著者
橋本 巌 後藤 仁敏 小寺 春人 井上 孝二
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.332-349, 1976 (Released:2010-10-08)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

サケ科魚類の口腔に歯が多数分布していることはよく知られているが, 著者らはニジマスでは咽頭にも咽頭歯と鰓耙骨歯 (鰓弓面の鰓耙にあり, 鰓耙骨に植立する) の2群の歯があることをみて報告してきた。ここでは, このような歯が他のサケ科3属5種 (サケ属ヒメマスとヤマメ, ニジマス属ブラウンマス, イワナ属イワナとカワマス) にも分布しているかどうかを検索した。口腔から消化管起始部まで, X線撮影やalizarin red染色等を行って内腔面を精査し, また光顕組織標本を作製して鏡検した。その結果, 咽頭に上下の咽頭歯群と多数の鰓耙骨歯が認められた。これらの歯は口腔の歯と同様, 円錐形で均質な象牙質からなり, 多生歯性で, ただ微細な鰓耙骨歯だけは歯堤の出現なしに形成されるなど, ニジマスと同様であった。結論として, これらの淡水産マス類では口腔と咽頭に同様の歯が共通してみられ, 分布状態もほとんど同様であるが属により若干差異がみられた。
著者
矢島 拓弥 後藤 春彦 山崎 義人 遊佐 敏彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.670, pp.2387-2394, 2011-12-30 (Released:2012-03-02)
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

The past improvements of bicycle roads had put central emphasis on linear components, such as running bicycle lanes parallel to roadways. However, the past research on this topic show the growing needs of further improvement of planar components, including other roads. This study defines“detour activities”as side-trips that provide wider range of routes within a plane, and by questionnaire targeting bicycle tourists, the followings have been clarified: 1) the actual behavior of bicycle tourism, 2) spatial characteristics that induce detour activities. Given the above, this paper discusses improvements of bicycle roads that will promote“detour activities”.
著者
宮川 良博 森 拓也 後藤 桂 川原 勲 國安 弘基
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.I-148_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【背景・目的】 近年, 中鎖脂肪酸はその摂取による内臓脂肪の蓄積抑制効果, 担癌体での抗腫瘍効果が報告され注目を集めている. 今回, 中鎖脂肪酸の骨格筋に対する影響を細胞培養実験, 動物実験により検討した.【方法】 実験には中鎖脂肪酸であるラウリン酸 (LAA) を使用した. 初めにマウス骨格筋細胞株であるC2C12筋芽細胞を用い, コントロール (Con) 群, LAA低負荷 (Low) 群, LAA中等度負荷 (Med) 群, LAA高負荷 (High) 群に分け, 10%FBS混合培養液にそれぞれLAAを添加し48時間培養した. その後, MTS assayにより増殖能を, mitogreen染色によりミトコンドリア量を評価した. また, C2C12筋芽細胞を筋管細胞へ分化させ, 同様の4群にて48時間培養しミトコンドリア量の変化を評価した. 次に動物実験としてBALB/c雄性マウスを用い, 標準餌CE-2にLAAを重量比で2%, 5%, 10%添加した餌を用意しControl (Con) 群を含め4群で比較検討した. 実験期間は15日とし1〜2日毎に体重, 食餌摂取量を測定, 犠死後に大腿四頭筋を摘出し重量を測定した. 摘出した大腿四頭筋はペレット化したのちタンパク質を抽出し, LETM1抗体, MYL1抗体, 抗4-HNE抗体を用いウェスタンブロット法にてミトコンドリア量, ミオシン軽鎖の発現量, 酸化ストレスの蓄積量を比較した.【結果】 C2C12筋芽細胞の増殖能はCon群と比較しLow群で増加, High群で低下した. 筋芽細胞におけるミトコンドリア量はLow群で増加, Med群, High群で低下し, 筋管細胞ではHigh群で低下が認められた. 動物実験では, 10%群は実験開始より著明な体重減少を認め, 5日目に瀕死となり安楽殺した. その他の群については5%群は13日目, 2%群, control群は15日目に安楽殺した. 摂取カロリーに群間差を認めなかったが, 体重は5%群, 10%群で, 大腿四頭筋重量は10%群でCon群と比較し減少した.タンパク質定量解析では2%群にて酸化ストレスの蓄積量の減少, ミトコンドリア量の増加, 10%群にてミトコンドリア量, ミオシン軽鎖の発現量の減少が確認された.【考察および結論】 本実験により, 低濃度の中鎖脂肪酸は骨格筋の成長を促進し, 高濃度ではミトコンドリアの減少, 骨格筋の萎縮を招く可能性が示唆された. 中鎖脂肪酸は細胞膜, ミトコンドリア膜を通過する際に輸送体を必要としないため, 長鎖脂肪酸と比較し急速に代謝される. そのため低負荷ではミトコンドリアのターンオーバーを促進し代謝を活性化, 高負荷では過負荷となりミトコンドリアの機能障害を誘発した可能性がある. 今後その機序について詳細に解析し, 臨床への応用の可能性を検討する.【倫理的配慮,説明と同意】本実験は, 奈良県立医科大学動物実験委員会の承認を得た.
著者
後藤 淳
出版者
東亜大学
雑誌
総合人間科学 (ISSN:13461850)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-61, 2003-03

