著者
成田 正明 江藤 みちる 大河原 剛
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.41, pp.S13-4, 2014

発達期の化学物質のばく露は子どもの正常な発達に悪影響を及ぼし得る。なかでも妊娠中の化学物質のばく露は様々な外表奇形・内臓奇形を引き起こすことはよく知られているが、情動や認知行動への影響についての詳細はわかっていない。<br> 自閉症は人との関わりを主症状とする、先天的な脳の機能障害に基づく発達障害である。しかし胎生期のどの時期に、どういうことが原因で(遺伝的因子、ウイルス感染、薬剤・化学物質)、どんな機能障害が脳のどの部分におきているか、はわかっていなかった。<br> これまで報告されている自閉症の原因としては、遺伝的因子、胎内感染症、化学物質(薬物・毒物)などがある。遺伝的因子の関与は強く指摘されているが、スペクトラムとしてヘテロな症候を持つ自閉症の病態を、単一の遺伝子異常で説明するのは本来困難である。妊婦の抗てんかん薬バルプロ酸などの薬物、アルコール、その他の化学物質の胎内ばく露も自閉症発症原因になり得るとされている。化学物質の胎内ばく露を巡っては、有機水銀摂取なども懸念事項であり、妊婦の魚介類摂取許容量が見直されるなども関連しているといえる。<br> 私たちはヒトでの疫学的事実、即ち妊娠のある特定の時期にサリドマイドを内服した母親から生まれた児から通常発症するよりもはるかに高率に自閉症を発症したことに着目し、妊娠ラットにサリドマイドやバルプロ酸を投与する方法で自閉症モデル動物を作成してきた。自閉症モデルラットでは、これまでにセロトニン神経系の初期発生の異常、行動異常などがあることを報告してきた。<br> 今回の講演ではサリドマイドによる自閉症モデルラットについての知見のほか、有機水銀ばく露実験なども含め、最近の知見も含めて述べていきたい。
著者
遠藤 純子 成田 宏之 工藤 勝正 駒井 裕民 時田 繁 伊香賀 俊治 林 立也
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.113, 2005

青森県では平成15年に「青森県環境調和建築設計指針」を策定し、環境負荷低減対策を講じた県有施設整備を推進している。本指針では施設を計画する際に、施設の運用CO2排出量、LCCO2、IC、LCCを評価することとしており、これら指標値を計画段階で簡易に算出できるツール「環境負荷低減手法選択シート」を開発した。本報では本シート(庁舎版と学校版)の構成・計算手法、対策の組合わせによる検討結果を示す。
著者
木野 孔司 杉崎 正志 羽毛田 匡 高岡 美智子 太田 武信 渋谷 寿久 佐藤 文明 儀武 啓幸 石川 高行 田辺 晴康 吉田 奈穂子 来間 恵里 成田 紀之
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
TMJ : journal of Japanese Society for Temporomandibular Joint : 日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.210-217, 2007-12-20
参考文献数
22
被引用文献数
4

ここ10年ほどの間にわれわれの顎関節症への保存治療は大きく変化した。個々の患者がもつ行動学的, 精神的寄与因子の管理・是正指導と同時に, 病態への積極的訓練療法を取り入れている。その結果, 改善効果割合の増大と通院期間の短縮がみられた。この効果を確認し, 今後の治療方法改善に向けた検討を目的として, 2003年に実施した治療結果を1993年に報告した保存治療成績と比較した。対象は1993年が382例, 2003年は363例である。治療方法の比較では, 1993年はほぼ病態治療のみであり, 鎮痛薬投与, スプリント療法, 訓練療法, 関節円板徒手整復術などが行われていた。2003年では患者から抽出した個々の行動学的寄与因子の是正指導, 局麻下での徒手的可動化, 抗不安薬や抗うつ薬投与, 心療内科との対診が新たに取り入れられ, 訓練療法, 鎮痛薬投与が多くなり, 逆にスプリント療法, 関節円板徒手整復術は減少した。1993年調査で用いた効果判定基準に従うと, 1993年 (39.8%) に比べ2003年 (61.0%) の著効割合は有意に大きかった (p<0.001), 有効まで含めた改善効果も2003年が有意に大きかった (p=0.001)。逆に通院期間は中央値11.5週から8週と有意に減少した (p=0.030)。これらの結果から, 個々の寄与因子是正指導および訓練療法の効果を前向きに検討する必要性を確認した。
著者
阪野 朋子 小出 あつみ 間宮 貴代子 松本 貴志子 成田 公子 山本 淳子 山内 知子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.146-153, 2015

