著者
安井 早紀 木村 優弥 川村 仁 小松 一
出版者
青森大学付属総合研究所
雑誌
青森大学付属総合研究所紀要 (ISSN:24361585)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-19, 2022-09-30 (Released:2022-12-28)
参考文献数
10

青森大学薬学部発のブランディング企画第1弾として,漢方・生薬学の教員による市民講座を開講し,薬学部ならではのテーマにより,広く県民の方々へ本学の特色を打ち出し,地域に根ざす青森大学の魅力を認識させることが,ブランディング確立につながるものと考え,薬食同源に基づいた薬膳料理教室を企画した.日常的に利用されている食材を使い,薬膳料理として試食体験をしてもらい,身近な食材の思わぬ効用を知ってもらい,健康な身体づくりの一助にすることを目的とし,秋から冬にかけての病気あるいは病気の予防に対応した薬膳教室を3回シリーズで行った.
著者
木村 優里 西谷 友樹雄 新井 佑梨 高津 南美子 山本 裕 鴻 信義 小島 博己
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.104-108, 2020-06-15 (Released:2021-06-15)
参考文献数
16

側頭筋内膿瘍は頸部膿瘍の中でも文献的報告が少なく, 発症病態の詳細はあまり知られていない。 側頭筋は咀嚼筋に含まれ, 上記疾患の症状として開口障害, 側頭部腫脹を呈する。 炎症は咀嚼筋間隙内の咬筋, 内・外側翼突筋や隣接する間隙にも波及することがあり, その波及形式の相違によっても臨床像は多彩である。 顔面痛を主訴に発症した基礎疾患のない側頭筋内膿瘍を経験した。 本邦での頸部膿瘍形成としては下方への波及が典型的であるが, 今回経験した側頭筋内膿瘍では側頭筋に沿って上方へ波及した膿瘍を形成していた。 CT など画像による病巣評価のみならず, 開口障害, 側頭部腫脹といった身体所見に着目することが本症例の病態把握に重要である。 側頭部穿刺, 経口腔的切開排膿, 抗生剤投与で軽快した1例であった。
著者
須﨑 純一 楠瀬 智也 木村 優介 宇野 伸宏 藤原 優 久田 裕史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00022, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
22
被引用文献数
1

高速道路の維持管理業務において,道路や橋脚の劣化に対する補修だけでなく,災害発生時の事前・事後対策も重要な業務である.頻発する土砂災害への備えとして,本論文では人工衛星に搭載された合成開口レーダ(synthetic aperture radar: SAR)で取得された時系列画像を用いて,重点的に監視すべき箇所を絞り込む手法を提案する.時系列SAR解析の手法を用いて,強い散乱を示す地点の累積地盤変動量を推定し,その後高速道路沿いの一定範囲の平均累積地盤変動量を算出するものである.本研究での推定結果は,実際に土砂災害が発生した箇所において前年時の豪雨後から変動が始まっている様子を示している.よって提案手法は高速道路管理者の維持管理業務に取り入れられる可能性を有する実用的な手法と言える.
著者
木村 優
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.464-479, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
28
被引用文献数
12 2

本研究の目的は, 授業における教師の感情経験と, 教職の専門性として説明されてきた認知や行動, さらに動機づけとの関連を検討することであった。高校教師10名に面接調査を実施し, グラウンデッド・セオリー・アプローチによるデータ分析を行った。その結果, 《感情の生起》という現象の中心概念が抽出され, (1) 教師は生徒の行為と自らが用いる授業方略に対して感情を経験し, (2) 状況により教師は異なる感情を混在して経験することが示された。そして, (3)教師が経験する感情の種類, 強さ, 対象によって, 《感情の生起》現象には, 心的報酬の即時的獲得, 認知の柔軟化・創造性の高まり, 悪循環, 反省と改善, 省察と軌道修正, という5つの過程が見出された。喜びや楽しさなどの快感情は教師の活力・動機づけを高めることで実践の改善に寄与し, さらに授業中では教師の集中を高めることで瞬間的な意識決定と創造的思考の展開を促進していた。一方, いらだちなどの不快感情は教師の身体的消耗や認知能力の低下を導くが, 苦しみや悔しさなどの自己意識感情は授業後の反省と授業中の省察に結びつき, 教師が実践を改善し, 即興的に授業を展開するのを可能にしていた。
著者
木村 優介 駒水 孝裕 波多野 賢治
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT) (ISSN:21888884)
巻号頁・発行日
vol.2022-IFAT-148, no.24, pp.1-6, 2022-09-02

