著者
本郷 一博 柿澤 幸成 後藤 哲哉 酒井 圭一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.122-128, 2008-02-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

脳幹部病変のうち,海綿状血管腫,比較的限局した神経膠腫などは摘出術の適応となる場合がある.摘出術に際しては,術前の神経症状の改善を目指すのはもちろんであるが,新たな神経症状を生じさせない手術が必要である.そのためのキーポイントは,脳幹部の神経解剖を熟知し,脳幹病変に対してどこから進入し摘出を行うのが最適か,またその際に起こりうる神経症状がどのようなものであるかを十分に把握することである.そして,神経症状が最小限となる摘出ルートを選択することが重要である.さらに,術中の脳幹モニタリングあるいはマッピングにより,可能なかぎり機能温存を図ることも重要である.本稿では,海綿状血管腫の自験例を提示しつつ,機能温存の点から脳幹内の種々の病変部に対する最適な手術アプローチの選択について考察する.
著者
後藤 正利 二神 泰基 梶原 康博 髙下 秀春
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.219-227, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1 4

白麹菌は,九州地方において本格焼酎製造に古から広く利用されてきた有用糸状菌=「国菌」である。しかし,白麹菌醸造特性についての分子生物学的な知見はとほとんどない。本稿では,白麹菌について最新の分子生物学的なツールを用いたゲノム解析,高頻度相同性組換え宿主の育種,マイコトキシン非生産性の要因,クエン酸高生産要因遺伝子の探索,糖質加水分解酵素の機能同定などの研究成果について解説していただいた。「白麹菌らしさ」の秘密が明らかとされつつある。
著者
仲宗根 敏幸 又吉 亮 村橋 信 後藤 新平 丸山 修幸 新崎 章
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.780-785, 2019

<p>Clear cell odontogenic carcinoma (CCOC) was reclassified from a benign tumor to a malignant tumor by the WHO classification in 2005 because of its aggressive nature and potential for local recurrence and distant metastases. Only 81 well-documented cases have been reported to date to the best of our knowledge. A patient was referred to our clinic because of rapid swelling of the left side of the mandible. Computed tomography (CT) showed a bone defect in the mandible, but no cervical lymph node metastasis. We suspected a malignant tumor and performed a biopsy. We diagnosed CCOC of the left side of the mandible and performed segmental mandibulotomy. Histopathologically, the tumor consisted of clear cells containing diastase-digestive PAS-positive granules. Furthermore, immunohistochemistry showed that the tumor cells were immunoreactive for cytokeratins (CKs) 7, 17, 19, Ki-67 and vimentin, but non-reactive for CK20, smooth muscle actin (SMA), epithelial membrane antigen (EMA) and S-100 protein. The Ki-67 labeling index (LI) was 10%. We finally diagnosed CCOC. One year 5 months after surgery, the patient died of multiple organ failure caused by the multiple bone metastases. We discuss this rare case of multiple bone metastases developing from CCOC of the mandible and review the literature.</p>
著者
古賀 唯礼 本多 弘一 後藤 昌史 中村 秀裕 久米 慎一郎 志波 直人 大川 孝浩
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.540-543, 2019-09-25 (Released:2019-12-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

〈目的〉拘縮肩に対するサイレントマニピュレーション(SM)の治療成績を検討した.〈対象と方法〉拘縮肩症例26肩(平均年齢57.5歳)に対し,皆川らの方法に準じSMを施行し,経時的に評価した.〈結果〉術前/術後6ヵ月後の各平均値は,屈曲:109±25.4°/148±12.2°(P<0.0001),外転:96±38.8°/152.9±23.9°(P<0.0001),外旋:26.4±14.3°/43.8±18.7°(P<0.0001),内旋:L5±3.3/Th11±2.7椎体(P<0.0001)といずれも改善を認めた.またJOAスコア:40.9±9.6/65.6±9.6(P<0.0001),UCLAスコア:15.9±3.9/27.3±5.5(P<0.0001),およびVisual analogue scale(VAS)はVAS rest:26.3±33.8/5.1±10.9(P=0.0123),VAS night:38.1±33.6/4.7±8.9(P=0.0007),VAS motion:67.5±24.7/17±15(P<0.0001)といずれも改善した.〈結語〉SMは拘縮肩に対して有効な治療法と思われる.
著者
後藤 敬一 石橋 和樹 江崎 健二郎 山中 章喜
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.715-717, 2007-10-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
6

2004年1月, 38頭のホルスタイン種を飼養する酪農場において, 呼吸器症状を主徴とし, 下痢および搾乳量の減少を伴う疾病が認められた.発症牛群の糞便および鼻腔拭い液から牛コロナウイルス (BCV) 遺伝子が検出されるとともに, 鼻腔拭い液からBCVが分離され, さらに, 発症期および回復期の血清でBCVに対する鶏赤血球凝集抑制抗体価が有意に上昇した.いっぽう, 牛RSウイルス, 牛伝染性気管支炎ウイルス等の呼吸器病起因ウイルスは抗原検索, 分離ともに陰性であり, 抗体検査でも有意な上昇を示さなかった.また, 有意な病原細菌および寄生虫は確認されなかった.これらの結果から今回の症例はBCV単独によるものと思われた.
著者
渡部 聡也 後藤 秀樹 山中 直道 鄭 俊俊 毛利 公一
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2020-OS-148, no.6, pp.1-6, 2020-02-20

