著者
清水 順子 小林 浩明
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.7, pp.15-22, 2009-03

日本語教師の養成や教育に携わる中で、日本語教師をやめていく人を見ることは少なくない。本研究では、一人の元日本語教師の事例に注目し、なぜやめるに至ったのか、そしてやめたことをどのように捉えているのかを理解することを目的とした。インタビューを行い、M-GTA の分析方法を用いて構造化を行った結果、やめるに至るには、単にやめたいと思ったからではなく、その時の状況で仕事への復帰が先延ばしになった結果だとわかった。また、外側から見ると完全にやめてしまったようにみえた人が、実はいずれは仕事復帰したいと希望していることもうかがえた。
著者
井上 豊治 林 隆義 森 忠繁
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.789-796, 1993-11-10 (Released:2008-04-21)
参考文献数
28
被引用文献数
4 4

In vitro effects of surfactants in common use as detergents and related compounds were investigated on the erythrocyte membrane and respiratory activity of rat liver mitochondria.The hemolytic activity of main surfactants tested was in the following order with the EC50 values less than 10mg·l-1 ; Neopelex F-25 (LAS), Spark (α-SF), Flake marseille (soap), LipolanPB-800 (AOS), standard soap (JIS K 3303) and SDS. There was weak hemolytic activity from the effect of Emulgen 108 (POEAE) and Emal 20C (AES). On the other hand, the mitochondrial respiration inhibiting activity (IC50) was strong in Flake marseille (5.5mg·l-1) and standard soap (6.8mg·l-1) and follwed by Emulgen 108 (26.0mg·l-1), Emal 20C (32.5mg·l-1), SDS (38mg·l-1), Neopelex F-25 (41.0mg·l-1), Spark (46.0mg·l-1) and Lipolan PB (>50.0mg·l-1). The regression equation between the EC50 (Y) and IC50 (X) values was Y=-0.1198X+2.345, the coeficient of correlation r=-0.0855, indicating little correlation between them. Present data certified the hemolysis inducing and respiration inhibiting effects of surfactants on erythrocytes and mitochondria. These suggest that this system is applicable as a convenient technique to assess the toxicity of environmental contaminants.
著者
河合 将志 林 正治 尾城 孝一 新妻 聡 西澤 正己 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.298-301, 2018-12-08 (Released:2018-12-21)
参考文献数
10

日本は世界でも有数のIR(Institutional Repository)保有国であるが,学術雑誌論文の登録件数には設置機関の間で大きな差が見られる. 本研究では,この差を生み出している要因を明らかにするため,アンケート調査の結果を主なデータとして計量分析を行った. そして,この差がIRの運用期間やOA(Open Access)広報資料に係る変数によるものであり,これまで重要だと考えられてきた学術雑誌論文提供依頼やOA方針などに係る変数によるものではないことを示した.
著者
結城 佳子 鈴木 敦子 太田 知子 小林 美子 坂田 三允
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-29, 2009-03

本研究では、家庭での養護者による虐待に着目して近年の我が国における高齢者虐待に関する研究の動向を明らかにし、高齢者虐待に関する今後の研究課題について検討した。分析対象とした研究のうち、事例を対象に質的分析を行った研究では具体的な支援や介入の方法が提言されると同時に、対象者との契約にもとづいたサービスを提供する在宅医療・福祉専門職の支援および研究の限界も明らかにされていた。高齢者虐待に関する研究の今後の課題は、1.地域住民の高齢者虐待に対する意識の高揚化および普及啓発2.保健師・精神保健福祉・心理臨床職による支援および介入3.地域支援システムやネットワーク構築の実践、さらにこれらの理論化であることが示唆された。
著者
張 成年 丹羽 健太郎 岡本 俊治 村内 嘉樹 平井 玲 日比野 学 涌井 邦浩 冨山 毅 小林 豊 鳥羽 光晴 狩野 泰則
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.895-902, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
37
被引用文献数
3 5

