著者
吉田 益喜 成田 智彦 川田 暁
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.642-646, 2013-07-01

要約 外鼻下半分は,皮膚,支持組織の軟骨と裏打ちの粘膜とから構成され,複雑な形状をしている.その再建法には局所あるいは遠隔皮弁,遊離皮弁,composite graft(複合組織移植)などさまざまな方法があるが,今回,2001年4月~2010年6月に行った鼻再建の中で耳介部をドナーとしたcomposite graftを行った12症例を検討した.再建例の2/3は男性であり,原疾患は基底細胞癌が最多であり,部位は鼻翼が最多であった.移植片の長径は平均20.4cm,幅平均15.3mmであり,移植後は3例に部分壊死があり,他は全生着した.患者の満足度はほとんどの例が満足であった.耳介部をドナーとしたcomposite graftによる鼻再建は,外鼻下半分の形態に非常に適合し,手技が簡便で,有用な再建法と思われた.
著者
成田 敦史 植村 和彦 松本 みどり 矢部 淳
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.5-18, 2012-09-28 (Released:2017-10-03)
参考文献数
44

A late Middle Miocene megafossil flora (Konan Flora) is preserved in lacustrine deposits in the Konan Tuffaceous Sandstone and Mudstone Member of the Bifuka Formation in Shibetsu City, Hokkaido, the northernmost island in Japan. The Konan Flora is composed of 38 taxa in 17 families and 24 genera and includes 4 evergreen conifers, 1 monocotyledonous perennial herb, 33 deciduous dicots, and 2 seeds of unknown affinity. The most dominant species in the flora is Fagus palaeojaponica, followed by Acer subcarpinifolium, A. protojaponicum, Picea sp., Salix sp., Cercidiphyllum crenatum, Betula protoglobispica, and Cladrastis chaneyi. The vegetation inferred from the Konan Flora is broad-leaved deciduous or mixed northern hardwood forest which is typical in northern Japan at the Middle Miocene. The composition and components of the Konan flora are similar to those of the Late Miocene Mitoku-type floras in Hokkaido. The leaf physiognomy and quantitative climate analysis based on the CLAMP (Climate Leaf Analysis Multivariate Program) revealed that the prevailing climate was a wet cool temperate climate similar to modern Hokkaido or northern Honshu. Compared with Sakipenpetsu flora (early Middle Miocene), Shanabuchi flora (Late Miocene) and Rubeshibe flora (Early Pliocene), there were no great differences between the Konan flora and those three floras in terms of climatic conditions.
著者
成田 千尋
出版者
大阪市立大学人権問題研究会
雑誌
人権問題研究 (ISSN:1346454X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.149-171, 2014

はじめに : 2・4ゼネストは、1968年11月19日の戦略爆撃機B52(以下B52)墜落爆発事故を契機に、B52常駐化から1年となる1969年2月4日を期日として、復帰前の沖縄で島ぐるみともいえる規模で計画されたストライキである。墜落爆発事故は沖縄住民を恐怖に陥れ、約140団体を結集した「いのちを守る県民共闘会議(以下共闘会議)」が組織され、「B52撤去、原子力潜水艦(以下原潜)寄港阻止、一切の核兵器の撤去」をスローガンに、全島的なゼネスト体制が構築された。ただし、ゼネストそのものは本土折衝を行った屋良朝苗主席の回避要請などを受けて土壇場で回避され、県民総決起大会に代替され、幻に終わった。このため、「復帰優先主義や合法主義の呪縛を完全に脱却し切っていなかったがゆえ」の挫折であり、「復帰運動、復帰思想の敗北であった」とまで非難され、革新勢力内部の亀裂を生むなど、機々な問題を残すことになった。本研究の目的は、日米両政府の圧力によって挫折したとされるこのストライキ闘争の内実を、新たな史料に基づいて再検討することである。……
著者
井澤 尚子 成田 巳代子 長塚 こずえ 斎藤 祥子 橘 喬子 小吹 史子 盛田 真千子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.275, 2007

