著者
小幡 明雄 松浦 勝
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.768-773, 1997-11-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

大豆磨砕時に起こる豆乳の色調変化について調べた.(1) 大豆の磨砕温度の上昇に伴って豆乳のL値,b値は減少し,a値は上昇した.これらの変化は豆乳中の過酸化物価の変化と相関していた.(2) リポキシゲナーゼの関与を調べるために,リポキシゲナーゼ欠失大豆を用いて同じ条件で磨砕したところ,磨砕温度が上昇しても色調の変化はほとんどなく,リポキシゲナーゼが色調の変化を起こす原因酵素であることがわかった.(3) リポキシゲナーゼにより退色する黄色成分について調べた.豆乳のb値を反映しているこの黄色色素は,限外濾過による挙動から,水溶性低分子成分であることがわかった.酵素反応前後の差スペクトルから,420nm付近の吸光度の減少が観察された.HPLCを用いて420nmで分析したところ,多くの成分が酵素反応後に消失していた.その中のメインピークの吸収スペクトルは415nmに吸収極大を有しており,カロチノイド系色素の吸収スペクトルとは異なっていた.
著者
長谷川 泰久 松浦 秀博 中山 敏 藤本 保志 松塚 崇 寺田 聡広 奥村 耕司 竹内 秀行 松本 昇
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.530-534, 1997-11-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

甲状腺乳頭がんの予後は一般に良好である。頸部郭清ではいかに機能障害の少ない手術を行うかが大切である。われわれは癌の進行度に応じて頸部郭清術を使い分けている。Lateral component に対しては Jugular Neck Dissection (JND, 深頸郭清術) と Modified ND (MND) を用いる。 JNDは甲状腺癌取扱い規約のV, VIに当たる内深頚リンパ節と鎖骨上窩リンパ節の郭清を行う。MNDはこれに副神経リンパ節 (規約のVII) の郭清を追加する術式である。この中でJNDについてその手術手技を中心に述べる。切開切離はメスによる鋭的切離を基本として行う。メスによる切離は術者と助手の間でカウンタートラクションを十分に行うことが大切である。郭清は6つの面 (上面: 顎二腹筋後腹, 外面: 胸鎖乳突筋内面, 内面: 深頸筋膜面, 後面: 胸鎖乳突筋後縁, 下面: 鎖骨上縁, 前面 (甲状腺): 前頸筋外側面) を順次切離するように行う。N044例にJNDを行い, 組織学的リンパ節転移を内深頚リンパ節に75%認めた。これまでの経過観察ではJNDを受けた症例に非郭清部および郭清部の再発はない。
著者
真鍋 勝 松浦 愼治
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.275-279, 1972-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 7

みそ仕込みの時点にアフラトキシンが混入していた場合,みそ醸造中にはたしてアフラトキシンが分解されるか否かについて検討を加えた。(1) みそ醸造中のアフラトキシンの分解を調べる場合の基礎的実験として,水素イオン濃度の違いによるアフラトキシンの分解を調べた結果,アフラトキシンB1, G1ともにpH 4~5の範囲で安定であり,pH 1とpH 9~10でよく分解していた。pH 1~3においては,アフラトキシンB1とG1はそれぞれアフラトキシンB2aとG2aに変わることがわかった。(2) 全国各地より集めた種々のタイプのみそ95点についてpHを調べた結果,大部分がpH 4.6~5.4の間に入っており,水素イオン濃度によるアフラトキシンの分解は考えられないことがわかった。(3) みそ醸造中の添加したアフラトキシンの分解試験結果では,アフラトキシンB1とG1は醸造の初期に分解が認められるが,その後の分解は少なかった。またアフラトキシンB2とG2については,ほとんど分解が認められなかった。以上のことより,みその仕込み段階にアフラトキシンが混入した場合,みその醸造中には完全に分解されることはないことがわかった。
著者
中村 大輝 大澤 俊介 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.433-436, 2019

<p>本研究は,理科の授業において領域固有スキルが科学的推論能力の育成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.小学校第6学年の児童215名を対象とした調査の結果,領域固有スキルのうち,知識を適用するスキルと科学的推論能力に正の影響が認められた.他方,認知欲求が低い学習者においては,領域固有スキルのうち,事物・現象を当該領域に特徴的な視点で捉えるスキルが,科学的推論能力育成の阻害要因となる可能性が示唆された.</p>
著者
松浦 義満
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.85-90, 1990-10-25 (Released:2020-07-01)
参考文献数
11

The numbers of intra-zonal journey to work trips for each zone in downtown areas have been examined. A technique has been developed to estimate these numbers on the basis on the fact that the average residential lot size per employed resident in each zone in the downtown areas is strongly related to the generative density of intra-zonal journey to work trips. This model was caliburated for a base year(1970). The model was then used to estimate the number of intra-zonal work trips for each zone for the year 1980. The estimated numbers compared favourably with the actual numbers measured in 1980.
著者
渥美 義賢 大久保 義朗 松浦 雅人 小島 卓也
出版者
国立特殊教育総合研究所
巻号頁・発行日
1992