近年,様々な製品は,高機能,高性能化が要求されており,内蔵する組込み機器の数が増加している.内蔵する組込み機器が増加することにより,消費電力の増加やコストの増加,製品の内部スペースの圧迫,ネットワークの複雑化といった問題がある.この問題を解決するための方法として,複数の組込み機器で動作するソフトウェアを 1 つの組込み機器に集約する方法がある.しかし,複数のソフトウェアを 1 つに集約するとメモリ空間の競合やデバイスの競合といった問題が発生するため,複数のソフトウェアが互いに影響を及ぼさないように動作させる必要がある.複数のソフトウェアを動かす方法として,仮想化が用いられるが,仮想化ではエミュレーションによるオーバヘッドが発生する.また,仮想化で使用する VMM は規模として大きくなるため組込み機器の限られたメモリ資源を圧迫してしまう.以上の背景から本論文では,マルチコアプロセッサを用いて,複数の組込みソフトウェアを起動してハードウェアを直接割当てることでオーバヘッドを減らす制御基盤ソフトを提案し,提案した基盤ソフト上で複数組込みソフトウェアを動作させる機能について述べる.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
後藤 淳子 廣岡 秀一
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 教育科学 (ISSN:0389925X)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.145-158, 2003

本研究は、1978年に作成されたMHF-scaleを約20年後の大学生に実施することによって現代の大学生の性役割に対する認知を検討し、加えて、約20年間における大学生の性役割態度の変化を検討しようとしたものである。性役割特性語の認知構造を数量化III類を用いて検討したところ、男性性、女性性を弁別する軸と、性的なものと非性的なものを弁別する軸がみられた。また、各特性語を評価次元間の被選択率の差の検定によって、M、H、F項目のいずれと認知されているかを検討したところ、従来Masculinityとみなされていた「指導力のある」、「自己主張できる」、Feminityとされていた「言葉遺いの丁寧な」がHumanitいこ、Humanityとみなされていた「明るい」、「暖かい」、「率直な」がFeminityに移動した。これにより男女の役割が近づき、女性役割は以前よりも社会的に望ましいものへと変化したといえる。大学生の性役割態度は20年前と大きな変化は見られなかった。ただし、女性役割期待の変化に伴い、女子は女性役割を以前よりは受容できるようになってきたと考えられるが、まだまだ周囲からの役割期待との狭間で役割葛藤に陥っている傾向がみられた。また、男性役割期待は女性役割期待に比べて強固なステレオタイプが保たれており、今後は男性も性役割との間で葛藤を感じる可能性が示唆された。論文
著者
塩瀬 隆之 後藤 崇志 加納 圭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.61-62, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
5

本稿は,科学的リテラシーに必要な「認識に関する知識」を評価するために、どのような項目が必要かを特定するため、PISA 型の過去問について回答理由まで掘り下げた追加設問への回答傾向から偽陽性、偽陰性の傾向を分類、どのような項目候補が想定されるか、調査結果について概説する。
著者
後藤 裕加子
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.663-631, 2008-03

In Islamic historical writing the canonical Hijra calendar was ordinarily used to date historical events. In the area where Persian was the main written language of the inhabitants, historians began to write in Persian, but the Hijra calendar remained in use. After the Mongol invasion, the cyclical Chinese-Uighur calendar, in which the years were represented by a series of twelve animals, was introduced and used in parallel with the Hijra calendar in Persian historical writing and in dating the issuance of farmans (royal decrees). After the fall of the Il-Khanid dynasty in the first half of the 14th century, the use of the solar animal calendar in Persian historiography became rare, even though it was still in use in administrative affairs. The Safavid dynasty, which had taken control of Persia in 1501, revived the use of the animal calendar, in the form of the Turkish calendar, sal-i turki. A special characteristic of this calendar is the conformity of New Year's Day with nauruz (New Year's Day) of Persian origin. Then in the later reign of Shah Tahmasb I and that of Shah Sultan Muhammad Hudabandah, most of the farmans that were issued between the late 960's (the early 1560's) and the late 990's (the late 1580's) had a corresponding animaldesignated year in addition to a Hijra date. This period corresponds to the period when the Turkish calendar was given precedence over the Hijra dates in the Safavid chronicles, and both calendars were used in tandem. In the reign of 'Abbas I, dates based on the coronation of the shahs were added to supplement the dates from the Turkish and Hijra calendars. These chronicles were written by munsis (secretaries) who were in charge of drawing up farmans with animal-designated years. From this period onward the nauruz festival began to be celebrated in the Chihil-Sutun palace in the capital Qazwin and was established as an important ceremony of the royal court. The Safavids had struggled up to this point to escape the influence of the Qizilbas tribes and construct a centralized government. The introduction of the Turkish calendar and the nauruz festival are aspects of a policy that sought to establish a strong Safavid kingship.
著者
高宮 啓彰 永田 見生 後藤 博史 薗田 恭輔 井本 浩樹 真島 武 吉松 弘喜 岩崎 敏展 富田 勝郎 河原 範夫
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.1056-1060, 1999-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