本研究では,東海三県に居住する人々を対象に,子・母・祖母の三世代別に通過儀礼の認知と喫食状況を調べ,東海地方の特徴と伝承に影響する要因について検討した。<br> 認知率では,経験の有無が値に影響し,子世代の百日祝いと初誕生および結納と婚礼の認知率が母と祖母世代より有意(<i>p</i><0.05)に低かった。経験率では,経験時の経済的・社会的状況の厳しさと,儀礼の意義の希薄化が経験率を減少させた。しかし,母と祖母世代の長寿に見るように高齢者が同居する条件は経験率を向上させた。また,儀礼における地域活動や人々の意識の高さが認知率と経験率を向上させた。東海三県の特徴として製造量の多い外郎と漁獲量の多いアサリが儀礼食に利用されていた。
著者
成田 亮子 島村 綾 名倉 秀子 峯木 眞知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

(目的)<br> 琉球王朝菓子ちんすこうは、豚脂(ラード)を使用し、西洋の焼菓子とは異なった食感と風味に特徴があり、保存性にもすぐれている。ラードの代わりに多種の油脂を用いて調製し、テクスチャーに与える影響を調べた。<br>(方法)<br> ちんすこうはラード(油脂)、薄力小麦粉(日清フーズ㈱)、砂糖(三井製糖㈱)で調製する。油脂は8種(ラード、バター、アボガドオイル、オリーブオイル、キャノーラ油、ココナッツオイル、胡麻油、米油)で、基本配合は予備実験より、小麦粉120g、砂糖90g、油脂58gとした。油脂を60℃に温め、砂糖を加え、みぞれ状態になったら、小麦粉を加えた。それを、&Oslash;3.5㎝の大きさ(各15g)に形成後、150℃で28分焼成した。焼成後の試料は、重量、体積、比体積、水分含有率、表面の焼き色、破断特性を測定し、官能評価を行った。焼成後の伸びを示すスプレッド値は、直径(㎜)/厚さ(㎜)で算出した。製品の水分含有率は赤外線水分計(㈱ケット)で110℃、80分の条件下で測定した。破断特性はレオナーRE2-3305 B-1(山電(株))で測定した。<br>(結果)<br> 8種の油脂を用いた試料では、ラードを用いた試料より、破断応力および破断歪が低く、もろい製品であった。アボガドオイル試料、オリーブオイル試料では、もろさおよびもろさ歪がかなり低かった。キャノーラ油試料ではスプレッド値、比体積、水分含有率がラードに近い値を示した。ココナツオイル試料では、スプレッド値が6.0と最も高く、水分含有率は3.6%で最も高い値を示した。胡麻油試料ではもろさおよびもろさ歪が高く、水分含有率が2.6%で最も低かった。油の種類により、食感の異なるちんすこう製品ができた。
著者
成田 光好 関口 秀夫
出版者
日本ベントス学会
雑誌
日本ベントス学会誌 (ISSN:1345112X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-12, 2002-06-27 (Released:2009-08-07)
参考文献数
37
被引用文献数
4 4

Sampling of megabenthos was conducted between 1997 and 1998 in Ise Bay, central Japan to examine the food habits of three dominant species of crabs: Charybdis bimaculata, Paradorippe granulata, Cancer gibbosulus. The degree of gut fullness as well as the frequencies of occurrence and the relative volumes of food items were investigated. In the summer when the oxygen-poor water conditions developed, frequencies of occurrence of food items were low and the degree of the guts fullness in most of crabs collected was <50%; in contrast, these values were high from the winter to spring of the following year, when the oxygen-poor water conditions did not develop. A comparison between frequencies of occurrence and relative volumes of food items in the gut showed that crustaceans, polychaetes, gastropods and bivalves were important foods for the crabs. The main components of the gut contents were different between the three species, though this is probably due to differences in spatial distribution patterns of crabs and their prey items.
著者
冨田 祐輝 松屋 合歓 成田 智子 斎藤 良彦 西野 一三 福留 隆泰
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001547, (Released:2021-05-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

一家系に3人のPOMT2遺伝子変異による常染色体性劣性遺伝の肢帯型筋ジストロフィータイプ14(limb girdle muscular dystrophy 14,以下LGMDR14と略記)の患者を経験した.症例1と症例2はPOMT2遺伝子にc.1568A>Cのホモ接合性変異,症例3は同遺伝子にc.1568A>Cとc.869C>Tのヘテロ接合性変異を有していた.c.1568A>Cは病因として新規の遺伝子変異だった.全例で進行性の歩行障害を認め知的障害を合併しており筋萎縮は大腿屈筋群に強いなど,既報告と類似していた.網膜色素変性症や近視などの眼症状は既報告では少なかったが,LGMDR14を示唆する所見と考えられた.