目的 本報はビジネスウェア着用者である男性と、その服装に客観的意見を持つであろう女性の意識に着目し、男女有職者を対象にクールビズ推進を含む職場環境や、夏期における男性のビジネススーツスタイルに対する意識調査を実施した。クールビズ環境下でのビジネススーツスタイルの意義を考え、気候と職場環境に適したビジネスウェアを提案するための資料を得ることを目的とした。方法 1)調査対象者:20~60歳代の男女有職者 1049名(男性 500名,女性 549名)、2)調査時期:2006年7月中旬~10月上旬、3)調査場所:全国11地域、4)調査方法:質問紙留め置き調査、5)調査内容:基本属性(3報と同様),職場などの冷房設定温度,夏期における男性のビジネススーツスタイルに対する意識(23項目)など、6)分析:単純集計,因子分析を用いて考察した。結果 因子分析の結果、男性のビジネススーツスタイルに対する意識について、男性は7因子で構成され、女性では「ビジネススーツスタイルの必要性」,「スーツやシャツの素材」,「ビジネススーツスタイルの擁護」,「ビジネススーツスタイルのカジュアル化」,「シャツの着こなし」,「個性の表現」,「おしゃれ感」,「身だしなみ感」の8因子が抽出された。身だしなみは相手への好印象に繋がり、女性特有の因子と考えられる。さらに男女ともに職場の室温設定28℃が46%,43%、職場でのクールビズの推進は73%,60%と、職場環境に浸透するなか、男女とも男性のビジネススーツスタイルに否定的でないことがわかった。これらから、今後のクールビズにおける衣服環境は、軽装化のみならず涼しく快適に着用できる素材の選定、デザインの提案、着こなしの工夫が不可欠と考えられる。
著者
中村 文隆 藤井 正和 七里 圭子 西 智史 篠原 良仁 伊橋 卓文 横山 新一郎 武内 慎太郎 今村 清隆 渡邊 祐介 田本 英司 高田 実 加藤 健太郎 木ノ下 義宏 安保 義恭 成田 吉明 樫村 暢一
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.71-77, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
29

ERAS の手術侵襲軽減策は,多職種のスタッフによる介入が不可欠である.入院前の不安要素は患者個々に異なり,消化器外科では,術後の食事摂取,人工肛門に対する不安は多い.各医療スタッフの専門的立場の助言が治療意欲を向上させる.術後の腸管機能の回復促進対策としては,輸液量の適正化,胸部硬膜外鎮痛,早期経口摂取,早期離床などチームで取り込む事項が多い.早期離床では,プログラム内容や行動目標を定め施行することが望ましい.疼痛管理としては,急性痛サービスAPS を組織することが,安心な周術期環境を効率的に提供し,今後わが国でも普及することが望まれる.回復を実感する環境づくりは,重要であり,チームメンバーは,各専門的な知識や技術を生かし患者のセルフケアーを支援することで,早期回復の実感と不安の解消につながり,満足度の高い退院につながる.
著者
成田 凌
出版者
首都大学東京・都立大学社会学研究会
雑誌
社会学論考
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-27, 2018-11-30

近年,「田園回帰」と呼ばれる都市住民の農山漁村への関心の高まりが指摘されている.過疎地域を含む条件不利地域では,当該地域の持続・存続という観点からもこの動向が今後も継続し,将来的に移住や定住へとつながっていくのかに注目が集まっている.そこで本稿では,「田園回帰」における移住・定住を議論するための予備的考察として,「田園回帰」以前の移住者の定着過程について分析をおこなう.首都圏内の過疎山村である檜原村において,自身も移住者でありながら,最近の移住・交流希望者を呼び込んでいるキーパーソンの一人である,女性地域リーダーのY氏を事例とする.係累のない移住者であったY氏が檜原村やA集落に定着できた背景には,次の2点があった.一つは,同じような境遇に置かれていた女性たちと一緒に,生活環境を変えていくために自主保育などの様々な活動に取り組んできたこと.もう一つは,Y氏の「地域を大事にする」ことを重視していることである.かつて地縁・血縁関係の強い「男社会」だった檜原村も,現在では移住者が比較的容易に地元住民の暮らしに馴染める土壌が醸成されているという.その契機の一つとして,彼らの一つ上の世代であるY氏らの取り組みがあったと捉えることができるだろう.そしてまた,このようなY氏の定着過程に,過疎山村集落の持続可能性の議論に求められる要素が見出せるのではないだろうか.
著者
伊藤 知子 田中 陽子 成田 美代 磯部 由香
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.463-467, 2007-11-15
被引用文献数
4

ツタンカーメンエンドウの子葉細胞および単離デンプンを用いて,細胞内デンプンの糊化について検討を行った.細胞内デンプンの規則構造の崩壊は,単離デンプンと比較して,崩壊が始まるのが遅く,抑制されることが明らかとなった.また溶解度,膨潤力ともに単離デンプンと比較して抑制されていた.小豆の場合と比較して,細胞壁の性状,また抑制のパターンは若干異なるが,ツタンカーメンエンドウの子葉細胞内デンプンの糊化はその他のあん原料豆と似た性質を示したことから,ツタンカーメンエンドウは製餡適性を有すると考えられた.
著者
濱田 祐輔 山下 哲 田村 英紀 成田 道子 葛巻 直子 成田 年
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.148, no.3, pp.128-133, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
17

