著者
松本 昭憲 篠原 一彰 中川 雅之 佐久間 宏規 熊田 芳文 田勢 長一郎 小林 国男
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.455-458, 2001-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9

Iodoformgauze topical applications are often used to wound infections. We report a postoperative epidural abscess with delirium due to iodoformgauze topical application in an open wound. We had inserted an epidural catheter in 79-year-old man with an epidural abscess. After proper drainage, iodoformgauze was used to cover for the abscess. He suffered consciousness disturbance for 12 days postoperatively. Suspecting iodoform toxicity, we checked protein binding iodine (PBI) and total serum iodine. PBI was 14.5μg/dl and total serum iodine 152μg/dl. We stopped iodoformgauze use, and the man's consciousness cleared, indicating the importance of watching for side effects such as consciousness disturbance when using iodoformgauze.
著者
松本 洋輔
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.599-607, 2021 (Released:2021-10-01)
参考文献数
9

LGBTQ+と呼ばれるセクシュアルマイノリティのメンタルヘルスは損なわれやすいことがさまざまな研究で明らかになっている.筆者は主にトランスジェンダーの生活史を多数聴取しているが,メンタルヘルスの問題はLGBTQ+に共通するものがあると考えている.それは社会との間で抱える問題であり,LGBTQ+本人の中にはない.学校における種々のジェンダーの規範はトランスジェンダーを苦しめる.学校教育などの中でセクシュアリティの多様性に関して肯定的な情報の提供は乏しい一方,LBGTQ+を揶揄するような否定的な情報はさまざまな場面で繰り返され,それが問題であることもほとんど指摘されることはない.LGBTQ+の割合は20~30人に1人とされ,医療機関受診者にも多数混じっている.彼らのメンタルヘルスを守るためには,医療者が無自覚にもっているスティグマに気づく必要がある.
著者
平林 一広 岩田 進 松本 広淳 森 武雄 柴田 承二 馬場 昌範 伊藤 正彦 茂田 士郎 中島 秀喜 山本 直樹
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.112-115, 1991-01-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
67 79

Chemically modified compounds of glycyrrhizin have been synthesized and evaluated for their inhibitory effect on the replication of human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1) and herpes simplex virus type 1 (HSV-1). Among them, the 11-deoxo compound having a heteroannular diene structure at the C and D rings proved as active against HIV-1 as glycyrrhizin in MT-4 and MOLT-4 cells. It completely inhibited HIV-1-induced cytopathogenicity in both cell lines at a concentration of 0.16mM. The compound was also effective against HSV-1 with a 50% inhibitory concentration of 0.5μM.
著者
松本 和也 マツモト カツヤ
出版者
神奈川大学人文学研究所
雑誌
人文学研究所報 = Bulletin of the Institute for Humanities Resarch (ISSN:02877082)
巻号頁・発行日
no.66, pp.1-20, 2021-09-27

本稿では,昭和10年代(1935~1944)における地方文化(運動)を主題とした言説を,特に文学言説を軸として分析― 考察した。Ⅱでは,地方主義文学や故郷・郷土を語る文学言説を通じて「地方(文化)」という概念が注目されていた様相を確認する。Ⅲでは,昭和15年の日本文化論の再評価と連動して展開された地方文化言説について,再燃していく地方文学を中心に検証した。この時期,「地方」には,内地の周辺部と外地の日本が含まれていた。Ⅳでは,大政翼賛会文化部が主導した地方文化運動に注目し,文化部メンバーの発言や地方での受容などを分析した。この時期には,国民文化=地方文化を大東亜文化,世界文化へと展開していく回路も言説化されていった。太平洋戦争開戦後を扱うⅤ・Ⅵでは,疎開も含めて,地方文化(運動)が「戦力」として位置づけられていく地方文化言説を検証した。ここで地方文化言説は,文化と生活とが「戦力」において一体化する帰結を迎える。
著者
松本 直樹
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.39-56, 2008-03-31 (Released:2017-05-04)
被引用文献数
2

