著者
李 度鎭 臼井 健二 松本 宏 石塚 皓造
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.309-316, 1992-12-24
被引用文献数
4

発芽直後のイネ幼苗の生育に対するジメピペレートと、作用機作の異なる7剤の除草剤との混合処理による相互作用について検討した。土壌による除草剤の不活性化などの要因を排除するために水耕法を用いて根部処理し、イネの地上部と根部の新鮮重を測定した。薬剤間の相互作用についてはColby法で、ベンスルフロンメチルの場合のみIsobole法を併用して評価した。これらにより、以下のような結果が得られた。1) スルホニルウレア系除草剤ベンスルフロンメチル、クロルスルフロンとジメピペレートとの混合処理では、拮抗的効果が示され、ジメピペレートとの混合による薬害軽減効果が認められた。2) オキシフルオルフェン、ピフェノックス、クロメフロップおよびピリブチガルブとジメピペレートとの混合処理でも各薬剤に基因する生育抑制に対しジメピペレートによる拮抗的効果が認められた。3) クロロアセトアミド系除草剤プレチラクロール単剤処理では、地上部より根部の方に抑制効果が強く認められたが、ジメピペレートとの混合処理では相加的効果が示され、生育抑制軽減効果は認められたかった。
著者
松本 真
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.35-41, 1996

正中動脈を例にあげて, 形態にたいする見かた, 方法論について述べる.現象論ないし変異論的には, 正中動脈は成体の8%ほどに出現する枝である.その形成を要因論または機械論的に実証することは, 他の肉眼解剖学的形態についてと同様, きわめて困難である.過程論的には, 個体発生において, 正中動脈は前腕部で骨間動脈にひきつづいて形成される主要枝である.さらに, ツパイにおける個体発生や比較解剖学的考察から, 正中動脈は系統発生的に霊長類の祖先段階で, 成体においても残存し, 機能する枝であったことが推測される.真猿類, 狭鼻類としての段階における変化について, 機能的意義を推論した.これらのさまざまな見かたは, 形態の持つ要素を互いに相補的に分析するものだが, 系統発生がその中心に認識されることが肝要である.また, そのような分析を可能にするうえで, 霊長類の比較研究の重要性が認識される.
著者
君付 隆 松本 希 賀数 康弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

音を認知するためには、空気の音圧振動から鼓膜、耳小骨の固体振動への変換、内リンパ液への液体振動への変換、さらに内耳の音受容器(有毛細胞)から聴神経への電気信号への変換へとその伝達様式が変化していく。それぞれの過程で振動刺激の物理的減衰があるため、内因性の音増幅のメカニズムが存在するが、その中でも内耳蝸牛の音増幅メカニズムが最も重要である。従来蝸牛の有毛細胞の中で外有毛細胞がその役割を担うとされてきたが、本研究は内有毛細胞も音増幅に貢献するメカニズムを有することを示した。
著者
松本 美保 横井 茂樹 安田 孝美
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会全国大会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.133-136, 2002

近年では, ウエブサイトを制作するためのソフトウエアも数多く開発され, 基本的な制作ツールやプログラムは操作パレットに組み込まれている.しかしながら, 非営利組織ウエブサイトは, 企業のウエブサイトに比べてデータの性質やテーマの本質に対応した見せ方を行っている事例が少ない.非営利組織は, 個人や民間企業, 国からの支援や資金援助を得ることが不可欠であり, また活動に対する理解と関心を求める必要がある.広いネットワークを利用した情報公開は有効であるが, 運営の目的に対応した情報デザインが行われていない.本論では, 非営利組織ウエブサイトの一般的な情報アーキテクチャを明らかにし, 問題点の整理と解決策の提案を行った.そして, それらの調査結果をもとに, ユーザーによる情報発信の必要性と今後の情報デザインの在り方について考察を行った.
著者
坂井 丈泰 永井 宏昌 国島 貴志 松本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.97, no.230, pp.79-85, 1997-08-22
被引用文献数
1