2007 年に千葉県で突如発生した寄生性のカイヤドリウミグモ Nymphonella tapetis は愛知県,福島県でも確認された。これら 3 海域で採取した 110 個体の COI 塩基配列(562 bp)を決定した。個体間の塩基置換率は低く(0.2±0.07%),3 標本間で遺伝子型頻度に有意差は無かったことから,ごく最近に少数の同祖群から派生した個体群と考えられた。18S rDNA 配列による系統解析では,本種はトックリウミグモ属 Ascorhynchus より派生した分類群であることが示された。
著者
小林 真二
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、亀井勝一郎が最も函館らしい作家として名を挙げた3名の作家、長谷川海太郎(筆名・牧逸馬、谷譲次、林不忘)、久生十蘭、水谷準の文学の背景をなす大正期函館モダニズム文化について調査・研究を行い、長谷川海太郎が函館中学校時代の先輩グループ、宣教師、家庭教師などとの文化的ネットワークの中で文学・思想・渡米意志などを育んだことや、阿部回漕店に生まれた久生十蘭が海運都市・函館を背景に「船」「ロシア」「海難」などのモチーフを文学に活かしたこと、そうした二人の先輩に導かれて水谷準が文学者として成熟していったことなどを明らかにすると共に、従来埋もれてきた彼等の新資料を多数発見することができた。
著者
石元 泰子 小林 裕和 安倍 浩之 冨岡 貞治 寺本 裕之 田川 維之 柴田 知香 大藤 美佳 中島 あつこ 池田 勘一 藤川 大輔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.480, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】打撃動作は、投球動作と同様に両下肢から体幹・両上肢へと全身の各関節が連動しながら遂行される。打撃動作のスキル向上を目的とするならば、障害予防だけではなく、打撃動作の運動特性を捉える必要があると考える。そこで今回我々は、2001年度より定期的に実施している高校野球チームに対するメディカルチェックの中から、打撃動作時のバットヘッドスピードと各関節の可動域との関係を検討し若干の知見が得られたので、考察を加えて報告する。【対象】某高校野球部に所属していた高校生32名(右打者30名・左打者2名)を対象とした。【方法】野球部員に対して実施したメディカルチェックの中から関節可動域測定値、三次元動作解析器による打撃動作解析結果を用い、分析した。 関節可動域は、肩関節外・内旋、肘関節屈曲・伸展、前腕回内・回外、SLR、長座位体前屈(以下FFD)、股関節屈曲・伸展・外・内旋、膝関節屈曲・伸展、足関節背屈、体幹回旋・屈曲・伸展を測定した。尚、肩関節外・内旋においては、肩関節基本肢位(以下1st)、90°外転位(以下2nd)、90°屈曲位(以下3rd)にてそれぞれ測定した。 動作解析には、三次元動作解析system(ヘンリージャパン株式会社製)を用いて、打撃動作を分析し、バットのヘッドスピードを算出した。 統計処理は各関節可動域測定値、三次元動作解析器による打撃動作解析の各項目とバットのヘッドスピードとの相関分析を行った。【結果および考察】 バットのヘッドスピードと左肩3rd外旋可動域(r=0.393)、右肩3rd内旋可動域(r=0.487)、左股関節屈曲(r=0.373)・外旋可動域(r=0.554)、右SLR(r=0.423)、左SLR(r=0.334)、右足関節背屈可動域(r=0.295)、両体幹回旋可動域(右回旋r=0.535・左回旋r=0.272)、体幹屈曲可動域(r=0.428)等との間にそれぞれ有意な相関関係が認められた。 以上の結果から、打撃動作のスキルを向上させるためには、打撃動作において運動学的に要求される関節可動域が確保されていること。また、例えば、左股関節外旋可動域は、打撃動作中に運動学的には要求されないが、硬化した内転・内旋筋よりも柔軟性に富んだ内転・内旋筋を確保しておくこと、つまり、測定項目の拮抗筋の柔軟性確保が重要であると推察できる。換言すれば、柔軟性に富んだ筋は、機能を発揮しやすいことを裏付けている。 本学会において更にデータ解析、考察を加え詳細について報告する。
著者
小林 茉利奈 Myers 三恵 W. MYERS Michael 丸岡 靖史
出版者
昭和大学・昭和歯学会
雑誌
Dental Medicine Research (ISSN:18820719)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.45-48, 2014-03-31 (Released:2014-07-31)
参考文献数
13
被引用文献数
1

歯科恐怖症患者は恐怖心により歯科治療が困難となり, 十分な治療を受けられない, 治療を拒否されるなど, 治療を諦める例も少なくない. そのため口腔内の健康が損なわれ, 生活のQOLが低下し大きな問題となっている. 当講座では地域歯科医院や院内から紹介された多くの歯科恐怖症患者に対して個々に適した方法で治療を行い, 患者より満足を得ている. しかし, 歯科恐怖症患者の治療には多くの時間とマンパワーを要するのが現状であり問題点も多い. そこで本稿では, 歯科恐怖症患者の治療の実態と問題点についてその概要を説明する.
著者
小林 昭 鈴木 貴美 原 和弘 下元 泰治
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.35, pp.1-6, 1993-06-25 (Released:2017-10-06)

