著者
寺杣 友秀 松本 圭司 志甫 淳 ガイサ トーマス 齋藤 秀司 木村 健一郎 花村 昌樹
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

超幾何関数に代表される特殊関数論を幾何学的な視点から見直し、それによってこれまで具体的に与えられていなかった対象の表示をあたえ理解を深める。とくに代数多様体の周期に関係したものを扱い、超幾何関数だけではなく、多重対数関数、多重ゼータ値、楕円曲線と関連する特殊関数の関係を明らかにする。その手法としてホモトピー修正の理論や曲線の対称積などがありこれらを用いて代数的サイクルを構成することが考えられる。また、多重ゼータ値の重さフィルトレーションに関するより詳しい解析を行った。また混合テイト・モチーフに関しては基礎理論の整備がまだまだ不完全なところもあるので、厳密な構成法などを確立する。
著者
清成 透子 井上 裕香子 松本 良恵
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.si5-11, (Released:2022-12-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1

COVID-19のパンデミックは,行動免疫システムと感染予防行動や態度などの関係を検討する格好の機会である。本研究は,感染拡大の鍵を握る若年層(大学生)を対象に身近にCOVID-19の罹患者がいる群とそうではない群を比較し,行動免疫システムから予測される通り身近に迫る感染脅威が予防行動を実際に引き出しているかを検討した。調査は2021年7月5日から21日の期間にオンラインで実施した。有効回答のうち,感染経験者あるいは検査中の回答者(13名)を除外した456名を分析した結果,予測に反して身近有感染群(152名)は無感染群(304名)と比較すると全体として感染回避反応が低く,予防行動を行っていないことが明らかにされた。若年層では病原体曝露によるリスクと人間関係維持による利益間にトレードオフが生じている可能性が示唆された。
著者
堤 聡 木村 秀 松本 大資 古川 尊子 松岡 裕 木原 歩美 浜田 陽子 湯浅 康弘 石倉 久嗣 沖津 宏 阪田 章聖 山下 理子 藤井 義幸
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.124-127, 2011-03-25

リポイド肺炎は脂肪を貪食したマクロファージが出現する肺炎であるが,一般に無症状であり胸部異常陰影にて偶然見つかることが多い.今回診断に苦慮し胸腔鏡下肺生検にて診断しえたリポイド肺炎を経験したので報告する.症例は79歳,女性.僧房弁狭窄症に対する弁置換術後のフォローアップ中に,胸部X 線像で右中肺野にすりガラス陰影の出現を認めたため当科へ紹介された.明らかな自覚症状や各種検査での異常所見を認めなかったため経過観察としていたが,初診から8カ月後に肺野陰影の増強と拡大を認めたため胸腔鏡下肺生検を施行した.病理組織像では肺胞内に浸出物と泡沫状マクロファージを多数認め,最終的にリポイド肺炎の診断を得た.症状に乏しい胸部異常陰影の鑑別疾患のひとつとしてリポイド肺炎は考慮する必要がある.
著者
松本 明生
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.115-125, 2017-05-31 (Released:2017-10-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究の目的は、体験の回避がスピーチ時のストレス反応に及ぼす影響について検討することであった。研究1では144人の大学生に対して体験の回避を測定するAAQ-Jへの記入と中性場面とスピーチ場面の想起、そして想起中の気分の評定を求めた。分析の結果、AAQ-J得点とスピーチ場面想起時のネガティブ気分との関連が示された。研究2では、聴衆不安尺度で選抜された18名のスピーチ不安の高い大学生をアクセプタンス教示条件と統制条件の2条件に分けた。アクセプタンス教示条件ではベースラインとしてのスピーチ課題を1回実施した後、アクセプタンス教示下でのスピーチ課題を3回実施した。一方、統制条件ではスピーチ課題のみを4回実施した。その結果、アクセプタンス教示条件の研究参加者にはスピーチ課題中の主観的不安の低減が認められた。考察では、体験の回避とストレス反応との関連と今後の研究・臨床上の課題について論じた。
著者
上山 和子 岡本 直行 金山 時恵 松本 百合美 芝﨑 美和 山本 智恵子 井上 信次 斎藤 健司
雑誌
新見公立大学紀要
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.43-48, 2021-12-25