深層学習を用いた文書分類は従来の手法と比べて高精度を達成してきた.文書分類は固有表現抽出とのマルチタスク学習によりその精度を向上させることが可能であると報告されている.単語に基づいた特徴量を基本とする手法において,意味のまとまりとしてのフレーズは文書分類の精度に寄与することが知られている.一方で,深層学習においてサブワードは一般的に使われているが,単語とは異なり,意味のまとまりを表すとは限らない.そのため,サブワードで構成されるフレーズを文書分類に応用する研究はされてこなかった.そこで,本研究では文書分類の精度向上を目的に,サブワードフレーズ抽出と文書分類のマルチタスク学習を行う文書分類フレームワークを提案する.従来の単語に基づくフレーズ抽出手法が出現頻度を用いてきた点に倣い,本稿では高頻度なサブワードのフレーズをサブワードフレーズとして定義し抽出する.
著者
岡田 東彦 太田 素良 木村 優樹 高木 龍太 林 美穂 松倉 未侑 浅川 満彦
出版者
北海道獣医師会
雑誌
北海道獣医師会雑誌
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.375-378, 2020-12

2020年9月上旬に道内S公園で発見されたハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)とハシボソガラス(Corvus corone)計12個体の死体について、剖検および病原体保有状況の検査を実施した。鳥インフルエンザウイルスおよびウエストナイル熱ウイルスの簡易検査を実施したところ、いずれも陰性を確認したが、数種の内外寄生虫を得た。多くの個体で黄褐色に染まった消化管内容物・粘液・吐瀉物等が認められ、頭蓋内出血、気管・腸管の黒変等が認められたことから、薬物中毒が疑われた。吐瀉物等を科学捜査研究所に化学成分の検査を委託したところ、有機リン剤シアノホス(CYAP)の成分が検出された。国内での先行事例と比較して、本事案はCYAP中毒の所見と類似したことから、この物質の急性中毒であることが示唆された。
著者
中垣 拳 今野 恵菜 田代 俊太郎 池澤 彩野花 木村 優作 仁義 勝 筧 康明
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.287-295, 2013-09-30 (Released:2017-02-01)

In resent years, in the field of virtual reality various system have been proposed to enhance virtual experience by providing haptic sensations. In our research we propose a handheld sized interface which can represent both shapes and textures of virtual objects. Using the metaphor of a rolling pin, we propose a rolling-pin-based interface, named a Petanko Roller, which enables users to experience the sensation of rolling out virtual doughy objects. The interface represents unevenness of virtual objects and the frictional forces acting on them. This time, we report the system design, implementation, an application for entertainment, and users' feedbacks in exhibitions.
著者
木村 優志 春日 秀之
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2020-SLP-134, no.34, pp.1-4, 2020-11-25

コンピューターグラフィックスで作られた外見で動画配信を行う Virtual Youtuber (VTuber / バーチャルライバー) や,Virtual Influencer と呼ばれる存在が近年注目されている.CG による固有の外観をもっているが,声に関しては声優などが務めることが多い.ここで,バーチャルタレントの外見だけではなく,話者変換によって声を変えることができればより便利である.StarGAN-VC2++ は高精度な話者変換モデルの一つであるが,基本周波数が振動するという問題がある.そこで,新たに Δ????0 損失項を導入し,基本周波数の振動の抑制を試みる.実験の結果,基本周波数の振動の抑制が確認された.しかし,フィルタが発振する例が見られる問題が残る.
著者
木村 優那 矢入 郁子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.3N33, 2015 (Released:2018-07-30)

近年プログラミングの重要性が高まっている一方で、学習初期段階に躓いてしまうと習得を諦めてしまう人が多いことが問題視されている。そこで我々は、「要求を具体化し問題を細分化していく能力である段階的詳細化能力の欠如こそが、プログラミング学習の妨げになっている」という仮説に着目した。本稿では、プログラミング初心者にグループ学習を、経験者に個人学習を行い、段階的詳細化能力との関係について調べた。
著者
高井良 健一 木村 優 岩田 一正 齋藤 智哉 金子 奨 小島 武文 高石 昂 福泉 志織 吉田 友樹
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究を通して、高等学校の新任教師の専門的成長を支えるものとして、すべての子どもたちの学びを保障する授業づくりに責任をもつ専門的共同体の存在が大きいことが明らかになった。学校における専門的共同体は、授業研究を通して、教師たちの語り合い、聴き合い、語り直しによって、形成される。新任教師たちは、着任当初は、子どもたちの学びに対する一元的な語りが特徴であったが、授業研究会への参加を重ねるごとに、多元的な語りを身につけ、これに伴い、子どもたちとの関係も組み替えられてきた。
著者
木村 優
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.464-479, 2010
被引用文献数
2

