著者
三宅 悠介 松本 亮介 力武 健次 栗林 健太郎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-37, no.4, pp.1-8, 2017-05-18

BtoC の EC サイトで取り扱う商品の種類の増加に伴い,EC サイト利用者の通常の行動では全ての商品を見て回ることは困難であるため,多くの EC サイトでは効率的に商品を閲覧できるよう関連性のある商品を動線上に表示している.購買履歴等の情報が蓄積されないと関連商品を選定できない問題を解決するため,商品の持つ様々なメタデータを利用する手法や,視覚的な訴求力の強い商品画像を元にした,畳み込みニューラルネットワークを始めとした深層学習による精度の高い関連商品の選定手法が提案されている.しかし,適切な粒度のメタデータの整備に手間を要する問題や,深層学習のための大量の訓練データセットと計算時間が必要となる問題から,これらが導入への大きな障壁となっている.本報告では,画像分類用の学術ベンチマークであり,EC サイト商品画像特性と類似する ImageNet において高い成績を出した Inception-v3 モデルを学習済みネットワークとして採用し,一般物体の特徴を強く表現する識別層に近い手前のプーリング層までから得られる特徴量をもとに近似最近傍探索により類似度を比較することで,特徴抽出器の学習と購買履歴を必要としない類似画像による関連商品検索システムを提案する.EC サイトにこの類似画像による関連商品検索システムを導入し,画像のクリック率を商品カテゴリごとに計測することで類似画像による関連商品の有効性を検証した.
著者
向山 武彦 平川 直弘 高橋 博 滝塚 貴和 木村 逸郎 小川 徹 小寺 正俊 安俊 弘 若林 利男 原田 秀郎 井上 正 高木 直行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.159-193, 1995-03-30 (Released:2010-03-08)
参考文献数
140
被引用文献数
2

原子力開発の当初から高レベル廃棄物は重要問題の1つであったが,原子力利用の進展に伴いその重要性はますます大きく厳しいものとなってきている。現在,地層処分が多くの国で既定の処分方法となっているが,より優れた方法を目指して消滅処理の研究が進んでいる。特に最近,この方面の研究が盛んになり,しかも日本がその重要な牽引車の役割を担っている。本「特集」では,このような事情に鑑み,消滅処理技術の解説,関連技術の現状,研究開発の経緯,オメガ計画,国際動向,国内における技術開発の現状,地層処分からみた位置付けについて,一般の読者を対象に解説して頂いた。
著者
上杉 邦憲 平尾 邦雄 林 友直 原 宏徳 山本 東光 升本 喜就 折井 武 上村 正幸
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-31, 1987-03

「さきがけ」, 「すいせい」両探査機に対する科学観測ミッションからの要求, 重量, 電力, 通信, 熱設計等工学上の諸要求と制限を考慮したシステム設計及び打上げ後の運用結果によるその評価について述べる。
著者
林 真理
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.5, pp.97-111, 2005-09-30