We present four cases of primary spinal tumor in adolescents. Two patients had aneurysmal bone cyst, and two osteoblastoma. These tumors were found in the thoracic spine in one patient, and lumbar spine in 3. The patients consisted of four men, and their average age was 19 years old. Following resection of their tumors, spinal instrumentation was used in two patients because of massive destructive change in the lumbar spine. Average duration of the follow-up was 9 months. Although there has been no recurrence in all cases, further observation is necessary.
著者
井上 靖悟 大高 洋平 小田 ちひろ 後藤 悠人 守屋 耕平 工藤 大輔 近藤 国嗣 松浦 大輔
出版者
日本転倒予防学会
雑誌
日本転倒予防学会誌 (ISSN:21885702)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.47-54, 2017-03-10 (Released:2017-09-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】本研究の目的は,新人理学療法士に対する転倒予防の新たな教育プログラムが,リハビリテーション病院の理学療法中の転倒を減少させるのかについて検討することである。【方法】2011年4月から2016年3月の5年間に理学療法中に発生した転倒事例について後方視的に調査を行った。2014年4月より新しい理学療法士の新人教育プログラムを導入し,その前後の転倒発生の変化について調査した。新しく導入したプログラムは,理学療法中の過去のインシデントを基に,各動作における環境設定や介助方法などリスク管理に必要な注意点を細分化したリストを活用した実践型プログラムである。指導者はリストの各項目について説明を加えながら実際の動作を見せることで新人の指導を行い,新人は指導者の行う場面の見学,そして模倣を繰り返した。また,指導者は随時実施内容の修正やフィードバックを与え,新人の技術向上を図った。経験段階をすべての項目についてチェックし,最終的にすべての技術を1人で実践できることを目標とした。この教育研修プログラムを,新人教育期間である4月から6月の3か月間にわたり理学療法科全体で実施した。 年間転倒件数および理学療法士1人あたりの年間転倒発生件数,転倒時動作の種類,転倒時動作の自立度について,新しい教育プログラムを導入した前後で比較した。【結果】新人理学療法士の数は,平均±標準偏差にて,教育プログラム導入前10.0±1.7名,導入後9.5±2.1名と大きな変化を認めなかった。新人理学療法士の平均転倒件数は,導入前は10.7±2.5件,導入後は5.0±1.4件と半減し,理学療法士1人あたりの平均年間転倒発生件数も,導入前1.1±0.1件,導入後0.5±0.5件と半減した。転倒時動作の種類は歩行が一番多かったが,教育プログラム導入後は,そのうち介助歩行の患者の転倒が減少する傾向を示した。【結論】新人理学療法士に対する動作ごとのリスク管理のリストを用いた現場教育は,理学療法中の転倒件数の減少に有効である。
著者
竹下 正哲 中西 一弘 高橋 丈博 蓑原 隆 前山 利幸 戸祭 克 益満 ひろみ 後藤 元
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.183-194, 2018 (Released:2019-06-20)
参考文献数
50
被引用文献数
2

ドリップ灌漑はヨーロッパ,イスラエルなどを中心に世界に普及しているが,日本では全灌漑地の2%でしか使用されていない.その理由は,日本は四季を通じて十分な降雨があるため,露地栽培でドリップ灌漑は必須ではないとみなされてきたためと考えられる.本研究では,降雨が十分にある日本の露地において,ドリップ灌漑を導入することで,ピーマンの単位面積あたり収量を増加させることができるのではないかという仮説を検証した.「ドリップ灌漑の有無」「固形肥料・液体肥料の違い」の2要因を設定し,そのどちらが影響しているか,あるいは交互作用があるかを検証するために,ピーマンを用い,二元配置の分散分析実験を行った.結果は,「固形肥料・液体肥料の違い」に関わらず,ドリップ灌漑をした試験区の方が,ドリップ灌漑をしなかった試験区(天水のみ区)より収量(生重量),乾燥重量,着果数が増加した.とくに収穫量が落ちてくる9,10月の収量が,ドリップ灌漑区で多くなっていた.その差の要因は多頻度灌水にあると考えられ,日本の露地のように十分な降雨がある耕地においても,ドリップ灌漑により毎日定期的に灌水することで,ピーマンの着果数を増やし,収量を増加させることができることが示唆された.
著者
後藤正義著
出版者
マツノ書店
巻号頁・発行日
2016