治療には限界があることを伝え, 最終的にはスムーズに心療内科での治療を承諾し治療を依頼した。症例2 : 76歳, 男性。主訴は, 口の中から螺旋状のバネ, 毛, 棒のようなものが出てくるであった。脳外科, 耳鼻科, 歯科などを受診しているが, いずれも異常なしと言われていた。同様に本疾患について説明したところ, 話を聞いてもらえたとのことで当科での治療を希望した。3カ月後には, 気づき, 洞察が得られ治療を終了とした。本疾患に対する歯科の対応としては, 精神科医などとの密なリエゾン療法, または患者の了解が得られた段階で, 早期に精神科などに治療を依頼すべきであると考えている。そのためにも, 歯科医師の精神科的疾患に対する理解と心身医学の習熟が重要であると考えられた。
著者
筑波 隆幸 山本 健二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.1, pp.15-20, 2003-07-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

カテプシンEは免疫細胞や皮膚などに限局的に存在する細胞内アスパラギン酸プロテアーゼである.我々はカテプシンEの機能を解析するために遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)を作成した.カテプシンE欠損マウスは無菌(Specific pathogen-free, SPF)環境下で飼育しても,全く異常は認められなかったが,コンベンショナル(Conventional)環境下で飼育するとアトピー性皮膚炎様症状を示した.このマウスは病理組織学的にもアトピー性皮膚炎の特徴である表皮肥厚と皮下組織への好酸球,マクロファージ,リンパ球,肥満細胞などの細胞浸潤が認められた.また,血液学的解析でも,高好酸球血症と高IgE血症が見られ,脾臓細胞からのIL-4,IL-5などのTh2サイトカインの産生上昇が観察された.さらに,血清でのIL-1&beta;およびIL-18濃度の上昇とこれらのサイトカインの生物学的半減期の遅延が認められた.アトピー性皮膚炎患者においても,カテプシンE量が健常者とくらべて有意に減少していることから,ヒトおよびマウスともにカテプシンEの欠損あるいは低下によりアトピー性皮膚炎発症を惹起することが分った.<br>
著者
山本 健太郎
出版者
中国社会文化学会
雑誌
中国 : 社会と文化 (ISSN:09129308)
巻号頁・発行日
no.32, pp.117-137, 2017-07
著者
小林 創太 筒井 俊之 山本 健久 西口 明子
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.1255-1258, 2007-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
11

我が国のヨーネ病摘発農場に対して全国的な疫学調査を実施し,感染農場の初摘発時におけるヨーネ病の農場内浸潤度を示唆する疫学的指標を検討した。本研究では初摘発から1年以内に感染牛が再摘発される農場では,その農場が初摘発される以前に農場内伝播が成立していると仮定し,各農場の監視期間中の追加摘発状況を観察したところ,新規に摘発された594農場のうち,158農場(27%)で再摘発が認められた.また,初摘発時の疫学情報をロジスティック回帰分析に供したところ,3つの疫学的な指標が再摘発と関連していた.すなわち,「初摘発時に発症牛がいる」,「初摘発時に複数頭摘発される」,および「牛舎形態がつなぎ飼いでない」農場は,「初摘発牛に発症牛がいない」,「初摘発頭数は1頭のみ」,および「つなぎ飼い」の農場に比べ,それぞれ3.8(95% confidence interval: 2.2,6.8),2.8(95% CI: 1.8,4.5),および2.0(95% CI: 1.1,3.6)倍再摘発されやすいことが示唆された.家畜衛生関係者にとってこれらの疫学的指標は,より集中的な防疫対策を実施するべきか否かをヨーネ病の初摘発時に判断する際の重要な指標になると思われた.
著者
山本 健二
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1977

博士論文
著者
山本 健太郎 崔 原齊 三浦 佳世
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.9-18, 2014-09-30 (Released:2014-11-26)
参考文献数
23
被引用文献数
2

This study examined whether tactile information influences tactile impressions induced by visual textures. We used 22 natural images of materials (22.4°×22.4°; presentation duration of 100 ms) and asked participants to report the intensity of four types of tactile impressions described in onomatopoeias and an adjective (i.e., “zarazara” (coarsely), “tsurutsuru” (slipperily), “kasakasa” (dryly), and “komakai” (fine)) by making notations on each line-scale with check marks. We asked the participants to evaluate the visual textures during or after touching an index finger to a rotating cylinder (7.7 cm in diameter; approximately 10 rps) with regularly indented surfaces (visuo-tactile condition), and without touching the rotating cylinder (visual condition). The results revealed that, when the tactile stimulus was presented simultaneously with the visual textures, tactile impressions of them were evaluated higher in the visuo-tactile condition than in the visual condition. Particularly, three of the four tactile impressions (i.e., “zarazara”, “kasakasa”, and “komakai”) were strongly affected by the tactile stimulation. In contrast, when the tactile stimulus was presented prior to the visual textures for twenty seconds, the three impressions were evaluated lower in the visuo-tactile condition than in the visual condition, possibly resulting from a cross-modal aftereffect of adaptation to the tactile stimulus. Moreover, these effects were observed regardless of the similarity of tactile impressions between the visual and tactile stimuli. These results indicate that tactile information influences tactile impressions induced by visual textures. This effect might occur at the level of sensory processing.
著者
遠藤 優 涌波 光喜 下馬場 朋禄 角江 崇 市橋 保之 山本 健詞 伊藤 智義
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 39.10 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.33-36, 2015-03-02 (Released:2017-09-22)

本研究では,自然光下の実シーンを計算機合成ホログラム(CGH)として記録するための手法として,市販のライトフィールドカメラであるLytroを用いる手法を提案する.本手法では,Lytroによって取得されたライトフィールドを波面に変換してCGHを計算する.また計算したCGHの光学再生実験を行い,本手法の有効性の検証を行った.
著者
山本 健兒
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.131-155, 1997-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1

本稿の目的は,内藤 (1996) とSen and Goldberg (1994) の主張を,さまざまな文献に照らし合せて再検討し,移民問題研究のための基礎的視角を提示することにある.両者に共通する主張は,差別されるがゆえに在独トルコ人の間でイスラム主義が広がる,というものである.しかし,イスラム諸組織の性格把握と差別の内容について,無視しえない差が両者の間に認められる.本稿では,イスラム諸組織の多様性と性格の不透明性を示すとともに,在独トルコ人に占めるイスラム諸組織参加者の比率を推計した.さらに,差別がイスラム主義への傾斜をもたらすという論理に,より踏み込んだ議論を展開している内藤 (1996) の論拠を検討した.また, Sen and Goldberg (1994) は国籍が移民問題の鍵になるとみているので,在独トルコ人のドイツ国籍取得に関する動向も分析した.以上の検討から明らかなことは,在独トルコ人社会の中に多元性が認められる,ということである.他方,ドイツ社会も多元的である.それゆえ,ドイツ人と在独トルコ人との関係を分析する際には,二つの多元性に注意する必要がある.