高速な画像処理のためのアプローチのひとつに、センサ・アレイと並列演算回路を一体化し、画像の入力と演算処理を同時に実行することを狙ったインテリジェント・センサあるいはビジョンチップなどと呼ばれるアーキテクチャがある。このための演算回路はコンパクトかつ低消費電力であることが要求されるが、我々はフローティングゲートを持つ差動増幅器を用いた方式を検討しており、本演算方式によりDCT演算回路を構成すれば画像圧縮センサの実現も考えられることを示した。本報告では、このフローティングゲート付差動増幅器について動作原理およびアプリケーションを概説し、さらに試作中のプロトタイプ・チップについてレイアウト作業の概況を報告する。
著者
加藤 尊秋 八田 昌久 西川 雅史 松本 史朗
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 = Transactions of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.404-420, 2007-12-25
被引用文献数
3

Although dwellers living near a nuclear power station are entitled to economic/financial benefits such as increased job opportunities and local tax revenues pertaining to the power station, it is not clear whether such benefits are appreciated by the dwellers. Two findings of this study based upon a social survey of local dwellers living near the Kashiwazaki-Kariwa Nuclear Power Station are summarized as follows. First, an increase in the per capita sizes of the local tax revenue and national subsidies resulted in a larger share of respondents who thought that those revenues are beneficial. Therefore, local dwellers are aware of the sizes of economic/financial benefits. Second, given the same risk level of nuclear disaster, a larger per capita financial benefit resulted in a larger share of respondents who felt compensated for the nuclear risk. However, this increase in the number of compensated respondents is low relative to the increase in the amount of financial benefits.<br>
著者
松本 健志 田中 正夫 内藤 尚 中村 匡徳
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

骨折後の早期離床は安静・廃用による骨萎縮を軽減し,高齢者の寝たきりや骨粗鬆症の予防,若年者の正常な骨発達を助け,将来の骨粗鬆症罹患リスクを低減する.本研究では,β交感神経系を介した骨折の可能性について,特に骨修復早期に着目し,動物実験による検討を行った.脛骨皮質骨に欠損を作製したラットを尾部懸垂し,無処置(C), propranololでβ交感神経を遮断(PRO), desferrioxamineで血管新生を促進(DFO)した3群に対し,欠損作製後5日あるいは10日においてジルコニア・アガロース血管造影剤を注入した.各群の試料はジルコニアk吸収端の直上(18. 1keV)及び直下(17. 9keV)で放射光CTスキャンし,再生骨及び新生血管をイメージングした.術後5日目には3群とも血管新生が見られたが,その体積率はC群に比較してDFO群で有意に高く, PRO群では増加傾向が見られたのみであった.骨の再生については特にPRO及びDFOの処置による効果は確認できなかった.術後10日目には血管新生の体積率は3群で差はなくなったが,再生骨の体積率はDFO群で有意に高値を示した. PRO群では骨再生の増加傾向は見られたが,有意な効果は認められなかった.β交感神経遮断の骨修復への効果については,効果の濃度依存性や選択的遮断など,さらに詳細な検討が必要である.
著者
齊藤 貢 松本 文雄
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

東日本大震災で大量に発生した瓦礫が風により飛散することが予想され、飛散粉じん中の有害物質による周辺住民への健康影響が危惧された。本研究では、瓦礫処理場からの飛散粉じん状況を調査するため、ミクロ繊維シート捕集材による多点モニタリングを実施し、GISを用いて飛散粉じ量および有害物質の分布状況を可視化した。さらに、瓦礫飛散粉じんによる健康リスク度の評価を行った。継続モニタリングの結果、大気環境状況は、平成26年度の瓦礫処理作業終了後には周辺地域と同程度にまで回復され、周辺地域への健康リスク度は低いことが考察された。
著者
松本 達郎 村本 喜久雄
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.130, pp.85-95, 1983-07-15