本研究の目的は, 授業における教師の感情経験と, 教職の専門性として説明されてきた認知や行動, さらに動機づけとの関連を検討することであった。高校教師10名に面接調査を実施し, グラウンデッド・セオリー・アプローチによるデータ分析を行った。その結果, 《感情の生起》という現象の中心概念が抽出され, (1) 教師は生徒の行為と自らが用いる授業方略に対して感情を経験し, (2) 状況により教師は異なる感情を混在して経験することが示された。そして, (3)教師が経験する感情の種類, 強さ, 対象によって, 《感情の生起》現象には, 心的報酬の即時的獲得, 認知の柔軟化・創造性の高まり, 悪循環, 反省と改善, 省察と軌道修正, という5つの過程が見出された。喜びや楽しさなどの快感情は教師の活力・動機づけを高めることで実践の改善に寄与し, さらに授業中では教師の集中を高めることで瞬間的な意識決定と創造的思考の展開を促進していた。一方, いらだちなどの不快感情は教師の身体的消耗や認知能力の低下を導くが, 苦しみや悔しさなどの自己意識感情は授業後の反省と授業中の省察に結びつき, 教師が実践を改善し, 即興的に授業を展開するのを可能にしていた。
著者
木村 優 山下 博美 駒田 順子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.400-405, 1986-04-05 (Released:2010-02-16)
参考文献数
11
被引用文献数
24 30

水中に含まれる各種重金属類の捕集除去に対する緑茶の捕集除去剤としての利用法及びその有効性を検討した.緑茶(抹茶)を希硫酸溶液中でホルマリン処理した.ホルマリン処理を行った茶0.5gを,銀(1),カドミウム(II),ロバルト(II),銅(II),鉄(III),マンガン(II),ニッケル(II),鉛(II),及び亜鉛(II)の9種の金属元素を含む100mlの試料溶液に添加し,30分間かき混ぜた.次に,その溶液を瀕過又は遠心分離を行う.源液又は上澄み液中の金属イオン濃度を黒鉛炉原子吸光分析装置を用いて測定した.0.01moldm-3酢酸ナトリウム溶液(PH6)の条件において上記の鉄(III)イオンを除く8金属イオン(総濃度0.4~11ppm)について捕集除去率90%以上を示した。重金属類を吸着した茶からの金属類の脱離は0.1moldm-3塩酸により容易に行われ,少なくとも数回の再使用が可能であることが分かった.処理茶の水中からの重金属類の捕集除去率及び捕集容量について同一条件下で活性炭と比較した結果,銀(1),ヵドミウム(II)及び亜鉛(II)に対しては茶のほうが優れ,コバルト(II),銅(II),マンガン(II),ニッケル(II)及び鉛(II)に対しては同等であり,鉄(III)に対しては活性炭が優れていることが分かった.8-キノリノール又は1,10-フェナントロリンを溶液に添加すると,鉄(III)以外の元素の捕集除去率には変化がほとんど見られなかったが,鉄(III)のそれは約90%に向上した.他方,エチレンジアミン四酢酸イオン又はトランス-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸イオンを添加すると,銀及びマンガン以外のどの元素についても捕集率が著しく悪化した.シュウ酸イオンを添加すると,銀以外のどの元素の捕集率も悪くなった.塩化物イオン,硫酸イオン又はレアスコルビン酸を添加すると,銅及び鉛以外の元素の捕集率は悪くなったが,鉄のそれは著しく向上した.
著者
木村 優志 入部 百合絵 桂田 浩一 新田 恒雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.1356-1364, 2013-05-01
参考文献数
26

音声認識と合成を共通の調音特徴の時間変化モデルを用いて実現するシステムの開発を行っている.この方式は,音声から調音特徴を抽出することにより,調音特徴の時間変化を表現するHMMを構築する.本論文では音声合成に焦点をあて,HMMが生成する調音特徴系列を声道音響パラメータに変換した後,LSPディジタルフィルタで駆動音源と組み合わせて音声信号を得る方式を提案する.提案方式は,話者不変量である調音特徴の時間変化をHMMで表現するとともに,調音特徴から声道音響パラメータへの変換を特定の話者に対応したMLNで実現することにより,両者を独立モジュールとして実装するため,少量の音声試料で特定話者の音声を合成できる可能性がある.評価実験では,MOSテスト,及びスペクトルひずみから合成音の品質を評価し,提案手法の有効性を示す.
著者
木村 優志 澤田 心大 入部 百合絵 桂田 浩一 新田 恒雄
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.132, no.9, pp.1473-1480, 2012-09-01 (Released:2012-09-01)
参考文献数
21