人間は、あたかも一人の個人が成長の段階で行なうように、自らの知を量的にも質的にも変化させてきた。その成果は特に技術知に関する領域において顕著であるが、決してそれに留まるものではなく、人間自身を眺めるという内的省察においてもその痕跡を窺うことができる。本稿の目的は、古代ギリシア思想史の中に、人間知への眼差しが変化した具体的言説を求めることであり、またその時期を確定することにある。従来の思想史では、現代的批判に耐えうるだけの自己をギリシア人が獲得したのは、ソクラテスにおいてであるとされてきた。なるほど彼の思想には、問答法により既得の知を検証するという明確な方法論と、アポリアに陥ることを了解したうえで、それでも人間全体に知を探求する途が可能性として了承されている。しかし、彼に先行するいわゆる前ソクラテス期の思想家たちの断片を検証すると、なるほど言表の形式は異なるにしても、ソクラテスと同様の自己発見の過程を見いだすことができると思われる。人間知の発展形式が、その最初に知の対象を自分の外側に求めることは自然なことである。この意味では、知はまず量的な変化を蒙ることになる。しかし、量的知の集積に留まることに満足せず、獲得した個別知の関連を問うことを通してそれらの背後にある共通の根拠へと遡行する時期が訪れる。本稿に取り挙げたクセノファネスとヘラクレイトスは、近い時期を生きながらも対象的な思想を展開した。われわれは、前者の中に量的知の保証にもかかわらず相対論的地点に留まる危惧を、それに対して、後者には知の質的深化を保証する思想を見ることができる。彼らの複数の断片を手掛かりにすることによって、本稿の目的である知の深化に関する過程を検証するとともに、ソクラテス的自己の発見を、すなわち思弁的自己への覚醒を、ヘラクレイトスの思想の中に見ることができることを論証する : It's said human beings has improved the content of his wisdom quantitatively and qualitatively, just like a man does in the process of his growth. The traces are especially evident in the field of science and technology. But those kinds of traces are to be confirmed even in the self-reflection toward our inner world. The purposes of this article are 1) to seek for the concrete sayings that testify the change of human wisdom, and 2) to settle its time in the history of Greek philosophy. The history of Greek philosophy tells us the Greeks didn't attain the concept of self which could hold back the mordern critical view until Socrates. In the thought of Socrates it's true that there is the clear methodology certificating the gotten wisdom by means of dialectic, and that there is possibility which searches the wisdom for all the human beings, but the same kind of speculation can be found in the thoughts of pre-Socratics. We are probably able to come across the process of struggle which aims at self-research in some extant fragments of theirs apart from the differences of vocabu-laries and contexts. It's natural our recognition should extend itself toward the outer world as the first step. In this point, our knowledge or wisdom comes to be suffered from the quantitative change. But as the second, the time surely comes when we go up the rivers of some knowledge toward their common origin. Xenophanes and Heraclitus individually developed the characteristic thoughts. We can see in the former the crisis of the relative point of view, in the latter the possibility of the deepening of the human wisdom. By checking their extant fragments, we can put forward the time when human beings become conscious of the concept of self from Socrates to Heraclitus.
著者
田村 直良 後藤 敏行 島田 広
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1.データベースについて:プロトタイプを構築した。同一楽譜の異なる点訳に対応でき、五線譜から点字楽譜への変換機構も自動的に呼び出せる。ホームページ等により公開していく予定である。2.点字楽譜ビューア(統合環境)について:点字楽譜の構成要素ごとの色分けや点字プリンタへの出力機能を持つ。点訳作業の検証工程や、晴眼者の点字楽譜習得、視覚障害者教育での利用も可能である。3.点字楽譜XMLの仕様策定について:Contrapunctusプロジェクト(2006~2009)でBMMLと呼ばれるXMLが公開され、これを採用する。
著者
後藤 淳
出版者
東亜大学
雑誌
東亜大学紀要 (ISSN:13488414)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-19, 2013-09

