著者
松本 かおり
出版者
ロシア・東欧学会
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13486497)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.32, pp.131-144, 2003 (Released:2010-05-31)

This paper aims to compare students in Vladivostok and Moscow, Russia and examine the differences between desirability of occupation and occupational prestige by analyzing answers to questionnaires.At present, it is very difficult for Russian youths to find employment. After the demise of the Soviet Union, it became difficult for them to acquire even basic skills and gain experience through on-the-job training, the traditional way of acquiring know-how for Soviet workers. Even if they do find jobs, these are often unrelated to their majors and/or specialties in the higher education institutions. It should also be noted that premature death rate of youths has escalated in recent years. Therefore, it is wrong to assume that the social life condition of Russian youths is significantly better than others. It is in this context that this research on occupational evaluations is conducted.The result of our comparative research demonstrates some differences in occupational evaluations between Vladivostok and Moscow. In terms of desirability of occupation, Vladivostok youths consider job attractiveness, income, school education, knowledge and skills, while Moscow youths are interested in job attractiveness, creativity, and pride. Meanwhile, occupational prestige is characterized in terms of higher income, stable social life, school education, knowledge, skills and social network in Vladivostok, and higher income, stable social life, and influence on society in Moscow. It concludes by suggesting that Vladivostok is a kind of “education-conscious society” where students value diligence, while Moscow is a kind of “authority-oriented society”, where knack and intelligence are more important than Vladivostok.The research also reveals that students in both cities values job attractiveness most, not easy jobs and long leisure time. As mentioned above, however, there is little chance in reality to find jobs that satisfy them. It is obvious that there is a structural gap in the Russian labor market resulting from inefficient vocational education in the higher education institutions and the so-called “educational inflation”, a situation where even higher degrees will not guarantee these jobs. Taking all things into consideration, we have to analyze the Russian labor market further with respect to various changes taking place in this country.
著者
松本 道弘 川口 淳一郎
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.43-52, 2005 (Released:2006-01-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

今日の電気推進機関の技術進歩により,高比推力の推進機関が実用化されるようになり,さまざまな惑星探査が可能となった.そして今後も,火星や木星をはじめとする,深宇宙の惑星を探査する機会が増えていくと考えられている.宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部では,地球近傍ではなく地球引力圏界に,中継拠点として深宇宙港を建設しようという検討を行っている.本研究では,太陽-地球系L2点に深宇宙港を設置することを想定し,低推力推進機関を搭載した宇宙機によるL2点を発着地とした深宇宙往還システムを考え,その脱出軌道を論じる.また同時に,本軌道設計において地球と同期する回帰惑星間軌道上で軌道エネルギーを離心率の拡大によって蓄積する手法(Electric Delta-V Earth Gravity Assist(EDVEGA))が有効であることを示し,EDVEGA軌道への接続を考えた脱出軌道についても提案する. なお,本検討は,その対称性からL1点深宇宙港に対しても,同様に当てはめることができる.
著者
松本 淳
出版者
日本アニメーション学会
雑誌
アニメーション研究 (ISSN:1347300X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.17-26, 2018-03-01 (Released:2021-05-07)
参考文献数
16

日本の商業アニメーションの世界で CG作品が存在感を増している。 2013年10月に放送された『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』がその起点となり、 2017年現在も1月より放送された『けものフレンズ』と、4月より放送されている『正解するカド』が話題となっている。これらに共通するのが、3DCGを作品制作に用いている点となる。3DCGがアニメーションに及ぼす影響は、単に制作手法に留まらず、アニメーションのビジネスひいては産業構造にも至る。本論文では、各作品のプロデューサーらへのヒアリングと先行研究を用いて、その考察を行いたい。
著者
松本 遥子 堤 孝広 寺澤 玲緒 宮田 直貴 藪 慎一郎 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.66-73, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
13

本稿では,ウェアラブル楽器の一環として,あるいはウェアラブルコンピューティング技術のファッション応用に対する具体的実現としての「着るピアノ」について,導電性布素材を用いた新しいアーキテクチャを提案する.提案するアーキテクチャでは「服としての一体感を演出するために,なるべく布素材を用いる」「機能分化により軽量化を図る」「意図しないシーンで音が出ることを防ぐ」「鍵盤レイアウトの自由度を向上させる」の特徴を有し,衣服としての着心地,着るピアノとしての操作性,デザインの自由度などについて大幅な改善を実現したものである.本提案は,「着るピアノ」の改良,ということのみならず,ウェアラブル基盤としての導電性布素材の新しい利用方法を模索するものとの位置づけも可能である.
著者
松本 美保 横井 茂樹 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.125-131, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