In this paper, we propose a task estimation method based on multiple subspaces extracted from multi-modal information of image objects in visual scenes and spoken words in dialog appeared in the same task. The multiple subspaces are obtained by using latent semantic analysis (LSA). In the proposed method, a task vector composed of spoken words and the frequencies of image-object appearances are extracted first, and then similarities among the input task vector and reference sub-spaces of different tasks are compared. Experiments are conducted on the identification of game tasks. Experimental results show that the proposed method with multi-modal information outperforms the method in which only single modality of image or spoken dialog is applied. Moreover, the proposed method achieved accurate performance even if less spoken dialog is applied.
著者
安東 嗣修 木村 優祐
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アトピー性皮膚炎の痒みの発生機序は、未だ不明である。そこで、アトピー性皮膚炎皮膚にT細胞が浸潤していること、また、その痒みにプロテアーゼが関与していることから、T細胞が産生するグランザイムに着目し、グランザイムの痒みへの関与に関して検討した。その結果、11種のグランザイムサブタイプの内、特にグランザイムAがプロテイナーゼ活性化受容体2を介して痒み反応を起こすことを明らかにした
著者
田代 朋子 佐々木 仁 大江 和彦 木村 優 熊渕 智行
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.231-242, 1995-03-31

医学雑誌に報告される臨床症例を全文データベース化した「臨床症例データベース」を精度良く検索するために医学用語シソーラスを作成した。このシソーラスは従来のシソーラスと異なり文献中に出現する自由語をそのまま収録したものであり、仮に「自由語シソーラス」と呼ぶことにする。本シソーラスにより自由な語から網羅性の高い検索を行うことができる。
著者
木村 優 後藤 千晴 谷 桃子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.529-534, 1989-10-05
被引用文献数
6 9

水中のモリブデン(VI)イオンについて活性炭の粒子表面での吸着特性を調べ,微量モリブデンの分離濃縮及び定量法について報告する.Mo(VI)を含む溶液200mlに活性炭50mgを添加して30分間かき混ぜてから〓過する.〓液中のモリブデン濃度をAAS装置を用いて測定した.モリブデン(VI)pPH3.3〜4.0において90%以上の吸着率を示した.この実験条件で吸着等温曲線を描き,Langmuirプロットをした.得られた最大吸着量は59mg g^<-1>であった.最大吸着量は,溶液にEDTAを加えると約8分の1に減じた.そのほか,シュウ酸ナトリウム,硫酸ナトリウム,塩化カリウム,塩化マグネシウム,塩化カルシウム,硝酸亜鉛などの共存する溶液中のMo(VI)イオンの活性炭への吸着率を求めた.これらいずれの塩類も共存量が増すに伴って吸着率は低下した.特に硝酸亜鉛の共存によってMo(VI)の吸着率は著しく低下したが,8-キノリノールの添加によって吸着率は90%以上に回復した.いったんMo(VI)を吸着させてから活性炭を取り出し,0.1M NaOHを加えるとMoは容易に脱離した.従って,水中のMo(VI)の分離濃縮を簡単に行うことができる.200mlの試料溶液中のMo(VI)を活性炭50mgに吸着し,分離及び脱離操作を経て最終的に1mlに濃縮した場合における試料中のMoのAASによる検出限界濃度は0.0011ng ml^<-1>の超微量である.本法を用いて,水道水,河川水及び海水中のモリブデンの分離濃縮及び定量を行った.その結果,水道水,河川水及び海水についてそれぞれ20回の操作(n=20)の平均値は,0.37(R.S.D.=14%),0.23(17%)及び7.9(8%)ng ml^<-1>であった.
著者
西本 昌彦 田中 貴章 木村 優祐 ジャンディエリ ヴァクタン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.154, pp.117-122, 2008-07-17

地中レーダを用いた地雷探知器はプラスチック製地雷でも探知可能である反面,地表面反射波や地中の小石や砲弾片からのクラッタの影響を受けるため,地雷と地雷以外の物体の識別が難しい.このため,地雷探査用地中レーダには,地雷と地雷以外の物体を高い精度で識別するための識別能力が要求される.この問題のアプローチとして,レーダ応答波形から識別すべき地雷の特徴を直接抽出し,パターン識別の手法を用いたターゲットの識別を行う方法がある.本報告では,地雷中の空洞部からの応答に着目した特徴ベクトルを提案し,モンテカルロシミュレーションを行うことにより,その有効性について検討している.