低リスク層の顧客化という観点にたち、自己の将来設計や目標を意識して時間とお金を選択的かつ戦略的に使う「時間選好型生活者」に注目し、その消費の特徴、金銭意識、潜在ニーズを探り、消費者金融サービスの新たな利用者像と利用モデルを考察することを目的として、首都圏の25歳から34歳の独身女性に深層面接調査を行なった。特徴的な消費スタイルとしては現在消費、選択的消費、自己投資、意味の重視、合理的消費と衝動的消費の混在、自己愛型消費などが見られた。また比較的多くの事例で資金(借入)ニーズには「親の財布」がオンデマンドに対応しており、現時点で消費者ローンを利用することは選択肢になかった。金銭管理、収支バランス、リスク管理に関しては自分なりの対応策を用意しており安全性は高いと思われる。顧客化の最大の障壁として「お金を借りること」に関する心理的バリアが認められた。バリアの根底には適切な金銭教育の欠如と親の金銭観の影響があり、意識的、無意識的に行動を抑制していると思われる。ライフスタイルは先進的だが、金銭面での社会経験が乏しく金銭意識は未成熟である。金融取引(借入)の知識や経験が少ないほど心理的バリアが高くリスク回避的な傾向が強いが、幾つかの事例は経験すればハードルが低くなることを示している。結論として、対象者層は収入の多少にかかわらず、自分にとって価値があることには出費を惜しまず消費性向もコンスタントに高いことから、上記のバリアが解消されて新たな利用モデルが受容されれば、消費意欲、安全性、資金ニーズからみて魅力的な市場を形成する可能性がある。特に起業を志向している場合は、戦略的なキャリアデザインや資金調達プランにフレキシブルな金銭意識がみられ顧客化の可能性は高い。注目すべき点として、対象者層は「お金」そのものだけでなく資金計画を含むキャリア/ライフデザインの総合的サポートを求めており、これに対応するサービスは比較的受容されやすいと思われる。女性のフロンティア意識を金銭面も含めてサポートする消費者金融ならではの社会貢献度の高い新しいサービスモデルの開発が期待される。
著者
藤田 早苗 平 博順 小林 哲生 田中 貴秋
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.515-539, 2014-06-16 (Released:2014-09-16)
参考文献数
21
被引用文献数
3

これまで,主に新聞などのテキストを対象とした解析では,形態素解析器を始めとして高い解析精度が達成されている.しかし分野の異なるテキストに対しては,既存の解析モデルで,必ずしも高い解析精度を得られるわけではない.そこで本稿では,既存の言語資源を対象分野の特徴にあわせて自動的に変換する手法を提案する.本稿では,絵本を解析対象とし,既存の言語資源を絵本の特徴にあわせて自動的に変換し,学習に用いることで相当な精度向上が可能であることを示す.学習には既存の形態素解析器の学習機能を用いる.さらに,絵本自体にアノテーションしたデータを学習に用いる実験を行い,提案手法で得られる効果は,絵本自体への約 11,000 行,90,000 形態素のアノテーションと同程度であることを示す.また,同じ絵本の一部を学習データに追加する場合と,それ以外の場合について,学習曲線や誤り内容の変化を調査し,効果的なアノテーション方法を示す.考察では,絵本の対象年齢と解析精度の関係や,解析精度が向上しにくい語の分析を行い,更なる改良案を示す.また,絵本以外への適用可能性についても考察する.
著者
藤瀬 雅行 川端 文雄 今林 淳 小野塚 信夫 井戸上 彰 加藤 聰音
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.97, no.183, pp.15-22, 1997-07-18
被引用文献数
3

PHSでは、本年4月より、PIAFS (PHS Internet Access Forum Standard)と呼ばれるプロトコルを用いた32Kbpsのデータ通信サービスが開始されている。本データ通信サービスでは、TCP/IPによる既存のデータアプリケーションが広く利用されると考えられ、PIAFS上でのTCP/IP通信の性能を明らかにすることが重要となる。そこで筆者らは、PIAFSに準拠した移動端末と固定ホストの間で、ftpによるファイル転送スループットの測定を行うとともに、伝送誤りのある場合のPIAFSとTCPの振舞いについて解析した。本稿では、それらの結果について述べる。
著者
小林 泰名 栗田 とも子
出版者
日本医学図書館協会
雑誌
医学図書館 (ISSN:04452429)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.79-84, 2016-03

The Hokkaido University Library has been attempting to create and provide digital data to users with print disabilities since fiscal 2014. The procedures, system, cost estimates, and future tasks of this digitizing service were identified by this study, and results obtained over the past year are reported here. The university must provide information support to students with print disabilities and must respond to requests for the digitization of documents necessary for learning as much as possible. Libraries must exchange information with other libraries to solve future tasks and to improve this digitization service. Further improvement will require the following 3 points: 1. University library staff members must understand the guidelines, 2. Information must be exchanged with other libraries that provide digitization services, and 3. Digital data for people with print disabilities must be shared among libraries.