In Japan, there are currently more than 600 academic societies and most of these societies do not have their respective websites developed by professional web-masters. In many instances, there is a lack of clearly understandable information architecture and methods of website design are generally weak. In recent years, a number of useful web-developing software applications have been simplified and many complicated tasks cannot be completed without the expertise of system engineers. The authors attempted to conduct a research on many academic societies relative to how these societies deal with information architecture and related design methods. We have developed a model website and have proposed an ideal website prototype so that members of other academic societies may explore the model in the developments of their own websites in accordance with their own needs.
著者
松本 貴文
出版者
西日本社会学会
雑誌
西日本社会学会年報 (ISSN:1348155X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.63-74, 2019 (Released:2020-03-27)
参考文献数
21

本稿の目的は、熊本県上益城郡水増集落における、太陽光発電事業の導入を核とした地域再生活動の事例研究を通じて、新たな自然資源利用が地域の持続可能性にどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。従来、農山村の持続可能性については、経済的・社会的基盤という観点から議論されてきたが、農山村の暮らしと切り離すことができない自然環境とのかかわりにも目を向ける必要がある。水増集落では、共有地管理への危機感から、集落として太陽光発電事業の導入を進め、集落が誘致した企業とともに、発電・売電事業の枠に収まらない「むらづくり」を進めてきた。その結果、集落では共有地をはじめとする自然環境とのかかわりが増大し、人と自然との関係の再構築が進んだことで、経済的価値のみならず、地域内外の人々の間に社会関係や社会集団の形成を促すなど、社会的価値の創造にもつながっている。そのような成果を通して、事業は住民の地域観にも影響を与えており、集落の持続可能性に対しても、肯定的な効果が生まれつつあることが明らかとなった。
著者
松本 雅則
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.3-6, 2020 (Released:2020-02-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy: TMA)は,溶血性貧血と血小板減少に中枢神経や腎臓などの臓器障害を認める疾患群である.TMAに含まれる疾患で最も症例数が多いのが,志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin producing E. coli: STEC)による溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome: HUS)である.それ以外で,診断基準が明らかな血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)は,ADAMTS13活性10%未満で診断される.この2つの疾患以外は,鑑別が困難な場合が多いが,その中で近年疾患概念が明らかになったのが非典型(atypical)HUS(aHUS)であり,補体系の異常によって発症する.また,自己免疫疾患,妊娠,造血幹細胞移植後などの明らかな基礎疾患や状態が存在すれば二次性TMAと診断される.最近,それぞれの疾患に特異的な治療薬が開発されているので,病因による分類が重要な時代となっている.
著者
松本 良 青木 豊 渡部 芳夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.102, no.11, pp.931, 1996-11-15 (Released:2008-04-11)
被引用文献数
1 1
著者
松本 太 中村 圭三
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.215-229, 2017-05-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
20

ネパール南部における住宅の温熱環境の季節的な特徴を明らかにすることを目的として,屋根素材が異なる3住宅で気象観測を行なった.その結果,以下の知見を得た.①非モンスーン季には,日の出以降気温が急激に上昇し,モンスーン季よりも日較差が大きい.晴天日の日中においては,屋根素材のタイプによって屋根面温度の違いが明確に現れた.室温は,日中にはトタン屋根,夜間にはコンクリート屋根の住宅で最も高い.以上の結果から,室温形成に屋根素材の熱的性質が関与していることが検証された.②モンスーン季では,降水や高湿度の影響により,気温の日較差が小さい.日中においては,保水による昇温抑制効果が強いカワラ屋根と保水不可能なトタン屋根との温度差を反映し,室温は,トタン屋根の住宅で最も高く,カワラ屋根の住宅で最も低くなったと考察された.以上のことから,降水が室温に対し強く影響を及ぼしていることが明らかになった.
著者
飯尾 恒 吉田 繁樹 北村 立実 松本 俊一 黒田 久雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.171-176, 2019 (Released:2019-07-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

茨城県のレンコン出荷量は全国一位であり, 全国のレンコン収穫量, 出荷量の半分近くを占めている。茨城県土浦市手野地区はレンコン専作地帯で, 1995年から2015年にかけて日本で初めてハス田群で基盤整備を実施し, コンクリート畦畔整備や用排分離等を行った。本研究では基盤整備された手野地区において流出負荷量調査を行い, 基盤整備による流出負荷量の影響を調査した。ハス田群からの排出負荷量を検討した結果, SS, COD, TNは3月から4月にかけて最大の値を示し, その要因として石灰窒素施用, 基肥施肥の影響が考えられた。TPは土壌が嫌気状態になりやすい7月から8月にかけて最大の値を示した。一年間の差引負荷量は基盤整備前と比べ, SS, COD, TN, TP全てで増加し, その要因として用排分離を整備したことにより, 田越灌漑の沈殿効果が消失した影響が考えられた。