慢性疼痛患者は,持続的な痛みを訴える一方で,二次的にうつや不安障害などの精神障害や睡眠障害などの高次脳機能障害を伴うケースが多い.特に,睡眠障害は多くの慢性疼痛患者において共通して認められる症状のひとつであり,逆に睡眠の量や質の悪化が痛みの重症度やうつ・不安障害の悪化に密接に関係している.このような複雑な合併症状による負の連鎖は,「慢性疼痛」という病態を複雑にして患者のQOLを著しく低下させてしまう.こうした現状は,疼痛治療において,疼痛以外の併発・合併症状の改善も考慮に入れて治療を行う必要性を示唆している.そこで我々は,慢性疼痛下における睡眠障害の発現メカニズムについて解析を試みた.神経障害性疼痛モデルマウスを作製し,疼痛下の前帯状回領域において,グルタミン酸遊離量の増加ならびに細胞外GABA濃度の低下を認め,前帯状回領域における神経回路の興奮-抑制のバランスの異常により睡眠障害が惹起されうる可能性を見出した.また,この神経障害性疼痛モデルマウスにおいて,前帯状回領域における神経活動の機能変化にアストロサイトの活性化が一部寄与していることが明らかとなった.さらに,オプトジェネティクス法を駆使した前帯状回アストロサイトの特異的活性化により,睡眠障害が惹起されることを見出した.したがって,慢性疼痛下における睡眠障害の発現の一端には,前帯状回領域における興奮-抑制バランスの調節不全ならびに神経-グリア相互作用の機能異常が関与している可能性が考えられる.
著者
日笠 志津 根岸 由紀子 奥崎 政美 成田 国寛 辻村 卓
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.26-32, 2012-06-30 (Released:2012-08-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

Consumers of organically-grown vegetables often believe that these products are healthful and taste better than conventionally-grown vegetables. However, nutrient content and organoleptic characteristics vary from farm and year to year. The objective of this study was to evaluate the influence of agricultural technique on the production of high quality vegetables each year, for 3 years. Nutrient component analysis and a sensory test (of quality, as indicated by appearance, texture and taste) of spinach and komatsuna were carried out on produce from an organic farm and a conventional farm in Mie prefecture. Cultivation practices were the responsibility of each farmer, who had been selected (from our previous studies) because they had cultivated organically-grown spinach or conventionally-grown komatsuna that had scored highly in the sensory test.  The amount of nutrients of komatsuna was no significant differences. The appearance and texture of organically-grown komatsuna were preferred but preference based on taste was different between each years. The water, manganese and total of free amino acid contents of organically-grown spinach were lower, and the sodium and oxalic acid contents were higher than those of conventionally-grown spinach. For each of the 3 years, the organically-grown spinach scored highly in almost every parameter of the sensory test. The spinach might be more susceptible to the effect of organic manure than komatsuna. The results suggest that cultivation technique is likely to contribute vegetable quality. Future study is needed to determine the influence of agricultural practices on nutrient content, taste and the eating quality of vegetables after cooking.
著者
成田 雅美
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.391-399, 2020-08-05 (Released:2020-08-20)
参考文献数
38

即時型食物アレルギーの発症予防には,食物抗原への感作予防と経口免疫寛容の誘導という2つの戦略がある.乳児アトピー性皮膚炎患者では皮膚バリア機能が低下した湿疹部位からの経皮感作がおこることが明らかになったが,食物感作の予防に有効な方法は報告されていない.しかし感作が成立後でも経口免疫寛容が誘導されれば食物アレルギーの発症を予防できる.最近のランダム化比較試験のメタ解析の結果,ピーナッツや鶏卵については生後4か月~6か月の早期摂取開始による食物アレルギー発症予防効果が認められている.わが国では数十年の間に鶏卵摂取開始が遅くなり平成19年には鶏卵摂取開始の目安が実情に合わせて7,8か月とされた.その後の知見をふまえ「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」では鶏卵摂取開始が離乳食開始時期の生後5,6か月に変更された.食物抗原の離乳食早期摂取開始は,すでに食物アレルギーを発症した患者での症状誘発などに注意する必要はあるが,経口免疫寛容の誘導による食物アレルギー発症予防が期待される.

1 0 0 0 OA 裁縫随想

著者
成田順 著
出版者
大成書院
巻号頁・発行日
1937