本研究は、2020年度に入学した保健医療福祉系の学生を対象に新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式とマスク着用を取り入れた学修生活に対する生理的(体温・経皮的動脈血酸素飽和度・脈拍)変化を明らかにすることを目的に準実験調査を実施した。その結果、A大学の学生は坂を利用して登下校を行っており、特にマスク着用中の登校で大学内の各建物の到着時には、体温、経皮的動脈血酸素飽和度の値の変化は見られなかったが、脈拍数は上昇していた。このことより、マスクの着用による生理的影響は少ないものも、今後も新しい生活様式の中で適切なマスクの着用を促す必要性が示唆された。
著者
松本 園子 光畑 裕正
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.318-324, 2017-10-25 (Released:2017-11-08)
参考文献数
14

腰椎手術後に再度腰痛・下肢痛が出現する腰椎手術後疼痛症候群(failed back surgery syndrome:FBSS)の治療には苦慮することが多い.今回当院外来でFBSS患者での難治性腰下肢痛に対する後仙腸靱帯ブロックの有効性を検討した.2010年4月~2016年3月の6年間に当科に初回受診したFBSS患者64症例のうち,仙腸関節関連痛と認められた55症例について後仙腸靱帯ブロック後の数値評価スケール(numerical rating scale:NRS)の経時的変化,罹患期間,罹患部位,下肢痛の有無などについて検討した.初診時FBSSと診断した64例中,仙腸関節関連痛と認められた55症例について後仙腸靱帯ブロックのみで痛みが軽減した症例は85.5%(47/55)であった.罹患期間は中央値18カ月で,腰痛だけでなく下肢痛を伴う症例が68.1%(32/47)であった.NRSは経時的に有意に低下した.1回のブロックで50%以上のNRS改善を示した症例は53.2%(25/47)であった.後仙腸靱帯ブロックはFBSSの治療に対して有意に疼痛を軽減し,診断的ブロックとしても治療としても有効であり,FBSSには少なくない割合で仙腸関節関連痛が含まれていた.
著者
中尾 俊之 松本 博 岡田 知也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.2304-2308, 2000-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5
被引用文献数
4 2

慢牲腎不全・透析患者では,感染防御に対する解剖学的・生理学的機構の障害や好中球,単球・マクロファージをはじめTリンパ球, Bリンパ球の異常を認め,免疫不全の状態にあり易感染性宿主となっている.一般細菌感染症では下気道や尿路および透析用血管内留置カテーテルの感染が多い.また肝炎ウイルス感染や結核症の罹患率は一般人に比べて著しく高いことが注目される.腹膜透析患者の腹膜炎では,明らかな感染源なしの自然発症細菌性腹膜炎の頻度が高い.
著者
和田 有紀子 道下 尚文 森下 久 山本 温 松本 一弘 菱川 哲也
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.11, pp.880-888, 2022-11-01

周囲環境からの影響の低減やデザイン性の向上といった観点から,アンテナや無線回路をスロット付金属きょう体の内部に含む無線通信装置が実用化されている.本論文では,スロット付金属きょう体の内部に折返しダイポールアンテナを備えたアンテナを提案し,金属きょう体上のスロットと折返しダイポールアンテナのインピーダンス特性と電磁界分布を調べ,動作原理を明らかにする.次に,その動作原理に基づき金属きょう体の薄型化とインピーダンス特性の広帯域化を検討する.その結果,金属きょう体幅を0.22λ0 (λ0:中心周波数の自由空間波長)から0.03λ0に減少させ,比帯域幅を7.6%から18.9%に拡大することができた.また,試作評価により,提案アンテナの広帯域動作を確認した.
著者
濱家 由美子 小原 千佳 冨本 和歩 松本 和紀
出版者
日本精神保健・予防学会
雑誌
予防精神医学 (ISSN:24334499)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.31-42, 2018 (Released:2020-12-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1