精神疾患を持つ子供は、障害児の中でも特に睡眠覚醒リズムの障害を合併していることが多く、そのことが種々の精神症状に影響を与えたり、生活上の支障となる場合が多く、詳細を研究によって解決すべき問題がある.そこで今回の研究では、54名の精神的疾患のある子供を対象とし、睡眠障害の種類を調査した。精神疾患の内訳は、ダウン症候群8名、自閉症もしくは自閉傾向のある子供20名、精神発達遅滞26名である.何らかの睡眠覚醒障害のある割合は全体で50%とかなり高った.特に自閉症では75%と高く、精神発達遅滞では46%であったが、ダウン症では0%と全くみられなかった.睡眠覚醒障害の種類に分けてみると次のようになる.入眠困難は自閉症で45%、精神発達遅滞では23%にみられ、早朝覚醒は自閉症のみにみられ10%であった.夜泣きを中心とする中途覚醒は自閉症の35%と精神発達遅滞の15%にみられた.睡眠覚醒の時間帯やその時間が不規則になる本態的な睡眠覚醒リズム障害はそのサブタイプの不規則型がすべてで、自閉症の40%、精神発達遅滞の8%にみられた.過眠症型の長時間睡眠者は自閉症では0%であったが、精神発達遅滞では19%にみられた.以上の結果からみると精神障害の種類により睡眠覚醒リズム障害にも特徴的なパターンがあることが分った。ダウン症では睡眠障害は稀であまり問題とならないのに対し、自閉症と精神発達では高率におこること、自閉症では入眠困難や中途覚醒が多いが精神発達遅滞では過眠症がかなりみられることなどが明らかとなった.次の段階ではこれらの睡眠覚醒障害について脳波等の客観的・生理学的特徴を明らかにすることが必要と考えられた.
著者
水野 一枝 水野 康 山本 光璋 松浦 倫子 松尾 藍 岩田 有史 白川 修一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.391-397, 2012

Eleven healthy male subjects slept from 13:30 to 15:30 under ambient temperature and humidity maintained at 29℃ and RH70%, using polyurethane foam mattresses (U) and camel mattresses (C). A polysomnography,skin temperature (Tsk), microclimate, bed climate, and subjective sensations were obtained. The rapid eye movement sleep (REM) in the first hour for the U significantly increased compared to that for the C. The leg, arm, and mean Tsks for the C significantly increased compared to those for the U during the later segment of sleep. The microclimate humidity significantly increased, while the microclimate temperature and bed climate significantly increased during the later segment of sleep. The subjective humid sensation and the requirement for decreasing the mattress temperature significantly increased in U compared to the C. These results suggest that bed mattress material can increase the subjective humid sensation and the requirement for decreasing mattress temperature by 1) increasing the bed climate and microclimate temperature and humidity, and 2) changing the REM distribution.
著者
伊賀 文俊 松浦 航 加賀山 朋子 水戸 毅
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.298-308, 2020 (Released:2021-04-23)
参考文献数
30

In this article, recent topics in the high-pressure synthesis and physical properties under high pressure circumstance on Topological Kondo Insulators SmB6 and YbB12 were reviewed. As for high pressure synthesis of substitution by Ca for YbB12, high-pressure equipment using the Walker module is introduced. This equipment is used for material development of novel RB12. Furthermore some physical properties of SmB6 and YbB12 under high pressure condition are also introduced.
著者
濱野 龍夫 松浦 修平
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.787-794, 1986
被引用文献数
3 11

Examination of the stomach contents of the Japanese mantis shrimp <i>Oratosguilla oratoria</i> showed that this species is a very intensive predator on the Macrura which is a principal component of the benthic megalofaunal community. Thus, the mantis shrimp, by feeding largely on the Macrura, may have a major influence on this community structure in Hakata Bay. The shrimp was also revealed to be an intensive predator on the Pelecypoda despite underestimation of preda-tion intensity, based on the stomach contents, because of its shell-smashing behaviour. Further-more, this study showed that many Macrura were captured during September and November by the mantis shrimp and that female shrimp of reproductive sizes also consume many Pelecypoda, As a prey species, mantis shrimp themselves were found infrequently in the digestive tracts of other predators.
著者
村田 浩平 松浦 朝奈 岩田 眞木郎
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-10, 2007-03-25