地方自治,特に住民自治を実現する制度的な機関である議会の公立図書館及び学校図書館への関心について検討するため,埼玉県内市議会を対象に,全41市の議会会議録の分析を行った。議会会議録の分析から,図書館に比較的強い関心を持つ議員が全体の2.4%存在し,彼らが全質問の28%を占めていた。政党・会派では,公明党,共産党の質問回数が多かった。また,女性議員の関心が高いことが分かった。質問内容としては,施設・職員の充実を望むものが多かった。
著者
阪井 誠 中道 上 島 和之 中村 匡秀 松本 健一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2575-2586, 2003-11-15

WebTracerはWebサイトをブラウズするユーザの視線と操作の記録,再生,分析を支援するユーザビリティ評価環境である.WebTracerは,ユーザがどこを注視しつつ操作を行ったかをコンパクトに記録することが可能である.評価実験の結果,WebTracerは既存のビデオ圧縮方式であるMPEG-2やMPEG-4に比べ1/10から1/20のデータサイズで,Web操作画面を記録し再生することができた.また,Webページのメニューが2カ所に分かれている場合は注視点の移動速度が速かったなど,視線とユーザビリティが関連している可能性が示された.WebTracerを用いれば,ユーザビリティの共同研究や,ユーザビリティ評価者と開発者の間でデータ交換することが可能になる.また,視線データを利用して問題のあるページを容易に探せるなど,ユーザビリティ評価を効率的に支援できる可能性がある.
著者
吉国 好道 田上 八朗 松本 吉郎 井上 邦雄 山田 瑞穂 佐野 勉
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.289-295, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

角層へ水分をいかに効果的に補うかを目的として, 種々の外用剤が開発されている。私たちは基剤の性質によって角層の水分含有量はどのように影響されるか, それはどのような機序によって水分含有量を増しているかについて検討した。単純に角層へ水分を与えることを目的とした場合, 白色ワセリンのような皮表に油膜を作る基剤が下方へ水分を貯留せしめることにより最も優れていること,/W型乳剤性軟膏の場合, 時によっては逆に皮表角層の乾燥を生じる可能性があることを示したO 。ストリッピングにより角層の水分含有量を立体的に解析したが, これは角層水負荷試験とともに, 外用剤の評価や病的角層の分析に役立つものと考えた。
著者
遠藤 英徳 藤村 幹 松本 康史 遠藤 俊毅 佐藤 健一 新妻 邦泰 井上 敬 冨永 悌二
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.514-521, 2018 (Released:2018-07-25)
参考文献数
34

頚動脈狭窄症に対する外科治療の是非に関して, これまで数多くのランダム化比較試験 (RCT) が行われてきた. 古くは, 内膜剝離術 (CEA) と内科治療を比較したRCT, その後CEAと頚動脈ステント留置術 (CAS) を比較したRCTが行われ, その結果に基づいて治療ガイドラインが作成された. 症候性高度狭窄に対してはCEAもしくはCASの有効性が示されているが, 内科治療が発展した現在においては, 無症候性病変に対する外科治療の有効性検証が課題である. 今後は, 外科治療の危険因子を抽出し, 治療対象を明確化していく必要があるとともに, 術者教育環境を整え, 治療成績の維持・向上に努める必要がある.
著者
松本 実紗 伊香賀 俊治 山川 義徳 内田 泰史 村上 周三 安藤 真太朗 満倉 靖恵 中島 侑江
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.137-140, 2018 (Released:2019-10-30)

寒冷暴露が脳機能に悪影響を及ぼすと仮定し、高知県梼原町在住の90名について、2016年度及び2017年度の冬季に住宅の温熱環境測定、対象者の血圧及び活動量測定、MRI 装置による脳機能検査、アンケート調査を実施した。多変量解析の結果、個人属性、生活習慣、血圧及び活動量を考慮した上でも、居間の床上1.1mの冬季室温が寒冷な居住者は全脳領域神経線維拡散度の得点が有意に低いことを確認した。
著者
松本 浩幸 柄本 邦明 今井 健太郎 高橋 成実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_319-I_324, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,リアルタイム津波検知手法の高度化のために,台風接近時に観測された海底津波計データを精査して,地震にともなう津波との相違点を明らかにした.台風接近時と地震にともなう津波発生時では,観測波形の卓越周波数の特徴が異なることが判明した.すなわち,台風接近時には広帯域にエネルギーが分布するのに対し,地震にともなう津波発生時には低周波のエネルギーが卓越する.次に,微小振幅波理論にもとづくカットオフ周波数で津波を検出するリアルタイムフィルタを設計し,海底津波計の近傍で発生した地震に適用した.検出した津波は数値計算と整合し,設計フィルタの妥当性を検証した.ただし,台風接近時にはうねり成分が含まれることから,うねり成分を除去するカットオフ周波数の検討が必要であることを示唆する.
著者
松本 なるみ Narumi MATSUMOTO
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 = Research bulletin of Naruto University of Education (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.102-111, 2006-03-03