精神病とトラウマの関連性は広く知られており、初回エピソード精神病 (First Episode Psychosis: FEP) やAt-Risk Mental State (ARMS) でも子ども時代の逆境体験を含むさまざまなトラウマを経験する割合は高い。トラウマの問題を心理社会的治療の1つに含めることが理想的だが、実際にはトラウマの問題を同定し、適切な対処や治療に結びつける作業は難しいことが多い。トラウマの問題は精神病症状の背後に隠れてしまったり、トラウマに伴う回避や認知の歪みの影響で適切に把握されにくく、トラウマを扱うことへの苦手意識や治療者の自信のなさなどにもよって、トラウマが早期介入の治療標的として選択される機会は少ない。 一方、近年、精神病に併存する心的外傷後ストレス障害 (Posttraumatic Stress Disorder: PTSD) に対してもトラウマに焦点化した治療介入で症状が改善することが明らかにされ、早期介入の視点からもこの問題に取り組んでいく重要性が認識されるようになっている。トラウマの問題を抱える早期精神病の人々を見出し、この問題に早期から取り組むことで、患者の病態の理解が進み適切な支援に結びつくことが期待できる。 今後早期介入の現場においても、治療初期にトラウマ体験の有無を評価し、トラウマが確認された場合には、患者に安心感を与えながらトラウマの問題を共有し、心理教育を行っていく基本的なアプローチを普及させていくべきだろう。さらに、必要に応じてトラウマに焦点化した心理療法を提供するという治療ステップを踏めるような医療環境を整備することが求められる。
著者
野崎 健太郎 松本 嘉孝
出版者
日本湿地学会
雑誌
湿地研究 (ISSN:21854238)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.43-72, 2022 (Released:2022-11-10)
参考文献数
80

名古屋市千種区の近接する3 つの湧水と雨水を対象にして,2015 年から2017 年にかけて水質の季節変化を記載し,それらに及ぼす人間活動の影響を調べた.続いて,この調査結果を教材として用いて,小学校理科の教育実践を行った.湧水の起源となる雨水の水質は,pH 4.4~5.3,電気伝導度2 mS m-1,溶存無機態窒素濃度(DIN:dissolved inorganic nitrogen)470 μgN L-1 であった.湧水の水質は,人間活動の影響が無い金明水では, pH 5.1~5.5,電気伝導度2 mS m-1,DIN 13μgN L-1 であったが,都市部の本山ではpH 5.8~6.5,電気伝導度10 mS m-1,DIN 2000 μgN L-1,椙山小学校ではpH 6.3~9.5,電気伝導度24 mS m-1,DIN 5000 μgN L-1 となり,都市中心部に近い湧水ほど,水質は弱酸性から中性および弱アルカリ性へと変化し,電気伝導度と溶存無機態窒素濃度が高い値を示した.したがって,都市部の人間活動は,湧水の水質を大きく改変していることが明らかになった.教育実践は,小学校第5 学年理科の河川の授業で行った.授業の主題は,「身近にある川のはじまり-椙山小学校から川がはじまる」とし,ねらいは,「1 川は斜面から湧出する湧水からはじまる」,「2 湧水の水質には人間活動が大きな影響を及ぼす」の2 点を設定した.授業には,地理院地図の3D 機能を用いた地形解析と,本格的な手法による亜硝酸態窒素(NO2--N)濃度の比色分析を組み込んだ.この教育実践で,生徒の印象に残った内容は,1 位が亜硝酸態窒素濃度の分析,2 位が湧水は川のはじまり,であった.これらの生徒の評価は,授業のねらい1 と2 に関係することから,湧水は理科教材として有用である可能性が示唆された.教材の質を高める今後の研究課題としては,都市部の湧水で高い濃度を示す溶存無機態窒素の起源解明,教育効果の測定,教科教育への位置付け,災害教育における教材化の4 点を挙げた.
著者
松本 禎明 高倉 咲季
出版者
九州女子大学
雑誌
九州女子大学紀要 = Bulletin of Kyushu women's university (ISSN:18840159)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.181-195, 2019-03-18

Sports agency awakened to school carefully about an accident prevention by groupgymnastics in a physical education-like event in 2016, but occurrence of an accidentstill continues. So we did an attitude survey about group gymnastics to an elementaryschool teachers and the victim family of an accident. The results of the attitude survey were as follows. There were "when safety wassecured, introduction agreement" and "even if safety was secured, the introductionopposite" for an answer of elementary school teachers about group gymnastics. Butboth teachers recognized danger hard in common. Teachers have to confer carefully because a judgement of group gymnasticsimplementation is trusted to school finally. When performing group gymnastics, allteachers emphasize the purpose and educational value, and consider in the movementability of the school children individual and the special quality of the boys and girlsat the top with risk management consciousness, usually, implementation of safetytraining is needed. An important thing is to have sense of impending crisis hard, learn an accident casein the past and argue sufficiently at school. In particular, the victim family insists,we're never supposed to forget the opinion by which we assume "If teachers feeldanger, they have to stop introduction once and reconsider."
著者
立元 真 松本 宇宙 矢野 秀平 松田 奈緒子 濱崎 かおり
出版者
宮崎大学教育学部
雑誌
宮崎大学教育学部紀要 = MEMOIRS OF THE FACULTY OF EDUCATION, UNIVERSITY OF MIYAZAKI (ISSN:24339709)
巻号頁・発行日
no.99, pp.112-120, 2022-08-31