3種のうちの1は羽幌の下部サントニアン産のもので代表され, Eutrephoceras sublaevigatum (d'Orbigny) に似るが, 縫合線がもっと波状でKummeloceras(その1で設立)の1新種とした。2番目は幾春別の下部サントニアン産の大小2個体で代表され, 従来九州天草の姫浦層群の下部サントニアンから報ぜられていたCymatoceras pseudoatlas (Yabe et Shimizu)に同定される。3番目は天塩アベシナイの中部カンパニアン産の大小2個体と, 昔の南樺太(川上の下部カンパニアン?)から採取されていた中位の大きさのもので代表され, Cymatoceras の新種とした。これはC. saussureanum (Pictet)に似るが, サイファンクルがやや腹側に位置することなどで区別される。なお論文中の一部(松本単著)で, Cymatoceratidae及びCymatocerasにつき論述し, 1新属を提唱した。
著者
越智 浩二 石橋 忠明 松本 秀次 妹尾 敏伸 田中 淳太郎 原田 英雄 穐山 恒雄 中井 睦郎 林本 加奈枝
出版者
岡山大学医学部附属環境病態研究施設, 岡山大学医学部附属病院三朝分院
雑誌
環境病態研報告 (ISSN:09133771)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.39-46, 1989-07

注腸・内視鏡同日併用法の大腸早期癌診断における有用性の検討,その診断能向上のための検査前日食改善を目的に,同法を施行した94例の診断能,従来のBrown変法に準じた献立食とレトルト食(サンケンクリン)とのX線画像の質,内視鏡時の残渣の程度,被検者への味のアンケートを分析した。発見大腸腫瘍は癌5例(早期癌2例,進行癌3例),ポリープ26例32病変である。早期癌はともにポリープの形態をとり,注腸,内視鏡とも病変を指摘できた。病変の好発部位である直腸・S状結腸で注腸・内視鏡によるダブルチェックができる。前日食の検討ではレトルト食が従来の献立食と比し,注腸・内視鏡ともに優れた腸内洗浄能を有し,味のアンケートからも劣ることはなかった。大腸癌早期発見の2次スクリーニングとして,レトルト食を前日食とする同法の有用性が示された。The present study was performed (1) to evaluate the validity of co-examination by sigmoidoscopy and barium enema study for the early diagnosis of colon cancer and (2) to find the most suitable preparation method for the co-examination. The co-examination was performed on 94 patients : those with abdominal symptoms and signs suggestive of colonic diseases : those with positive occult blood test in stool : or those asking for the routine examination of the colon. The examination revealed 5 cases of colon cancer (2 with early cancer and 3 with advanced cancer) and 26 eases (32 lesions) with colon polyp. The high detection rate of colonic neoplasms, especially of minute lesions, along with the high rate of early lesions among cancers suggested the validity of the co-examination method for the early diagnosis of colon cancer. The method was not time-consuming and not demanding for both patients and doctors, but was effective in detecting minute lesions by allowing a doublecheck in the high-risk recto-sigmpid region ; in addition, the upper colon could be examined by X-ray. The comparative studies on the currently popular Preparation method (modified Brown's method) and a new method with retort foods (Sankenclean, Sanwa Kagaku Kenkyusho Co., Ltd) revealed that the latter was significantly more effective in cleaning colon lumen and visualizing fine network pattern of the colonic mucosa. In addition, the patients were more satisfied with the taste of the latter.
著者
高田 篤 松本 和彦 毛利 透 西 平等 福島 涼史 近藤 圭介
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

現在ドイツにおける「ケルゼン・ルネッサンス」の進展・成果の把握と、「ケルゼン」を通じたドイツ公法学の布置の把握を行った。前者について、1)方法論、2)民主制論、3)グローバル化・ヨーロッパ化をめぐってケルゼンが「有用」であるとして「再発見」されていることを確認し、その分析を論文、報告、報告書としてまとめた。後者については、ドイツ公法学転換をめぐる「戦線」が「連邦裁判所批判」をめぐって先鋭化しており、その構図、担い手が「ケルゼン・ルネッサンス」のそれらと重なることから、『越境する司法-ドイツ連邦憲法裁判所の光と影』の翻訳を完成させ、上記1)、2)、3)をめぐって、その意義を分析・解明した。