本稿では,ヘラクレイトスにおける認識論について論ずる。議論の前提として,彼の認識論は自然学的宇宙論から切り離して考えることができず,あくまでも,後者の枠内での議論であることを了解しておかねばならない。 ヘラクレイトスは「魂(ψυχή)」を人間の認識主体とした。「魂」はアルケーである「火」と同様の質料的性質を持つことから,その変化に相応して人間の認識も恒常的に変化を蒙る。このような制約下にありながら,しかし「魂」には「自己成長するロゴスを持つ」(断片115)とされることから,能力の伸長可能性が人間に保証されている。 「認識すること」自体については,σοκέω → γιγνώσκω → φρονέω というように,認識対象に関してその「何であるか」をどのように自覚しているかに応じて,その内容が深化する。このことは,対象の皮相を「受取り思う」だけの状態から,「万物が一である」ことを覚知するという点までの認識活動における変化相を意味するものである。 彼による「万物が一である」という人間「知」の内容については,万物の「多」と「知」の「一」を接合させるものであり,「一と多の問題」という認識論が持つ課題に先鞭をつけるものである。彼によれば,「多」として顕現する事象があくまでも「火」の変化諸位相に過ぎない以上,「多」と「一」は同じものである。人間の質料的「魂」がその性質において最も「火」に近似した状態に保つとき,すなわち,その能力としてφρονέω を発揮するとき,人間は対立的事象の中に「万物が一である」という「知」を見抜くことになるのである。彼の断片101を彼自身の「知」への到達宣言であると理解することにより,断片中において複数形で批判される人間たちの「知」との相違が明らかとなる。
著者
後藤 淳
出版者
東亜大学
雑誌
東亜大学紀要 (ISSN:13488414)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-34, 2010-01

本論文は,前ソクラテス期の思想家たちが「質料」と「生命」あるいは「生命体」との関係を如何に考えたかについて,現存する諸断片と学説誌家たちの証言を資料としながら検証することを目的とする。彼らの多くは「生命」に関する言説を残してはいるものの,彼らがコスモスのアルケーとした「質料」とそれとの関係を十分に論じているのであろうか。筆者はこの検証を,1.モノ自身が何らかの生命的変質を生起するのであるか,それとも2.モノの変化により説かれる世界図式の中に生命に関する何らか別図式が重複転化されているのであるか,という二つの仮説を検討することにより行った。1.については,アナクシマンドロスの断片に関する証言や,パルメニデスが語る逆説的言説の中に生命の発生に関するものが残されてはいるものの,しかし,それらはすべて何故あるいはどのように質料が生命性を持つのかに関する論拠を欠くものであることを見た。さらに,2.についても,生命の座とされる「魂」を中心とする図式は,例えばヘラクレイトスにおいては,アルケーとされる「火」との質料的相似性を謳われてはいるものの,それにもかかわらず,それが持つとされる「思惟」の質料的側面に関する論拠が提示されていないために,曖昧であると判ぜざるを得ない。資料に基づく考察の結果,前ソクラテス期の思想の中では,コスモスのアルケーとされる「質料」と「生命」との関係は,明確な根拠を欠いたまま提示されている,あるいは,類似した同心的別図式を質料的世界の中に曖昧に重ね合わせたものであることが明らかとなった。