本研究は,小学校においてSW-PBS 導入の第1 層支援の実践を行い,教員自身の応用行動分析に関する知識の変化,および,観察された児童の教室適応行動および児童が自己評定した学校適応感の変化を検討することを目的として行った。SW-PBS のための研修及び実践を通して,教員の応用行動分析についての知識が高まったことが示された。相対的に応用行動分析についての知識の得点が高い教員のクラスにおいて,児童たちの被侵害的関係や対人的適応といった学校適応感を改善し,また,学級不適応行動が改善された。
著者
松本 千佳 佐々木 睦子
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.11-21, 2018-03-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
11

目的伊吹島の女性がどのような思いを持って,出部屋で別火生活を送っていたかを明らかにすることである.方法研究デザインは半構造化面接法による質的帰納的記述研究である.観音寺市在住で,伊吹島の出部屋で過ごした女性8名を対象に,インタビューガイドに基づき半構造化面接し,データは質的帰納的に内容の分析を行った.香川大学医学部倫理委員会の承認後実施した.結果対象者8名の平均年齢は81.6歳,平均出産回数は3.5回であった.分析結果より,30サブカテゴリーから5カテゴリーが得られた.伊吹島の女性たちは,昔から重労働を強いられており,また,姑の権力が強く,結婚後は【辛抱・我慢で育てられた伊吹島の嫁】と言い聞かされていた.伊吹島では,出産時に出部屋で生活することは普通のことであり,当たり前のことであった.また,出部屋生活は【不便な生活でもみんなと一緒は気楽で楽しい】と感じる一方,【お産は命懸けなので信頼できる産婆が近くにいて安心】と感じていた.そして,出部屋生活をとおして,改めて【家族や出部屋友達に支えられた別火生活】であったと感じていた.さらに伊吹島の女性たちはこのような【島の風習を当たり前のこととして受け入れて継承する誇り】を強く感じていることが明らかになった.考察伊吹島の女性たちは,命懸けの出産をとおして,家族の大切さや出部屋友達との結びつきの重要性を改めて感じていた.そして,出部屋で生活するということを受け入れ,風習を守って継承することは,不便な伊吹島の生活の中で家業や家事,育児を担う役割を果たし,伊吹島の女性として,誇りを持って生きるために,なくてはならない時間と場所であったと考える.結論伊吹島の女性の出部屋での別火生活は,伊吹島で古くから受け継がれている風習を守り,その後も伊吹島の女性としての誇りを持って生きていくことに繋がっていた.
著者
村上 百合 岸 宏行 岸 和喜 永留 幸雄 西郷 彰 松本 紋子 宮本 佳明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3D4GS1001, 2022 (Released:2022-07-11)

航空機の運航において、乱気流の発生の有無を予測することは重要である。本研究では、風の数値予報データから乱気流の有無を予測することを目的とし、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)により予測モデルの作成を行った。 本モデルでは、約320km四方領域の東西風、南北風、東西シアー、南北シアーの情報を4チャネル画像としてCNNの入力とし、領域中心点での乱気流発生有無を出力として予測する。学習データは、約1年分の風の数値データに対して、パイロットにより報告された乱気流情報に基づき、乱気流の有無をラベル付けを行うことで作成した。また、季節ごとの気象条件の変化を考慮するため、季節ごとに予測モデルを学習した。 その結果、補足率は70%~80%となり、従来の点ごとに予測する方法と比較して高い精度で予測できることが確認できた。さらに、3時間ごとに気象庁より配信される風の数値予報データに基づき乱気流発生の予測を自動実行するシステムを実装した。
著者
吉田 暁正 藤井 常志 柴田 直美 折居 史佳 松本 昭範 垂石 正樹
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.2191-2196, 2005-09-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
15
被引用文献数
4

症例は77歳男性.右季肋部痛にて当科を受診血液検査にて総ビリルビンと肝胆道系酵素の上昇を認め入院内視鏡的逆行性膵胆管造影では総胆管結石の他に針状の胆管内異物を認め,内視鏡的切石術および異物摘出術を行った.異物は弾性硬であり,成分分析にてリン酸カルシウムが検出され,魚骨であると推測された.医原性ではない胆管内異物の報告はまれであり,貴重な症例と考え報告した.