著者
松浦 健二
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.288, 2004 (Released:2004-07-30)

擬態は幅広い分類群に見られる戦術であり、「だます側」と「見破る側」の軍拡競争の好例として、進化生態学の分野では盛んに研究されてきた。高等動植物による巧みな擬態の例は無数に知られているが、菌類による擬態をご存知だろうか。ここで、世界初の「シロアリの卵に擬態するカビ」について発表する。シロアリのワーカーは、女王の産んだ卵を運んで山積みにし、世話をする習性がある。このようにしてできる卵塊の中に、シロアリの卵とは異なる褐色の球体(ターマイトボール)が見られる。この球体のリボソームRNA遺伝子を分析した結果、Athelia属の新種の糸状菌がつくる菌核であることが判明した。菌核とは菌糸が柔組織状に固く結合したもので、このかたちで休眠状態を保つことができる。卵塊中に菌核が存在する現象は、ヤマトシロアリ属のシロアリにきわめて普遍的にみられる。日本のReticulitermes speratusと同様に、米国東部に広く分布するR. flavipesおよび米国東南部に生息するR. virginicusも、卵塊中にAthelia属菌の菌核を保有することが判明した。シロアリは卵の形状とサイズ、および卵認識物質によって卵を認識する。この菌核菌はシロアリの卵の短径と同じサイズの菌核をつくり、さらに化学擬態することによって、シロアリに運搬、保護させている。シロアリは抗菌活性のある糞や唾液を巣の内壁に塗って、様々な微生物の侵入から巣を守っている。卵に擬態することによって巣内に入り込んだ菌核菌は、一部が巣内で繁殖し、新たに形成された菌核はさらに卵塊中に運ばれる。卵塊中の卵よりも菌核の数の方が多いこともしばしばある。シロアリのコロニーが他の場所に移動する際や、分裂増殖する際には、菌核菌もそれに乗じて移動分散することができる。日本および米国におけるシロアリと卵擬態菌核菌の相互作用について議論する。
著者
松浦政泰著
出版者
警醒社
巻号頁・発行日
1918

1 0 0 0 OA 西蝦夷日誌

著者
松浦竹四郎
出版者
巻号頁・発行日
vol.初編, 1863
著者
岡 孝和 松浦 達雄 三島 徳雄
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-108, 1989-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

いわゆる心臓神経症患者にみられる胸背部過敏点の臨床的意義を検討し, 以下の結論を得た。心臓神経症患者では, 第4, 5, 6胸椎棘突起上, 左第4, 5胸肋関節上に高頻度に過敏点を認めた。同部位は健常人においても出現頻度が高かったが, 患者群では有意に高頻度であった。また, 過敏点の出現頻度と神経症傾向, 顕在性不安との間に有意な相関関係は見出せなかった。胸部過敏点では, 圧迫により過敏性疼痛を示したにすぎなかったが, 背部過敏点では, 圧迫により胸痛, 動悸, 胸部圧迫感等の自覚症状を訴えた者が多く, 背部過敏点を検索することは, 患者の愁訴を理解する上で有用な身体所見であると考えられた。第4, 5, 6胸椎棘突起レベルには厥陰兪, 心兪, 督兪が配されていることと比較すると興味深い結果と考えられた。
著者
松浦 彰護 坂東 美知代 佐藤 美央 Shogo Matsuura Michiyo Bando Mio Sato
出版者
神奈川工科大学
雑誌
神奈川工科大学研究報告.A,人文社会科学編 (ISSN:21882878)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.23-29, 2019-03-01