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著者
成田 昭
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.543-553, 1970-07-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
39
著者
田中 克枝 神薗 洋子 氏田 直子 成田 智
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.41-48, 2013-03-29

先天性聾児や難聴児に2000年以降、人工内耳装用が目覚ましい。本研究の目的は人工内耳を装用している子どもの養育者の思い、特に子どもの聴覚障害の告知後の受け止め、治療・訓練、日常的な育児に関しての思いとその時のサポート状況を明らかにすることである。研究方法は研究趣旨の了承の得られた5 名に半構成的インタビューの面接を行った。結果として、【障害が診断された時の不安、ショック】、【初期対応の仕方に対する不満と納得】【初期の母親の心理的支援の不足】【交流の場がない】【心の支えになった教育相談】子どもの発達時期における【幼児期の関わりの難しさ】【小学校選択の葛藤】【自立への援助の葛藤】などが挙げられた。よりよい支援を考えるにあたり、初期対応は母親の思いをくみ取る丁寧な対応、障害が分かってから教育相談までをつなぐ「橋渡し」、障害への価値観差のより個別的なサポートが必要であると示唆された。
著者
早川 光 小笹 泰宏 成田 有子 射場 浩介 山下 敏彦
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1041-1043, 2017-07-01

野球歴のある7 歳男児のPanner 病を経験した。初診時は上腕骨小頭骨端核の骨透亮像は限局しており,離断性骨軟骨炎と診断した。その後の経過で,骨端核全体の分節化が出現したためPanner 病との診断に至った。安静,生活指導による保存加療を行い症状は消失し,7 カ月後より投球練習を開始,最終経過観察時には制約なく野球が可能となった。
著者
宗村明子 藤崎公達 成田雄一 鈴木拓也 馬場玲子 毛利悦子 西井優瑠
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.35, 2016

<p>【はじめに】症例は夜勤業務に就労しており,治療継続に問題が山積していた.症例に対し多職種が関わることで,身体機能や治療へのモチベーションの向上と治療効果の一助となったので報告する.</p><p>【症例・経過】50 歳代男性.健康診断で高血糖を指摘され当院受診,血糖コントロール不良にて糖尿病と診断され,初めての糖尿病教育入院となる.症例は夜勤業務に就労しており,昼夜逆転の生活を約20 年続けていた.入院初期より運動や治療に対するモチベーションが低く受動的であった.理学療法介入,多職種との情報共有,各職種による個別指導を行った.なお,症例に対し主旨を文章にて説明し記名による同意を得た.</p><p>【方法】運動指導,生活スタイルの聴取により退院後の運動プランの作成を行った.また,看護師によるインスリン自己注射指導,栄養士による栄養指導,薬剤師による薬剤指導,作業療法士による精神・心理面への介入,カンファレンスで多職種と情報共有を行った.そして,退院後は外来受診時に経過確認を行った.</p><p>【結果】入院時体重:63kg から60kg へ減量,入院時HbA1c:9%から6.6%へ改善し,3kg の減量,血糖コントロールの改善の一助となった.また,作業療法士の介入により,精神・心理面の変化があり,治療へのモチベーションの向上がみられ,運動介入においても自らプランを立て,退院後継続することが出来た.</p><p>【考察】理学療法介入に加えて,多職種との情報共有,各職種による個別指導を行った.結果,治療へのモチベーションの向上が確認され,自ら夜勤帯から昼間の仕事へ変更するなど,治療に前向きに取り組む姿勢が見られた.多職種協同で関わることで,専門的視点から,患者の異なる生活スタイルに合わせたアプローチが可能となる.そして,身体機能の変化や血糖コントロールの改善,治療へのモチベーションの向上により,患者自身も生活スタイルの変更を行い,治療へ前向きに取り組むことが出来,多職種協同で関わる重要性を再確認する一例となった.</p>