This study attempted to consider the ideal form of social care which respects the best interests of children, by utilizing an interview survey to examine the elements required to raise the children involved in social care from the viewpoint of those involved. It was found that children who have been subject to social care programs require the preparation and perpetual guarantee of a family-like environment to replace the family lifeand relationships which were lost. When we considered what the best interests were of children involved in this social care, we were confronted with the fact that no overall correct answer existed. This was because the circumstances and problems were different for each individual child, and could only be resolved by individual fine-tuned handling. Because of this, the true best interests of the children will never be identified unless the adults pay greater attention to the children involved, listen seriously to each individual, and hold the children in true respect.
著者
佐々木 学 梅垣 昌士 鶴薗 浩一郎 松本 勝美 芝野 克彦 呉村 有紀 米延 策雄
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.170-175, 2016 (Released:2016-09-03)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Objective : Surgical site infection (SSI) caused by methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) after spinal instrumentation surgery is often intractable, and removal of the implants is frequently necessary for infection control. Although vancomycin (VCM) has been most frequently used against SSI caused by MRSA, recent literatures questioned its efficacy because of its low tissue penetration. Some experts recommend combination therapy with anti-MRSA agents possessing higher tissue penetration or an anti-biofilm effect. The present report shows outcomes of antibiotic therapy for SSI caused by MRSA after spinal instrumentation surgery.  Materials and methods : From January 2011 to December 2013, four patients developed SSI caused by MRSA after spinal instrumentation surgery. Posterior lumbar interbody fusion was used in all patients. As initial therapy, VCM was given to one patient, and combined teicoplanin (TEIC) and rifampicin (RFP) were administered to the other three. These patients subsequently received therapy with TEIC, linezolid, or daptomycin combined with RFP, sulfamethoxazole-trimethoprim, or clindamycin. These agents were stopped sequentially if C-reactive protein remained negative for more than a week.  Results : Infection was uncontrolled in one patient initially treated with VCM, and removal of the posterior instrumentation and interbody cages was required for infection control. Combined therapy was given postoperatively, with complete cure by 13 weeks after removal of the implants. Infection was controlled and the implants could be retained in the other three patients who were initially treated with TEIC and RFP ; cure was achieved with subsequent combined therapy for 3-15 weeks.  Conclusion : The present study suggests that SSI caused by MRSA is treatable with retention of the implant by using combined therapy with anti-MRSA agents possessing higher tissue penetration than VCM or those with an anti-biofilm effect.
著者
松本 令以
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-5, 2013-03-29 (Released:2018-05-04)
参考文献数
14

動物園は,レクリエーション施設としてだけではなく,社会教育施設として,調査研究機関として,また自然環境や野生生物の保全のための中核施設として社会的に位置づけられており,飼育係,獣医師,教育普及担当者などの動物系技術職員がそれぞれの専門業務を行うとともに,動物学,獣医学,教育学などの分野の様々な研究を自ら,あるいは大学などの研究機関と共同して行っている。横浜市立動物園では,(独)国際協力機構(JICA)の支援を得たウガンダ野生生物教育センターへの技術協力,同じくJICAの支援を得たインドネシア・バリ島へのカンムリシロムクの野生復帰,横浜市内で野生絶滅したミヤコタナゴの飼育下繁殖など,いくつかの野生生物保全活動も行っている。一般市民からは,動物園は単なるレクリエーション施設として捉えられがちであり,飼育係といえば,単に動物の世話をする人というイメージも強い。しかし動物園は,立派な自然科学系博物館であり,そこに働く動物系技術職員は学芸員と同等の業務を行っている。特に公立動物園では,管理運営の大部分が市民の税金を用いて行われているため,市民に対する社会教育,自然環境や野生生物の保全思想の普及啓発などの公益的成果をあげることが期待されている。