The purpose of this study was to identify the feature of the emotion recognition of the patients with schizophrenia under hospitalization, and to examine the usefulness of the experience learning by mimicry. The experience learning by mimicry observed the expression illustration which has seven kinds of emotion, copied emotion, and repeated experience which occurs emotion. I investigated for 35 subjects with schizophrenia under hospitalization, and made into the analysis candidate 29 subjects with schizophrenia by whom the useful result was obtained. The results clearly showed a significantly improvement in the emotion recognition according to the experience learning by mimicry. Moreover, significantly improvement clearly showed also in the emotion recognition to the expression of "sadness", "anger", and "dislike" which are negative emotion. As for the improvement in the emotion recognition, age of the subjects, duration of hospitalization, and psychiatric symptoms were related. A possibility that experience learning of the emotion recognition by mimicry would act on the patients with schizophrenia in the emotion recognition useful was suggested.
著者
高井 英司 青柳 隆大 市川 敬太 松浦 康之 木下 史也 高田 宗樹
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.20012, 2022 (Released:2022-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
2

Objectives: Olfactory stimulation elicits various physiological responses. However, few reports exist on the changes in gastric motility during olfactory stimulation in humans. In this regard, we carried out electrogastrography (EGG) to non-invasively measure the gastric myoelectrical activity, which regulates gastric motility. Moreover, subjective sensory evaluation was performed to determine which characteristics of vanilla odor at two different concentrations affect the myoelectrical activity.Methods: The participants consisted of eight healthy young males. EGG and electrocardiography (ECG) recordings were obtained approximately 20 min prior to and during olfactory stimulation. Autonomic nervous system activity was evaluated in terms of heart rate variability (HRV) and mean heart rate (HR) from ECG signals. EGG signals were analyzed by spectral analysis. In addition, the translation error was estimated by the Wayland algorithm. Sensory evaluation was performed using the Visual Analog Scale (VAS).Results: There were no significant differences in HRV and HR values and results of spectral analyses of EGG signals in all sample presentations. The translation error of EGG signals and the rating of perceived odor intensity significantly increased in a concentration-dependent manner. There was a strong positive correlation between translation error and odor intensity.Conclusions: The correlation found between translation error and odor intensity suggests that the higher the vanilla odor intensity was perceived, the greater the randomness of EGG signals was. Our results suggest that the application of the Wayland algorithm to EGG signals can be used as an objective indicator in odor evaluation.
著者
松山 友美 笹ヶ迫 直一 小池 明広 松浦 理城 古賀 孝臣 川尻 真知 大八木 保政 岩城 徹 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.249-254, 2008 (Released:2008-04-25)
参考文献数
21
被引用文献数
15 14

症例は63歳の男性である.1998年右手脱力,翌年に左手脱力が出現し,徐々に進行した.2003年首下がり,2004年11月下肢脱力が出現した.臨床的には進行性の下位運動ニューロン症状が主体であった.2005年2月嚥下性肺炎で緊急入院した.入院9日後気管切開,同13日後心電図モニター上ST上昇,特徴的心エコー所見からたこつぼ型心筋症と診断した.循環管理をおこない一旦小康状態になるもふたたび血圧低下し,治療に反応せず入院37日後死亡した.剖検上心筋に梗塞巣はなく,心尖部・心基部のびまん性心筋変性と線維化をみとめたが死因は確定できなかった.神経病理学的には筋萎縮性側索硬化症(ALS)の所見であった.ALSでたこつぼ型心筋症を合併した例のはじめての剖検報告である.
著者
橋本 禅 松浦 正浩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.399-403,a1, 2007

司法制度改革の進展と軌を一にして, 行政においても, 公共事業の計画策定や建設工事における紛争の予防手段として, 裁判外紛争処理手法の一つであるメディエーションの活用に対する関心が高まりつつある。本報では, 紛争処理の実践および研究の両面での先進国である米国の農務省農業メディエーション・プログラム認証事業について, その制度の枠組と運用の実態について報告を行う。本認証事業は, 州政府の農業に関わる紛争の解決に向けたメディエーション・プログラムの設立と運営を認証・支援する事業制度である。本認証事業は, さまざまな農業紛争の当事者へ, 手ごろな価格で, 建設的かつ公正な話合いの場を提供し, 柔軟な問題解決を可能にしたと米国でも高い評価を受けている