ヒメイトアメンボは,水田に生息する水生カメムシの1種である.本研究では,本種の飼育条件下における捕食行動を明らかにするとともに,餌昆虫の1つであるセジロウンカに対する天敵としての能力を評価すること,長日条件下(16時間明期,8時間暗期)において,23℃,25℃,30℃,35℃の異なる飼育温度における本種の繁殖能力を評価した.餌昆虫の密度に対する本種の機能の反応は,セジロウンカ,キイロショウジョウバエいずれを供試した場合も飽和型を示し,セジロウンカに対する日あたり攻撃量の最大値は1.65個体,キイロショウジョウバエに対しては1.48個体であった.捕食率(捕食数餌/密度)は,両餌昆虫とも捕食数の増加とともに減少した.セジロウンカを供試した場合の寄主発見能力,攻撃摂食時間,攻撃摂食時間から予想される日あたり攻撃量の限界値は,キイロショウジョウバエを供試した場合に比べて高かった.本種の産卵行動は,水面上や容器壁面,キムワイプ上に1卵ずつ行われた.本種の産卵前期間は,およそ1〜2日であった.産卵期間は,23℃区で10.5日,25℃区で20.8日,30℃区で19.5日,35℃区で7.5日となり,25℃区と30℃区における産卵期間は23℃区と35℃区のそれらとの間に有意差は認められなかったものの,後者では産卵期間が短くなる傾向が示された.1メスあたりの平均総産卵数は,23℃区で100.8卵,25℃区で186.2卵,30℃区で223.2卵,35℃区で55.4卵となり,23℃区および35℃区における1メスあたりの平均総産卵数は25℃区,30℃区に比べて少ない傾向を示した.卵から成虫までの生存率は,25℃区で最も高く,次いで23℃区,30℃区の順で35℃区は,全卵が孵化しないか孵化失敗により死亡した.本種の卵期間は,23℃区で8.7日,25℃区で7.4日,30℃区で5.9日であり,飼育温度が高くなるにつれて有意に減少した.幼虫期は,通常5齢までであったが,25℃区,30℃区において各1個体,計2個体のみ幼虫期が6齢の個体が見られた.1齢から終齢までの幼虫期間は,23℃区で15.6日,25℃区で13.1日,35℃区で10.9日であり,温度が高くなるにつれて有意に減少した.
著者
松浦 孝典
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

GBR(骨再生誘導法)を行なったインプラント周囲組織に対し炎症を惹起させると、使用した骨補填材によって炎症の影響に差があるか組織学的に評価することを目的として実験を行った。イヌ下顎骨顎堤に骨欠損を作製しインプラントを埋入、インプラント周囲の欠損部に自家骨、異種骨を補填し治癒後に実験的周囲炎を惹起させた。組織切片上で計測したBIC、新生骨面積、骨吸収面積などの各パラメーター間には統計学的に有意な差を認めなかった。本結果より、異なる骨移植材を用いたGBR後のインプラント周囲組織の炎症の影響には差がないことが示唆された。
著者
松浦友久著
出版者
研文出版
巻号頁・発行日
2003
著者
植松 卓也 芹澤 健一 鈴木 富仁 松浦 亨 堀井 一輝 小池 道明
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.531-539, 2020-09-10 (Released:2021-09-10)
参考文献数
25

Despite the bioequivalence of brand-name and generic drugs, some patients have complained about diminished efficacy after consumption. We administered brand and generic name constructs for loxoprofen sodium hydrate to patients in a variety of forms, including tablets and powder. We used the visual analog scale (VAS) to investigate and examine whether efficacy differences were attributed to the drug action or to a placebo effect. The responses of the 5 patients that entered this study showed different results when the brand-name and generic drugs were taken in a state where they could be distinguished from each other, and the VAS change when they were indistinguishable. In particular, three patients yielded large VAS differences when they consumed the brand-name and generic drugs in the form of tablets, but the VAS change was smaller when the drug was pulverized and consumed in powder form. This study suggests that there is no difference in the actual efficacy between the brand-name and the generic drug forms, and that any noted differences are likely attributed to a placebo effect. The placebo effect has positive or negative effects owing to various factors. As healthcare professionals, we must strive to maximize the therapeutic effects.
著者
西野 航 山内 利宏 安藤 亮 松浦 威一郎 橋本 憲一郎 鈴木 浩二 相川 光広 古口 徳雄 宮田 昭宏
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.181-188, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
10

【目的】多血性側脳室三角部髄膜腫に対する摘出術前塞栓術を行った 1 小児例の経験から,この部位の髄膜種に対する塞栓術の戦略を検討した.【症例】13 歳女児.主訴は左麻痺.術前塞栓を施行せず行った初回摘出術は,わずかな摘出にとどまった.後大脳動脈皮質枝からの栄養動脈を液体塞栓物質で塞栓した 2 回目の摘出術は,塞栓で壊死した後方 2/3 を摘出した.2 年後に再増大し,後脈絡叢動脈からの栄養動脈を同様に塞栓し,腫瘍を全摘出した.【結論】脈絡叢動脈の終末血管によって構成されていた側脳室三角部髄膜腫に対し,液体塞栓物質を圧入せずに栄養動脈の近位部閉塞のみで十分に塞栓効果を得ることができた 1 例を経験した.