放射線環境下で使用される撮像デバイスにも高解像力が要求されるようになってきた。筆者らは、このニーズに応えるべく、2/3インチの耐放射線用MF(Mixe d Fie1d、MSと同義)高解像度カルニコン(製品No.N4182)を開発した。 N4182は、照射線量率で10^5R/hまで、総照射線量で10^8R以上まで信頼性の高いイメージングが可能である。また、この管は、高感度(0.15A/1x)、高解像度(走査面を6.6×8.8mm^2とした場合1150TV本)であるうえ、動作温度範囲が85℃まで、という優れた性能を持つものである。
著者
小林 盾 内藤 準
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.179-189, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
7
被引用文献数
4
著者
西脇 宏 猿田 量 若林 一弘
出版者
島根大学山陰地域研究総合センター
雑誌
山陰地域研究 (ISSN:0911615X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.伝統文化57-74, 1989-03

最終ページに正誤表あり
著者
森下 雄太 宮地 利明 上田 丞政 清水 満 濱口 隆史 藤原 康博 林 弘之
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.587-590, 2008-05-20 (Released:2008-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

The purpose of our study was to assess the mechanical effect on tattoo seals and eye makeup caused by a spatial magnetic gradient in the magnetic resonance imaging (MRI) system. Seven kinds of tattoo seals and three kinds of eye makeup, i.e., mascara, eye shadow, and eyeliner were used. On a 3.0-Tesla MRI, we determined these deflection angles according to a method established by the American Society for Testing and Materials (ASTM) at the position that produced the greatest magnetically induced deflection. Eighty-five percent of the tattoo seals showed deflection angles greater than 45 degrees of the ASTM guidelines, and the mascara and eye shadow showed over 40 degrees. This was because these contained ferromagnetic pigments such as an iron oxide, but those translational forces were very small owing to slight mass. However, it is desirable that these should be removed before MRI examination to prevent secondary problems.
著者
小林 正秀 上田 明良
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.435-450, 2005-10-01
参考文献数
188
被引用文献数
12

カシノナガキクイムシの穿入を受けたブナ科樹木か枯死する被害が各地で拡大している。本被害に関する知見を整理し,被害発生要因について論じた。枯死木から優占的に分離されるRaffaelea quercivoraが病原菌であり,カシノナガキクイムシが病原菌のベクターである。カシノナガキクイムシの穿入を受けた樹木が枯死するのは,マスアタックによって樹体内に大量に持ち込まれた病原菌が,カシノナガキクイムシの孔道構築に伴って辺材部に蔓延し,通水機能を失った変色域が拡大するためである。未交尾雄が発散する集合フェロモンによって生じるマスアタックは,カシノナガキクイムシの個体数密度が高い場合に生じやすい。カシノナガキクイムシは,繁殖容積が大きく含水率が低下しにくい大径木や繁殖を阻害する樹液流出量が少ない倒木を好み,このような好適な寄主の存在が個体数密度を上昇させている。被害実態調査の結果,大径木が多い場所で,風倒木や伐倒木の発生後に最初の被害が発生した事例が多数確認されている。これらのことから,薪炭林の放置によって大径木が広範囲で増加しており,このような状況下で風倒木や伐倒木を繁殖源として個体数密度が急上昇したカシノナガキクイムシが生立木に穿入することで被害が発生していることが示唆された。
著者
藤田 尚文 福留 広大 古口 高志 小林 渚
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.12-25, 2017 (Released:2017-04-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究の目的は自尊感情などのストレス防御因子と心理的ストレス反応の関係を説明することであった。ストレスの窓モデルと命名されたモデルは4つの仮定をもっている。(a)ひとはストレスを受け取る窓を1個以上もっており, ストレスはその窓を通して個人内に侵入してくる。(b)個々の窓の受け取るストレスの強度分布は, 認知的評価をした結果, 値が基準化され, 平均を0, 分散を1とする正規分布の右側半分である。(c)個々の窓は, それぞれ独立に機能し, 侵入してきたストレスを受け取り, ストレスの強度を2乗したものがストレス反応となり, 最終的に個人のストレス反応は各窓から受け取った総和となる。(d)ストレスの窓の個数は防御因子と密接に関連し, 防御因子が強ければストレスの窓が少なく, これが弱くなるにつれてストレスの窓が多くなる。これらの仮定の数学的帰結として, 防御因子の強弱によって層化された各群のストレス反応が, 窓の個数分の自由度をもつχ2分布となる。本モデルは防御因子として消極的自尊感情や楽観性を用いたときストレス反応の分布をよく近似できた。さらに素因ストレスモデルにおける交互作用は本モデルから数学的に導かれることが本論文で議論された。